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憲法九条を暮らしに生かす会コミュのTPP通信*「TPPには断固反対」より世界で巻き起こる反TPP運動のうねり

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「TPPには断固反対」より世界で巻き起こる反TPP運動のうねり

           内田聖子(アジア太平洋資料センター事務局長)

TPPは「狂った世界」を加速させる
 企業は軽々と自由に国境を越える。それが多国籍企業と呼ばれるものであればなおさらだ。資本の移動の自由、投資の自由化、金融・貿易の自由化――。

 1980年代のレーガン・サッチャーの時代にもたらされた世界規模の「新自由主義政策」は、その言葉の通り、先進国の大企業や投資家に「限りない自由」を提供し続けてきた。その失敗とツケは常に途上国の貧しい人たち、そして今では先進国にも増殖している「99%」の人びと、つまり私たちが負わされてきた。このような不条理・不正義は絶対に許されてはならない。

 TPPは、このような「狂った世界」をさらに加速させ、貧困と格差、不正義と非民主的な世界を末期状態に追いやる貿易協定である。80年代以降、一貫して自由貿易の拡大や途上国の債務問題に取り組んできた私たち(アジア太平洋資料センター:PARC)は、その文脈上にTPPを位置づけ反対活動を続けている。

 世界に目を向ければ、私たちと同じ理念と主張を持つ仲間たちは本当にたくさんいる。その多くは、やはりTPPだけに反対しているのではなく、それぞれの観点から新自由主義を批判したり、自由貿易の推進を食い止めようとしたり、TPPをはじめとする自由貿易によって深刻な被害を受ける人びとの権利や尊厳を守るための闘いを展開している。

11カ国の市民がつながるTPP反対ネットワーク
 まずTPPに限らず、さまざまな貿易協定や国連機関の会議、地域経済連携協定など各国政府が集ってグローバルな決め事を行なう際に、それに反対する国際NGOはロビー活動を行なう。

 例えば、WTO交渉の際には、参加国政府の交渉官はもちろん、各国の市民社会からも労働組合や農業団体、NGO、市民団体などが会場に出向き、自国政府や他国の交渉官とコンタクトをとって交渉内容を聞き出したり、自分たちの主張を訴えたりした。こうしたロビー活動は、利害関係者の声を十分に聴くこともなく自由貿易を推進しようとする力に対する市民社会側からの抑制として絶対に必要なものだ。

 TPPに関しては、特にアメリカが加わった2009年以降、その内容がアメリカ主導のアジア太平洋地域全体での自由貿易推進協定に様変わりしたため、これまでWTO批判や多国間投資協定(MAI)などに反対してきた国際NGOの面々も動き出すこととなった。これらのメンバーは日常的にゆるやかなネットワークを形成しており、メール交換などをしているのだが、いざ、「この事が大変だ」という呼びかけがなされると、事が動き始める。TPPでは専用のメーリングリストが立ち上げられ、盛んに情報発信をしたりスカイプで会議したりしている。

 現在、TPP反対ネットワークは参加11カ国からさまざまな団体・個人が参加している。アメリカでは「パブリック・シチズン」や、インターネット上の表現の自由の問題に取り組む「EFF」「KEI」などの団体、労働組合「AFI―LO」などが主要メンバーだ。ニュージーランドは自由貿易反対論者として日本でも有名なジェーン・ケルシーさんが牽引役で、その他「緑の党」なども反対ネットワークに関わっている。言語やこれまでの経験、またアメリカ中心の協定であることから、反TPP運動のリーダー的な存在はアメリカのパブリック・シチズンである。


反TPPの活動を進めるアメリカの市民団体「パブリック・シチズン」のローリ・ワラックさん。国際貿易監視部門責任者で、NAFTA(北米自由貿易協定)やWTOなどの専門家(右の女性、左は342ページの鈴木宣弘先生)
アジアや中南米でも反対運動は盛ん
 他の国からも実に多様な団体がこの反対ネットワークに参加している。アジアの国では、例えばマレーシアのエイズ患者支援団体もある。アメリカ等の大手製薬会社の知的所有権保護がTPPで強化されれば、マレーシアやベトナムなどエイズ患者の多い国では安価なジェネリック薬の入手が困難になる。これは命に直結する問題だ。同様に、国際開発NGO「オクスファム」や「国境なき医師団(MSF)」も同じ理由からTPPには断固反対し、反対ネットワークに入っている。その他、国際的に人権保護や自由貿易批判を行なうマレーシアの「第三世界ネットワーク(TWN)」などもメンバーだ。

 一方、ペルーやメキシコ、チリなど中南米の参加国の中にも反対運動がある。もともと中南米は、「アメリカの裏庭」として主に80〜90年代にかけて、アメリカの息のかかった軍事政権が強化され、経済的には新自由主義的な構造改革がもたらされてきた。その結果、もともとの主権者であった先住民族の権利が大きく制限されたり、農民が生活できなくなったりして、国全体の貧困化が進んだ。こうした背景から、反米左翼政権も生まれ、TPPに対してもアメリカ主導の新自由主義政策として抵抗している場合が多い。

 例えば、ペルーの「REDGE」や「AISLAC」は、TPPによって医薬品へのアクセスが極度に制限されると指摘している。メキシコでも農民団体が改めて「TPPは不平等であり、農民の暮らしを破壊する」と、メキシコ政府に撤退を求めている。

交渉会合に乗り込んで情報を引き出す
 さて、こうした国際NGOネットワークは、TPP交渉時には可能な限り現地に足を運び、ステークホルダー(利害関係者)として参加する。当然、全体的にみると主要なステークホルダーはアメリカを中心とする大企業であるのだが、NGO側も各国の交渉担当官に話しかけ、関係を作り、有益な情報を引き出したり、自分たちの主張を訴える努力を最大限に行なっている。

 私自身、3月、シンガポールでの第16回TPP交渉会合に参加した。企業が交渉官に「商談」を持ちかけている中で、仲間たちは必死に情報を引き出すための闘いを展開した。国際ネットワークで参加していたのは約15名。交渉日程の九日間のうち、2日に一度は集まり、それぞれ得た情報を共有し、明日の行動のために作戦を練った。日本の参加問題についても3月は重要な時期だったため、私も何人かの交渉担当官と話す機会を得た。

 大変に微妙な、注意深さが必要な闘いであるのだが、このときに仲間たちと得たのが、アメリカの貿易担当官の、日本の交渉参加についての発言である。

「日本は、カナダとメキシコがTPPに参加するために強いられた、非礼で、かつ不公正な条件と同じ立場にある。つまり、事前に交渉テキストを見ることもできなければ、すでに確定した項目について、いかなる修正や文言の変更も認められない。新たな提案もできない……」

 政府や大手マスコミが決して明かすことのない、こうしたアメリカの本音をリークしたことで、日本の一部の新聞などにも取り上げられ、世に知られることとなった。これは一例だが、秘密裏に進められるTPPの実態を明かすためにメンバーは日々闘っている。

TPPの問題をどんどん暴露して阻止する
 実は多くの団体が、こうしたことを積み重ねながら、「TPPそのものを葬り去る」ことを最終的な目的に据えて活動している。TPPは、さらなる貧困と格差、大企業優先の世界がつくられることに他ならないからだ。

 昨年七月に世に出た投資分野のテキストのリークも、こうした国際NGO活動の大きな成果である。その内容とは、「ISD条項では、外国企業が、環境や労働、消費者行政などについて政府の権限を制限できる内容になっている」という事実である。この秘密が露呈されることによって、多くの人が「やっぱりTPPは企業だけが有利なものだった」と気付かされた。

 こうしたリーク情報の暴露がさらに続けば、秘密裏に進められるTPPの問題が世にさらされて、交渉自体を止めることも不可能ではなくなる。

 ただ残念ながら、このような国際連帯の実態は、あまり伝えられることがない。しかし、日本中で本当に多くの分野でさまざまな団体がつながりながらTPPに反対しているのと同様に、世界各地にも新自由主義に反対し、誰もが尊厳をもって安心して暮らせる、平等な世界を目指す人びととその運動がある。私たち「PARC」もこれらの国際ネットワークの一員として、今後もさらに国際連帯に寄与しながら、世界の市民的な反TPP運動のうねりを大きなものにしていきたい。


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