OK Waveという、一般公開のQ&Aの掲示板を見て、中国語に関する質疑応答の例を読んでみました。 中国語をかなり理解していると自信のある人が書いているのかもしれませんが、「中国の簡易字」だの、「ピンインは中国政府が作った」だの、間違った表現、単なる推測が ひしめいていて、読んでいてため息が出ました。
また、一般的には見る機会がありませんが、二文字で表わされている zh ch sh は、「音韻的に一対一」にするために、z c s それぞれの頭に 第三声のアクセント記号を載せたような文字で書いてもよいという規定は、ピンインにはあります。 ng も、国際音声記号と同じ形の、n の右部分を下に伸ばして、左にカールさせた形を使っていいという規定があります。
< zh ch sh r >
しかし、「本来のローマ字をいじらない」という原則をとって、ピンインの最終の形は、zh ch sh / ng という、二文字の組み合わせでひとつの音を示す案が採択されました。
ところが、多くの人は、この綴りに惑わされて、sh と r が 音声上は、無声音と有声音のペアになっていることを教えられていません。
実は、漢語ピンイン方案のなかで、M L N NG とともに、 R は、濁る音(有声音、voiced sounds)なのです。
したがって、入門者の人が直感的に、「熱」「日」の発音の、RE RI が、日本人の耳には「ジュー・ジヲー」「ジ−」に聞こえるというのは、おかしくないと思います。しかも、中国語の音韻の歴史からいっても、それは間違っていません。
イギリス人が考案した Wade-Giles 方式のローマ字では、「熱」「日」は、jêh jih と綴っていました。
(現在のピンインの J の音は、そのローマ字つづりでは、ch で綴られていました)
これは、英語を母語にする人には自然だったのでしょう。