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瀧口修造コミュの『瀧口修造からの贈物』

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June 17, 1974 Tokyo

To Dear
Keen to every
Unknown venture
Green forever
Against evil and collapse.

Time
Offers
Space
Honeycomb
Innermost
Nature's
Offsprings
Rose
It's life.
(S?lavy)

I'm very much pleased to hear from you about the wonderful
trip even after the Duchamp in Chicago and Philadelphia. Excuse me
for the delay in writing you because of uneasiness in my health.
The above acrostic poem is not so successful. I really missed to
give you my patented 'Liberty Passport' (a talisman, so to say),
and I hope this small play of word will deserve for it.
Good luck, and Best wishes to your kind friends there.
Love always,
Shuzo Takiguchi

*       *        *

この詩は『続 余白に書く』に掲載されていますが、実は私がモンタナ州に滞在していたときに届いた瀧口修造からの手紙の一部でした。同書物の編集過程で詩に続くこの手紙の部分が何かの理由により取り除かれてしまいましたが、それは私と瀧口修造とを結ぶひとつの証明として重要なのです。つまり、彼自身もこの手紙のなかでそのことに触れていますが、それは私への表紙のない『リバティ・パスポート』でした。
ニューヨーク下調べもあり、また一度アメリカをこの眼で確かめておきたいと思っていた私は、1974年の晩春、瀧口先生の強い勧めもあり、当時The Art Institute of Chicagoでちょうど終盤を迎えようとしていた『マルセル・デュシャン展』に間に合わせようと、急遽、初渡米を決めたのでした。会場には瀧口修造が寄贈した『デュシャンのプロフィール』も展示されており、そのことを確かめるように彼から頼まれていました。
シカゴからニューヨークへ、篠原有司男、河原温両氏のロフトに泊めていただき、彼らの制作活動を観察。さらにデュシャンの『大ガラス』、『エタン ドネ』を見るためにフィラデルフィアへ、美術館はあいにく当日休館でしたが、事情を話すと、幸運にも私だけ特別にデュシャンの部屋へ案内してくれました。
旅行目的を果たし日本へ帰る日が近づいたころ、私は無性にあのロッキー山脈の見えるモンタナへ戻りたくなり、ボーズマンに大きな家を持つ知人、サラとメアリー親子を再訪問しました。雄大なロッキーの山麓を独りで散策し、大きな水晶のように突然蒼空に浮かぶクラウドボー(晴天に生まれる虹)を眺めたり、岩の上に立って自分の足型をマークしたり、トマト畑作りやペンキ塗りを手伝ったり、夜は圧倒的に星で埋まった星空を眺めたり、地球のてっぺんにいるような孤独と自由を楽しみ、味わいました。
そんなある日、サラが瀧口先生から送られてきた一通の手紙を私に手渡したのです。彼女は帰国後ガートルード・スタイン流の手紙を送ってよこすような知的な女性で、瀧口先生も「彼女はなかなかの哲学者だ」と苦笑されていましたが、そんなサラが瀧口先生のこの英文の手紙を何度も読み返し、深く感動していたのが印象的でした。
私がこのトピックでご紹介した『贈物』は、今回が初めての公開でした。皆さんへ瀧口修造の心のこもった贈物が届きますように。

コメント(3)

タシ クンガさん

この度の文章を読んでいて,いろいろと思うところありました。旅は愉しいです。ぼくも昨年モンタナのグレーシャー国立公園に10日ほど滞在して毎日山登りをしていました。無性にロッキー山脈を見たくなったとのこと,わかるような気がいたします。

日本にいると「自然に包まれる」という優しい気持ちになれることが多いのですが,アメリカのあの雄大な自然の中ではむしろ寂寥感を感じます。しかし同時に,わたしの場合,人の気配をまったく感じないで済むという意味で開放感を味わいました。

それにしても『続 余白に書く』に掲載されていたあの詩に,こんな麗しい私信が添えられていたとは! というよりもあの詩は私信の一部だったのですね。my patented 'Liberty Passport' の言葉があって,はじめて了解可能になるように思いました。

As the wonderful holidays approach, I would like to take this opportunity to send you my best wishes. Thank you again for your message.
コミュニティの皆さん、
明けましておめでとうございます。
2008年がすばらしい年でありますように!

こうして正月にタイプを打っていますと、私は確か1973年の元旦に、瀧口修造の書斎を訪れていたのを思い出します。いつものように玄関で綾子夫人が私を迎えてくださり、書斎を覗くと、瀧口先生はちょうどタイプライターから打ち終わった英文の原稿を取り出すところでした。「前から頼まれていた原稿がやっと今終った」と彼は呟いて、その内容を私に説明してくださいました。この英文は1973年のフィラデルフィア美術館とニューヨーク近代美術館とによるマルセル・デュシャン大回顧展のカタログのなかで紹介されています(同カタログ222頁、223頁)。サルバドル・ダリの家の前で予期せずに出会った、入れ替わりの次の訪問客、マルセル・デュシャンについてです。その原稿のなかでは記述されていませんが、そのときの、瀧口修造とデュシャンとの短い言葉のやりとりが実に鋭利でおもしろいのです。質問の許しを得て、瀧口修造はデュシャンへ尋ねる。「ところであなたのアートについてですが、いや違う!……」、ここで会話が途切れる。それを見たデュシャンは瀧口修造に笑みを浮かべる。この言葉によって、マルセル・デュシャンは瀧口修造のアートに対する透徹した洞察力を知ったのだ、と私は思うのです。

さて、作太郎さん、遅くなりましたが、コメントありがとうございます。
あれから倉庫を整理していましたら、懐かしい私がモンタナに滞在していた当時の何枚かの小さな写真とその後のSaraからの手紙が出てきました。あなたが一昨年モンタナを訪れてらっしゃったと知り、この古い、しかし記憶は鮮やかな写真と手紙を掲載したいと思います。
私はコンピューター操作に弱く、時代からかなり遅れていますが、最近スキャナーを入手し、取り付けることに成功しました(笑)。
ここで、トピックでご紹介した手紙をもういちど掲載させていただきます。それに加えて私の個展に訪れた瀧口修造の横顔(1976年)もいっしょに。

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