幼い日の岸本佳世子がいい
ってセリフ、寅さん気にいったんでしょうね 茶の間で皆を集めて何度も言ってた
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コメント(35)
「旦那ったらね、死ぬ前に変なこと言うのよ」
柴又駅の寸前で、しかも立ち話。人ごみの中。
「寅さんは、ほんとに約束したの？」と緊張の面持ちで聞く光枝は『本当だとも』と肯定してほしかったに違いない。
光枝の本心を計りかねてか寅さんは「そんなことあるわけないよ」と半分笑いながら否定しつつ、光枝の顔色をうかがう。
緊張が緩んだ表情を見せる光枝を見て、勝手に身を引いてしまう寅さん。
もう少し時間があったら、立ち話でなかったら、人がいなかったら、違う結果になってたと思う。それだけ二人は引き合っていたはず。そんな二人を引き離すにはこの状況しかないと言う舞台設定が、山田監督のシナリオと演出の妙技でしょう。
光枝のテーマも実に哀愁があっていいです。カラスの常(小沢昭一)が惚れるのもわかるいい女でした。
柴又駅の寸前で、しかも立ち話。人ごみの中。
「寅さんは、ほんとに約束したの？」と緊張の面持ちで聞く光枝は『本当だとも』と肯定してほしかったに違いない。
光枝の本心を計りかねてか寅さんは「そんなことあるわけないよ」と半分笑いながら否定しつつ、光枝の顔色をうかがう。
緊張が緩んだ表情を見せる光枝を見て、勝手に身を引いてしまう寅さん。
もう少し時間があったら、立ち話でなかったら、人がいなかったら、違う結果になってたと思う。それだけ二人は引き合っていたはず。そんな二人を引き離すにはこの状況しかないと言う舞台設定が、山田監督のシナリオと演出の妙技でしょう。
光枝のテーマも実に哀愁があっていいです。カラスの常(小沢昭一)が惚れるのもわかるいい女でした。
この作品の中で気に入らない場面がある。
それは寅さんの小学校の同窓会の下りである。
会場の受付には柳文彦（前田武彦）、茂（犬塚弘）や、シラミ（東八郎）達がたむろしている。皆寅さんの悪口を言ってるのだが、そこで柳が尻馬に乗って「俺、アイツの四角い顔思い出すだけで不愉快なんだよぉ
」と寅のことを毛嫌いしているのだ。12作では妹のさくらをとらやまで
追ってきたり、その後寅と久闊を叙して仲良く酒呑んだり
していた仲だったし・・・自分の妹りつ子に対しても「アイツは本当はいい奴なんだよ」とまで言ってかばっていたのに、どうしてここへ来て険悪な間柄になってるの？（あだ名も「デベソ」から「かわうそ」に変わってるし）
茂は24作で寅に脅されてヒドい目に遭っていたので嫌っているのも分かる気がするが。山田監督はなぜこんなひどい設定にしたのだろう
寅さんが「りつ子さんどうしてる？元気にしてるか」などの言葉を交わす場面にしたら良かったのにね。まぁここでは寅は昔から悪ガキでアウトローな人間だったという風に描きたかったのでしょうが、僕的には非常に残念でした。こんなことなら柳は登場させないで欲しかった
それは寅さんの小学校の同窓会の下りである。
会場の受付には柳文彦（前田武彦）、茂（犬塚弘）や、シラミ（東八郎）達がたむろしている。皆寅さんの悪口を言ってるのだが、そこで柳が尻馬に乗って「俺、アイツの四角い顔思い出すだけで不愉快なんだよぉ
」と寅のことを毛嫌いしているのだ。12作では妹のさくらをとらやまで追ってきたり、その後寅と久闊を叙して仲良く酒呑んだりしていた仲だったし・・・自分の妹りつ子に対しても「アイツは本当はいい奴なんだよ」とまで言ってかばっていたのに、どうしてここへ来て険悪な間柄になってるの？（あだ名も「デベソ」から「かわうそ」に変わってるし）
茂は24作で寅に脅されてヒドい目に遭っていたので嫌っているのも分かる気がするが。山田監督はなぜこんなひどい設定にしたのだろう
寅さんが「りつ子さんどうしてる？元気にしてるか」などの言葉を交わす場面にしたら良かったのにね。まぁここでは寅は昔から悪ガキでアウトローな人間だったという風に描きたかったのでしょうが、僕的には非常に残念でした。こんなことなら柳は登場させないで欲しかった
昨日久々に見ました。本当に音無さんは色っぽい！旦那が「俺が死んで他の男に抱かれると思うと死んでも死にきれない」と言う旦那の気持ちが分かる！そして死んだあと女房をもらってくれと寅にたのむ旦那、それに一度断り間が有り「よしわかった安心しろ、そのかわり後で化けて出るなよ」っと私にはこのやりとりが良かった、そしてその女房が柴又にやって来て最後駅に向かう途中に意を決して寅に気持を聞き、寅が身を引くと目を下に伏せ「そ、そうよね」と横を向くクッーこの間この色っぽさ！演出か役者か両方いいんだろうな！そして駅の改札口に、最後に振り返る！私なら走りよって抱き締め ないよなぁ経験不足で分からないが寅は何十回も経験している映画の中とは言え凄い！
冒頭の夢のシーンで寅さんがノーベル賞の受賞者になるのは、日本人科学者が８年ぶりにノーベル賞を受賞した出来事を受けています。テレビ画面にいきなり速報が流れたのも事実でした。大学の理学部の二年生で化学を専攻することに決めていた私は、日本人で一人目のノーベル化学賞で京大の先生（福井謙一先生）に先を越されたと思ったのでした。授賞の対象となった「フロンティア電子理論」は後に私の専門分野となりました。前作の「夢」に乙姫様（松坂慶子さん）が登場したのに続いて、本作にはマドンナが二人とも登場します。岸本加世子はマネージャーのような役で寅さんの予定を仕切りはじめ、女優の「岸本加世子さん」との対談も組まれました。音無美紀子さんは瀕死の子供の命を助けてほしいという必死の願いが寅さんに聞き届けられました。どちらも寅さんの女難が続くことの暗示です。リアルのノーベル化学賞の内容が寅さんの夢と何の関係も無いのは、化学の理論を分かりやすく説明する余裕がないだけでなく、寅さんはノーベル賞の対象になるような研究とはかけ離れた世界に生きているからに他なりません。
夢の中の「手術」がナイフとフォークでの豚カツとの格闘だったのは、食堂で豚カツを注文したところで居眠りしたためであり、「ノーベル」は近所のパチンコ店の名前でした。ノーベル賞と言えば、日本人で初めての受賞者だった湯川秀樹先生（素粒子論で物理学賞）が亡くなったのが９月でした。８月には作家の向田邦子さんが台湾で飛行機事故の犠牲者となりました。本作に哀愁が感じられるのは有名人の相次ぐ死が影を差しているのかもしれません。テーマ音楽は、クラリネットがメロディーをリードしながら、弦楽器の対旋律がずっと絡みつき、寅さんに関わるマドンナを表現しているように聞こえます。江戸川べりで遊ぶ人たちへの寅さんのアクションがことごとく裏目に出るのも恒例です。
中村はやと君は寅さんに対して素直で、オモチャのピアノやキリギリスの絵にも喜んでいたのですが、吉岡秀隆君はタコ社長からもらったコンピュータゲームに熱中して、紙風船の魅力を理解しません。本作のタイトルの「紙風船」は、寅さんにとっての「所帯」と「就職」の象徴のようです。寅さんに盛んに口答えしては怒られる満男君は、紙風船をペチャンコに潰してしまいますが、平成時代に就職も所帯も得ています。後の色々な映画での吉岡秀隆と同じ表情を時折見せています。
柴又小学校の同級生の「カワウソ」は、８年前の「私の寅さん」のキリギリス先生（音楽）を一緒にからかった「でべそ」と同一人物のはずですが、本当は仲が良かったことを隠しているのかもしれません。調子を合わせて寅さんの悪口を言っていたと思いたいです。おそらく子供や仕事の自慢話（苦労話や愚痴を含む）について行けなくて悪酔いした寅さんを介抱した東八郎さん（クリーニング屋のシラミ）も友情のカケラくらいはあったと信じます。コロナ禍の直前に千葉で中学と高校の同窓会があり、小学校のクラスメイトの数名が高校の同級生でもあり、再会の喜びを味わえた私は、寅さんより幸せだったというべきかもしれません。
（次のコメントへ続く）
夢の中の「手術」がナイフとフォークでの豚カツとの格闘だったのは、食堂で豚カツを注文したところで居眠りしたためであり、「ノーベル」は近所のパチンコ店の名前でした。ノーベル賞と言えば、日本人で初めての受賞者だった湯川秀樹先生（素粒子論で物理学賞）が亡くなったのが９月でした。８月には作家の向田邦子さんが台湾で飛行機事故の犠牲者となりました。本作に哀愁が感じられるのは有名人の相次ぐ死が影を差しているのかもしれません。テーマ音楽は、クラリネットがメロディーをリードしながら、弦楽器の対旋律がずっと絡みつき、寅さんに関わるマドンナを表現しているように聞こえます。江戸川べりで遊ぶ人たちへの寅さんのアクションがことごとく裏目に出るのも恒例です。
中村はやと君は寅さんに対して素直で、オモチャのピアノやキリギリスの絵にも喜んでいたのですが、吉岡秀隆君はタコ社長からもらったコンピュータゲームに熱中して、紙風船の魅力を理解しません。本作のタイトルの「紙風船」は、寅さんにとっての「所帯」と「就職」の象徴のようです。寅さんに盛んに口答えしては怒られる満男君は、紙風船をペチャンコに潰してしまいますが、平成時代に就職も所帯も得ています。後の色々な映画での吉岡秀隆と同じ表情を時折見せています。
柴又小学校の同級生の「カワウソ」は、８年前の「私の寅さん」のキリギリス先生（音楽）を一緒にからかった「でべそ」と同一人物のはずですが、本当は仲が良かったことを隠しているのかもしれません。調子を合わせて寅さんの悪口を言っていたと思いたいです。おそらく子供や仕事の自慢話（苦労話や愚痴を含む）について行けなくて悪酔いした寅さんを介抱した東八郎さん（クリーニング屋のシラミ）も友情のカケラくらいはあったと信じます。コロナ禍の直前に千葉で中学と高校の同窓会があり、小学校のクラスメイトの数名が高校の同級生でもあり、再会の喜びを味わえた私は、寅さんより幸せだったというべきかもしれません。
（次のコメントへ続く）
（続き）
岸本加世子は私と同い年ですので、「男はつらいよ」の物語も自分の青春と重なって身近なものになり、哀愁も他人ごとではなく感じられます。愛子ちゃんは、向田邦子のドラマ「あ・うん」の娘より弾けまくっています。寅さんが旅先でコンピュータゲームをどれくらい売れたか不明ですが、久留米での愛子ちゃんの「さくら」ぶりは見事で本命のマドンナを引き寄せるキッカケになりました。寅さんソックリに顔が四角くて、お姉ちゃんソックリの目の大きな魚という表現など、哀愁を瞬時に笑いに変える天才です。当時２１歳の岸本加世子は作中では１８歳、未成年ですが漁師の娘は酒を飲むのが当然でウィスキーを「ボルト」ごと持ってこいと宿に命じます（飲酒シーンが無いのは、今でいう制作上のコンプライアンスです）。愛子ちゃんのテーマは、性格の喧しさはなくて、懐かしく爽やかな感じのメロディーでした。寅さんがマドンナから逃げて他の部屋で寝るのは前作に続き、次作でも同じことが起こります。
テキヤ仲間の常三郎（小沢正一）のあだ名が「カラス」なのは、同級生のカワウソやシラミと同じノリで悪気はなかったようです。壁の「帰去来」の詩と鐘の音に寅さんは何を思ったのでしょうか？これまでの作のマドンナのテーマは、辛いときに口ずさむと元気になれるようなメロディーが多かったのですが、光枝さんのテーマは泣くような笛の音が悲し気で口ずさむような節ではありません。凛として、守ってあげなくてもしっかり生きていけるマドンナだったかもしれません。寅さんも亡くなった友人との「約束」が一番気になっていて、就職活動も幻の「所帯」の夢を追いかけるやむにやまれぬ行動だったに違いありません。光枝さんのすすり泣きの話をしている間に屋台のチャルメラが聞こえてきたので、おばちゃんの泣き声をチャルメラに例えたのも悪気はありません。本当にチャルメラのメロディーで泣き出したところに、愛子ちゃんの登場で見事に雰囲気がひっくり返りました。
寅さんの不在時にマドンナが「奪還」されるパターンは、花子ちゃん（田中邦衛）、蘭ちゃん（村田雄浩）とありました。妹を殴るのは平成／令和ではＤＶそのものですが、マグロ一頭を土産に登場した地井武男さんはカッコ良いと思いました。花子ちゃんが連れ去られた時は、青森まで追っかけに行き、蘭ちゃんが結婚する話にふしだらなと怒った寅さんは、今回は怒り／悲しみがなく、マドンナの両名を追おうとはしないところに諦観の深まりが感じられます。
焼津の港でお兄さんを送る愛子ちゃんの姿は、旅に出る寅さんを送るさくらさんと重なりますが、遠洋漁業に出発するお兄さんは寅さんより遥かに力強く、傷心旅行で新たな恋を見つける寅さんとは違って、マグロで得たお金で海外の港で女を買うことも多分（？）ないでしょう。
音無美紀子さんは、２１世紀の「科捜研の女」で終活セミナーに参加し、相棒となった根岸季衣さんが殺される事件に巻き込まれました。寂しげな雰囲気が「寅次郎紙風船」と一緒でした。岸本加世子は「ドクターＸ」で外科医の段田安則の奥さんになっていましたが、結婚のいきさつは盲腸の手術の傷痕がデコボコだった償いであり、後に旦那さんへの生体肝移植のドナーとなったら外科医の山本耕史の手術が下手で傷跡が増えて散々でした。（無理やりに冒頭の夢の場面に繋げました。）
（終わり）
岸本加世子は私と同い年ですので、「男はつらいよ」の物語も自分の青春と重なって身近なものになり、哀愁も他人ごとではなく感じられます。愛子ちゃんは、向田邦子のドラマ「あ・うん」の娘より弾けまくっています。寅さんが旅先でコンピュータゲームをどれくらい売れたか不明ですが、久留米での愛子ちゃんの「さくら」ぶりは見事で本命のマドンナを引き寄せるキッカケになりました。寅さんソックリに顔が四角くて、お姉ちゃんソックリの目の大きな魚という表現など、哀愁を瞬時に笑いに変える天才です。当時２１歳の岸本加世子は作中では１８歳、未成年ですが漁師の娘は酒を飲むのが当然でウィスキーを「ボルト」ごと持ってこいと宿に命じます（飲酒シーンが無いのは、今でいう制作上のコンプライアンスです）。愛子ちゃんのテーマは、性格の喧しさはなくて、懐かしく爽やかな感じのメロディーでした。寅さんがマドンナから逃げて他の部屋で寝るのは前作に続き、次作でも同じことが起こります。
テキヤ仲間の常三郎（小沢正一）のあだ名が「カラス」なのは、同級生のカワウソやシラミと同じノリで悪気はなかったようです。壁の「帰去来」の詩と鐘の音に寅さんは何を思ったのでしょうか？これまでの作のマドンナのテーマは、辛いときに口ずさむと元気になれるようなメロディーが多かったのですが、光枝さんのテーマは泣くような笛の音が悲し気で口ずさむような節ではありません。凛として、守ってあげなくてもしっかり生きていけるマドンナだったかもしれません。寅さんも亡くなった友人との「約束」が一番気になっていて、就職活動も幻の「所帯」の夢を追いかけるやむにやまれぬ行動だったに違いありません。光枝さんのすすり泣きの話をしている間に屋台のチャルメラが聞こえてきたので、おばちゃんの泣き声をチャルメラに例えたのも悪気はありません。本当にチャルメラのメロディーで泣き出したところに、愛子ちゃんの登場で見事に雰囲気がひっくり返りました。
寅さんの不在時にマドンナが「奪還」されるパターンは、花子ちゃん（田中邦衛）、蘭ちゃん（村田雄浩）とありました。妹を殴るのは平成／令和ではＤＶそのものですが、マグロ一頭を土産に登場した地井武男さんはカッコ良いと思いました。花子ちゃんが連れ去られた時は、青森まで追っかけに行き、蘭ちゃんが結婚する話にふしだらなと怒った寅さんは、今回は怒り／悲しみがなく、マドンナの両名を追おうとはしないところに諦観の深まりが感じられます。
焼津の港でお兄さんを送る愛子ちゃんの姿は、旅に出る寅さんを送るさくらさんと重なりますが、遠洋漁業に出発するお兄さんは寅さんより遥かに力強く、傷心旅行で新たな恋を見つける寅さんとは違って、マグロで得たお金で海外の港で女を買うことも多分（？）ないでしょう。
音無美紀子さんは、２１世紀の「科捜研の女」で終活セミナーに参加し、相棒となった根岸季衣さんが殺される事件に巻き込まれました。寂しげな雰囲気が「寅次郎紙風船」と一緒でした。岸本加世子は「ドクターＸ」で外科医の段田安則の奥さんになっていましたが、結婚のいきさつは盲腸の手術の傷痕がデコボコだった償いであり、後に旦那さんへの生体肝移植のドナーとなったら外科医の山本耕史の手術が下手で傷跡が増えて散々でした。（無理やりに冒頭の夢の場面に繋げました。）
（終わり）
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