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中東・イスラム世界との対話コミュの中東で出会う欧米の市民社会の知識人たち

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もちろん、「市民社会」とはアイデアであり、理念であり、「市民社会」100%の国民OR社会OR国家なんて存在しないのですが、それでも、その理念に私はとても惹きつけられます。

それは、ただ単に、歴史の教科書や社会思想史の本で、「西洋ですばらしい社会が誕生した」ことを知識として知っているから、ではありません。

外交や学問や政治の場の片隅に籍を置き、中東・イスラム世界で生きていると、なぜ、欧米社会(まあ、米国は、本質的に、キリスト教原理主義の病を抱えているので、かなり異端児ですが)が、普遍的に人類に対し、魅力と説得力のある政治制度を主張しているのか、つくづく感じます。

だから、私たち(「アラブ人」であれ、シリア民族であれ、信仰者であれ、日本人であれ、アジア人であれ)が、西洋をそのままコピーするのが正しいなんてナイーブなことを言うつもりもないのですが、しかし、欧米、特に、欧州の、成熟した市民社会が生み出している知識人たちと接していると、やはり、そのような人材を制度的に生み出し、彼らこそが、国民的なアイデンティティーを持ったある種のエリートとして、政府やNGOや国連を動かしているんだという現実に対し、では、どうして、たとえば日本人が、これだけの経済発展にもかかわらず、政治的・社会的に未熟なのか、または、どうして、アラビア語話者の信仰者からは、移住して欧米諸国で活躍するエリートは誕生するけれど、彼らが国民的なアイデンティティーを持って、政府を動かすことができないのか、いや、そもそも、政治を語ることができるだけのエリートそのものを、ごく少数しか生み出せないのか、という、社会や国家の制度の問題を考えざるを得ません。

なんてことを書いたのは、最近、ノルウェー人の外交官の卵のおねーさんとつるんでいて、ノルウェーという、西欧でも、特にずば抜けて、中東での現実的で説得力のある外交を展開している国の外交のあり方、そして、その人材を育成できる国民・社会の力を感じているからです。

たとえば、ノルウェーは、一貫して、ハマスのテロ行為自体はきちんと非難しながらも、彼らが、選挙により民意を受けて政権に参加した結果そのものは、パレスチナ人の民主的な意思であり、そのパレスチナ人の民意を否定することは、和平プロセスを破壊することであるから、ハマスのテロ行為は非難する一方で、ハマスを和平プロセスのプレーヤーとして認め、国際社会もイスラエルも対話をすべきであると堂々と正論を主張してきたのですよ。

こんな正論すら、この問題にかかわる国々や「国際社会」では、どの国もまともに主張できないことこそが、この問題、というか、中東の問題の闇を象徴しているのですが。

また、彼らの外交上のユニークな存在と発言力は、UNRWAの国際会議で、いつも実感していました。UNRWAに対する実際の拠出額で言えば、ノルウェーは数百万人の人口しかない以上、たとえば、かつては拠出国としては上位3位を争っていたくらいの日本に比較すれば、もう比較にならない程度なんですが、はっきりいって、日本なんか相手にしてもらえないような発言力しかもっていないのに、ノルウェーの外交団の発言は、やっぱり、みんなきちんと聞くし、説得力があるんですよ。

この金額と実際の発言力の落差とは何かと考え込みましたよ。

まあ、そもそも、私のような法的には外交官として国益を代弁して交渉してはならないはずの、雇用関係ですらない、外部のコンサルタントを、「代表」として送り込んでいる時点で、日本の外交の情けなさは明白だったのですが。

今日、久しぶりに、そのおねーさんから電話がかかってきて、ノルウェー大使館の外交官の家でパーティーがあるから来ないかとお誘いを受けて、どんな人たちに会えるのか楽しみに、参加したわけです。

まあ、要するに、ですね、ノルウェーの外交官の人材育成制度は、私が知っている限りの国の制度の中で、もう、尊敬に値するくらいうらやましいということです。

その外交官志望のおねーさんは、20台半ばで、キャリアとしては、国連ボランティアを2回(タンザニアとシリア)、ノルウェー大使館のトレイニーを一回、今はUNRWAで国連ボランティアをしていて、今度こそ、正職員として、ノルウェー外務省と、国連の登用試験を受ける予定の、すっごく、肝の据わっている知的な女性です。

最初は、彼女の話を聞きながら、きっと、そんな不屈精神とキャリア意識と現場に肩書きもジョブセキュリティーも保証されない形で飛び込める行動する知識人なんて、はねっかえりの変わり者だと思っていたのですが、今日会った、アラビア語スペシャリストの中堅外交官の話を聞いて、一層、ノルウェーという国と国民への尊敬を高めました。

その外交官のアラビア語スペシャリストとしての訓練の過程と彼のキャリアを詳しく聞いて、ため息が出ました。

なんと、彼と私は同じ時期に、ダマスカスで、アラビア語を勉強する学部生として留学していたんです。彼は中東研究の専攻で、アラビア語やイスラム教を中心とする訓練を受け、卒業後は、まずは、ヘブロンという、過激極右シオニストがパレスチナ人の家屋を不法占拠して武装しているという最も問題の根深い町の国際監視団の監視員としてキャリアを始め、その後に、ノルウェー外務省に職員として入省したというわけです。

で、彼のキャリアで一番、興味深かったのは、アルジェリアにノルウェー大使館を立ち上げたときの体験。

彼のボスは女性で、かなりのベテラン。

彼女は、20台のころに、NGOの責任者として、アルジェリアのベルベル部族の社会開発を行っていて、その後外務省に入省したのが、なんと40年前。

で、アルジェリアにノルウェー大使館を再開するときに白羽の矢がたったらしいんです。

そのボスに評価された彼は、当時はチュニジア勤務だったのですが、彼女とともにアルジェリアへ。

イスラム原理主義勢力と、それを武力弾圧した社会主義与党の内戦の直前だったらしいのですが、ベルベル民族はアルジェリアでは、武装闘争すら行っているくらい過激な地域。

誰もが、NGOどころか、外交官すら立ち入ろうとしなかったベルベル地域に、その40年前のベルベル人の支援者のネットワークで、彼らの保護を受けて、堂々と現地入りしたという逸話。

40年前ですよ!

40年前から、ノルウェー国民はNGOを通じて、このような抑圧された少数派の人たちへの支援をしていて、そのような現場でキャリアを積んだ人間を外交官として積極的に登用していたんです!

はあー、もう、日本のようなアジアの発展途上国では、本当に想像すらできない世界。

これこそが、西洋の掲げる市民社会の力なんだとつくづく思いました。

とはいえ、ああ、俺もノルウェー人として生まれていたら、なんて白人かぶれな話をしてもカタルシスなんで、私は、日本国籍のシリア愛国者の信仰者ムスリムとして、自分の実存を、誇りを持って生きるしかないのですが、彼らのような国民が存在しているということは、ある意味、人類にとっての希望やお手本なんだということは率直に認めます。

まあ、中東で政治に首を突っ込んでいると、こんなレベルの知性と行動力を兼ね備えた欧米の知識人たちにごろごろ出会うんですが。

この間ヨルダンで5時間も議論した2人のある意味対照的な米国籍の知識人もそういった人たちでしたね。

この話は、もう書くのに疲れたんで、また改めて。

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