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NPO法人 Science Communicationコミュの総選挙、公開質問状を送付

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 みなさま。

 NPO法人サイエンス・コミュニケーション代表の榎木です。

 総選挙が近づいてきましたが、昨日、私たちNPO法人サイエンス・コミュニケーションは、ブロガーsivad氏や有志の皆さんとともに、以下のような公開質問状を作成し、自民党、公明党、民主党、共産党、国民新党、社民党、新党日本、改革クラブの各政党に送付しました。

 政党から回答がいただけましたら、ブログ
http://d.hatena.ne.jp/scicom/
 
 などでご紹介したいと思います。

a)科学技術研究全般について
 日本の科学研究は1995年に制定された科学技術基本法、および5年ごとに策定される科学技術基本計画により重点分野が明確に示され、競争的資金が投入されるようになりました。
 しかし一方で、応用研究と基礎科学の峻別がうまくなされておらず、巨大プロジェクトの実用化へのロードマップが不明確であったり、多様性を重視する基礎研究の基盤が弱体化するといった事態への懸念が聞かれます。
 社会的イノベーションを目的とする応用研究と、知の多様性を確保するための基礎研究ではおのずとマネジメント方針が異なると考えられますが、この点に関して貴党の考えをお聞かせください。

b)科学技術コミュニケーションについて
 第三期科学技術基本計画には国民の意見を聞きながら研究を進めるアウトリーチ活動が盛り込まれるなど、科学技術コミュニケーションの重要性が認識されるようになっており、各地の大学院で人材育成が始まっています。
 しかし、若手研究者を政策フェローとして雇用するアメリカ、大学・メディア・NGOが合同でナノテクノロジーに関する市民陪審を開くイギリスなど、制度として参加型テクノロジーアセスメント機関を持つ欧米に比べ、真に「双方向で参加型」のコミュニケーションが図られているという状況ではありません。
 また育成した科学コミュニケーターの雇用も、2ー3年の短期のものがほとんどで、極めて不安定なものとなっています。
 今後の科学技術コミュニケーション政策は、具体的な制度や人員配置も含めて、どのようなものであるべきだとお考えか、お聞かせ下さい。また、科学技術政策の意思決定に、こうした人材を活用する考えがあるかをお聞かせください。


c)高等教育政策について
 日本は世界でただ2か国、国連人権条約の高等教育無償化条項を批准していない国の一つだといわれています。
 このことには、高等教育は社会的な権利ではなく「受益者負担」であるという、日本政府の(世界的に見れば特殊な)見解が反映されていると思われます。
 確かに日本の実情として、たとえば国立大学が無償化されれば、多くの私立大学が深刻な経営難に陥るでしょう。
 アメリカでは安い州立大学が貧困層、低学力層の教育を担い、私立名門校が奨学金を集められる優秀な学生と富裕層の教育を担っていますが、日本ではこの構造が逆転しており、東京大学の学生の世帯所得が統計的に優位に高い一方、地方の貧困家庭が子どもを私学に入れることを余儀なくされる、という状況が見られます。
 これらの状況をふまえた上で、高等教育無償化条項についてどうお考えか、また日本の高等教育に対する包括的な改善案をお持ちであるか、お聞かせ下さい。

d)研究者の雇用問題について
 1990年代からはじまった大学院重点化とポストドクター等一万人支援計画によって、若手の博士号取得者や研究者がこの10年で大幅に増員されました。
 しかし特に重点的に育成されたバイオなどの分野は社会インフラの意味合いが強く、医療、農業、資源、教育など政策的な事業の中で活かされるべきスキルがほとんどです。現在その多くは年収200ー 400万円での不安定雇用に従事し、将来不安を抱えています。またワークライフバランスの悪さから、未婚・子供なしの率が高いという調査もあります。
 科学技術に対する投資は微増しているにもかかわらず、科学技術人材の雇用環境はそれに反し悪化の一途をたどっているといえます。このため博士課程志望者も減少しています。
 この状況は新産業育成やイノベーション創生においても大きな問題だと思われます。貴党は、こうした問題にどのような対策を考えているのかお聞かせください。

e)リスク管理と科学について
 内閣府食品安全委員会の委員人事に関して、吉川泰弘・東京大教授を起用する人事案が国会に提示されたが、6月5日、参院にて野党の反対多数で不同意となりました。この件に関して、日本学術会議の金澤一郎会長が、リスクの概念が理解されていないと、異例の会長談話を公表し、懸念を表明しています。
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-21-d4.pdf
 この件に関する貴党の見解をお聞かせください。

f)大学政策について
1)国立大学の法人化がスタートして5年が経過しました。この間、東大など一部の「勝ち組」をのぞいて多くの大学が疲弊した、また本来の意図とは逆に中央省庁の影響力が強まった、など、問題点も指摘されています。貴党における、国立大学法人化制度の評価と、今後の国立大学の役割について、お聞かせください。

2)また米国の州立大学をみれば分かるように、地方分権の観点からは地方大学は地域の知的拠点としてますます大きな役割をになうと考えられます。そこで、分権における地方大学の役割についてもうかがいます。地方大学の復興を必要と考えるのか。もしそうならどのような対策を考えておられるのか、お聞かせください。
 

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