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コメント(37)
ワット君はいいですね。昔の日本人のまじめな青年はあんなふうに汚れてて無骨で生真面目だったんでしょう。
「私、それから泣くのやめたの」と、父がなくなったときの話をする幸子。泣かないと決めた幸子が、母の急変で帰省しようとするときに突然のワットの愛の告白にボロボロ泣いてしまう。父の死よりも大きな感情に揺るがされた瞬間でした。ここのどちらのシーンでも大竹しのぶさんが実にうまい。とくに後者のシーンでは、突然の込み上がる感情に表情を失いながら、涙が自然にあふれてくる、こんな演技は人生経験をたっぷり積んでないとできないはずなのに年齢を考えると・・・・、やはり天才なんでしょう。それを生かしきる山田監督も天才です。
「私、それから泣くのやめたの」と、父がなくなったときの話をする幸子。泣かないと決めた幸子が、母の急変で帰省しようとするときに突然のワットの愛の告白にボロボロ泣いてしまう。父の死よりも大きな感情に揺るがされた瞬間でした。ここのどちらのシーンでも大竹しのぶさんが実にうまい。とくに後者のシーンでは、突然の込み上がる感情に表情を失いながら、涙が自然にあふれてくる、こんな演技は人生経験をたっぷり積んでないとできないはずなのに年齢を考えると・・・・、やはり天才なんでしょう。それを生かしきる山田監督も天才です。
この週末にまた観ました。
大竹しのぶは声の力が凄いなぁ。発声が違います。圧倒されました。
ワット君こと中村雅俊、本当に背が高いのですね。とらやに頭を傾けて入っていましたもの。それはさておき、彼は長崎の平戸出身の設定ですが、40作で寅さんは大学の教室で学生たちにワット君の自殺未遂エピソードを語るとき、「宮城県出身！」と言っていました。それって、中村雅俊本人のことですよね（笑）。
本作のマドンナは、ある意味で純粋過ぎて生きにくい面があるのかなぁ、と感じました。だから寅さんに安心したのだろうし、まさにそれだから寅さんの気持ちにも気付かないのですね。寅さんにとっては、懐かれても惚れられないというジレンマを鋭く突きつける相手だったのかもしれませんね。
大竹しのぶは声の力が凄いなぁ。発声が違います。圧倒されました。
ワット君こと中村雅俊、本当に背が高いのですね。とらやに頭を傾けて入っていましたもの。それはさておき、彼は長崎の平戸出身の設定ですが、40作で寅さんは大学の教室で学生たちにワット君の自殺未遂エピソードを語るとき、「宮城県出身！」と言っていました。それって、中村雅俊本人のことですよね（笑）。
本作のマドンナは、ある意味で純粋過ぎて生きにくい面があるのかなぁ、と感じました。だから寅さんに安心したのだろうし、まさにそれだから寅さんの気持ちにも気付かないのですね。寅さんにとっては、懐かれても惚れられないというジレンマを鋭く突きつける相手だったのかもしれませんね。
BS テレ東��
[シネマジャパン]【やっぱり土曜は寅さん！】
2週連続で観ました
「男はつらいよ 寅次郎頑張れ！」1977年/松竹/カラー/95分
監督:山田洋次 脚本:山田洋次、朝間義隆 撮影:高羽哲夫 音楽:山本直純
出演:渥美清、倍賞千恵子、中村雅俊、大竹しのぶ、藤村志保、下條正巳、三崎千恵子、前田吟、太宰久雄、佐藤蛾次郎、笠智衆、米倉斉加年、桜井センリ、岡本茉莉
子供の頃、家族で寅さんを観ることが恒例の家庭行事でした
当時道頓堀の浪花座で観たのを覚えています
当たり前だけど中村雅俊さんも大竹しのぶさんも若いです
マドンナは藤村志保さん
寅さんは若い二人のデートのアドバイス(笑)(゜o゜)＼(-_-)
[シネマジャパン]【やっぱり土曜は寅さん！】
2週連続で観ました
「男はつらいよ 寅次郎頑張れ！」1977年/松竹/カラー/95分
監督:山田洋次 脚本:山田洋次、朝間義隆 撮影:高羽哲夫 音楽:山本直純
出演:渥美清、倍賞千恵子、中村雅俊、大竹しのぶ、藤村志保、下條正巳、三崎千恵子、前田吟、太宰久雄、佐藤蛾次郎、笠智衆、米倉斉加年、桜井センリ、岡本茉莉
子供の頃、家族で寅さんを観ることが恒例の家庭行事でした
当時道頓堀の浪花座で観たのを覚えています
当たり前だけど中村雅俊さんも大竹しのぶさんも若いです
マドンナは藤村志保さん寅さんは若い二人のデートのアドバイス(笑)(゜o゜)＼(-_-)
前作で大洲城の殿様からやっと逃げ出した寅さんに、高級ベッドのフカフカの布団でのお休みは全く似合いません。お金持ちになってしまった寅屋の皆さんが夢だったので、目が覚めてさぞホッとしたことと思いますが、泥棒に鞄を盗まれたのに気づいて大立ち回りです。今回のテーマソングは短めです。サックスのベルからミカンを入れてしまう悪戯は、「題名のない音楽会」か「オーケストラがやってきた」で見たような気がします。
二十歳の大竹しのぶ（東京出身）の東北のなまりが板についています。幸子さんのテーマが泣いているような感傷的なメロディーで、ワット君より我々観客の方が幸子さんの気持ちがわかるような気分になります。この当時は「カップル」ではなく「アベック」で「キッチャテン」です。「ワット君」というあだ名は誰が付けたのかわかりませんが、電気工事の地道な仕事に即した呼び名で良いと思います。
猿が登場してワット君にからかわれたり、源ちゃんが真似したりしていて、食べ物の与えられすぎで体を壊し、逃走して行方不明になったようですが、その後が気になります。前作の「トラ」と名付けられた犬と同じく、寅さんの同類ということでしょうか？源ちゃんがいつのまにか彼女を作って遊んでいることに、御前様からのお咎めはなかったのでしょうか？警官の米倉斉加年さんは、張り切り過ぎて、押し売りの通報で飛んできたり、猿に噛まれたりしています。
平戸の街は１９９４年のＧＷに五度目の九州の旅で寄ったので、映画のイメージよりは栄えている中心街や土壁の残る古い街に教会が聳える風景も記憶に残っています。ワット君に彼女と一緒に花を愛でるアドバイスをした寅さんは、藤子さんから花を見せられてコケる結果になりました。教会から聞こえてくるモーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」のテンポが速くて行進曲みたいですが、それだけキリスト教の音楽が隠れキリシタンの街に日常的に浸透しているのだろうと思います。モーツァルトの死の直前の澄み切った音楽が悲劇的な結末を予想させます。藤子さんのテーマは前作の鞠子さんのテーマとソックリで、やっぱり寅さんの運命の人には成り損なうことを暗示しているようです。藤子さんの長崎弁も板についていて、地元を離れられる人ではないようです。寅さんがマドンナの店の仕事に張り切るのは、浦安の豆腐屋以来ですが、渡し船の増便に繋がったりして街の活性化に貢献していました。
幸子さんの伯父さんの歌うシューベルトの「菩提樹」はプロのレベルですが、三番まで歌うのでおいちゃんもタコ社長もすっかり飽きています。「菩提樹」は失恋して旅に出る若者の心を歌った連作歌曲集「冬の旅」の一曲なので、この後の寅さんには残酷なほど似合いすぎます。ワット君がお姉さんと寅さんの気持ちの両方を理解してしまったのは、寅さんのコーチの賜物かもしれません。
ラストシーンで寅さんは旅回りの一座と再会しますが、別所温泉での大盤振る舞いに関する言葉は聞き取れませんでした。相変わらず「車先生」と慕われていること、今回の恋愛指南役、三作前での画家先生の心を動かしたことなどと併せて、寅さんの人間的な深まりを感じます。
二十歳の大竹しのぶ（東京出身）の東北のなまりが板についています。幸子さんのテーマが泣いているような感傷的なメロディーで、ワット君より我々観客の方が幸子さんの気持ちがわかるような気分になります。この当時は「カップル」ではなく「アベック」で「キッチャテン」です。「ワット君」というあだ名は誰が付けたのかわかりませんが、電気工事の地道な仕事に即した呼び名で良いと思います。
猿が登場してワット君にからかわれたり、源ちゃんが真似したりしていて、食べ物の与えられすぎで体を壊し、逃走して行方不明になったようですが、その後が気になります。前作の「トラ」と名付けられた犬と同じく、寅さんの同類ということでしょうか？源ちゃんがいつのまにか彼女を作って遊んでいることに、御前様からのお咎めはなかったのでしょうか？警官の米倉斉加年さんは、張り切り過ぎて、押し売りの通報で飛んできたり、猿に噛まれたりしています。
平戸の街は１９９４年のＧＷに五度目の九州の旅で寄ったので、映画のイメージよりは栄えている中心街や土壁の残る古い街に教会が聳える風景も記憶に残っています。ワット君に彼女と一緒に花を愛でるアドバイスをした寅さんは、藤子さんから花を見せられてコケる結果になりました。教会から聞こえてくるモーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」のテンポが速くて行進曲みたいですが、それだけキリスト教の音楽が隠れキリシタンの街に日常的に浸透しているのだろうと思います。モーツァルトの死の直前の澄み切った音楽が悲劇的な結末を予想させます。藤子さんのテーマは前作の鞠子さんのテーマとソックリで、やっぱり寅さんの運命の人には成り損なうことを暗示しているようです。藤子さんの長崎弁も板についていて、地元を離れられる人ではないようです。寅さんがマドンナの店の仕事に張り切るのは、浦安の豆腐屋以来ですが、渡し船の増便に繋がったりして街の活性化に貢献していました。
幸子さんの伯父さんの歌うシューベルトの「菩提樹」はプロのレベルですが、三番まで歌うのでおいちゃんもタコ社長もすっかり飽きています。「菩提樹」は失恋して旅に出る若者の心を歌った連作歌曲集「冬の旅」の一曲なので、この後の寅さんには残酷なほど似合いすぎます。ワット君がお姉さんと寅さんの気持ちの両方を理解してしまったのは、寅さんのコーチの賜物かもしれません。
ラストシーンで寅さんは旅回りの一座と再会しますが、別所温泉での大盤振る舞いに関する言葉は聞き取れませんでした。相変わらず「車先生」と慕われていること、今回の恋愛指南役、三作前での画家先生の心を動かしたことなどと併せて、寅さんの人間的な深まりを感じます。
寅さんはマドンナに付き合って教会の説教を聞かされたようです。キリスト教と仏教と神道の三つの宗教が混在する古い日本的な街です。マドンナのテーマはモーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」にインスパイアされた音楽らしいと気づきました。
幸子さんの叔父さんを演じる築地文夫さんは、オペラ歌手として活躍して令和になってから亡くなったようです。秋田県出身だそうですが、映画の中でも秋田出身を強調し、大竹しのぶさんの秋田弁のコーチもしていたものと想像します。寅さんの失恋シーンで歌う「菩提樹」のための起用だと思いますが、寅さんが平戸でご機嫌で口ずさむ「憧れのハワイ航路」とコントラストをなしています。
ラストシーンで二度目の再会をする旅の一座の座長と娘さんの看板女優さんは、冒頭の夢（寅さんにとっては悪夢そのもの）に執事とメイドとして登場していました。この先「レ・ミゼラブル」の公演があるそうです。「囚われの身」の物語ですが、冒頭の夢の豪邸は寅さんにとっては牢獄、平戸ではマドンナの店に喜び勇んで留守番を買って出ています。最後にトラックで「護送」されることで、物語が見事につながりました。
幸子さんの叔父さんを演じる築地文夫さんは、オペラ歌手として活躍して令和になってから亡くなったようです。秋田県出身だそうですが、映画の中でも秋田出身を強調し、大竹しのぶさんの秋田弁のコーチもしていたものと想像します。寅さんの失恋シーンで歌う「菩提樹」のための起用だと思いますが、寅さんが平戸でご機嫌で口ずさむ「憧れのハワイ航路」とコントラストをなしています。
ラストシーンで二度目の再会をする旅の一座の座長と娘さんの看板女優さんは、冒頭の夢（寅さんにとっては悪夢そのもの）に執事とメイドとして登場していました。この先「レ・ミゼラブル」の公演があるそうです。「囚われの身」の物語ですが、冒頭の夢の豪邸は寅さんにとっては牢獄、平戸ではマドンナの店に喜び勇んで留守番を買って出ています。最後にトラックで「護送」されることで、物語が見事につながりました。
幸子さんの叔父さんが歌った「菩提樹」の歌詞を説明したホームページを見つけました。失恋して旅に出る寅さんの気持ちが悲しくなるくらいに分かります。
https://www.worldfolksong.com/classical/schubert/lindenbaum.html
シューベルトの原曲は短調になったり、風が吹いたり起承転結のある構成ですが、叔父さんの歌った日本語訳では同じメロディーを３番まで繰り返す通説歌曲の構成になっています。
「したいゆきては」は、寅さんやタコ社長なら「死体が行くのか？」とツッコミを入れるところですが、タコ社長は聞きなれないクラシックに居心地悪そうにしているし、寅さんは何かを察したのか席を外して、ワット君とマドンナの会話を耳にしてしまいました。
原曲と構成が変わっていますが、日本語訳も原曲の歌詞の意味とストーリーに忠実ですので、寅さんの旅立ちを見送る歌になっているのは変わりありません。風で帽子が飛んでしまったという歌詞は、原曲から日本語訳でも再現していますが、冒頭の夢のシーンの後、寅さんの帽子がスリに持っていかれたことに見事につながっています。
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