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PIPS研究会コミュの01 小規模・零細企業の基幹業務システムを考える 03

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今までシステム化がなされていなかった企業に業務システムを導入しようとすると、時として社内に大きな摩擦が生じることを指摘しておかねばなるまい。

業務処理システム構築の目的は、業務処理の整理統合、自動化による1情報単位あたりの処理コストの低下=経費削減であるが、これは旧来の方式に慣れ親しんだ社員には歓迎されないのである。

業務処理システムの構築が、結果として社内にどのような形で現れるかというと、人間が行うべき事務作業量の激減である。机の上は片付き、電話の鳴る回数が減り、残業時間が減る、ないしはなってしまう。正直に言うと、(実際にあったことだが)ある企業では、3人の女性事務員が時に残業までして処理していた事務作業量を、1人で、それも半日で軽々と処理してしまえるようなことが起こってしまう。これで年間500万円程度の経費は楽に浮いてしまうから経営者は万々歳だが、周到な計画と準備がなされなければ、社員との間につまらない軋轢を生じることになる。

このことをより深く考えると、社員教育の問題に行き当たる。
このレベルの企業できちんとした社員教育が行われているとは考えにくい。小さい企業では、就業規則があれば大変立派な方で、各業務の職務執行マニュアルがある企業など、見たことがない。ほとんどの企業では各業務の処理に関してあらかじめルールとしての指示は出されておらず、やり方は担当者の裁量に大幅に任されている、と言えば聞こえはよいが、要は担当者それぞれが自分のアイデア、やり方でこなしていく、というのが普通である。問題は、これが嵩じるとその担当者の業務は他の社員にはブラックボックス化し、当の社員もそれが自信と誇りとなり、心のよりどころとなっている。本人に悪気はないし、企業にとってもありがたい面もあるにはあるのだが、そのことが時として企業の成長の阻害要因となったり、致命的な結果を招いたりするのである。

業務システムの構築は好むと好まざるに関わらず、社員のこの「縄張り意識」に無遠慮に侵入する。特にその導入時には、それらの社員は日常の業務をこなしながら、慣れ親しんだ自分の仕事の存在感を危うくする未知の「怪物」の導入に協力しなければならないという、何とも不本意な立場を強いられるのである。これがその社員には大きなストレスとなるのは想像に難くない。よほどの気配りと、説得が必要なのである。

業務処理システムの構築は、それまでの恣意的な業務処理、いわば人治から、明文化されたルールによる業務処理、法治への転換である。それは社内に革命を起こすくらいの覚悟でないと成功はおぼつかない。私が携わった構築の試みで失敗に終わったケースは、全てこの部分で挫折が起こっていると言っても過言ではない。

しかし、私は言いたい。ひとたびシステム構築に成功し、それが稼働し始め、その威力を目の当たりにしたら、それは社員にも大きな自信につながると。

「ここをこうして欲しい」
言えば、数日の内にシステムは改良され、業務の流れがスムースになる。そのような環境を持った企業と持たない企業と、その優劣はあまりにも明らかではないだろうか。
導入を果たした企業の社員から、「負ける気がしない」と、よく言われる所以である。

自社専用の業務システムは、レースカーに比せられる。同業他社が市販車に等しい汎用ソフトで「販売レース」に参加しているとき、コースピッタリにチューンされたレースカーを駆る感覚である。それはきっと筆舌に尽くしがたい爽快さだろう。

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