ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

語部夢想〜語部夜行別館〜コミュの「侑」ヒトガアルトイウコト

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
寒空に鱗雲

こがらしに弄ばれる落ち葉

遠くの山の頂がうっすらと白い帽子を冠するころ

館には氷雨が降りしきっていた

つるべ落としに日が落ちて

うっすらと館に明かりが灯る頃

圭一はまたも館に足を向けていた

「ん?」

圭一がふと目をやると玄関前には一人の女性

「デ、デジャビュウ?」

唐紅なるを身に纏い、コチラも血のように深紅の唐傘を差している

「お、落ち着け圭一、前回のことを忘れたのか!」

圭一は以前の事を思い出し、なるべく係わり合いにならないように館に歩を進める

体感時間が長く感じ、いよいよ館のドアノブに手を掛けようかというころ

「もし、そこの御仁」

「やはり今回もだめだったよ、おれは人の言うことを聞かないからな」

意を決して振り向く

「圭一!圭一じゃあないか!!」

その声は女性にしてはハスキーである

圭一が失礼と思いながらもマジマジとその顔を覗き込むと

「ゆ、侑紫さんじゃあないすか」

おおと、手を振ると近寄ってきて両手を握手される

「どうも、暫くでした」

侑紫は天真爛漫に笑うと会釈する

濡れた髪が小気味よく弾むと後から金木犀の香りが鼻についた

「で、今日はどうしたので?」

圭一の問いを手で制する侑紫

「ちょっと、待ち人がありましてね」

「あ、来ました」と指を刺す

圭一が振り向くと車のヘッドライトが二つ

ばたんと音を立て傘も差さずに歩いてきた偉丈夫

「よう、侑紫、おや圭一もか」

その正体は神宮寺その人だった

誰からということもなく中に入ると、そこには今夜の準備をしていたのか夜子がテーブルを拭いているところだった

「あら、いらっしゃい」

夜子がこちらに気づき笑顔を投げかける

「こんばんわっす夜子さん」

圭一がヘラヘラと挨拶を返すと

「すまんが場所を借りるぞ」と、神宮寺

男たちが三人テーブルを囲んで話を始める

ただ、そのうち二人がシリアスなのに対し、圭一は状況を理解しておらず薄ら笑いを浮かべているだけだった

夜子が場の空気を察したのか無言で紅茶を置いていく

侑紫は紅茶を置かれたときに軽く頭を垂れ

圭一はこの状況に知らずに巻き込まれ

ただ、自分も立ち去りたい意識を押し殺して夜子の背中を見送った

夜子がある一定の距離をとったのを見やると神宮寺が口を開いた

「どうした、話とは、相談事があるそうだが」

「実はめんどくさいことが起きましてね」

用件はこうだ



「呪いをお願いしたいの」

とある女性が差し出した一枚の写真

侑紫の生業は陰陽師である

その中にある負のまじない

人を呪う事もその範囲にある

「いつものこと」と侑紫はこれを快諾した

侑紫はその辺のエセ呪い師とは違い、力のある本物である

しかし、恥辱の縺れによる逆恨み

今回はエセ呪い師の真似事をして依頼者の気が晴れればいいや、程度の考えであった

依り代といって彼女の髪を一束もらうと紙に『恨みます』と一筆書いてもらい、依頼者と別れた

あとは、裏工作である

写真にあった男の家のポストに紙の入った束と一筆もらった紙を投函する

あとは、被害者が精神的に参ればいい

そもそも呪いとはそういったものだ



「ここで私の話は終わりです」

侑紫が話を結んだ

「で、厄介なのがここから、だ」

神宮寺が口を開く



ある時、事務所に依頼が来た

「助けてほしい、以前付き合っていた女に恨まれ呪われた」と、

話を聞くがその程度、嫌がらせの範囲である

適当に机の中に入っていたお札を渡し、その日は帰した

後日、そのことを大変後悔した

女性が泣きながら事務所のドアをたたく

何事かと思い理由を聞く

一枚の写真を渡される、そこにあったのは

髪の毛だらけの部屋で苦悶する男性の変死体



「で、どう思う?」

「どう思うって?」

「圭一、オマエの意見をききたいんだよ」

そ、そうっすねー

考え、髪の毛を両の手でぼりぼりとかくと、突然手を口の前で合唱して見せた

「推測ですが、その依頼者の女性…死んでないっすか?」

突如として鋭くなる眼光に、固唾を飲んで答える侑紫

「ご明察」

ふぅ、と肺の奥から息を吐き出す侑紫

では、こんな話を知ってますか?

今度は、と圭一が口を開いた



三回忌ということでお墓の前で親戚一堂で撮った集合写真

しかし、現像すると一部の写真がぼやけている

どうやらそれは、お墓が写りこんだ写真総てのようだ

心霊写真かもと気になった撮影者は寺の住職に見てもらう

住職はその写真を見ると一目散に墓に走った

戻ってきた住職に何事かあったのか聞くと

どうやら、卒塔婆に記されていた字が一字違っていたらしい

その戒名を自分のものとし、拝んでもらって成仏しようと考えた無縁仏の霊がその字の間違えを気づかれないように隠していたとの事だった



「言いたいことが見えないのですが」と、侑紫

「つまりっすね、あなたは遊びのつもりでも、地獄の果てまで憑いて行くってやつっす」

ニヤけ、神宮寺に被害者である男の家を聞く圭一

「さて、ちょいと出かけませんか?」

親指を上げ圭一は外を指差した



暫時《雨のドライブ後》


「スイマセン」

「はーい、どなた?」

葬儀場のセレモニーホール

喪に服している女性ががちゃりとドアを開けるとそこには

ずぶ濡れの偉丈夫と小汚い男と全身真っ赤な女性

彼らはずんずんと奥に入っていく

「ちょっと、あんたら、あ、神宮寺さん?」

動揺する奥さんをよそに、圭一は棺に手を掛け、一気に開け放つ

「これは」

神宮寺が目を見開く

遺体となった男性の体には長い髪の毛が随所に絡まっていた

「ぎゃああああああああああ」

親族一同が悲鳴を上げる

腰を抜かすもの

我先にと逃げるもの

その中の一人、奥さんが神宮寺にしがみつく

「探偵さん、これは」

「奥さん、ちょっと寝ていてください」

「あ」

神宮寺が手刀を当てると奥さんは気絶した

端の方に奥さんを寄せると侑紫が声を掛けた

「来ますよ」

神宮寺が振り向くと、奇怪な黒煙が棺より立ち昇ると、中から現れたのはうら若き乙女

しかし、その形相は般若のそれであり、人の形をしているだけでもはや人とは感じられないものだった

侑紫が告げるとその衣の袖をたくし上げる

左肩より現れたのは赤の呪言

「おいで、四凶の渾沌」

左肩の紋様が赤く輝くと宙より五芒星が描かれるとそこより狼が現れる

「あれは?」

「あれは式、お前もその程度の知識はあるだろうに」

圭一の問いに神宮時が帰す

同時に神宮時は呼吸法を変え、体内に走るチャクラやオドといった名前の流れを変えて言った

「金剛不二の法っすね、じゃなくて自分が言いたいのはっすね」

圭一も首に下げたカメラのファインダーから相手を覗き、有効な対処法を幾通りも思考する

「式なのに何故、体の中から出てくるかって事ですよね?」

侑紫が首に下げた牙があしらわれた、首飾りを左拳に巻きつける

「そうっすよ、式は普通紙で作られた札に封印されるはず、しかも自分が見る限り、式は侑紫君の中から、「侑紫君」の「一部」を切り分けて現れた」

空気にノイズめいたものが広がる

「くるぞ!」

神宮寺が叫ぶと四股を踏む

「それはね、僕が天才だからですよッ!!」

どごーんと大きな気の塊が振り下ろされる

舞い上がるコンクリートの破片と土煙

その中から勢いよく渾沌と侑紫が飛び出した

気の暴風が収まると気の塊を先陣を切って受け止めた神宮寺が改めて呼吸を整える

「天才って、自分で言っちゃうんすか、すごいっすね」

「いいや、やつは生粋の天才だよ」

圭一が般若への「女の情念への」対処法を思考している

「天才って、どういうことっすか?」

「天才って言うか天賦の才なんだがな、陰陽道においての方角の重要性とかは知っているよな」

「えぇ、北は玄武とか秋は白虎とかってやつっすよね」
詳しくはhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A2%A8%E6%B0%B4

「そうだ、だが、なぜそれがいいとわかる?その理屈は?」

「え?あーえっと」

「そうだ、誰にもわからんだろ理論は整然としているが根拠は漠然としている」

「そ、そうっすね」

「ヤツにはそれが直感でわかる」

「え!!?てことは万物の気の流れがわかる?」

「そういうことだ、やつが人を呪うときはその人の負の気を滞らせておけばいい」

「それって精神的でなく本当の…」

「そうだ、呪いだ、しかもヤツの場合それだけではない」

「と、いいますと?」

「風水は結局ものの配置で運の流れを掴むだろう?」

「そうっすね」

「ヤツの体内は血管の一本一本、ほくろの配置から心臓が脈打つ鼓動まで、気を生み出し使いこなすことに「適している」」

暫く理解できない圭一

ふと、我に帰ると

「えーー、そんなことってあるんすか!!」

「オレも信じられんがな、確かに目の前に存在する」

神宮寺が指を差した先

侑紫は敵と戦っていた

戦うというより、いなすと言った方が正しいだろう

しかし、侑紫も手を出せずにいた

男への念の強さだろうか

死体となっても、その男を抱きかかえ手放そうとしない

死体のひとつちょっと壊れたくらいではどうということはないのだろう

しかし、生前より呪われていた彼は死して尚、その体に魂を繋ぎとめられていた

言うなれば、魂の宿ったのが市松人形でなく長年使い続けてきた自分の体

言うなれば、動かないフレッシュゾンビ

侑紫の攻撃があたれば、中の魂もひとたまりもない

さて、どうしたものか侑紫が思案していた

「やれやれ、仕方ないな侑紫」

「ふん、出ずっぱりが」

侑紫の背中に日輪を模した紋様が浮かび上がると、紫煙が風吹く

煙が円を描くとそこから男が一人飛び出す

左手にはキセルを帯び、紫煙を口いっぱいに含むと勢いよく噴出す

「天空」

侑紫が呼びかける

「おう、主の不手際を見過ごすほど俺もお人よしじゃあないんでね」

「助かるよ」

侑紫が微笑むと若干恥ずかしがる天空

「いいってことよ、さぁ行くぜ」

敵を見据える二人

一方

「あのー、神宮司さん?」

「どうした圭一?」

「僕らって要らない子っすかね?」

「…あー」

しばし虚空を見据える神宮寺

「いいか、圭一俺らにしか出来ないことをやればいいんだ」

うんうんと、圭一の肩を力いっぱいたたき、自らに言い聞かせる神宮寺

「例えばどんな?」

「実況と解説と後始末だ」

「やっぱりー」

肩を落とす圭一たちを尻目にバトルは進展していく

繰り出す拳

絡みつく髪

数多の打撃と打撃の交差

しかし、有効打は生み出されない

「そして、筆者のコンディションから生まれる戦闘シーンの省略(ry」

「やめてそんなメタ発言」

と、これは神宮寺と圭一

般若の放った髪の束に突き出した腕を絡め撮られる侑紫

「ぐぅ」

引っ張られないように腕を交差させ耐えるが、巻きついた髪自体が万力のように侑紫の腕を押しつぶす

間一髪、引き投げられる前に天空のカットイン

「こんなことで音を上げるようじゃあ宿主かえるぜぇ?」

口の端を吊り上げ笑う天空に、今度は髪が絡みつく

「ぐわっ」

四肢を雁字搦めにされ、空に投げ出されそうになる天空に、今度は侑紫の抜き放った短刀が髪を切り刻み寸んでで止める

「誰が音を上げるって?」

侑紫の言葉に「そう来なくっちゃ」と返す天空

「さて、宿主よ、どう攻める」

「んー、天空さんの鼻でなんとかわかりませんか?」

「あー、それなんだがな」

天空の感じるところによると、遺体と魂が完全に髪で縛られている

「あの髪をどうにかしなくちゃならないわけですね?」

「そんとおりだ」

「ならば、やつの正義を喰らい尽くせ、窮奇」

侑紫が右の肩をたくし上げると今度は全身を漆黒に包まれた狼が出現する

窮奇が「きぃ」と甲高くなくと、死体をむさぼり始めた

般若ははたと気がついて男を守ろうとするがもう遅い

窮奇は青く輝く魂をくわえると、般若の攻撃を潜り抜け侑紫の足元に駆け寄った

「ありがとう」

侑紫が頭をなでると、「キィ」といななき肩に収まった

そうなると切れるのは、般若である

般若はなりふりかまわず、ありったけの力を髪に込め振るってきた

「あぶねえ」

侑紫に放たれた暴威にカットインする天空

「ぬぉぉぉおおおおおおおおおおおおおお」

光に飲まれる天空と侑紫



暫時




光が収まると、その中からは天空と侑紫


「ありがとう、大丈夫かい?」

侑紫はうずくまっている天空にてを差し伸べるが、天空の表情がおかしい

侑紫は違和感を覚え左頬を触れると赤い液体



「これは」

「あーあ、敵さんやっちゃったな」

「と、いいますと?」

「さっきも言ったろう、ヤツの体は気を使うのに適していると」

「えぇ」

「つまりだ、ヤツ自体が膨大な気の「電池」なわけだ、しかも規格外の」

「はあ」

「それをだな、式に食わせ、化粧で無駄な回路を作って発散させ、伸ばしてある髪に徐々に溜め込んでいたわけだ」

「それと、顔に傷をつけられたのと、どういった関係が?」

「まずだ、ヤツの性格に問題があってだな」

圭一を小脇に抱えると急いでその場から逃げ出す神宮寺

その脇にはいつの間にやら天空と渾沌がいる

「はぁ」

「宿主は生粋のナルシストなんだ」

「はぁ?もっと具体的に」

「具体的に?化粧という封印回路が解かれ、アドレナリンによって更に脈打つ鼓動は、より気を精製し、髪からは周囲にある気をドンドン吸収する、彼の纏う服やアクセサリーも大抵が呪物だ」

「えっと、それってつまり・・・」

「暴走する」

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

ドS侑紫さん

「よくも、僕の美しい…に・・なえ…」

「償え!!!!!!!!!!!!!」

兆速で駆け出したかと思うと、般若の胸倉を掴む侑紫

幽体を拳で殴りつける

もはや、なみだ目な般若

天空と渾沌が冷や汗をかいている

「こーーーーーーーーーーーーーーーーーーい」

叫ぶと天空と渾沌が一瞬にして侑紫の体に収まる

何故かそれは嫌がっているように感じ、とても哀れに感じた、ご愁傷様です

すると、侑紫の顔に化粧のような紋様が表れる

髪を束ねていたひもが切れると、体を覆っていた衣服が大事なところ以外すべて消し飛び、体中に紋様が浮かび上がる

「陣→人ノ構成 夜刀神!!」

侑紫の合掌に空間が抉れると、黒い刃が出現する

夜刀神だが本来は対軍戦に用いられるものであり、悪い場所、閉鎖的な場所での有効的な陣形である。

しかし、侑紫自体が大群の式を飼う、いわば群の総意であり、彼自身を陣形とみなすことで生み出される一撃必殺の破軍奥義である

「これが、俺の分だあああああああああああああああああああああああああ」

空に伸ばした合掌、もとい抉れた空間の刀が般若に放たれる。






DOゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン




ビルの中から光の柱が立ち上りり、炎上する





あは、あはは、ははははははははははははははははははは!!!!!!!!!!





侑紫の生み出す無尽蔵の気を浴びて、周りのコンクリートが倒壊したそばから炎上している

侑紫はJOJO立ちで高笑いをあげる

その周辺には、般若どころかもう何も残っていない





暫時、一番鳥のなく頃





朝焼け、二人の男が物陰からコソコソと失踪する

大きな方の男の小脇には腰巻しかつけていない男の娘

その寝顔はとても幸せそうでした

「わかったか圭一、コイツには気をつけるんだぞ」

「うっす」

コメント(5)

このお話は……

ある女が、男を恨んだまま死ぬ。
女の墓の近くにいた無縁仏の霊が、戒名が間違っているのをいい事にその墓と供養を自分のものにして成仏。
女の霊はそのままそこに三年間取り残される。

三年で怨念を溜め込んだ女の霊は般若にレベルアップ。
生きた人間のフリして侑紫さんに呪詛を依頼。
侑紫さんは素人用の形ばかりの呪詛を行ったけど、依り代にした髪の毛が般若の物だったので、呪詛は必要以上に効いてしまう。

呪われた男は慌てて、その筋では有名な探偵神宮寺さんに依頼。
しかし陰陽師の侑紫さんの目を誤魔化した般若の呪詛は、単なる嫌がらせと錯覚させ、対処を誤らせた。

男は呪いの髪にシメられて死亡。
般若は殺した程度で満足できず、男の死骸を持ち去ろうとするが、駆けつけた侑紫さんと壮絶な呪術戦に。
実況は圭一さん、解説は神宮寺さんのガチバトルは、顔を傷つけられた侑紫さんのリミットブレイクにより圧勝。

……と解釈してオッケー?


侑紫さんの戦い方が色っぽいです。
強敵になればなるほどバンバン脱いで最終的には……ゲフンゲフン

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

語部夢想〜語部夜行別館〜 更新情報

語部夢想〜語部夜行別館〜のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング