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アナタが作る物語コミュの【怖い話?】お手軽怪談その六『ガキ大将』一組/白川

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お手軽怪談その一『塩まじない』一組、香坂 はこちらから↓
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前作・お手軽怪談その5はこちらから↓
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 なーんか皆、小学生の時の思い出話みたいになってるなぁ。俺の話もそんななんだよね。しかも怖くない。ただ不思議体験ではあるかな。

 俺ってさ、中学から藻茶市にいてさ、それまで〇〇県の××市ってとこにすんでたんだ。しかも発展中のニュータウン。隣の△△市にあるでかいビジネス街のベッドタウンって言うのかな、ビジネス街で働く人達が暮らすための町として開発されてたんだ。開発は俺が物心つく前から既に始まっていて、当時俺達家族が暮らしていたマンションも、新築で抽選があったらしい。俺が保育園生や低学年の時には空き地や畑だった土地がどんどんCMに出てくる新築のお洒落な家やマンションに変わって行った。
 そりゃ、実際に暮らしていた人でさえ変化についていけなかったくらいだよ。夏にはカブトムシ探してた林がショッピングセンター予定地になって立ち入り禁止だの、抜け道が潰されて家が立つとかで学校に遅刻したり、町のイメージに合わないからって古い商店は立ち退き、古い民家は建て替えさせられたり。だから白い壁の新しい家ばっか立ち並んでんの。スーパーも業務用のとかじゃなくて『品質にこだわってます』的なちょっと高いとこしかないくらい。児童公園も遊具とかよりも有名な建築家の誰々が設計、みたいなオブジェに重点置いてあるしさ。
 そんなこんなで新しい家やマンションが建つに従って住民の数も増えて行った。新たに家を買うのは働き盛りの親世代で、当然の様に小学生や幼児の子供がいる訳でさ、学期毎にどっかのクラスに必ず転校生が入って来る訳さ。すげーよ? 実際、俺が入学した時は三十人学級だったのに、卒業する時には四十人学級になってた。三クラスだったから俺の学年は六年間で三十人転校生がいたって事だよな。とにかく、ニュータウンに家を構えるくらいだからそこそこ育ちの良い比較的に裕福な奴が多かったかな(もちろん一般的な範疇で)。

 あれは小五の七月だった。俺は下校途中に、空き地に子供が集まっているのを見付けたんだ。
 普段なら意識なんてしてないと思う、そんな空き地。帰り道だったけど、ずっと素通りしてた。立ち入り禁止で何も無い場所なのに子供が集まっているなんて初めて見たからさ、立ち止まって呆然と眺めちゃったよ。
 ざっと見、十人以上はいたかな。長縄跳びしてる女の子が四人、キャッチボールしてる男の子が二人、キャッキャ良いながら走り回ってる男の子と女の子が数人(動いてて数えるのがめんどい)、棒でラクガキしてる低学年くらいの子達、学年はバラバラっぽい。空地には一応は立ち入り禁止と書かれた看板は有るけど、柵とかはなくて子供でも簡単に出入りできそう。でも、良いのか、なんて思った。
 その真ん中にそいつはいた。背丈は当時の俺より少し高いくらいで体格は良い、と言っても太っている訳ではなく、ガッチリしているのに子供らしい丸みと言うかプクプクした感じを残した感じ。髪は坊主に近いくらいの短髪で後ろは寝癖で暴れてる。肉付きの良い顔には満足げな笑みを浮かべ、目はキラキラしている。服は簡素な白いティーシャツに膝上丈の半パン、足元は裸足に泥で汚れたズックを踵を踏んで履いている。昭和っぽい、一応二十一世紀だぜ? ニュータウンにはいないタイプの奴だったな。実際、学校でも見た事なかったし、転校生か、ガキっぽいだけで中学生かとも思ったよ。(同じ年か一つ上に見えたんだ、小学生には見えた)
 俺はそいつや周りで遊んでる子達を見てた。口をぽかーんと開けてさ、え? 何で? みたいな。何気に皆楽しそうだしな。
 遊んでいる子達の中には顔だけは知ってる子も何人かいた。皆育ちが良さそうでそんな昭和臭い奴と遊びそうな子はいなかった。その中に一人、同じクラスの奴がいた。竹元と言う奴で三年生か四年生の時に転校して来た奴だった。サラサラの髪をしていて、白とか水色のポロシャツとかカッターシャツにチノを合わせるようなお坊ちゃんぽい奴だった。特に真ん中の奴とは絶対に遊びそうにないタイプだ。
「何だよ、白川。君も一緒に遊びたいの?」
 ニコニコしながら竹元が話しかけて来る。
「そんな訳ねえじゃん。つーか、あの真ん中で威張ってる奴、誰?」
「タクちゃんだよ。タクヤ…いやタクロウだったかな」
 名前くらい覚えてろよ。とにかくタク何とか、故にタクちゃんなんだな。便宜上『タク』と呼ぶ。
「どうした、ユウキ?(竹元の下の名前だ) そいつも遊びたいのか?
 タクがこっちに歩み寄って来る。大きく感じたんだ。体が一回りデカイとかそんなんじゃなくて、雰囲気に威圧感がある。態度も当然デカイぜ。
「遊ばねえよ、ガキじゃあるまいし。そもそもここは立ち入り禁止だろ?」
 学年は俺より上っぽいのに漢字が読めないのか? 因みに、タクの横で立ち入り禁止って言葉を聞いた竹元は一瞬不安そうな顔をしてタクを見た。でもタクは余裕な笑みを浮かべてこんな事を言いやがる。
「だったらどうする? 先生か親にでもチクるのか?」
 そんな情けない事しねぇよ。そう言われたら尚更、だよな。
「こんな広場があって子供がいたら、遊ぶに決まってんだろ?」
 口元をニカっと歪ませて笑う。細い目を更に細めて、赤い頬は更に赤く染まる。嬉しそうな顔なんだ。ちょっとだけタクみたいに笑える奴の事が羨ましくなったよ。空き地で遊んでる子達は皆そんな楽しそうな嬉しそうな顔してんだもんよ。
「こらぁっ! 勝手に入ってはいかーん!」
 怒鳴り声の方を向くとおっさんが小走りに駆けて来る。
「やべぇ! 逃げるぞ!」
 タクの号令で子供達は空き地を飛び出して一目散に走り出した。俺も仲間だと思われて怒られたくないから逃げた。少しだけ走って後ろを振り向くと、おっさんは走り出した子供を見て、何だか満足そうに笑っていて、不思議な気分になった。

 翌日、学校で竹元に言ったよ。私有地に勝手に入って遊んじゃダメだ、お前らのせいで俺まで怒られる所だった、って。そしたら竹元、反省の色なし。
「何だよ、お前に関係ないだろ? そんなに言うならここで勝負して勝った方の言い分が正しいって事にしようぜ」
 とか意味不明な事を言いやがる。
「あほらしい、しねえよ」
「ステゴロならいつでも相手してやるよ」
 明るく笑いながら言いやがる。むしろステゴロとかどこで覚えた?
 そんな感じで、帰り道の空き地では竹元や他の子達がよく遊ぶようになった。たまにあのおっさんが怒鳴り散らして一目散に逃げる姿も見るようになった。
 それに平行するように竹元にも変化が起こった。それまではずっと、勉強もスポーツもできるけど真面目で面白くない奴、ルールをきちんと守る地味で目立たない良い子ちゃんだった竹元が、徐々に明るくなったんだ。休憩時間に皆で外遊びをする時は率先して何をするかを決めたり、バカ話をする時は輪の中心で高笑いしてたり、こうして夏休みが始まる頃にはすっかり人気者だ。
 夏休みが明けてからは更に変わった。日焼けして髪が短くなって、簡素なティーシャツやハーパンを着るようになって、まるで別人のだったさ。サッカーも始めたとかで地域のクラブチームにも入ったらしい。女子の間では夏休み中に行われたピアノコンクールで銀賞を取ったらしい。自信にみなぎった笑顔を輝かせて、一足先に大人の階段を上り始めた男がそこにいた。
 話は多少前後して、あの空き地とタクの事な。空き地は八月になってから工事が始まって、年明け頃にでかくて綺麗な家が建った。工事が始まると同時に子供は入れなくなった。それと同時に遊びの集まりもなくなって、タクも姿を見なくなったな。やっぱ学校の奴じゃなかったのかもな、なんて思った。

 それから三年経った今年の夏休み初日、俺は××市の元同級生に会いに戻った。俺が親父の転勤で町を離れたのが中学に上がるタイミングだったから、一年と四ヶ月振り、たったそれだけなのに町の様子は結構変わっててさ。見た事のないスイミングスクールとか、表面上だけ仲の良さそうな奥様達が集うカフェテラスとか出来てた。
 友達と思い出話に花を咲かせてるとこんな話題になった。
「そう言えば竹元さ、覚えてる? 小五の夏から急に活発になった奴。あいつ、小五からサッカー始めたのにジュニアユース入って、今スタメンだってさ。ピアノも市の中学生のコンクールで優勝したらしいよ。すげえ奴っているもんだよな」
 タクに会ってから変わったんだろうよ、とは言わなかった。
 翌日、藻茶市に戻って駅からの帰り道、空き地が目に入った。亡霊が出ると言う噂のお屋敷が取り壊されて更地になった場所だよ。来春頃にマンションに代わると看板が立っていて、当然のように立ち入り禁止とも書いてある…けど、柵とかはなくて出入り自由な感じ。それだけなら目にも止めなかったさ。あの時と同じように子供が集まって遊んでたんだ。小学生の群れの中に、タクを見付けた。三年前のままだった。服の色は違ったけど、簡素なティーシャツなの半パンで、髪型も表情も、背丈も体格もそのままだったから逆に小さく見えたよ。単に背が伸びてないとかそっくりな弟がいるとかそんなんじゃない。そのままなんだ。
「こらぁっ! 勝手に入って遊んじゃいかん!」
 おっさんの声が響く。あの日のおっさんだ。
「やべぇ! 逃げるぞ!」
 タクが言うと皆一斉な空き地から飛び出し、走り去ってしまう。あの日と同じじゃないか!
 多分、タクは遊べそうな広場や空き地がある所に現れる。そして子供達が集まる。集まった子供達は、何て言うのかな、逞しくなる…いや、違うな、良い意味で変わる? サッカーを始めてピアノも才能を伸ばした竹元みたいに。うーん…子供を子供らしく解放して、自由に伸ばしてやれる、そんな存在なんじゃないかな。あのおっさんは、だとしたら…タクの担当のお目付け役? 羽目を外し過ぎて悪い方にいかないように。
 そう言う事にしとこうぜ。

END

その他の作品はこちらから↓
【作品一覧【シリーズ/完結】】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=39667339&comm_id=3656165

コメント(16)

【誰得その一】
 白石修平 二年一組副学級委員。バドミントン部所属。十二月生まれやぎ座。
 最後の語り手。見た目は真面目そうだけど、口調はチャラさを意識した。香坂とは見た目は学級委員、中身は親父のコンビでクラスを仕切る、割りと縁の下の力持ち。
「一年かけてようやく終わったけど、俺たちの時間軸ではまだ30分くらいしか経ってないんだよね」
【誰得その二】
杉田「はい、お疲れ様です」
綾部「ようやく最終回ですね、長かった」
白石「だってヨシが中々書かないんだもんよ、スマホにしたら打つのがめんどいとか何とか」
児玉「もう一年近く経ってるよ、現実世界は」
上田「去年の八月中に終われば理想的とか言ってたよ」
香坂「それがこのザマ…」
綾部「まぁまぁ、気を取り直して、裏話進めよう」
一同「そうしなきゃやっていけない」
杉田「この話もヨシの体験談?」
白石「いや、友達から聞いた話をそれっぽくだとさ」
香坂「やっぱりネタ切れしてたのか」
綾部「あれだな、昭和が懐かしい系の話」
上田「もう20年くらい前から昭和が懐かしいって言われてるらしいよ?」
児玉「昭和時代には物心ついてなかったヨシが言っても説得力がないと言う罠」
杉田「やっぱ無理があったんです、ニュータウンに住んだ事ないのに偏見と妄想でニュータウンの描写するから」
香坂「気を取り直ししましょう。白石君はタクを妖精的なものと解釈してるの?」
白石「まぁ、そうなるかな。気まぐれに幸運をもたらす座敷童子的な」
綾部「ずっと年を取らない的な噂は魔法占い師と被るよね。あの人は特に他人を幸せにも不幸にもしてないけど」
上田「それはそうと、ヨシは魔法占い師のモデルとなった人の家に無断で上がり込んだのかと言う疑惑が!」
綾部「それがね、魔法占い師のモデルになった人ね、どこの誰かを特定されたらこまるだろうって色々設定を変えてたら、全くの別人になったって。ボロい小屋にも住んでないって。ちょっとした地元の有名人の落とし物を届けたら普通に綺麗な家に上げて貰ってお茶飲んだって」
白石「それがどうやったらあの話になるんじゃ、ボケーっ!」
綾部「知るかーっ!」
杉田「不法侵入系と云えば立ち入り禁止の場所にはいるお札の家も…」
児玉「お札の家はヨシの地元からそう遠くない場所にあると言われています」
児玉「ちなみにヨシは友人とドライブがてら入ろうとして、チェーン越えようとしたら野犬に追いかけられてやめたそうです」
白石「何やってんの、あのおっさん!」
綾部「未遂はあった…」
児玉「後はネット上で集めた情報に不審な動く人影をプラスして出来上がり」
香坂「塩まじないもネット上での注意事項を元にしてるよ。火に注意してとか、塩のせいで配水管が錆びやすくなるとか。安価な水に溶ける紙を使用するとか。塩の指定もないけど、中には××じゃなきゃ効果ない、ペンは何色で、みたいに必死になってる人をネット上で見て思い付いてるみたい」
上田「塩まじない効果ないじゃん。ヨシは未だに貧乏と縁を切れてないよ?」
綾部「結構悲しいね」
白石「それはそうと、何で俺達、文化祭の話し合いを学級委員だけでしてるんだ?」
児玉「そう言えば…普通は祭事実行委員とかがするよな」
杉田「実行委員があれやこれや決めて、学級委員がそれを伝えるはすだよね」
上田「きっと忘れてたんだよ」
綾部「ヨシの中学、高校時代は、委員会の任期は半年、四月から十月の前期、十月から三月の後期に別れる。五月に体育祭、十月中頃に文化祭が有って、委員会の任期が切り替わるのは文化祭の翌週から。ヨシが(じゃんけんで負けて)学級委員だったのは後期だったから知らなかったらしい」
白石「言い訳じゃん!」
綾部「この学校には祭事実行委員はないと言う設定で押し通すらしい」
白石「何から何までヨシの都合か!」
杉田「まぁ、そうなりますね。あ、そろそろ高校の先輩達が来るから片付けなきゃ!」(中高一貫校の設定です)
児玉「遊んでたのがバレたら雷が落ちるー!」
【バタバタ、ガサガサ】
先輩「おう、まとまってる?」
杉田「はい、それはもう」(まとめたファイルを渡しながら)
先輩「じゃ、解散して良いよ」
一同「お疲れっしたぁ!」

 読んで下さった方々、ありがとうございます。これにておしまいでございます。
(((;´∀`)しまった…最後の語り手の名前、白石じゃなくて白川だった…
>>[7]
 コメント欄は直せませんが、タイトルなら修正可能です。(副管理人の特権)
 お直ししますか? 白石→白川

 本文中も直せますが、本文はちゃんと白川になってる、で間違いないでしょうか。わーい(嬉しい顔)
>>[8]

 白川で修正お願いします。
(((;´∀`)申し訳ないです!
>>[9]
 修正と目次作業を終了しました〜。わーい(嬉しい顔)
 で、気づいたんですが(気づくの遅い)最終話って事は完結って事で。
 シリーズの完結っていう目次に移行しなくてはならないのでしょうか?
 オマケがつきそうな気配はありますか?
まさに「お手軽怪談」ですね。
きちんとホラーのテイストもありつつ、気軽に読める作品というのは珍しいです。
この手の作風は割と好みですよ☆
一人称語りは自分もよくやるので非常に読みやすかったです。

時系列が逆さになるかもですが、過去の作品も少しずつ読ませていただきます。
なんだか気になりますのでね☆
>>[10]

(((*´∀`)多分ないです。

>>[11] 藍沢さん

(((*´∀`)ありがとうございます。書く方としては難航してあまりお手軽ではありませんでしたが、楽しんでいただけて嬉しいです。
>>[13]
 オマケ無しという事でなるべく早めに目次移動します。
「その他はこちら↓」も書き換えないといけないので、少々お待ちくださいね〜。
 まとまった時間を作らないと・・・。あせあせ(飛び散る汗)
>>[13]
 あ、もちろんオマケがうかんだら遠慮なくUPを。
>>[13]
 目次作業とその他の作品はこちら、終了しました。
 遅くなってごめんなさい〜。

 お詫びじゃないけど新作UPしました〜。

 まとめて感想。
 お手軽怪談というオブラートで、子供時代へのノスタルジーをくるんで。
 子供時代っていろいろと怪談ですよね。わーい(嬉しい顔)
 ほっかりぬくぬくさせていただきました〜。

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