ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

佐々部清監督コミュの「夕凪の街 桜の国」レビュー

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
広島のこと、そうわかってないですし、やはりそれに関する映画ってただつらかったり、悲惨な感じばかりという印象で、避けていた気もします。この映画を観ようと思ったのもテーマではなく、主演が麻生久美子で監督が佐々部清だったということで、広島、原爆ではなかったのですが・・・

もう最初の方から泣きっ放し!というか嗚咽に近かったかも。声を抑えるのに苦労しました。

映画は二部構成になっていて(原作は三部構成だそうです)、まず原爆後直接被爆した女性を中心にした家族の話で、後半はその家族の現代の末裔(すいません、大げさな表現で。要は被爆家族を祖先とする家族の話と言いたいんですけど・・・)の話となっています。

まずは贔屓目かもしれませんが、麻生久美子が今回も素晴らしかった。運命のいたずらで死を逃れた被爆者の、しかし生き長らえたからこその苦悩と悲しみが、時に強烈な台詞とともに突き刺さる演技。彼女はやはりこの世代の女優としてはNo.1だと思います。まあ顔も昭和的で役に合ってました。

この映画を観る前は、久間元防衛大臣の失言があったときに、被爆者への配慮に欠けていてとんでもないと思う一方、アメリカの投下関係者等の「あれで戦争が終わり更なる犠牲者を防げた」という発言も含め、一理あると思っていました。

戦争はこういうもので、日本だってアジアでは筆舌しがたいこともやってきました。だから被害者面するのではなく、戦争の悲惨さを語ることが必要で、他の国も同じですが、日本が描く戦争映画はあくまでも被害者目線という気がしてあまり観る気がしません。

しかしこの映画の中の主人公達は、決して大声で大義を叫ぶわけでもなく、ただこの悲しみを受け止めざるを得ない、物言わぬ被爆者なのです。そして生きている間その悲しみは決して終わることはなく、むしろ世代を超えて続いていってしまうことの残酷さを突きつけられます。これこそが戦争がもたらす残酷さの極みだと思うのです。

ただ現代に話が移り、孫の代の、田中麗奈演じる女性が、父や母や祖母の悲しみを知って、思いをはせていくところに、大きな糸口があるように思えてなりません。

同時期公開の映画に、日系三世の監督が撮った、ドキュメンタリー「ヒロシマナガサキ」というがありました。この予告編のオープニングで、若い人達に「8月6日に何があったか?」という質問をしているところがあって、多くの若者が答えられないというものがありました。

勿論恣意的な感じもしますが、そもそも日本に生まれて広島、長崎のことを知らないなんてどうかしている、いったい親や学校、そしてその上にある文部科学省、更に日本政府は歴史で何を教えてきたのだろうという思いです。私の時代でさえ、明治を超えた辺りからどんどん端折られて、近代史は学校では学ばないものという印象でした。意図的に避けている印象もありますが、こういう、まさに現代に直接繋がる歴史を知らない限り、日本人が世界で起こっている様々な問題を理解することは不可能だと思います。

物言わぬ人々の思いから描いた、こういう映画がそういうことを知ろうとするきっかけになってくれればと思うのですが、客席はほとんどがご年配ばかり。若い人にこそ観てほしい。久間さん宣伝部長にでもなれば?文部科学省特選、文化庁支援ですし。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

佐々部清監督 更新情報

佐々部清監督のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。