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俺と伝説のニーランチャーコミュの087

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087

その日は河川敷へ行く事にした。
高校3年生になってから、あまり河川敷へ来る事も無くなった。
折れた松葉杖の替わりに、義足を履いてきたら妙に重かった。
師匠が1速で走ってきた。

「馬鹿弟子が何をしとるんじゃ。早う走るなら走れ。体を動かさんかい。そんなことじゃからケンカなんぞするんじゃ。」

立ち止まった師匠に、ため息をついて俺は答えた。

「もうみんなが俺は『走れない』って知ってるんですよ。軽快に走ると怪しまれます。」
「まあ、そうじゃな。」

師匠はそう答えると、背を向けて走り去った。
俺は小さくなっていく背中をぼうっと眺めた。
そして、ただならぬ気配を感じていた。
河川敷には明らかに見慣れない人間が何人かいた。
師匠も当然気づいている。
携帯電話が鳴った。
樋口からメールだ。
見てみると

『そういうこった』

と入っていた。
監視されているのを感じながら俺は踵を返して来た道を戻った。
何かを仕掛けてくる気配は無いようだ。
家へ帰る途中も誰かついてくる様子は無かった。
しかし、帰り道に何人も見知らぬ人間がいた。
どうも、恐ろしい人数で俺を見張り始めたようだ。
きっと師匠もだろう。
樋口が一声かけてくれなかったら、確実に鋼鉄の膝蹴りをかましていた。

「こりゃー、明日から義足だな。」

片足でもそこらの相手に引けを取るつもりはないが、義足があればいつでも超ド級の膝をぶち込める。
結局、河川敷にはちょっと立ち寄っただけで家に戻ってきてしまった。

「ただいま。」

家に変えると聞きなれないカシャカシャという音が聞こえてくる。
リビングの方だ。

「なにやってんの?」
「ゲーム!」

七美がなにやら新しいゲームを持ち込んでいた。
いつもは見ない、ごついレバーのコントローラーも持っている。

「何?そのゲーム・・・とレバー?」

七美は全くこちらを振り返らずに

「友達が貸してくれたの!」

と言って、必死の形相だった。
画面の中では長身の黒人と白ヒゲの老人が殴り合っている。
格闘ゲームと言う奴だ。
長身の黒人のキャラクターがどうも七美のようだが、負けている。

「・・・あーダメだぁ、勝てない。」

ゲーム機に負けている。
ふてくされて、コントローラーを操作すると、見慣れない言葉が沢山羅列されていた。

「何、その画面?」

七美はやっと振り返ると

「これで、どんな技をどういう風に出すのかが分かるのよ。」
「へー」

俺は七美の横に座ると、その画面を一緒に見ていた。

「あれ?」
「どうしたの?」

七美の横で妙なものを発見して「あれ」といってしまった。

「なにそのニーランチャーって奴?」
「知らない、一回出してみようか?」

七美が動かないで突っ立っている相手に、その技を出してくれた。
鋭い膝蹴りが当たると相手が宙高くかっとんだ。

「人間ってこんなに高く浮くか?」
「ゲームだからよ。浮いたところにカッコよく技を当てるのが面白いのよ。」

七美はそう言いながら、そのニーランチャーで浮き上がった相手が落ちてくるところへローキックを当てた。

「どう!凄いでしょ!」
「うん、凄いね。」

俺は、何がどう凄いのかわからなかったが、七美に同意しておく事にした。
七美は褒められたと思って「えへへー」と笑っている。

「俺ちょっと出かけてくるわ。」
「あれ?また?」

俺は「うん、すぐ戻る。」と言い残して家を出た。

http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=34844045&comm_id=3641323

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