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アナタが作る物語コミュの【怖い話?】お手軽怪談その五『夢から出た男』三組/杉田

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前作・お手軽怪談その4はこちらから↓
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 最初にその夢を見たのは小学四年生の秋でした。
 夢の中で私は家の前の通りを歩いていました。いつもの学校からの帰り道の夢です。空は薄曇りで湿った風が生暖かい帰り道です。
 家まであと数歩と言う所でした。視界の向こう側、私と向かい合うように男が歩いて来ました。
 年齢は分かりません。若いようにも見えますし、おじさんのようにも見えます。痩せていて、大人としては背が低いと思いましたが、小学生だった私から見るとやはり大きく見えます。顔はやや縦長な逆三角形で頬骨が高く、唇が薄く、目は細く、頭はスキンヘッドです。服装はよれよれの灰色の上着に、丈が足りないのか元から七分くらいのデザインなのかよく分からないスラックスで、足元は裸足にスリッパでした。
 私はその男は空き巣狙いに違いないと思いました。足元がスリッパだけなのは他人の家に上がる時に脱ぎ易いからだと思い込んでしまいました。今から考えるとバカらしいのですが、まだ十歳だった私はそう思い込んで固まってしまったのです。動けません。男から目が離せなくなりました。
 男はそのまま私の方へ歩いて来て、横を通り過ぎようとしました。いいえ、通り過ぎずに真横でぴたりと止まったのです。私は前を向いたまま固まっていたので、その時、男が真横で止まったと言う事しか知りません。よせば良いものを私はゆっくりと首の向きを変え、男の方を見てしまったのです。
 目が合いました。男の体は私と反対方向に向いたまま止まっているので私から見ると後ろを向いているはずです。つまり、男は私の方に首を向けていたのです。私を見ていたのです。無表情をベースに眉間にだけ皺を寄せた顔、と言えば分かるでしょうか。とにかく、その表情で私に視線を向けていました。怖くて叫びたかったのですが、声も出ません。ただ虚しく『う…』とか『あ…』が喉まで出かかっては引っ込んで行くのです。そのまま私達は見つめ合いました。

 しばらく目の前が真っ暗になったと思ったら、私は大量の寝汗をかいて目覚めました。秋で肌寒くなっていたので母が厚めの掛け布団を入れてくれたのが裏目に出たと言う事にしました。あんな夢は早く忘れよう、そう考えました。
 でも現実世界は忘れさせてはくれないようでした。
 夢から覚めて一週間、私は日常生活を送っていました(学校に行き、友達と遊んだり、塾に行ったり、家族とも普通に話してました)。忘れたと思った時に、頭の中に夢の記憶が再生されました。夢に出た不気味な男を見てしまいました。
 男は服はヨレヨレの茶色いシャツでしたが、寸足らずのスラックスも裸足にスリッパも、スキンヘッドに細い目も、痩せぎすな体も夢と一緒でした。ちょうど薄曇りで生暖かな風が吹いている下校時間、家まで数メートルの距離も同じでした。
 私は男を見て、夢を思い出した瞬間、その場で固まってしまいました。
 男は道路の私と同じ側を歩いています。今から冷静に考えると私は家に入るために道路の左側を歩いてましたが、男から見ると自分は右側を歩いていて、法律的には私が間違っているんですね(こんな事でお巡りさんに止められた事はありませんが)。でも私は、何故同じ側を歩いて私と近い距離ですれ違おうとするのか分からずにいました。
 夢と同様に男は私に近付きます。この時、意外としっかりした足取りだなと思いました。アスファルトを踏みしめながら男は私と私の右側を通り…過ぎませんでした。そのまま止まったのです。私はその瞬間に男の方へ首を振りました。男は夢と同じ無表情に眉間にだけ皺を寄せた顔を私に向けました。目が合いました。
 男は夢と舌打ちすると前を向いて何も言わすに歩き出しました。私も顔を前に向けて、段々と遠ざかる足音を聞いていました。
 その時はそれだけで終わりです。

 ええ、もちろん続きも有りますよ。話の初めに最初にその夢を見たのはって言いましたからね。
 それから私は毎年、九月の終わり頃になるとその男の夢を見るようになりました。男は大人で、老化だってそこまで早くは進まないでしょうが、私は子供なので体は年々大きくなります。なので年々、男との身長差は縮んで行きました。今年は同じくらいの背丈になっているでしょう。
 夢を見るだけではありません。男は夢を見た数日後に必ず下校中の私とすれ違うようになりました。
 今年で五回目になるでしょう、その男と会うのは。どんなに身長差が縮まろうと、横幅は私の方が大きかろうと、あの鋭い目付きと不気味さが怖いのは変わりません。

 オチ、と言う訳では有りませんが、夢とは起きている時に現実世界で体験したか考えたかした事しか見ないと言います。知らない人が夢に出たとしても、それは無意識の内に視界に入って脳が記憶しながらも、現実世界では思い出す必要のない人だと聞きました。おそらく私は毎年、九月の終わり頃にはその男とすれ違っていたはずなのです。
 何故その男が九月の終わりの私の下校時間にその通りを歩くのか、そんなのはあちらさんの勝手ですよね。

END

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【作品一覧【シリーズ/完結】】
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コメント(5)

誰得その一

 杉田香歩
 三年三組委員長。茶道部所属。四月生まれの牡牛座。
 やや大柄(背が高い方でぽっちゃり)、色黒でショートヘアだけど意外とお嬢様育ちで厳しくしつけられた。割りと抜け目なくしっかり者でありながらも思いやりもある、一番委員長っぽい人。
「今回はボケ要員が多い上に、ヨシが登場人物の雑談を仕込んだせいで突っ込みがきついです」
 さーせん。
白川「結局近所のあんまり交流がない人だったと言うオチ…」
香坂「自分から言うのが杉田さんクオリティ!」
杉田「このギャグコーナーで白川君に指摘されて、上田君や香坂さんのボケで潰されたくなかったから」
上田「潰された…俺の出番が…」
綾部「これって、ヨシの子供の頃に見た夢が元でしょ? その数日後に夢に出たおじさんと実際にすれ違ったって言う」
児玉「今までのこのお手軽怪談は、塩まじない以外は全部ヨシの実体験の脚色だよ」
上田「綾部やヒデが語った不法侵入系の話もどこからが脚色か分からないと言う恐怖」
白川「タダシが話したの、名前を変えただけで脚色なしだろ」
綾部「結構トラウマ持ってるよねぇ」
児玉「ヨシの場合はウマシカだけどな」
杉田「まぁまぁ、児玉君。それはそうと、今回は割りと早くアップ出来ましたね」
綾部「病院の待ち合いの時間を利用して書いたらしいよ。何でも風邪と結膜炎を併発して、内科と眼科をハシゴしたって」
上田「やれば出来るじゃん」
白石「いや、むしろ普段どんだけ空き時間でだららけてるんだって事だな」
香坂「むしゃむしゃ…(頷きながらスルメを噛んでいる)」
綾部「じゃ、今度から早く書くための裏技として、病気になって予約なしで診察受けるって事で」
白川「で、次でラストで俺の番だけど」
上田「もしゃもしゃ…(スルメを噛みながら首をかしげる)」
白川「何かオチは用意してないわけ?」
綾部「高校生の委員が現れてまとめた案を渡すけど、遊んでたのがバレて怒られる」
児玉「予想の範疇かい」
香坂「仕方ないよ、ノリで始めた話なんだし」
杉田「百物語的な事は起こらないんですね」
白川「起きてたまるか!」
上田「むしろ起こせ!」
児玉「いや、起こせって、自分でやれよせめて」
杉田「それもどう?」

 では、最終話に続く…のか…?
目次作業終了しました〜。

ウサ子の義妹が主人公のスピンオフはOKですよ〜。これが終わったらぜひね。ウインク
ウサ子が行く大学は日本にするかアメリカにするか決めてないから、そこはぼかしてね。
多分アメリカ。マイノリティー(有色人種で留学生)専用の返金不要の奨学金を使う。かもしれない。わーい(嬉しい顔)

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