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アナタが作る物語コミュの【ホラー・コメディ】吸血鬼ですが、何か?第1部復活編第9話

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食事を終えたマイケル・四郎衛門が食器をキッチンに持って行き洗おうとするので俺は慌ててそれを止めてバスルームへ案内した。
お湯の張り方やシャワーの使い方、ボディシャンプー、ヘアシャンプー、リンス、体を洗うためのスポンジなどの使い方の説明をした。
マイケル・四郎衛門はいちいち感心して自分が生きている時代から160年後のテクノロジーを褒め称えた。
凄い田舎からやってきたおじいちゃんみたいに無邪気に驚き喜ぶマイケル・四郎衛門に俺は好感を持った。
マイケル・四郎衛門はお湯を張りながらシャワーを浴びることにして、その間俺は自分の部屋に行きマイケル用の新しい服を用意した。
バスルームからマイケル・四郎衛門の鼻歌がかすかに聞こえてきた。
マイケル・四郎衛門が着ていた服は洗濯機に入れてスイッチを押し、俺はダイニングに戻ってきた。

真鈴が食後のコーヒーを飲んでいた。

「あのう、私の服はどこにあるの?
 そろそろ着替えたいんだけど…」
「そうだね、ごめんごめん。」

俺は真鈴の服と所持品を置いてあるゲストルームに案内した。
ベッドの上に彼女の服と所持品をきちんと並べてあるのを見て真鈴は安どの吐息を漏らした。

「どうやら、変な事はしていないようね…着替えるから出てって」

俺はダイニングに戻り今夜起きた様々な事を思い返しながらコーヒーを飲み、久し振りにタバコに火をつけた。
エコーシガーの煙を吐き出して虚空を見つめ、これからどうするのか、マイケル・四郎衛門が言っていたように悪鬼は現代社会でも蔓延っているのか真鈴から今夜の事が周りに知られるようなことがあるだろうか等々、色々な考えが浮かび、これからやらなければならない事が浮かび、どっと疲れた。

やがて真鈴が着替えてダイニングにやってきたが、いきなり俺の頭をげんこつで叩いた。

「いてて!何をするんだ!
 服や下着に変な事をしていないし真鈴のスマホや所持品には触らずにそのままにしていたぞ!」
「あんた!これ!」

真鈴はドレスを入れた大きな紙袋を掲げた。

「何よこれ!マイケルが言っていたようにヴィンテージの貴重なドレスなのによりによってホッチキスで胴の合わせだとかスカートのすそだとか止めてるじゃないの!
生地が傷んでしまったじゃない!」
「あああ、ごめん!ごめんなさい!
 ドレスの寸法が合わなかったから…」
「このバカ!」

真鈴はもう一度俺の頭をげんこつで叩いてからため息をついて椅子に座った。
テーブルに灰皿を見た真鈴はバッグからアイコスを取り出して吸った。

「タバコ、吸うんだね。」
「時々ね、こんな凄い事が起きたんだから吸わなきゃやってられないわよ。」
「その通りだね…」

マイケル・四郎衛門が風呂から上がりさっぱりした顔で髪をタオルで拭きながらダイニングに来た。
埃にまみれてボサボサの髪の毛だった貧相な顔つきだったマイケル・四郎衛門は風呂に入り血色が良くなり、黒髪をオールバックに撫で付けていて、見ようによってはハンサムな男に見えた。 

「いやぁ、良い時代になったな!さっぱりしたよ…おや、真鈴さんは服を着替えたのだな?それがこの時代の服か。
 なかなかエレガントで良いなぁ。」

マイケル・四郎衛門の言葉に真鈴は顔を赤らめてそんなぁと言った。
今までの言動仕草を見るとマイケル・四郎衛門はかなり洗練された紳士のようだ。
160年前頃は紳士はみなああだったのだろうか?
この時代でも洗練された仕草言動のマイケル・四郎衛門は女性にモテるんだろうな、と俺は少し羨ましくなった。

「彩斗君、ところでこの、われが着ている服だが…これは寝間着なのか?女性の前でこれはいささか失礼な感じが…」

マイケル・四郎衛門がユニクロのスウェットの上下を指さした。
俺と同じで身長が180センチくらいのマイケル・四郎衛門の体にサイズは合っているようだ。

「ああ、マイケルさん大丈夫ですよ、普通の部屋着として見られてますから。
 その格好で近所を出歩いても問題無いです。」
「そうか、それなら良いが…お、それはシガーかな?」
「そうですエコーシガーです。」
「私も一本頂いて良いかな?」
「どうぞどうぞ」

マイケル・四郎衛門が煙草を口にくわえ俺は火をつけてやった。

「食後で風呂上がりのシガーは良いなぁ、シガーと言うが私の頃より随分細く短くなったが。
 …あと、爪が伸びているので少し切りたいのだが…」

俺が爪切りを持ってくるとマイケル・四郎衛門すぐに使い方がわかったようでテーブルにティッシュを敷き、エレガントに爪を切り付属のやすりで形を整え始めた。
足の爪を切る仕草さえエレガントに見えた。

バスルームから洗濯を終えた事を告げるアラームが聞こえてきた。

「あっ洗濯が終わったみたいです。
 乾燥させるのでちょっと行ってきます。」

俺が洗い終わった服を乾燥機に入れようと洗濯機の蓋を開けるとマイケル・四郎衛門の服は破れ、千切れ、昔は良い仕立ての上等な服だったようだ今や布の残骸のようになっていた。

「…たたたた大変だ、マイケルさん!ちょっと来てください!」

マイケル・四郎衛門と真鈴がやってきて俺が手に持つマイケルの服の残骸を見て唖然とした。
固まる3人、しばらくしてマイケル・四郎衛門が苦笑いを浮かべた。

「やれやれ。棺の中とはいえ160年も経っているから仕方がないかもな…まぁまたコーヒーでも飲もう。」

俺たちはダイニングに戻りコーヒーを飲んだ。

「彩斗君、新しい服は作れるのかな?この時代に見合ったものが良いな。人前に出ても恥ずかしくない上等な服が良いのだが…あっそうだ。」

マイケル・四郎衛門は寝室に行き、しばらくしてから戻ってきた。

「どうやらしばらくここに厄介になるようだし洋服や食事のお金もかかるだろうから、これを受け取ってもらえるかな?
これなどはシャーロットミントコロネットヘッドの5ドル金貨、これはナポレオン5フラン銀貨、他にはニュルンベルグ6ダカット金貨などいろいろあるが…今も使えるのかは良く判らないのだが…」

そう言いながらマイケル・四郎衛門はテーブルに10枚ほどの金貨を置いた。
当たり前だが160年以上前の古い金貨だ。

「…すごい高そう…」

真鈴が消え入りそうな声で言い、俺はかくかくと顔を縦に振って同意した。

「ちょっと調べてもよいですか?」

俺はラップトップパソコンを開けて金貨を調べ始めた。

「ほう、その薄い板はそんな事も出来るのか、便利だな。」

関心するマイケルをよそに調べるとシャーロットミントコロネットヘッドの5ドル金貨は売値で40万円、ニュルンベルグ6ダカット金貨などはなんと売値だが1980万円もした。
どう考えても買取で半額と言う事は無いだろう。
そうなるとこの二枚を売るだけで1000万円にはなるだろう。

「これを現代のお金に換えれば何を揃えてもしばらく大丈夫かと…」
「足りなければまだまだあるぞ。」

マイケル・四郎衛門はそう言い、またタバコに火をつけてコーヒーを飲んだ。

「マイケルさん、どうしてこんな金貨を…」
「われが棺に入り長くなるかも知れん眠りに入る時の備えに棺に色々必要になりそうな物を入れておいたのだが…」
「ああ!それでか!」

俺は思わず声を上げてしまった。
実はあの棺が考えられないほど重かったのだ。
数百キロに及ぶ重い棺のせいで運送員が手作業で運べずマンションのベランダからピアノ運送業者が使うクレーンを使って搬入したのだ。

「彩斗君や真鈴さんに隠してもしょうがないからな、まぁ、見てみるか?」

マイケル・四郎衛門は立ち上がると寝室に向かい、俺と真鈴が付いて行った。
マイケル四郎衛門が棺の蓋の足元を探ると重そうな革製の袋が幾つかあり、その一つを真鈴が寝かされていたベッドに置くと中身をベッドの上にあけた。
夥しい数の金貨銀貨がジャラジャラとベッドに広がった。
数百枚はあるだろうか。
息をのんだ俺達を見てマイケル・四郎衛門はにやりとした。

「何を驚いている。
 この棺にはまだまだ色々な物が隠してある。」





続く






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