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俺と伝説のニーランチャーコミュの157

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157

城の大広間は見たこともないようなバカでかい会議場に改造されていた。
会議場の入り口には虍の隊員が立ち並び警備に立っている。
見回すといつも閑散としている城中が虍によって警備されていた。
警備隊長は当然ヒゲだ。
そのヒゲの前でカラバ大王が立ち止まると

「ご助力かたじけない。」

と声をかけた。
ヒゲは最敬礼をして応えた。
会議場には長机が丸く向き合うように並べてあって、一つだけは少し前に飛び出しておいてある。
見るからに議長の席だが、意外にもそこに座ったのはダムセと見知らぬ老人だった。
会議前からその二人は積極的に意見を戦わせている。
気がつくと、カラバ城にかかっていた言語を翻訳してしまう「まじない」が解けていた。
俺は議場の中心から多少それたところに他のRSSSのメンバーと一緒に並んで座った。
横には久々にギャルメイク復活かと思うほど強烈なアイメイクをして七美が座っていた。
髪が金色になっている。

「ブリーチ?」
「ちょっと冬休みだから昔の友達と会ったのよ。」

白いドレスはどこから出てきたのか分からないが、恐らく城にあったものだろう。
その横に樋口がピンクのターバンと黄色い絹のシャツ、紫の長衣という出で立ちで座る。
マイアーは仕立てのよさそうなスーツを着て、その横にはレンツォが珍しくスーツを着ているが、首になんかネクタイの親戚みたいなのを巻いている。
樋口に尋ねるとアスコットタイというものだと教えてくれた。
ヨーエルは耳まで覆うニットキャップをかぶっているがやはりスーツを着ている。
カラバ大王はもはや言う事がないぐらい「大王な」服を着ていた。
ハンはいつもの足が出ているドレスではなく、別の黒いドレスを探して着ているようだ。

「篠宮は?来ないの?」
「お前のところは夫婦だろ?」

なんだかよく分からないが、まあそういうことなんだろう。
会議には俺の知らない人間がたくさん来ていたが、中にはニュースで見たことがある人も混じっていた。
樋口の話だと主にフランス語と英語が使われていたそうだが、俺は「ピーポー」しか聞き取れなかった。
しばらく、そうした話し合いが続くと拍手が沸き起こり、カラバ大王が最初からダムセが連れてきていた人の内の一人に、見たこともない大きさの宝石を箱から取り出して箱に戻すと、今度はその箱ごと渡した。
さらに金の延べ棒を取り出して渡す。
渡された相手はカラバ大王とガッチリと握手をする。
カメラのフラッシュが光り、カラバ大王は演説をはじめた・・・がカラバ語ともいえる言語だった為、何を言っているか全く分からず、ダムセのフランス語での同時通訳ですらさっぱり分からなかった。
とにかく大切な会議なんだという事は分かったが、何の話し合いをしているかさっぱり分からず、七美は襲い掛かる睡魔と必死で戦っている。

「ねえ、これ全体的に何やってるの?」

小声で樋口に尋ねる。

「『カラバ帝国』を作るんだよ。夏休みの宿題張りの突貫工事でな。」
「どういうこと?」

樋口は周りをみながら小声で説明してくれた。

「エチオピア政府からダナキル砂漠っていう低地の一部を『購入』したんだ・・・だいぶ狭いけどな。そこを国土、後はカラバ大王自身を国民にして、立憲国家を作るんだ。」
「はぁ。」

会議は結構な長さで続いた。
それから先は樋口が気を利かせて何をやっているか教えてくれた。
エチオピアとアフリカの幾つかの国を後ろ盾にして国家をでっち上げると、今度は同盟国を募り始めた。
聞いた事もないマイナーな国ばかりがどんどん名乗りをあげていく。
樋口ですらカタカナ表記や日本語での国名を思い出せないで何度か悩んだ。
時には「いや、俺、本当に知らない。この国!」と言ってダムセのフランス語の発音を繰り返すだけの事や、強引に日本語になおして国名を捏造する事もあった。

「あの国は俺も分かる。」
「あー出てきたな。」

俺に土地を売ってくれた国の元首その人が調印した。
実は少し複雑な気分だった。

「樋口、実際どうなのよ?」

樋口は難しい顔をした。

「俺は日本の外に長い間いたから分かるけど、日本だって海外では結構な言われ方をしているよ。エチオピアだって本当はもっとソマリアに近い地域を割譲してくれようとしたんだけど、民族紛争があって出来なかったみたいだし、対外的にも中でも何もかもがクリーンに行なわれている国家なんて・・・あそこぐらいしかないよ。」

樋口が指差したのは世界で一番面積の狭い国だった。
カラバ帝国はその国よりもちょっとだけ面積が広い。

「カラバ帝国と同盟を組んだ国は、それなりにリスクを背負っているんだ。カラバ帝国が事実上のRSSSであることは、『安保理』やその周辺の連中にとってはすぐ分かることだしね。」
「だろうな。」

樋口は上着を脱いで椅子にかけながら続けた。

「安保理の当面の目的である5大国支配の邪魔になるのは間違いないんだ。」
「なんだっけそれ?」

樋口はため息をつくと。

「・・・まあ、お前は今を懸命に生きることに集中しろ。」

といって椅子に深く腰掛けた。
横を見ると七美が舟をこいでいて、マイアーの横のレンツォは小さくいびきをかいていた。

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