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子供も大人も読みたい絵本&物語コミュのテイルズ・オブ・ワールド 〜第5章・七〜

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「…という訳で俺達は山猿に立ち向かったんだけどよ。
結果はご覧の通りだ。」



クソ!

僕達を騙して、村を燃やしに行っただって!?

どこまで汚いヤツ等なんだッッ!!

早くドランにも知らせて、村に戻らなければ!!

…だが、その前に、



『シェル…。
今回の件は、元はといえばお前達が僕らを襲ったのが原因だ。
だからお前達が山猿に対して怒り、戦いを挑んだことに礼は言わない。』

「…へ!
別に礼を言われたいからやった訳じゃねえ!」

『……だけど。』



僕はシェル・オロゴン・サフィアの順に手を翳し、僅かではあるが【想】による治癒を行った。

シェル達は「何故?」とでも言いたげな顔で僕を見る。



『だけど……、少しだけ見直したよ。』



僕はそう一言だけ言うと、村に戻る為に直ぐさま立ち上がり、駆け出した。

早く戻らなければ、ヤマさん達が危ない。

ヒナちゃんも此処に居なかったということは、未だに人質として捕われているのだろう。



「待ってくれ!」



走り出した僕の背後から、呼び止める声がする。

シェルだ。



「アンタには借りが出来ちまった。
俺達も…行くぜ!! ………クッ……」



そう強気な発言をしたシェルだったが、その足はガクガクと震えており、立つのがやっとという感じだ。

僕の【想】ではすぐに回復などしない。

応急処置的な気休め程度のものだ。



『…無理するな。
後は僕とドランに任せて、お前達はゆっくり休んでろ。』



そう言って僕は再び入口へと振り返ると、全力で走り始めた。










(ふわあぁぁ…
カズヤのヤツ、ちゃんとガキを助け出したんだろうな?)



ドランは、うず高く積み上げられた男達の山の上で、大きな欠伸をしていた。



(ん〜…
此処でこうしてても暇だな。
カズヤも強くなってきたとはいえ、一人で大丈夫なんかな?)



そう呟いていると、気絶していた男の一人が目を覚ましそうになる。



バチッ



しかしドランは見るでもなく、尾で男の顔を叩きいて再び気絶させてしまう。



(よっしゃ!
いっちょう、様子でも見に行ってやるとするか!)



そう言うとドランはピョンと山から飛び降り、洞窟の入口へと歩き出した。

しかし、いざ入口に入ろうとした時、奥から人の足音が近付いてくるのが分かった。



(……誰だ?
この足音………もしかしてカズヤか?)



ドランは知った人間ならば、その足音から歩幅や体重・身長などを読み取り、大体の見当を立てることが出来る。

そしてドランの読み通り、洞窟の闇から現れたのはカズヤだった。

カズヤは必死な表情で息を切らしながら走ってくる。



(…? なんだ?
ガキを連れてねぇとこ見ると、まだ助け出してねぇみたいだが。
何か、あったのか?)



カズヤは滑り込むようにして、怪訝そうな表情で自分を見ているドランの元へと駆け寄った。



(カズヤ、お前…。
まだガキを助けてなかったのか?
こっちはとっくに片付いて…)

『ドラン!
い…急いで村に戻るんだ!
村が…村が危ないッッ!!』

(…はぁ?
何言ってんだ、お前?
全然、話が見えねぇぞ。
まずは落ち着いて話せ。)



カズヤは何度か深呼吸して息を整えると、洞窟の中で自身が見たものや、シェル一味から聞いた山猿の卑劣な罠の事を、ドランに話した。



『だから急いで村に戻るんだ!
ドラン、早く行こうッッ!!』





…ズオオォォッッッッ!!!!





カズヤから中の話を聞いたドランの身体から突然、多量のオーラが発せられた。



『…うわっ!?』



ドランの周りから激しい突風が巻き起こり、辺りの砂や土が舞上げられる。

まるで小さな台風を見ているようだった。



(あんの猿共、ふざけやがってぇ〜〜ッッ!!
この俺様を罠に掛けただと!?
生まれてきた事を後悔するくらいに、ギッタギタにしてやるぜぇッッ!!)



恐らくは、怒りの頂点に達したであろうドランは眼が血走り、全身の毛という毛が針金のように逆立っていた。



(カズヤ、俺様に掴まれ!
あの舐めたクソ猿共に思い知らせてやるんだッッ!!)

『お…おぉ!』



怒りに任せたあまりの剣幕に若干、気圧されてしまったが、僕はドランの尾を掴んで、しっかりと握り込む。



(振り落とされても拾わねぇからな!
ちゃんと掴んでやがれよ!!)

『わかってる…ッッ!!』



ドランは僕が返事をするのと同時に、その蹴り足で凄まじい砂塵を起こして走り始めた。



『す…凄い!
これが、ドランがあのスピードの中で見ている景色なのか!?』



あまりの速度に、まともに目を開けていることが出来ない。

薄らとだけ開いた目から見えるのは、緑と茶色の川。

恐らくは樹や土なのだろうが、その速さ故に近くの物をそれ単体として目で追い、認識することが出来ない。

高速道路を走る車に乗っているようだ。

来る時は半日ほど掛かった道程も、この速さなら僅かな時間で村に到着することが出来そうだ!










―――時を少し遡って、一時間程前、山の村では―――



「ヒナ…。
無事に戻ってきてくれよ…。」



カズヤとドランが出発して数時間、ヤマはずっと村の入口で立ったまま、山猿の住家のある方向を祈るように見つめていた。



「村長、あんたまだ此処に居たのか。」



ヤマの姿を見かけた一人が、心配そうに声を掛けてくる。



「もう日も暮れる。
心配なのは解るが、家の中に戻って、彼等の帰りを待とう。」

「いんや…。
カズヤさん達は、何の関係も無えワスらの為に戦ってくれてんだ。
せめて此処で彼等とヒナの無事を祈るくらいすか、村長のワスに出来ることは無ぇんだ。」

「………わかった。
なら、俺も一緒に此処で待つとするよ。」

「……そうか。」



二人がそんな会話をしていると、一人また一人と村人が集まってきた。



「村長。
わたしらも村の一人だ。
この村で生まれてきたし、この村で死にたいと思っている。」

「お前達……。」

「俺達も、彼等の加勢に行こう。
自分の愛した村を、あんな犯罪者共に好き放題されて、黙ってられるか!
それに、その村を行きずりの若者にだけ託すなんて訳にはいかない!!」



周りの村人達も、「そうだ!」「俺達も戦うんだ!」などと、戦う意思を見せていた。

ヤマには村長として、皆を守る義務がある。

しかし、ここまでこの村を愛する心を、どうして止めることが出来るだろうか。



「行くな…と言っても、無駄だろうな?」

「無駄です!
これは自らの意思で決めたことですからね!」



ヤマの目から涙が溢れ、胸の奥からは沸々と熱い気持ちが沸き起こってくる。



「ワス等も、山猿の住家に向かうぞ!
男達は武器を取れッッ!!」

「おおーーーーーッッ!!」



ヤマは、女子供を家の中に避難させ、男達には武器を取ってこさせた。

少しすると、鍬や鉈など、身の回りにある様々な武器に出来そうな物を手にした男達が、村の入口に集まってきた。

準備は整った。

あとは突き進むのみ。

そう思った時だった。



「村長…。
山の奥の方から……誰か来る。」



村人の一人が、山の奥から村に向かって近付いてくる人影を発見した。

カズヤ達が、もう戻ってきたのか?

いや、それにしては人影の数が多過ぎる。

あれはどう見ても、20〜30人はいる。

あれはまさか…



「あれは…山猿だあああーーーッッ!!」

「山猿が村を襲いに来たぞ!?」

「何でだ!?
ヤツ等は住家で、あの若者と戦っているんじゃないのか!!??」



予想外の出来事に、先程まで意気込んでいた村人達は、完全に浮足立ってしまっている。

そこへ、ヤマの激しい一喝が飛んできた。



「皆よ、落ち着け!
もすかすたら、カズヤさん達は負けたのかもしれん!
それか、あのズル賢い山猿の罠に掛かっているのかもすれん!
だが、そのどちらでもワス等に戦う意思があることに変わりは無い!!
怯むな!!
ワス等はワス等で、この村を守る為に戦うんだッッ!!」



この一言で、先程まで慌てふためいていた村人達は平静を取り戻し、目には闘志が沸き起こる。



「みんな、やるぞーーーッッッッ!!!!」

「俺達の手で村を、子供達を守るんだッッッッ!!!!」










『テイルズ・オブ・ワールド』〜第5章・七〜 完

コメント(20)

〜作者の独り言〜

52本目。

この第5章も、佳境に入ってきた感じですね。

カズヤとドランは間に合うのか?

ヤマ達はどうなるのか?

次回、第5章・八をお楽しみに。
ああぁ…あせあせ(飛び散る汗)
1時間程前ってことは……間に合うのか!?

気になりすぎて仕事になりません冷や汗
良いですねぴかぴか(新しい)

面白いです!!

めちゃめちゃ気になりますexclamation
LINDAさん


久々の絡みですね手(パー)

村はどうなるのか…来週までお楽しみにウッシッシ

いま、下書き中ですメモ
ガリさん


気になりすぎて、睡眠不足にならないようにしてくださいね(笑)
たぁさん


ドランは体重も腰も重いですが、やるときゃやりますよ指でOK
あっあせあせ(飛び散る汗)確かに久しぶりですね蛙

コメントは残してなかったけど、毎週楽しく読ませていただいてましたわーい(嬉しい顔)

それとすっごい話しが変わるんですけどwoodyさんはアパレル系の店長さんですか?


いっけぇーーーーー!パンチパンチパンチパンチパンチパンチパンチパンチパンチパンチ



そしてドランとカズヤ間に合って泣き顔
山猿なんて木っ端微塵にしたったらエエネン!




ゴッドwoody巨匠神様様いつもwktkをありがとうございます((o(^-^)o))
LINDAさん


ありがとうございますウッシッシ

これからも宜しくお願いしますね。

それと、確かに私はアパレルの店長です。

レディース&キッズの商品を取り扱っています。
クリちゃん

ドラン、頑張ってくれるでしょうか。

ちょっと、ここまで頑張り過ぎな気もしないでもないので、心配です。
Seiさん


来週の彼等の活躍に、期待しましょうね指でOK
ゴッドウッディー巨匠神様様



そうですね。
舞い上がってて気づかなかったですが、ドラン頑張りすぎてる気がします。

しかし、やはり頼ってしまう自分がいます。。。


嵐のはぴねすとZARDの負けないでを必死で歌うことでしか彼等を応援できないハゲアタマをお許しください・・・

(TωT)
クリちゃん


わかってくれますか。

キャラは我が子と同じ。

頑張れ! と思いながら、私も試練を与えています。

一緒に応援しましょう指でOK
ドランかっこいいうれしい顔指でOK

間に合ってくれますよねexclamation & question

村の皆も逃げてばかりじゃなく戦う意思をもってくれてよかったほっとした顔カズヤ達が戻ってくるまで頑張れーパンチ
R嬢さん


そう。
逃げてばかりでは、道は開かれないのです!!
次回、第5章・八は

1/27(火)

更新予定。
ガトさん


楽しみにしてくれているなんて、嬉しい限りです!

ありがとうございます。

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