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コメント(31)
HDリマスター版でみましたが、特典映像の中の「特報」では冒頭で寅さん自身が日本にいる時と同じ格好でアリゾナのガソリンスタンドのシーンでマイケルと一緒に撮影されている模様が出てきてますが、本編では寅さんが渡米したシーンなんかありません？ 寅さんはこの撮影ではじっさいアメリカに行ってた？？？ 本編では全くそんな話は全くありませんでしたが・・・ GSでの車も違ってた。 あと本編の冒頭のシーンで女子学生がトレーニングしているシーンでトレパンの柄がちがっていた。 マドンナと江戸川の河川敷で会うシーンも本編では無くなっている。結構 沢山たくさん 本編以外の未公開シーンもたくさんあるんですね。
皆さん、初めまして
博さんとは文字違い (宏) のひろしと申します。
僕が一番感心したのは、寅さんがマイケルと『とらや』で対面する直前、
一家の面々から「お前、アメリカは好きか」「好きだよね、決まってるよね」
と押し切られそうになった時に、
「大っっ嫌い
」
という大音声 (勿論、みんな驚いてのけぞるという、お馴染みの大袈裟な
リアクション
) の後で、何故アメリカが嫌いかを説明するシーンです。
曰く
「徳川三百年の泰平の代に、ズドーン
と大砲で脅してやって来たんだ。
向こうから勝手に」
「それ以来、日本人はずっと不幸なんだ。
『ジャガタラお軽』『唐人お吉』『蝶々夫人』
な
枚挙に暇がない」
…唐人お吉はどうでしょう (苦笑) 。ですが、まあ核心は突いていますね。
「日本とアメリカは、仲良くしなくっちゃいけないんだよ」という
おばちゃんの懸命の説明が、的を射たこの思わぬ指摘を前にしては、何だか
お人好しで無防備な (ガイジンさんに結構弱い) 日本の庶民感覚を表わして
いるような気もしましたね
博さんとは文字違い (宏) のひろしと申します。
僕が一番感心したのは、寅さんがマイケルと『とらや』で対面する直前、
一家の面々から「お前、アメリカは好きか」「好きだよね、決まってるよね」
と押し切られそうになった時に、
「大っっ嫌い
」
という大音声 (勿論、みんな驚いてのけぞるという、お馴染みの大袈裟な
リアクション
) の後で、何故アメリカが嫌いかを説明するシーンです。
曰く
「徳川三百年の泰平の代に、ズドーン
と大砲で脅してやって来たんだ。
向こうから勝手に」
「それ以来、日本人はずっと不幸なんだ。
『ジャガタラお軽』『唐人お吉』『蝶々夫人』
な
枚挙に暇がない」
…唐人お吉はどうでしょう (苦笑) 。ですが、まあ核心は突いていますね。
「日本とアメリカは、仲良くしなくっちゃいけないんだよ」という
おばちゃんの懸命の説明が、的を射たこの思わぬ指摘を前にしては、何だか
お人好しで無防備な (ガイジンさんに結構弱い) 日本の庶民感覚を表わして
いるような気もしましたね
寅さんがサンフランシスコのチャイナタウンに逃げ込んでくる夢は、ラストで「マイコさん」がアリゾナに帰っている場面と対になっていると思います。FBI捜査員の「マイコさん」は腰抜けでした。手負いの寅さんが船に乗って日本へ帰国する場面は、目が覚めての和歌山湾の船旅と繋がっています。
テーマソングが流れる間の映像は、ミニスカートのテニスギャルたちの素振りの練習に女子の体操選手の準備運動風景、一斉にノースリーブとショートパンツ姿になった女子に数名の男子部員の目が釘付けになり、一名は股間の変化を見られたようです。寅さんは若い女子たちの姿を眩しそうに見て立ち去ります。ラストでめぐみちゃんが朝日印刷の工員たちとスキー旅行へ出発するのを、おばちゃんが「若いっていいね！」と言って見送る場面と対になっていると思います。
東京の予備校に通う浪人生だった私に１９７９年の明るい印象はありませんが、ブドウが山積みになって、土産も有り余っているのは豊作だったようです。千葉の寺で飼っていた虎が逃げ出した事件も気候のせいだったのかもしれません。９月には台風で雷による停電を経験しました。寅さんが「ブドウ」と「タイガー」にそれぞれ怒り出すのも気候のせいだったのかもしれません。でも紀州路を歩く寅さんに寄りそうオーケストラの音楽は夢見るような美しさです。
林寛子さんは当時NHKの「脱線問答」という木曜の夜のバラエティ番組の回答者として、コケットリーを振りまいていた記憶がありますが、第７作（奮闘編）当時の榊原るみさん（花子さん）と同年齢の二十歳はマドンナとしては若すぎです。寅さんと距離を置いているように見えるのは、英語が上手すぎることもあるかもしれません。寅さんが第２作で失恋した相手は英語の先生（散歩先生）の娘さん（夏子さん）でした。めぐみちゃんはバイリンガルですが、お母さん（圭子さん）は翻訳の仕事をしているけれど会話は英会話教本の模範解答みたいな感じです。さくらさんは学校では英語の成績が良かったけれど実用的な英会話は身に着けていない様子。博さんは学歴以上の教養があり、たぶん英語もかなり分かるけれど、下手な英会話でボロを出すまいと見栄を張っているに違いない。満男君は英会話教室で習ったばかりの英語のフレーズを口にするけれど、本格的な英語習得に向かっているようには見えません。タコ社長はカタカナ英語の単語を並べただけでコミュニケーションを取っているつもりのようです。おいちゃんは英語はまったく無視、おばちゃんは、堂々とすべて日本語で話しかけています。
（次のコメントへ続く）
テーマソングが流れる間の映像は、ミニスカートのテニスギャルたちの素振りの練習に女子の体操選手の準備運動風景、一斉にノースリーブとショートパンツ姿になった女子に数名の男子部員の目が釘付けになり、一名は股間の変化を見られたようです。寅さんは若い女子たちの姿を眩しそうに見て立ち去ります。ラストでめぐみちゃんが朝日印刷の工員たちとスキー旅行へ出発するのを、おばちゃんが「若いっていいね！」と言って見送る場面と対になっていると思います。
東京の予備校に通う浪人生だった私に１９７９年の明るい印象はありませんが、ブドウが山積みになって、土産も有り余っているのは豊作だったようです。千葉の寺で飼っていた虎が逃げ出した事件も気候のせいだったのかもしれません。９月には台風で雷による停電を経験しました。寅さんが「ブドウ」と「タイガー」にそれぞれ怒り出すのも気候のせいだったのかもしれません。でも紀州路を歩く寅さんに寄りそうオーケストラの音楽は夢見るような美しさです。
林寛子さんは当時NHKの「脱線問答」という木曜の夜のバラエティ番組の回答者として、コケットリーを振りまいていた記憶がありますが、第７作（奮闘編）当時の榊原るみさん（花子さん）と同年齢の二十歳はマドンナとしては若すぎです。寅さんと距離を置いているように見えるのは、英語が上手すぎることもあるかもしれません。寅さんが第２作で失恋した相手は英語の先生（散歩先生）の娘さん（夏子さん）でした。めぐみちゃんはバイリンガルですが、お母さん（圭子さん）は翻訳の仕事をしているけれど会話は英会話教本の模範解答みたいな感じです。さくらさんは学校では英語の成績が良かったけれど実用的な英会話は身に着けていない様子。博さんは学歴以上の教養があり、たぶん英語もかなり分かるけれど、下手な英会話でボロを出すまいと見栄を張っているに違いない。満男君は英会話教室で習ったばかりの英語のフレーズを口にするけれど、本格的な英語習得に向かっているようには見えません。タコ社長はカタカナ英語の単語を並べただけでコミュニケーションを取っているつもりのようです。おいちゃんは英語はまったく無視、おばちゃんは、堂々とすべて日本語で話しかけています。
（次のコメントへ続く）
（続き）
外国人男性が英語を話せない日本人女性を好きになった途端に日本語が格段に上達するのは、映画の１０年後に就職した会社のラボでつぶさに観察したことでした。マイコさんが京都を目指したのも日本語力が向上して自信がついたからのようで、後ろ姿を日本的な音楽が追っていました。京都での商売は全然ダメでしたが、京都弁の女性店主と堂々と日本語と英語を交えて渡り合い、コミュニケーション能力だけは高かったようです。マイコさんが薬のセールスに奮闘している間、寅さんは日本人の健康について下駄の効果を力説しています。
大衆演劇にアレンジされた「蝶々夫人」を観る羽目になったのは、「車先生」の代理のようです。伴奏が笛と太鼓とアコーディオンの三人というショボさも新鮮です。「ある晴れた日に」はアメリカ人の夫の帰りを待ち焦がれる蝶々さんの歌であり、マイコさんの憧れでしかありません。途中からさくらさんの歌の妄想になりますが、大オーケストラをバックにしたさくらさんの歌唱も見事で本格的なオペラ歌手に引けを取りません。
圭子さんのテーマはウインナワルツ風の表情豊かなメロディーですが、弱音器をつけたヴァイオリンの音色がマドンナの控えめな人柄を表現しているようです。マドンナの婚約者の出現に「ご親戚？」と寅さんが尋ねる場面は第１作を思い出しますが、すっかり寅さんの諦念が板について深まりを増しているようです。タンカーの船員だそうで「蝶々夫人」のピンカートンを連想させますが、日本で待っている奥さんを大事にすることを願うばかりです、
マイコさんを送る宴会では、「ゴンべさんの赤ちゃん」と原曲の「リパブリック讃歌」の歌合戦になっていますが、当時の日本はまだカラオケは一般的ではなかったようです。平成以後の日本ならロック＆ポップスの名曲を画面の歌詞を見ながら歌うのも一般的です。上野で朝まで飲んで騒ぐのは、コロナ禍の今は許されなくなってしまい、隔世の感があります。「なんで結婚しないんだ？」の英語がまったく理解できないまま、心が通じている寅さんのコミュニケーション能力もなかなかです。
マイコさんのアリゾナからの手紙は、英語での「思えば恥ずかしき事〜〜」が寅さんの気持ちの英訳そのもので味わい深いです。日本のことを全く知らないガソリンスタンドの店員が、さくらさんの写真を見て「インディアンの女か？」と言ってマイコさんに日本語で「バカヤロウ！」と叱られますが、西部劇に登場するような先住民の美女を連想したに違いないので悪気は全くないと思います。
（終わり）
外国人男性が英語を話せない日本人女性を好きになった途端に日本語が格段に上達するのは、映画の１０年後に就職した会社のラボでつぶさに観察したことでした。マイコさんが京都を目指したのも日本語力が向上して自信がついたからのようで、後ろ姿を日本的な音楽が追っていました。京都での商売は全然ダメでしたが、京都弁の女性店主と堂々と日本語と英語を交えて渡り合い、コミュニケーション能力だけは高かったようです。マイコさんが薬のセールスに奮闘している間、寅さんは日本人の健康について下駄の効果を力説しています。
大衆演劇にアレンジされた「蝶々夫人」を観る羽目になったのは、「車先生」の代理のようです。伴奏が笛と太鼓とアコーディオンの三人というショボさも新鮮です。「ある晴れた日に」はアメリカ人の夫の帰りを待ち焦がれる蝶々さんの歌であり、マイコさんの憧れでしかありません。途中からさくらさんの歌の妄想になりますが、大オーケストラをバックにしたさくらさんの歌唱も見事で本格的なオペラ歌手に引けを取りません。
圭子さんのテーマはウインナワルツ風の表情豊かなメロディーですが、弱音器をつけたヴァイオリンの音色がマドンナの控えめな人柄を表現しているようです。マドンナの婚約者の出現に「ご親戚？」と寅さんが尋ねる場面は第１作を思い出しますが、すっかり寅さんの諦念が板について深まりを増しているようです。タンカーの船員だそうで「蝶々夫人」のピンカートンを連想させますが、日本で待っている奥さんを大事にすることを願うばかりです、
マイコさんを送る宴会では、「ゴンべさんの赤ちゃん」と原曲の「リパブリック讃歌」の歌合戦になっていますが、当時の日本はまだカラオケは一般的ではなかったようです。平成以後の日本ならロック＆ポップスの名曲を画面の歌詞を見ながら歌うのも一般的です。上野で朝まで飲んで騒ぐのは、コロナ禍の今は許されなくなってしまい、隔世の感があります。「なんで結婚しないんだ？」の英語がまったく理解できないまま、心が通じている寅さんのコミュニケーション能力もなかなかです。
マイコさんのアリゾナからの手紙は、英語での「思えば恥ずかしき事〜〜」が寅さんの気持ちの英訳そのもので味わい深いです。日本のことを全く知らないガソリンスタンドの店員が、さくらさんの写真を見て「インディアンの女か？」と言ってマイコさんに日本語で「バカヤロウ！」と叱られますが、西部劇に登場するような先住民の美女を連想したに違いないので悪気は全くないと思います。
（終わり）
前作の「翔んでる寅次郎」のマドンナのテーマは、自由と幸せを夢見るマドンナの気持ちを表現するような明るく軽快なメロディーでしたが、今回のマドンナのテーマは亡くなった旦那さんとの幸せな生活を思いだしているような愛しさが感じられ、後半に半音階的な進行があるのも柴又の雰囲気とはかけ離れています。
石原慎太郎が「NOと言える日本」を発表したのは１０年後でした。めぐみちゃんのお勧めの「impossible」は「ダメっ！！」と同様なので、英語の表現としてもキツ過ぎると思います。「Thank you, but ...」くらいが会話として相応しいのではないでしょうか？ラストで、職工さんのスキーツアーについていくめぐみちゃんに、おばちゃんが「ダメな時は、インポシブル！と断るんだよ！」と言い聞かせるところが愉快です。
大阪なら断る時は遠回しに「考えときます」と言うらしいですが、京都に営業に行ったマイコさんは日本語が上達したのに結構ハッキリと断られていて、日本の地位も上がったものだと思います。カタコトの英語であっという間にマイコさんを「マダムバタフライ」の舞台に引き入れてしまった大空小百合さんのコミュ力／営業力はマイコさんより遥かに上手としか言いようがありません。
三回目に見たら、最後のアリゾナのガソリンスタンドでのマイコさんの悪態の英語が（字幕を見ながら）ほとんど聞き取れました。さくらさんの面影を心に留めながら、すっかりアメリカ人に戻ったようです。
石原慎太郎が「NOと言える日本」を発表したのは１０年後でした。めぐみちゃんのお勧めの「impossible」は「ダメっ！！」と同様なので、英語の表現としてもキツ過ぎると思います。「Thank you, but ...」くらいが会話として相応しいのではないでしょうか？ラストで、職工さんのスキーツアーについていくめぐみちゃんに、おばちゃんが「ダメな時は、インポシブル！と断るんだよ！」と言い聞かせるところが愉快です。
大阪なら断る時は遠回しに「考えときます」と言うらしいですが、京都に営業に行ったマイコさんは日本語が上達したのに結構ハッキリと断られていて、日本の地位も上がったものだと思います。カタコトの英語であっという間にマイコさんを「マダムバタフライ」の舞台に引き入れてしまった大空小百合さんのコミュ力／営業力はマイコさんより遥かに上手としか言いようがありません。
三回目に見たら、最後のアリゾナのガソリンスタンドでのマイコさんの悪態の英語が（字幕を見ながら）ほとんど聞き取れました。さくらさんの面影を心に留めながら、すっかりアメリカ人に戻ったようです。
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