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秘密の園〜幻想少年少女の物語〜コミュの投稿作品集 -闇 〜それは秘密の箱のなか〜-

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コメント(2)

「先に逝ったあの方へ」

電気を灯さない部屋の中で、
私は空を見る。
何も無い、真っ黒な空だけど、
あの空の向こうには、あの方が待っている。
私より先に逝った、私の大好きな王子様がそこに―――

あの方が死ぬ前、私に言ってくれた。
「自分は死んでしまうけれど、
けしてすぐに後を追ったりしないで、
しばらくの間、この空の下で過ごしていて。
僕は先に天国へ行って、
君を迎える用意をするから。
だからその時まで、
僕のことを忘れずに、この空の下で待っていてほしい。
そして、僕が君を迎えに来た時には、
温かく僕を迎えて、おかえりって言ってほしい………」って。
あの方がそう言ってからもう大分の時が流れて
まだ、私を迎えに来ないことに、不安な気持ちになるけれど、
きっと、ここへ来るための手続きが長引いているのだって言い聞かせて
ずっと我慢をしている………

―――だけどね。
もう私、待ちきれない。
早くあの方に会いたくてしょうがない。
いっそうこと、私の胸にナイフを突き刺して、
今すぐにでもあの方のもとへ逝きたい………
だけど、私にそんな勇気なんてない。
もしそんな勇気があったのなら、私はあの方の言葉を無視して、
すぐに後を追っていたはずなのに………

ねぇ、私の大好きな王子様………
私はいつまで待てばいいの?
いつになったら迎えに来てくれるの?
いつになったら……いつになったら………
私はあなたとずっと一緒にいることができるの?
ねぇ、誰か教えてよ………
お願い………誰か教えて…………

その時、背中から長い物が突き刺さった感じが全身に伝わる。
振り向くとそこに、
たくさんの涙を流した、真っ赤な血にまみれになった、
私のお母さんが立っていた。
ごめんねって、もうあなたを面倒見る事ができないって、
お母さんはそう言って刺した長い物を引き抜いた。
えっ、どうしてって聞こうとしたけど、声が出ない。
そして意識も、だんだんと遠くなっていく………

―――私、これで死んじゃうのかな。
      これでやっと、あの方に会えるのかな。

もうお母さんが私を殺した理由なんてどうでもいい。
私はやっとあの方の所へ行けるのだから、これはこれでいい。

そして意識がなくなった時
私のすべての記憶が脳裏に流れては消え去っていった。
あの方のことや今までの思い出、私の中にあるすべての記憶が
何もかもが消え去っていった………
「君のために・・・」

僕は君のために、
身を張って、君を護る。
僕は君の血となり、身となる。
君とは一心同体。
君に降り注ぐ災難を、
僕が代わりに受け止めるよ。
君を悲しませないように………
君のその優しい微笑みが、消えないように………

だけど君には、
毎日のように悲しみと苦しみがやって来る。
君の優しい微笑み
日を追うごとに薄れていって、
一滴、また一滴と涙を落とした。

「ねぇ、お願い。
私を忘れて。
このままだとあなたの体がボロボロになってしまうわ」

君の手首には赤い切り傷の跡。
君はとても冷たい手をして、
あの時の暖かさをなくしていた。
そして気づく、
今までの僕の行為は、
けして君を助けてはいなかったんだと。
すべては自分の自己満足にすぎなくて、
そのために君をさらに不安にさせて、
悲しませていた。

いつの間にか僕は、
君を侵す毒となっていた。
僕は気を落とし、
君の前から姿を消した。
君に合わせる顔なんてもう、
僕から無くなってしまったから………

時は過ぎ−−−
君から一通のメールが届いた。

「もう一度、あなたに会いたいーーー」

携帯をすぐに閉じ、
もう一度僕は、君の目の前に立った。
君は前よりやせ細っていて、
腕の傷もさらにひどくなっていた。
僕は君を優しく抱きしめ、
涙が落ち、君の頬を流れて、
君の口から滴る血と混ざり合った。
君の目からも涙が流れて、
そして血と混ざり合った。

僕は君を助けることが出来なかった。。。

君の前から僕が消えたあと。
さらに追い討ちをかけるように
君へ悲しみと苦しみが襲ってきては、
誰にも助けてを求める事なく、
最後に一通
僕にメールを送って
一人寂しく、君は旅立ってしまった。

「もう一度、あなたに会いたい。
でもその時は、あなたに悲しみが来ないよう、
 死んであなたと逢うわ。
 私ってきっと、
 この世界のままでは、あなたと出会ってはいけなかったんだと思うから………
 大好きなあなたへ。
 幽霊になった私を怖がらないでね………」

雨が降り注ぐ。
僕は君を守るように、
強く抱き寄せて、
口と口。
君の血と僕の血を混ぜ合わせながら、
二度と離れ離れにならないよう
二度と君のもとへ災いがこないよう
茨生い茂る森の中へ
二人一つになって
深い眠りについた………

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