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子供も大人も読みたい絵本&物語コミュのテイルズ・オブ・ワールド 〜第5章・参〜

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『ヤマさんを離せッッ!!』

「き…君達……。」



ヤマさんは苦しそうな表情でこちらを見つめる。

ヤマさんを掴んでいる、眉無しのスキンヘッドの男…あれが山猿か?

僕が山猿一味と思われる集団を睨んでいると、その中に見覚えのある顔を、幾つか見つけた。



「…あ! あいつらは!!」


あちらも僕とドランに気付いた様子で、顔を覗かせる。

あれは昨夜、僕達を襲った奴等だな。

確か、シェル・オロゴン・サフィア…だったか。

あいつ等も、あの一味なのか?



「や、山猿! あいつらが昨夜話した……ブベッッ!?」



シェルが山猿に何かを伝えようとした瞬間、蒼い閃光が彼の顔面に激突した。



(見つけたぜ! このパクリ野郎がッッ!!)



閃光の正体は、言わずと知れたドランだ。

シェルの顔を見た途端に怒りが振り返したのだろう。

有無を言わせぬ怒涛の攻撃がシェルを襲う。



「このクソ狸……ボヘッ!!」

「やりやがっ……あぶしッッ!!」

「す…すびば……はべらッッ!!」

「ゆるじで……おごッッ!?」



昨夜に続き、再びシェルはボロ雑巾にされてしまった。



「あ…兄貴ぃ〜。」

「いやぁ〜ん。」



近くにいたオロゴンとサフィアも、悪夢の再現にオロオロとするばかりだ。



(ふん! これに懲りたら、二度と俺様の異名を使うんじゃねぇぞ!!)



突然に起こった一方的な暴力に、僕だけではなく山猿一味でさえも唖然とし、辺りは一時、静まりかえった。

しかし、そんな中でも山猿本人だけは、ニタニタと薄ら笑いを浮かべ、余裕の表情を見せている。



「あーあー、シェル。
またやられちまったな?」


山猿は倒れたシェルの顔を覗き込み、話し掛ける。



「う…うるせぇ。」

「あいつ等が、噂のガキと狸なのか?」

「……そうだよ。」

「…ふーん。
そんなドラゴンを倒せるような大層な奴にゃあ、見えねぇがな。」



山猿はヤマさんをドサリと落とし、僕とドランの前まで来ると、人を小馬鹿にしたような口調で話し掛けてくる。



「お前達が、イースト・キングダムでドラゴンを倒したっつーのは…本当?」

『……え?』



本当に倒したのは、王子のリュウ君だ!

そう言い返そうとした時、ドランがそれを遮る。



(だったら、何だってんだ?)



ドランの返答を聞くと、山猿は「ヒュ〜るんるん」と口笛を吹き、ニヤリと笑った。



「へへ…、マジかよ。
んじゃあ、お前等みたいなガキをちょいと捻っちまえば、金も名声も手に入るってことだよな?」



山猿は身に纏った殺気を強め、オーラで身を包み込む。

それを感じ取ったドランも、戦闘モードへと体型を変化させ、オーラを発して臨戦体制をとる。



(それは…、本当に俺様達に勝てたらな!!)



言葉が終わると同時に、ドランは山猿へと飛び掛かる。



「うぉッッ!?」



山猿はドランの攻撃が当たるかと思ったその刹那、ギリギリで身体を捩って避ける。

しかし、予想以上にドランの動きが早かった為か、頬には三本の爪痕が刻まれ、血が滴り落ちている。



「く…ッ!」

(オラ…どうした?
今の攻撃なんて、まだまだ全力には程遠いぜ?)



すると、先程まで余裕を見せていた山猿の表情は一変し、一気に強張る。



「へ…、まいったな。
こりゃマジで強ぇや。」



山猿はそう言うと、瞬時にその場を飛びのき、仲間の所へと避難した。

このままドランとやりあっても勝ち目薄…そう判断したのだろう。

しかし、あのたった一回の攻撃で判断できるあたり、山猿もやはりそれなりの力があるということだ。



(オイ!
逃げてんじゃねえッッ!!)



山猿のあまりに早い後退に、ドランは肩透かしを喰らったような苛立ちを見せて怒鳴りつける。



「思ったよりも全然、強いみたいなんでな。
こっちも少々、やり方を変えさせて貰うぜ?」



山猿は嫌らしい笑みを浮かべると、背後に待機している部下の一人を呼んだ。

呼ばれた部下は「ヘイ!」と返事をすると、仲間を掻き分けて山猿の隣へと歩み寄る。

その手には、いつの間に連れてきていたのか、一人の女の子が腕を掴まれ、無理矢理に引っ張られている。
女の子は、あまりの恐怖に声すら出すことが出来ない。

ただ、涙に濡れた瞳で助けをこうばかりだ。



「……あ!」



ヤマさんの顔が、女の子を見た途端に蒼白になる。



「へへへ…。
このガキは、人質として預からせて貰うぜ?
返して欲しけりゃ、ドランと小僧の二人で、俺達のアジトまで来い!
夜明けまでに来なけりゃ、ガキの命は無ぇからな…。」



山猿はそう捨て台詞を吐くと、懐から何かを取り出し、地面に叩き付けた。

その瞬間、辺りを灰色の煙が覆い尽くす。



『…煙幕!?
ゴホッゴホッ……。』

(くそ!!
ゲホゲホ……ッッ)



不意を突かれたことで、僕もドランも煙幕をまともに喰らってしまった!

これでは全く、視界が効かない!!

やがて煙が晴れ視界が戻ると、既にそこには山猿一味の姿は無く、一人うずくまるヤマさんの姿だけがあった。



『ヤマさん、大丈夫ですか!?』



どこか怪我でもしていないだろうか?

僕はすぐさま、ヤマさんのもとに駆け寄り、具合を診る。

しかし、幸いに大きな怪我は無く、所々に擦り傷がある程度だ。

僕は治療を行う為に身体に触れようとしたが、ヤマさんはそれを拒んだ。



「わすの治療なんていい!
それよりもあんた達…。
あんた達が、最近の噂になってるドラゴンを倒したっつー旅人なのけ!?」

『え…?
ま…まぁ、最終的に倒したのは王子のリュウ君でしたが、確かに僕達も戦いには参加しました。』



それを聞くと、ヤマさんは僕ね肩をグッと掴み、懇願の表情で訴える。



「頼む…ッッ!
あの娘を……わすの孫のヒナを、助けてやってくれ!!」



……!!

なんて事だ。

ヤマさんがあの女の子を見た反応から、まず村の住人であるだろうとは思っていた。

それがまさか、肉親だったとは!

今更ながら、ヤツの煙幕に引っ掛かり、見失ってしまったことが悔やまれる。



『わかっています!
必ず、ヒナちゃんは助け出してみせます!!
だからヤマさんは、村の皆と待っていて下さい。』

「おお……。
ありがとう。
本当にありがとう…。」



ヤマさんは涙ながらに僕の手を握り、感謝の言葉を繰り返し口にする。

それにしても、なんて奴等だ!

自分達の私利私欲の為に村を…村の人達を傷付け、あまつさえ小さな女の子まで人質に取るとは!

絶対に許すことは出来ない!!



『ドラン!
奴等のアジトに行くぞ!!』



僕は振り向き様に声を掛けるが、ドランはこちらを見ず、明らかに話を聞く態度ではない。



『ドラン!!』



僕が更に呼び掛けると、ドランはむくれた顔で反論してくる。



(俺様はあのパクリ野郎をボコボコにするっつー目的は、もう果たしたんだよ!
その後の面倒事なんて知るか!!)



そう言うと、ドランは再び明後日の方へ顔を向け、完全に無視を決め込む。

…こいつ!

この期に及んで、まだそんな小さな事を!



『リュートさんだって、きっと水晶で今の状況を見ているぞ!』

(う…うるせぇ!
何を言われたって、嫌なもんは嫌なんだよ!!)

『じゃあ、あのヒナちゃんが例え仲間だったとしても!
マーサだったとしても、お前は同じことが言えるのか!?』

(……!)



実際に僕も、あの女の子がマーサと同い年くらいだったのもあって、ダブって見えた。

だからこそ尚更、あんな事は許しておく訳にはいかなかった。



『どうなんだよ、ドランッッ!!』



ドランは暫く黙って考え込むと、「チッ」と舌打ちをし、ガリガリと頭を掻く。



(〜〜〜ッッ!!
…ったく、しゃあねぇな!!
お前って奴は、どこまでお人よしなんだよ!
この【蒼い流星】ドラン様が、一肌脱いでやらぁッッ!!)

『…ドラン!』



こうして、僕とドランはヒナちゃん救出の為、山猿一味のアジトへと向かうことになった。










『テイルズ・オブ・ワールド』〜第5章・参〜 完

コメント(13)

〜作者の独り言〜

48本目。
え〜…
前回の第5章・弐での予告の際に、更新は本日の夜としていましたが、急遽、この時間での更新とさせて頂きました。
理由は、私のシフト勘違いです、スミマセン。
早番だと思っていたのに、確認してみたらオープン&ラストでして…。
帰ってからの更新だと深夜になってしまう為、休憩の時間を利用してアップさせて頂きました。
リンク集の更新は、今夜になりますので、宜しくお願いします。
たぁさん

リュートに続き、ヒナちゃんもですか!?
ネーミングセンスが似ているんですかね(笑)
山猿卑怯!やな奴!ぷっくっくな顔


シェル(先生)不憫に思えてきました(笑)


ドランがんばれ!!!




ウッディー氏お疲れ様ですm(_ _)m
続きは来週ですか?( ´艸`)
クリーちゃん

続きは来週です。
だって…まだ書いてないもんね!
昨夜、M―1のビデオ観てたら、そのまま寝てしまい、リンク集の更新を忘れていましたたらーっ(汗)

今夜にでも…。
たぁさん

あぁ! なるほど!!
【姫奈】で【ヒナ】なんですね。
お子が二人共出演の快挙、おめでとうございますぴかぴか(新しい)
人質とは卑怯なッッッむかっ(怒り)

やっつけておしまいッッッexclamation ×2
たぁさん

普通に「ヒメナ」と読んでいました(笑)
姫奈子ちゃんですか。
娘は欲しいけど、嫁にやるのが嫌だから、いらない!
…という、知人の娘にメロメロの私です。
R嬢さん

やってやるぜッッexclamation ×2





………カズヤとドランが。
次回、第5章・四は

12/30(火)

更新予定。

仕事と大掃除に追われて、まだ下書き完了していませんが…たらーっ(汗)

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