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子供も大人も読みたい絵本&物語コミュのSeventh Son of a Seventh Son 第2章 その7

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シャールら2人は急ぎダミュールへ帰り ようやく決行前日には孤児院へ帰り着いた 。
中に入るとウーディーが待ちくたびれたような顔をして待っていた。

「おぉ!帰ってきたかい。して首尾の方は?」

「あぁ上手くいった。隠し通路を利用して脱出の手筈を整えてくれるということだ。」
手紙を渡し、成功を伝えるとウーディーは目をまん丸くした

「さすがは次期将軍とまで言われていた人だけあって、やることが違うね。」

「俺の素性を知ってたのか。まぁそれにしても昔の話だ。」

「情報屋ですからね。それに初めて会った時からそうじゃないかとは思ってたんだ。」
と舌を出しながら答える

「それはさておき、いよいよ明日決行だ。侵入は俺1人で充分。というより2人で行ったら目立つし侵入に時間がかかる。つまり見つかる可能性が高い。なもんでダンナたちはここで待っててもらえりゃ大丈夫です。」

「分かった。頼んだぞ」

「任せなさいって!さ、俺も早速出発しないと明日の夜に着かなくなっちまうな。それじゃ、後は任せてゆっくり吉報を待っててくれよ。」

そう言ってウーディーはロンメルに向けて出発した。

コメント(10)

ウーディーは元盗賊なだけに行動が素早く、旅慣れたシャールよりも更に早くロンメルに入った。
近くの集落で少し休みを取り、夜を待っていた。

(さ〜て、そろそろ時間かな。大見得きったがさすがに今度ばかりは生きて帰れる保証のねぇ大仕事だ。気合い入れねぇとな!)

ウーディーはごろ寝の態勢からガバッと起き上がると夕暮れの中を歩き出した。

城に近づく頃にはすっかり夜も更け、その闇に乗じて城に接近する。

(さ〜て、あっちもこっちも見張りがいるな…それなら…)

何やら壺のようなものを取り出して近くに置き、それにまた液体を注ぐと同時に全速力で城壁伝いに裏手側に走った。


数分後…

ドカァァーーン!
正面近くで炸裂音が響いた。

「な…なんだ!?何事だ?」
その音を聞きつけて物見の兵士が集まってくる。

(よし…上手くいった。連中の注意がいってる内に…)

鉤縄を取り出して素早く城壁の上に投げつけて縄伝いに素早く登っていく。外壁の上まで行くとこの付近にいたであろう見張りも全て爆発した方まで行ったようで誰もいない。
それを見計らい素早く城内に侵入して行った
ダレルの手紙にも牢獄の場所までが記されていたから迷わず行けるが問題は牢獄の見張りだ。

(さて…どうするかな?)
誰もいない物置の部屋の中でウーディーは思案していた。

と、その時巡回してるであろう兵士の足音がしてきた。

その時、ウーディーの頭の中で何か閃いた。

〜〜〜〜〜〜〜
部屋の前を兵士が通り過ぎようとした時…

ガラガラガタン!

何やら物が崩れたような物音がした。

訝しく思いながら兵士は部屋の中に入って覗くが物が崩れているだけでそれ以外に何も発見できない。
「なんだ、勝手に倒れただけか。ったくちゃんと置かないから崩れるんだよ。」

と言って扉を閉め荷物を直そうとしてるその真上では天井に張り付いているウーディーの目が光っていた。


――――――――
〜数分後、地下牢〜
「おい、交代の時間だ。」
牢獄に1人の兵士が交代しにやってきた。

「ん?おぉ、もうそんな時間か。というか見ない顔だな。新入りか?まぁいい。じゃあ頼んだぞ」

と言って見張りは階段を上がっていく。
(ふぅ、一瞬ヒヤッとしたが上手くいった)
その兵士はもちろんウーディーの変装。

先ほどの巡回兵を気絶させて鎧を拝借したのだった。

中を覗くと2人ともいる。ちゃんと無事なようだ。

鉄格子に近づくと小声で呼びかけた。

「おい、坊主。久しぶりだな」

「ぇ…?」
トモヤは一瞬キョトンとしたが顔を見るなりすぐに気付いたが、ウーディーが人差し指を口に当てていて、声は出さなかった。
トーマスも呆気にとられている。

「シャールのダンナに頼まれてお前らを助けにきたぜ。今出してやるから待ってろ。」

そう言うと素早く鍵を開ける。

「さぁ、早いとこズラかろう。俺についてきな。」重いだけの鎧も素早く脱ぎ捨ててウーディーは言った。

巡回の兵士をなんとか避けつつ、3人はダレルの部屋を目指す。ウーディー以外の2人は馴れない隠密行動に危ない場面も何度かありつつもようやく目的の部屋についた。
部屋に入ると、ダレルが待ち受けていた。
ダレルは3人を見るなり
「3人ともお待ちしてました。今は話している時間はありませんから早速いきましょう。」
と言った。

トモヤもトーマスも何が何だかわからなかったがとりあえず言うとおりにすることにした。

「あ、その前に貴方たちの装備品も用意しておきました。丸腰のままではいけないでしょう?」
そう言って、トモヤたちの武具を差し出した。

この時点でトモヤたちもダレルが味方だと認識したようだ。

「ありがたい。で、脱出はどのように?」

ダレルは無言で一枚の大きな絵を外すとその裏の壁からは穴が出てきた。

「ひとまずここから外に向かいます。迷わないよう私が先導しますからついてきてください。」

ダレルは先に中へと入り、3人もそれに続いた。

中は入り組んでいるもののダレルの先導によって順調に進んでいく。

「もうすぐ、この先が出口です。」 ダレルが言ったその時、出口と思われるであろう階段の前に立ちはだかっている者がいた…
「来ると思ってたわ…」

そこにいたのはエリだった。

「エリ!……」

「通りたければ私を倒さなきゃ無理よ。」
そう言いながらエリはスッと構える。


「ちっ、あと少しってとこで敵さんのお出ましか!」
トモヤ以外の3人も思わず身構えた。

「エリ!もう止めよう!」

「言ったはずでしょ?私たちにもどうにも出来ないの。貴方も男なら覚悟を決めなさい!」

言うが早いかエリは瞬速で飛びかかる。
一瞬で眼前に接近したかと思うと回し蹴りで4人を一気にふっ飛ばした。

「ぐ…強い…」
辛うじて防御したもののやはりダメージはそれなりに受けている。

エリは一瞬構えを解く。前に見せたような表情は無いが、どことなく悲しい眼をしているようにも見えた。

「トモヤ…辛いかもしれんが、彼女の言ってたこと。忘れちゃいかんだろ。」
再び構え直しながらトーマスは言った。

その言葉でようやく迷いが晴れたかトモヤは脇差しを抜く


「ようやく覚悟決めたようね。」

トモヤが構えるのを見届けるとそれに対して再び構えをとるエリ

「もう……迷わないよ。」
トモヤはそう言うとエリに飛びかかった!
が、突いた刀はエリの手刀で捌かれ、カウンターが入りかけた…

ドカッ

瞬速で走り込んできたウーディーの蹴りがエリに命中。

エリも数メートル飛ばされたが倒れることなくヒラリと着地する
「そろそろ本気で行くわよ」
そういうと呼吸を整えだした、その間隙を縫ってトーマスとトモヤ、ウーディーとダレルも飛びかかる。

「回天連舞!」

トモヤたちの剣がエリに届こうかという刹那、刀は空を切り、まるで舞っているかのような動きでトモヤたちに打撃を加えていく。
止まることをしらず、何連撃という攻撃がトモヤらを襲った。
4人とも再び飛ばされて倒れた。
今度はまともに攻撃を受けたせいでなかなか立ち上がる事が出来ない。


「くそ…強すぎる…」
ウーディーが呟く

「4人がかりで歯が立たないなんて…」
膝をつきながらダレルも言う

「もう終わり?」
半ば呆れたように言い放つ。

「まだ……まだだ」
よろけながらもトモヤは立ち上がりながら言った。

「そうこなくちゃね」エリは微笑を浮かべた。


トモヤたちは再び構え直す。

「一斉にかかってもまたさっきの二の舞だ。なんとか連携してかかるぞ。」トーマスは小さい声で囁いた。

「おう…じゃあ俺が真っ先いくぜ」

言うなり、ウーディーが高速で突っ込んでいく、捌かれいるもののしっかりと動きを封じている。
そこにダレルがレイピアで突きにかかる。が、紙一重でかわされる。
よけざまにエリが一撃を加えようとした隙を狙って間髪いれずにトモヤとトーマスが斬撃をいれる。

これもかわされはしたが、多少なり傷を負わせたが反射的に繰り出されたカウンターでトーマスは飛ばされる。が、ほぼ同時にウーディーは隠し持っていたナイフでエリの右肩にナイフを突き立てた!

が、次の瞬速にはまたも回し蹴りで全員飛ばされた。

「貴方たちもなかなかやるね…でも、私たちもそんな簡単には負けてらんないのよ。」
肩に刺さった血まみれのナイフを抜いてエリは言った


よろめきながらも4人とも立ち上がる。
恐らくは全員どこかしら骨折やヒビがあったりすると思われる満身創痍の状態。

だが、攻撃の姿勢は崩さない

(次できめないと…こっちがやられる。 )
トモヤはそう思った。トーマスらもそれはわかっているようだ。


「そろそろ…トドメといきましょうか」
エリは再び技を繰り出す気だ。

そこにトモヤは突っ込んでいく

「また同じ手か!」
エリはすかさず攻撃に入る…が、その瞬間にトモヤを見失い硬直する

「……!!」
トモヤは走りながら倒れ込むような形になりその勢いで更に加速して、エリの懐に飛び込んでいた。

ドスっ

鈍い音がした。

トモヤの刀はエリの腹を確実に貫いていた。

「ガッ……ハ………」
一瞬何が起きたかわからない様子だったが、静かにその場に崩れ落ちた。

「エリ!」


抜いた刀をその場に置くとトモヤはエリを抱きかかえた。

「これで…やっと解放される…ありがとう…」
エリは眼に涙を浮かべながら言った

「意味が分からないって!」

「……これを見て。」そういうとエリは身につけていた皮の手袋を外した。差し出した左手には紋様のようなものがある。

「これが…ある限りは……あたし達にもどうすることも出来ないの。……本当のこと……言ったら…貴方たちと……戦い……たくはなかった…でも…自分たちを……止めるには……こうするしかなかったのよ…」

息も絶え絶えにエリは言った。

「一体、誰かこんなことを……」
トモヤは泣きながら聞いた

「それは…」
言いかけてエリが止まった。

「……いや……教えちゃいけないか…下手をしたら……今度は貴方やシンも同じ目に遭うかもしれない」

「そうだ…これを渡さないと…」

首から下げていた石をトモヤに手渡す。

「これは……」

「それも…後で大事な鍵になるわ……七耀の武器は集めさせたらダメ。ごめんね。こんなことぐらいしか言えなくて…」

涙を流してエリが言った。

トモヤも泣いていたが何も言えなかった。

「でもありがとう。これで………やっと…休め……る……」

エリは静かに息を引き取った。

「エリ……」

言葉に詰まったままトモヤは泣きじゃくっていた。
トーマス達も何とも言えない顔をしている。

トモヤにしてみればケンジに続いて2人目。
仕方ないとはいえ、戦うことは苦し過ぎる選択だった。


「トモヤ……」

そこでウーディーがハッとしたように言った
「いかん、悲しいのは分かるがここは敵地だ。グズグズして捕まっちまったら元も子もないぜ。とにかくまずは脱出しよう」

冷淡に聞こえるが的を射ている。
まだ暗い内に城外へ脱出し、一行は城を離れた。

プロキア領内へ入るとエリの遺体を近くの村で埋葬し、冥福を祈った。
この時トモヤはただずっと黙ったままだった。
無理もない、ここにきて友達を2人も失ったのだから。
しかも、自分の手で。

トーマスらも心配顔で見ていたが、かける言葉もなく、殆ど沈黙したままダミュールへ向かった。
〜作者の独り言〜

ここはめっちゃ悩みましたあせあせ(飛び散る汗)
普通に脱出は面白くないしな〜と思いつつも当初は普通にボスキャラを置くつもりだったのが、早々とエリ登場冷や汗
まぁ話の進み具合としては若干謎が増えすぎてきたので多少は出していかないとねって事で(笑)

まぁバトル後の展開がケンジの時と被った件については反省……………は全くしていません(笑)

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