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アナタが作る物語コミュの【恋愛】作文

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働いてばかりの無口なお父さん。
朝早く出かけて夜中に帰ってくる。
日曜もゴルフで、ひとりきり。

お母さんは、遠い大きな病院に入院していて、ときどきお父さんに連れられて会いに行くけど、いつも寝ていて僕のことも見てくれない。

朝、目覚ましのベルを止めて目が覚める。
パジャマのままキッチンへドアを開けると、テーブルの上に冷めたトーストと目玉焼き、僕の嫌いなポテトサラダ。
冷蔵庫からかかとを上げて牛乳をぬきとって、僕の名前がプリントしてあるマグカップにそそいだ。

歯をみがくのは今日はお休みにしよう。

パンにピーナッツバターをたくさんぬって、手を合わせていただきます。

目玉焼きは食べにくいから嫌いだけど、お皿を持ち上げて口につけ、フォークで押さえてかじがじ噛んだ。

お母さんがいるときは、玉子焼きと温かいお味噌汁。

ポテトサラダはティッシュにくるんでこっそりすてた。

頑張ってきがえたら、鍵を首から下げてランドセルをしょって出発。

あっと、忘れちゃいけない今日のおこずかい。
下駄箱の空の花瓶に手をつっこんで、三百円だけ取り出すとポケットにしまった。

先生はとてもやさしいけど、なんか嫌いだ。

放課の時間は、配膳台を引っ張り出して、消しゴム落としをして遊んだ。
僕の消しゴムは最強だ。

今日は平和だったな、廊下に立たなかったし、残って硝子をふかされることもなかった。

下校の途中、スーパーマーケットのお菓子売り場で何を買おうか少し迷ったけど、けっきょくいつものラムネとキャラメルにした。

神社の中にある公園。
みんなといっしょに缶けりをして遊んだ。

あたりが暗くなってくると、みんなそれぞれ帰っていった。

ひとりになると、僕はジャングルジムのてっぺんへ登る。

灰色の空が赤くなるのを待つんだ。

赤くなった。

次は紺いろ。

一番星みーつけた。

つぎつぎと出てくる星たち、いままでどこにかくれていたの?

今日出た作文の宿題、夏休みにあったこと。

何を書こうかな、動物園も遊園地ももう使っちゃった。

お母さんといっしょにデパートへ出かける話はどうだろう。
レストランでごはんを食べて、ミルクセーキを飲む。
おもちゃ売り場で、お母さんの手にぶら下がって、機関車の模型をねだるんだ。


帰り道、どこの家にも灯りが光ってて、それを見るたびになんだか胸がくるしい。

夕ごはんはなににしよう、ハンバーグもエビフライも冷凍庫に入ってる、サランラップにつつまれた白いごはん。



お父さん、今日は早く帰ってこないかな……


おわり

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作品一覧【単発/完結】
 http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=39667160&comm_id=3656165

コメント(4)

ところで、分類は【恋愛】でいいんでしょうか?
>>[3]
 いえ。作者さんがベストですから、このままで。
 もしかしたら大きな意味での【恋愛】かも…と思いましたが、確認のためお訊ねしました。

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