弁護士　高林鮎子コミュの第十話は「博多ー札幌殺人ルート」

『弁護士　高林鮎子』の第十話は「博多ー札幌殺人ルート」といいます。

放映日時：1992年3月10日
監　督：小松範任
原　作： 横須賀線殺人事件
脚　本：高久　進
視聴率：17.9 ％
メィンゲスト：頭師孝雄 平泉　成

（配役）
高林鮎子： 真野あずさ
竹森慎平： 橋爪功
草鹿達之介： 丹波哲郎
頭師孝雄
平泉成

（内容紹介）

ある日、草鹿法律事務所に中学生の姉と小学生の弟の兄弟が鮎子を訪ねてきます。数年前、兄弟の父親が横浜駅前のタクシー乗り場で倒れた際に、偶然鮎子が居合わせて救急車を呼んで病院まで同乗した縁があったからです。父親は心臓発作で亡くなりましたが、兄弟は父親の弟に引き取られて今は幸せに暮らしている筈でした。兄弟はそのおじさんが警察に事情聴取を受けている事を心配して、鮎子に相談を持ちかけたのです。二人の話によると、叔父の勤める会社の社員が土曜日の早朝に横須賀線で殺害され、直前まで一緒だった叔父が疑われているというのです。鮎子は早速取り調べをしている警察署に出向いて、叔父さんが任意で事情を聞かれていることを確かめ、とりあえず帰宅させるように交渉します。警察も渋々帰宅に応じ、兄弟とともに叔父さんは自宅に戻っていきました。

ところが、叔父さんの勤める会社の社員が再び博多で殺害され、再び叔父さんが警察に呼ばれたと兄弟から電話が鮎子の元に。鮎子と慎平は再び以前出向いた警察署へ急ぎます。そこで実は叔父の会社の取引先で、兄弟の父親が勤めていた会社の社長が詐欺に遭い２億円が詐取された際の実行犯が殺された二人によく似ており、叔父さんも共犯なのではないかと疑われていたのでした。この話を聞いた時、鮎子には思い当たることがありました。実は兄弟の父親は過労死の疑い強く、鮎子も父親の会社に労災申請に応じるように交渉に行って社長に拒否されたことがあったのです。鮎子は残された子供達の生活を考えて、そんな交渉を自弁でおこなったのですが、実の弟の叔父さんが、その兄の会社に恨みを抱いている可能性はあります。次第に叔父さんへの疑いの目を向け出す鮎子と慎平。二人は叔父さんが主張するアリバイを追います。

トリックは、鉄道と飛行機の併用によるアリバイ工作です。叔父さんのアリバイは、博多で殺された共犯者が殺害された自国には出張で博多へ向かう新幹線の中にいたというものでした。確かめてみると熱海駅で叔父さんに書類を届けた同僚の証言と、小倉辺りを走っていた新幹線の車内で偶然に叔父さんに会った知人の証言が元になっています。同僚は事前に約束してアリバイ作りに利用できますが、知人は本当に偶然に出会っておりアリバイ工作とは思えませんでしたが、叔父さんが此の大切なアリバイを警察で証言していないことに鮎子が疑問を持ち、慎平がその謎を解いていくのです。

新幹線が「のぞみ」でも必ず停車する駅は、東海道新幹線の場合だと、名古屋、新大阪、広島、博多です。此の四つの駅の中で、飛行場とアクセス時間が短く便利なのは、新大阪と博多です。以前は名古屋も良かったんですが中部国際空港の開港で名古屋市内にあった小牧空港は民間機の発着が無くなりました。新大阪と伊丹空港は、タクシーなら１５分。博多と福岡（板付）空港はタクシーで２５分、地下鉄なら２０分程度です。

もし、貴方が熱海に停まる博多行きの「ひかり」に乗ったとします。予め自由席券を購入しておき、新横浜通過あたりで車掌室に出向いて「博多」から「大牟田」へ行きたいのだか乗り換え列車を教えて欲しいとか云ってアリバイ作りをします。その上で一旦「熱海」で降りたとします。新幹線は４時間後に博多に着きますが、貴方は反対側のホームの新幹線で「東京駅」へ戻り、殺したい相手を東京駅前の大手町の地下駐車場に呼び出して殺したとしましょう。その上で、貴方は東京駅に戻り、「浜松町」からモノレールを乗り継いで羽田空港へ向かいます。そして飛行機で博多空港へ。飛行時間は８０分ほど。そして空港から「博多駅」に向かい、新幹線で「小倉」へ向かいます。貴方の乗っていた新幹線に小倉で乗り込み、再び車掌室に出向いて、もう一度「大牟田」行きの列車の乗り継ぎを確認したら、さも最初から乗っていたようなアリバイ工作が出来ますね。

・・・そんなことは可能か？時刻表を手に取られ、新幹線と飛行機の時刻表を見比べて、実現可能か考えてみるというのも、時刻表の楽しみ方のひとつです。此の日曜日に少しやってみませんか。舞台は札幌行きの寝台列車とか、まあ色々想定できますので、頭の体操と「高林鮎子シリーズ」を楽しむ意味で挑戦をお薦めします。