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アトリエC-lip(ほたるの森)コミュの童話

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田舎で暮らした幼少期の思い出が刻ませたのかもしれません。

子供ごころに帰って、もう一度純粋で素直だった自分を顧みたい

そして、新しい一歩を踏み出したい。

そんな思いが入っているのかもしれません。

コメント(10)

ほたる

ほ〜、ほ〜、ほ〜たるこい。あっちの水は苦いぞ、こっちの水は甘いぞ。

ほたるは夏の風物詩。村のたんぼには、今年もたくさんのほたるが訪れました。

小太郎はある日母さんに、ほたるはどうして甘い水と苦い水がわかるのと聞いてみた。

母さんは清らかこころを持った水は甘い水、汚れたこころを持った水は苦い水

と教えてくれました。

村のこども達は麦わらでつくった虫カゴを片手に夜のたんぼ道をさまよいます。

元気で良く光るほたるを捕ってはカゴにいれ持ち帰ります。

でも、母さんは良く捕れたねきれいだねと言うと、

ほたるの命は短いからとたんぼへ放してしまいます。

我が家のまわりにほたるが多いのはそのせいかも知れない。

おまつり

ピーヒャラ ドンドン ピーヒャラ ドン 

今年もほたるの森に村の夏まつりがやってきました。

薬師様の境内には赤と白のちょうちんが飾られます。

村のおんな衆は赤飯やだんご、とん汁と炊き出しに精をだしています。

たんぼの稲もまだ青く、秋の収穫までは野良仕事もひと休みです。

おとこ衆は境内の庭にござを敷き、赤鬼の形相で昼から酒を飲み交わしながら、

村の子供たちを見守っています。

どこのせがれは最近背が伸びたの、どこのせがれは相変らずチビだのと

子供たちの成長に目を細めます。

村のこども達も、あれは酒飲みの分家じじいだの、あれは口の悪い源じいだのと、

影で悪口をいいながら近寄らないように気をつけます。

赤鬼達がいい加減出来上がったころに、賄いを終えたおんな衆が

各々の赤鬼のとなりに座ります。

赤鬼達はとたんに行儀がよくなり、酒の量が少なくなります。

そして、さっきまで赤鬼だったおとこ衆は青鬼に変身していきます。

最後の花火が打ち上げられ、今年の夏祭りも終わりとなりました。

子供たちは赤鬼と青鬼に連れられながら、家路につきました。

あかとんぼ

小太郎の家は、小さなだんだんばたけの中腹にありました。

父さんと母さんは穏やかな秋日和に見守られながら、毎日稲刈りに精を出しています。

刈り取った稲は、田んぼに作られた竹の棚にひとたばずつ

ていねいにつるされていきます。

小太郎も田んぼへ出て一生懸命手伝いをしますが、

昼のおにぎりをほおばると刈り取られた稲の上でうとうとと昼寝をしてしまいます。

父さんと母さんは小太郎の昼寝の場所を残しながらひと束ずつ

ていねいに束ねては棚につるしていきます。

小太郎の鼻の頭に一匹の赤とんぼが止まりました。

小太郎は赤とんぼをつかまえようと右手のひとさしゆびをぐるぐると回します。

でも、赤とんぼは目をまわすことはありませんでした。

小太郎はおかしいと思い左手のひとさしゆびも使ってぐるぐると回しはじめました。

すると、あちこちからたくさんの赤とんぼがあつまり、

小太郎の顔を上をぐるぐると飛び回りました。

赤とんぼ達はいいかみんな、

止まらずにこの子の指の動きに合わせてぐるぐる回るんだ。

小太郎はいくら指を回しても赤とんぼが目を回さないので、

指を回すのを止めました。

するとたくさんの赤とんぼが小太郎の指の上に重なるように止まりました。

小太郎は赤とんぼの階段をひとつ、ひとつ昇っていきました。

最後の赤とんぼの階段を昇り終えたとき、田んぼにまっさかさまに落ちてしまいました。

小太郎が目を覚ますと父さんと母さんが押すリアカーのござの上にいました。

その時一匹の赤とんぼがそっと小太郎の鼻の上から飛び立ちました。

父さんと母さんは、小太郎が今日もまた、赤とんぼに目を回された

と笑いながら家路につきました。
カミナリ

夏休みの午後、今日も西の空ににゅうどうぐもがそびえたち、

しばらくすると黒いカミナリ雲が遊びにきました。

ゴロゴロピッシャーン!小太郎は家に戻り、

ろうそくを灯しへそをかくして嵐が過ぎるのを待ちました。

父さんも母さんもずぶぬれになって田んぼから帰ってきます。

父さんは土間の柱に野良着を掛けると、ゆっくりとたばこの火をくゆらせます。

父さんはカミナリが恐くないのだろうか?

カミナリ雲が通りすぎると、うそのように青空がひろがります。

かじか川の土手に大きな虹がかかりました。

子供達は虹の架け橋に昇ろうと虹のたもとを探しに走りだします。

でも、どんなに走っても虹の架け橋に昇ることはできませんでした。

虹の架け橋の真ん中でおてんとうさまがにこにこ顔でみつめています。

しばらくすると西の山を真っ赤に染めながら、寂しそうに帰っていきました。

「父さんカミナリさまは何しにきたの?」

「田んぼの水やりと汚れたこころの洗濯に来たのさ」

その夜小太郎は七色のほたるとたわむれる夢の中にいました。

べんきょう

小太郎はほたるの森の学校に通っています。

母さんはお前は男の子なのだから、しっかり勉強して立派なおとなになるのよ

と小太郎の顔を見るたびに毎朝言いました。

でも、小太郎はなぜ勉強をすると立派なおとなになれるのかが、

わかりませんでした。

ある日たんぼで野良仕事をしている父さんに聞いてみました。

父さんは子供の頃立派なおとなになれるように勉強をいっぱいしたの。

父さんはにこにこと微笑みながら言いました。

残念ながら父さんが子供のころは家が貧しくて勉強をする時間がなかった。

だからお前は父さんの分まで頑張って勉強しなさいと言ってくれた。

小太郎は今勉強するより、田んぼで野球をしたり、サッカーをして遊ぶのが楽しくて

なかなか勉強をする時間がつくれなかった。

きっと僕は父さんににて立派な大人になれるに違いない。

百円札

明日は年一度の村行事、三つ先の桜山へ遠足です。

子供たちも大人たちも楽しみにしています。

何を着て行こうか、新しいクツのひもとおしと準備が始まります。

小太郎は爆発しそうな喜びをこらえながら、早めの床につきました。

ひとねむりしたころ、父さんと母さんがひそひそ話しをしています。

どうやら明日持っていく小遣いがなく困っているようです。

次の日の朝、日の出と共に飛び起きると、母さんが大きなおにぎりを三つと

玉子焼きのお弁当を作っていました。

さあ準備完了です。村の消防署が集合場所です。

いちばんのりと思ったら待ちきれずに飛び出してきた仲間たちが大勢集まり、

自慢のクツやリュックや水筒を自慢しあっています。

二つ目の山の峠にタヌキのおばあさんの茶店があります。

小太郎は毎年ここで5円のだんごをひとつ食べます。

昨夜の話しを知っていたので、少しためらいましたがとうとう我慢ができず、

父さん"だんご"・・と言ってしまいました。

父さんはニコニコしながらズボンのポッケからくしゃくしゃの百円札を取り出し、

だんごを買ってくれました。

きっとあの百円札は、となり村に住むおばあちゃんちの伝書バトが、

届けてくれたに違いない。

手紙

小太郎は週末になると 愛犬シロをつれてかじか川のほとりへ散歩にでかけました。

かじか川のすこし手前の竹林の中に白い家があります。

小太郎が通りかかるとピアノをひいたり 庭先の木陰で静かに本を読む

少女に出会いました。

少女は長い黒髪でいつも花柄のワンピースを着ていました。

小太郎が立ち止まるとやさしく微笑んでくれました。

でも 会話をすることはありませんでした。

 ある日木の葉の便箋に"一緒に散歩しよう"と書いてポストに入れてみました。

次の朝返事が届きました。

"ありがとう、でも・・・"とだけ書いてありました。

今度は"かじか川は水がきれいで とても涼しいところ・・・"

と書いてポストに入れました。

次の朝"ありがとう、でも・・・"と書いた手紙が届きました。

何回か繰り返したある日の朝 あて先不明で手紙が返信されました。

そして二度と届くことはありませんでした。

どうやらあの子は手紙の届かないところへ引越してしまったようです。

うみ

夏休みになると家族に連れられ海へいきました。

小太郎は早朝だれもいない海をひとり散歩するのが大好きです。

さざなみが波うち際のあしあとをきれいに洗い流してしまいます。

小太郎はあしあとのとなりに悲しい思い出や出来事を書き記してみました。

するとさざなみが きれいさっぱり消し去ってくれました。

月夜の海へ出てみたら 昼につくった砂のお城も山も川も全て洗い流されていました。

小太郎は次の朝過去の自分の過ちを全て忘れて帰ろうと

波打ち際に一生懸命書きました。

でもひとつとして洗い流されることはありませんでした。

しかたなく 新しい砂を運んでひとつ ひとつ 自分の手で消しました。

にわとり

小太郎の家には二羽のにわとりがいました。

二羽いるからにわとりと言うのだと大人になるまでずっと思っていました。

二羽のにわとりは毎日かならず二個ずつタマゴを産みました。

夕方になると母さんは四個のタマゴを採ってきては卵料理をつくってくれました。

ある日僕は おなかが空いていたのでタマゴをひとつはいしゃくしました。

その日の夕方 母さんはいつものようにタマゴを持って帰ってきました。

今日は珍しく三個しかないと 父さんに不思議そうに話していました。

その日の夜 二羽のにわとりは遅くまでコッコ コタロー コッコ コタロー

と鳴いていました。

きっと母さんに僕がタマゴを盗ったと告げ口していたに違いない。

その日の夜小太郎は二羽のにわとりの口に 白いテープを貼り付けようと

追い回している夢が一晩中続きました。

なまず

くまの小太郎は 学校から戻ると毎日川へでかけました。

とうさんにもらった つりざおとびくを持っていつもの場所につり糸を下げます。

えさのみみずは今日も元気になまずを起こしにいきます。

なまずは昼寝のじゃまをするみみずが大きらいでいつも知らんふり、

重いまぶたでながめています。

みみずは今日も ちょっかいをだします。

いつも いつも寝てばかりいるけど なんか楽しいことないの?

たまには動かないと頭が三角になってしまうよ。

なまずはしかたなく重い腰をあげ みみずと遊ぶことにしました。

みみずはなまずのヒゲをくすぐりました なまずが大きなくしゃみをすると 

みみずはおどろいて飛びはねました。

川面のうきをみながら みみずのやつまたなまずと遊んでいるな 

小太郎も重いまぶたでながめていました。

やがて川面のうきはぴたりと止まり 

なまずもみみずも遊びつかれ昼寝をしてしまいました。

今日も小太郎は大きななまずをつり上げ 

とうさんに自慢げにみせている夢の中にいました。

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