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信長の眉間コミュの「戯曲・ノブナガ」vol.4

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○大きな河原
物置小屋の中で村の娘を相手にファックしているノブナガ。
ややぎこちなく着物の上から豊満な胸をまさぐり、尻を撫で回す。
片手には愛蔵の春画を持ち、大真面目に同じような体位に持ち込もうとするがなかなかうまく行かない。
小屋の窓から川の向こうにそびえ立つ稲葉山と、その頂上に光る稲葉山城が見える。
 
○稲葉山城

天守閣から見た美濃の全景。
じっくりとそれを眺めている斎藤道三の剥げ頭。
周りを飛んでいた蝿を両手で叩き潰し、何度も手をこすり合わせて
(憎々しげに)それをすり潰して袴の裾で拭き取る。

道三「(側にいる濃姫に向かって)まこと、ここから観た美濃の景色は
    ワシの身体そのものじゃの」

濃姫「ホッホッ、父さま、いったい何のことにございまするか。」

道三「つまりあの長良川が我が動脈、この稲葉山が
   我が心臓という訳じゃ。この美濃という強靭な身体が
   今に天下を斬り従える」

濃姫「まあ、面白い」

道三「(少し驚いて)面白い?面白いのか」

濃姫「ええ、面白うございますわ」

道三「その前に尾張のこうるさい蝿を何とかせねばならぬ。
   じゃが叩きつぶせば手が汚れる。今は瀬戸際なのだ」

濃姫はじっと道三の目を見るが、道三は目を背ける。
その時、階下から侍従の声がする。

侍従1「殿、そろそろ“余興”の時間でございます。
    鷺山の城へ御降り下され」
 
○鷺山城の庭

激しく燃えているかがり火。
荒縄に縛られた左足首のアップ。
続いて右足首。
一人の男が後手に縛られ土の上に転がされている。
両足首の荒縄はそれぞれ別々の方角を向いた
荒牛の頚に繋がれている。
牛の後には鞭を持った刑士。
少し離れた所でオロオロと泣いている女。
転がされている男の女房である。
城門から中を覗こうとひしめき合う人々。
城庭の外には人だかりが出来ている。
木によじ登っている者もいる。
庭を見渡す縁台に道三と濃姫、近従の者共が座している。
執行人が男の罪状を読み上げる。姦通である。
執行人「かかる罪によってこの男を牛裂きの極刑に処す。」
男の女房が喚いて騒ぎ、取り押えられる。

鞭の音が響き、二匹の牛が猛烈な勢いで左右へ走りだす。

男の断末魔の悲鳴、血しぶき。

顔を背ける人々。

縁台にいる人々も目を覆っているが
道三は涼しい顔でその惨劇の向こうの暮れなずむ空を見ている。

道三「(独り言のように)今日のは裂け具合がもう一つであったな。
    足の付け根で裂けおったわ。もっとも股から馘の下まで
    きれいに裂けることは滅多にないがな」

そしてもう一人涼しい顔でお菓子を頬張っている者がある。
濃姫である。

濃姫「(口をモグモグさせながら、侍女の各務野に向かって)
    並の人間の身体とは脆いものよの」

各務野「(顔を背け、震えながら)そ、そうでござりまするな」

濃姫「父さま、父さまの身体はこの美濃だとおっしゃいましたなあ」

道三「(夕暮を見ていた道三、我に却って)如何にも」

濃姫「ならば牛裂きにされてもあのように
   簡単に真二つにはなりますまいな」

道三「(ぎょっとして)如何にも」

失神して外に運び出される処刑された男の女房。
もう一つお菓子を口に入れる濃姫。

<続く>

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