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岩田ゼミA斑コミュの2章

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2章 Tカード

1節 Tカードとは

Tカードは1章で述べたように、株式会社Tカード&マーケティングが管理・運営する新しい形態のポイントカードである。Tカードのティー(T)とは、TSUTAYAの頭文字であり、サービス開始当初は図表1のようにTSUTAYAのレンタル会員証であった。レンタルの際にカードを提示するとTYUTAYAで利用できるポイント(Tポイント)が付与される。
 2006年10月、初のTポイント
アライアンス 企業として、全国にカメラのキタムラを展開する株式会社キタムラ(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長 武川 泉、以下キタムラ)と提携し、キタムラのポイントプログラムを全て「Tポイントプログラム」に移行した。
これを皮切りに、Tカードは1業種1社を原則として提携企業を順次増やし、現在、提携企業43社、店舗数29,000と異業種を巻き込んだ共通ポイントカードに発展した。その提携先に参加している企業は、カメラのキタムラをはじめ、ブックオフ、ENEOS、ワーナー・マイカル・シネマズ、ガスト、ニッポンレンタカーなど、若者に人気のある業種や企業が多い。カードデザインは図2のように、Tカードのロゴと、カード発行企業のロゴが入る。また、クレジット機能付きにすることもできる。Tポイントは提携先によってポイント率・交換率が違うが、ほとんどの企業が100円につき1ポイント付与・1ポイント1円還元である。ポイントの有効期限は、ポイントの変動があった日(ポイントが貯まったり、ポイントを使ったりした日)から1年間となっている。提携先でカードを発行する場合、申込用紙の記入だけで、カード発行料・年会費等は無料である。また、TSUTAYA店頭へこのカードと本人確認書類を持参の上、申込用紙を記入し入会金と1年分の商品保障料を支払うことによって、そのカードで1年間レンタルサービスを受けることもできるようになる。
提携企業はTポイントを「貯める」「貯める・使う」「交換する」の3種類に分かれており、それぞれ異なるサービスを受けることが出来る。(図表3参照)

図表 3 Tポイントの加盟店(週刊ダイヤモンド 2008.7.12 P34より)

Tカードの会員数は2008年6月末現在2,925万人であり、日本人口の22.9%を占めている。特徴としては、男女比がほぼ5:5であり、20代・30代といった若年層の割合が高いことである。(図表4参照)
図表 4 T会員数(T CT CARD&MARKETING CO., Ltd. All Rights Reservedより)

2節 Tカードの強み
 
 企業がポイント制度を導入する目的は、自社の顧客ロイヤルティ を高め、固定客を増やし、次回以降の来店頻度や購入額を高めることである。しかし、多くの企業がポイント制度を導入するようになった現在では、単にポイントを付与するだけでは他社との差別化が困難な環境になっており、ポイント制度を挿入してもかつてほどの顧客囲い込み効果は期待できなくなってしまっている。そんな成熟しているポイントカード市場において、Tカードは年々会員数を増やしその規模を拡大している。他社には見られないTカード独自の強みとは、消費者と企業の両社の目線に立ち、どちらにもメリットがある画期的な仕組みになっているということである。

1)消費者にとっての利点
ポイントカードには「ポイントがなかなか貯まらない」「お店ごとにカードがあるため枚数が増えてかさばる」などといった不満が挙げられている。そもそも上記で述べたように、ポイントカードとは固定客を増やし、次回来店を促進し、さらに新規顧客を獲得するための企業目線における経営戦略である。よって、ポイントカードは企業(お店)ごとに異なり、ポイント付与率や還元率、サービスなどもさまざまである。しかし、Tカードであればこれらの不満を解消することが可能であると言える。Tポイント加盟店であれば、Tカード1枚で済むので、財布の中に何枚もあるポイントカードを統合することができる。コンビニやスーパーでは購入金額が低いためポイント付与率は低いが、毎日少しずつ貯めることができる。一方、紳士服店などは、来店頻度は低いが購入金額が高いため、ポイント付与率は高い。このように、「毎日行くが、ポイントはなかなか貯まらない」「あまり行かないお店なのでポイントはなかなか貯まらない」といった不満は、一枚のTカードに統一することによって、来店頻度や利用金額の組み合わせが自由に行えるようになり解消するのである。Tカードの今後の目標は異業種ばかりを100社集めるということである。そうなると、従来ならば100枚持たなければならなかったポイントカードを、たった1枚で済ませることができるようになり、消費者にとってはありがたいことである。めったに行かない店のポイントカードやなかなか貯まらないポイントカードなど財布の中にはあらゆるカードが存在するが、Tカードはそれらを共通して使うため使用者には便利である。それこそがTカードの特徴であり、強みである。

2)企業にとっての利点
 現在43社の提携企業を持つTカードであるが、もちろん提携企業にも十分なメリットがある。
?コストの軽減
Tポイントの原資はポイント発行企業(提携先)が負担する。また、システム料金として利用金額に応じた金額を提携企業はTカード&マーケティングに支払う。同社はこのシステム利用料金を運営資金として活用している。このシステムは、提携企業にとってメリットが大きい。なぜなら、通常企業が独自にポイントプログラムを運営する場合、ポイント引当金 が必要になる。自社のポイントが普及浸透して利用率が高まれば、当然引当金も増大する。また、自社カードを通じて独自にポイントを提供することになれば、カード発行費や端末導入費、メンテナンスなど膨大なコストを負担しなければならない。その点、Tポイントプログラムはシステム料金を支払えば、それらのコスト負担は気にせずに済む。(図表5参照)

図表 5


?情報精度の高さ
Tカード&マーケティング社はマーケティングレポート をアライアンス企業に定期的に提供している。TSUTAYA はレンタルショップであり、貸したビデオやCDは回収しなければならない。そのために会員証であるTカードを発行する際、身分証明書(パスポート、運転免許証、健康保険証など)が必要であることは1節で先述した。これにより、住所、年齢、性別などの個人情報を確実に入手することができる。しかもTSUTAYAの会員証の有効期限は1年であるため、更新手続きをしなければ会員資格がなくなってしまう。つまりTSUTAYA には正確な個人情報が定期的に更新されるのである。この詳細な顧客情報や市場分析データが定期的に入手できることは、提携企業にとって大きなメリットとなる。T会員の割合が多い20、30代をターゲットとした若者向けの企業であればもちろん、カメラ販売店であれば中高年層、スーパーマーケットであれば主婦層が多いなど、自社の顧客情報を分析するだけでは分からない顧客や市場の動きを把握することが可能である。このように、Tポイントのもう一つの強みは個人の購買服歴が分かることであり、提携企業のPOSデータ を組み合わせることによって他社では真似できない情報網を作り上げることができる。


3節 課題
  Tカードは、従来の企業ごとに発行するポイントカードに対する不満を解消し、提携先を増やすことでさまざまなライフシーンで使用できるといった今までにないシステムを作り上げ、その利便性から会員数を急速に伸ばしてきた。成功の一途を辿るTカードであるが、今後その会員数を維持していくため、また新規顧客を増やすにあたってどのようなことが課題として挙げられるのだろうか。
 まずは認知度を上げることである。TカードはTSUTAYAをよく利用する人や情報収集の早い若者には浸透している。しかし、現在、オンラインでさまざまな音楽や映像が入手できるため、店舗に足を運んでレンタルをする人は少なくなってきている。特にシニア層の来店は少ない。Tカードのターゲットは若者が中心であるが、今後、顧客層の拡大をするには中高年層への販促も視野に入れなければならない。また、「Tカードは持っているが使い方が分からない」、「どのような加盟店があり、どのようなサービスを受けられるのか分らない」といった顧客にTカードの存在やサービスの内容を具体的に知らせ、使用率を上げる必要があると言える。約3,000万人の会員の中でもカードを使用していない人たちに呼びかけることによって更なるTカードの発展につながる。また、新たな顧客層を獲得するためにも認知度を今以上に上げることは重要である。現在、提携先の店舗では店員に対し、会計の際のTカードの掲示の呼びかけを義務付けている。しかし現状を見るときちんと義務付けられていない傾向にある。
 そして、各アライアンス間での相互送客サービスを充実させることも課題として挙げられる。いくらポイントが貯まりやすくても、ポイントの利用先が少なかったり、魅力的でなかったりすれば、顧客はそのポイント制度から離れていってしまう。また、提携企業が多くても、ある特定の場所でしか貯めない、使わないという人がいる。マーケティングデータを有効活用するためにもこのような人たちを含めた多くのT会員を、各アライアンス間で行き来させ、更なるTカードの使用機会・頻度を上げることが重要である。そのためには、アライアンス間での共通サービスなどを提案することが必要である。
 

Tポイントアライアンス(提携)
 異業種のトップレベル企業同士での共通ポイントプログラム(Tポイントプログラム
アライアンスグループ内の顧客を相互に紹介し合うことにより、相互送客及び固定客
を図る。

顧客ロイヤルティ
 特定の企業ないしはブランドに対する、顧客の忠誠心ないしはそれを断続的に購入し続けること。
 
ポイント引当金
 発行したポイントが実際に商品やサービスの交換に使われることを想定して積み立てておく資金。顧客に付与したポイントは、将来、顧客から請求があれば、企業がいずれ支払うべき「債務」と考えられるため、ポイントを発行する企業は、将来に備えて発行したポイントを引当金という名目で積み立てる必要があると考えられている。ポイント引当金は、将来あるだろう顧客の請求のために積み立てるものなので、ポイント引当金が多ければ多いほど、企業は将来の支払に備えていると言える。しかし、ポイント引当金は、企業が得た利益から捻出されるので、ポイント引当金を増やせば、それだけ企業の利益は減少することになる。
 「SITE STOCK」http://www.sitestock.jp/pointstyle.shtml 08/08/20 

マーケティングレポート
 TSUTAYA の子会社である「Tカード&マーケティング社」がTカードの顧客情報から得たデータを、アライアンス企業に提供するため、マーケティング情報として加工したもの。

POSデータ
 POSとは「Point Of Sales」の略で、「販売時点管理」または「販売時点情報管理」などと訳される。商品の販売・支払いが行われるその場で、その販売データ(品名、数量、販売時刻など)を収集することで、販売動向を把握する仕組み。これを「POSシステム」と呼ぶ。「POSデータ」とはこのPOSシステムが収集、蓄積したデータのこと。どの商品が、どの売り場で、いつ、どれだけ売れたかを示す。

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