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俺と伝説のニーランチャーコミュの143

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143

廃屋の修理が(樋口の手で)終わりかけたころ、RSSSには新しい問題が持ち込まれた。

「・・・ということで、結果的に安保理によって3回目の内政干渉を受けているという事です。」

ダムセさんが手製の書類を作って配っている。

場所は中南米。
元々、古臭い帝政の財政的に豊かな国ではなく、政情が不安定だった為、他国のてこ入れによって、旧政権から事実上のクーデターを起こしたのが一回目の内政干渉。
次にクーデターの混乱からやはりてこ入れで選挙が行なわれ大統領が就任したのが二回目の内政干渉。
無理な政権改造がたたって、政情はさらに不安定になり、不信任決議→再選挙の流れになっているのが現在で、安保理はその選挙に介入しようとしている。

「これって凄いインフレになってるところだよね?」

樋口は先ほどまで未来の志村家の為に突貫工事をしていたので、軍手とヘルメットを足元に置いた状態で円卓についている。

「はい、そのとおりです。国際的な観点から言って、次の選挙で迂闊な人間が当選すれば、民主化、近代化の為に安保理が払った努力は全て水の泡です。」

一同が黙り込んだ。
ダムセはその顔を一通り見回し、話を続ける。

「RSSS(民族自決支援事業)にはUA(アフリカ連合)を通じて、王族の末裔からコンタクトがありました。」
「UAがかむの?」

ヨーエルがたずねる。
ダムセは否定した。

「UAは私のアドレスを教えた程度です。話によれば王族は軍事政権の復興を望んでいます。」
「あれ?そうなの?」

ダムセは頷いた。

「近隣諸国との紛争が絶えなかった時期があり、国民は未だに国軍へ強い信頼を寄せています。また、チャベス元将軍は貧民層から立身出世をした偉人で、国民の大多数がチャベス大統領の就任を望んでいます。」

ケットシーが口を開く。

「チャベス元将軍はどう考えていますか?」

ダムセは分厚い資料に目を落としながら応えた。

「チャベス元将軍は政治に参加するつもりはなかったようですが、今の調子で行けば選挙に担ぎ出されると見て間違いないでしょう。王族が説得を開始しているそうです。チャベス将軍は手元にある資料では立憲民主主義者で国際政治にも非常に明るい人だそうです。問題は・・・」
「問題は?」

マイアーが片眉をあげた。
多分寝ている。

「軍人、元軍人にチャベス将軍の後任が勤められるような人物がいないようです。もし、チャベス将軍が任期を終えた後の選挙で再度軍民が当選するような事態になったらコトです。」

樋口が唸る。

「チャベスの任期中に、後継者を育てないといけないわけか?」

ダムセが頷いた。

「安保理はそのリスクを恐れて、チャベスを排除し、安保理によって用意された人間を首相に据えようと考えています。そのための人心操作が既に始まっています。上手く行けば今年の夏までには傀儡政権が誕生するでしょう。」

ヨーエルが立ち上がった。

「・・・俺たちの仕事は、チャベス将軍を立派な独裁者に仕立て上げる事か。」

ダムセがどっちつかずな顔をする。

「いや、その前にもっと重要なことが。」

俺たちは声を合わせた。

「何?」

ダムセは咳払いすると「重要なこと」を白状した。

「チャベス元将軍を暗殺から守る事です。」

ハンが大きな「ため息」をつくと、机の真ん中で直撃を食らったケットシーが身じろぎした。

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