小せツ（電しゃ）コミュの１３

「やっぱり」と村田純子が言った。「実は私見ちゃったんです。今朝病院のトイレに入ろうとしてドアを開けたら、宮崎さんがいたんです。ドアを少し開けてみただけだけど、体格や髪型ではっきりわかりました。あの卑猥な写真を宮崎さんが貼ってました。だって剥がしているのとははっきり違ってました。剥がしてるなら剥がしている動作だって絶対わかりますもん。壁に写真を足してるようでしたもん」「宮崎さんとは何か話したの？」と伊藤あきほが聞くと「何も話さなかったわ。私がドアを開けた時、宮崎さんは後ろ向きだったから。宮崎さんがわたしのほうに振り向くと同時に、私はトイレには入らないで、すぐにドアを閉めたから」村田純子の声が震えていた。よく話してくれたというふうに里中が村田純子を見た。「実は俺の部屋に宮崎さんが来た時おかしいと思ったんだよ。権威を振りかざすわけじゃないが、普通教授である俺の前で、俺の許可なくカルテを勝手に破ったりするか？宮崎さんは堂々とカルテを破った。つまり宮崎さんにはそれをやるだけの後ろ盾があったということだろう。その後ろ盾というのが」「医院長ですね」と彩が代わりに言った。「そうだ」と里中が言ってコップに入っていた焼酎を一気に飲み干した。身や差予期の無礼な態度に対して里中が起こっているように見えた。「そもそもあの卑猥な写真を見たのは鶴岡医院のスタッフと陽子さんだけですよね？その中で被害を受けたのは陽子さんだけだ。つまり、宮崎さんと医院長は陽子さんを陥れるために行動してるってことですか？」純也が相変わらず寝不足そうな顔で言った。純也はほとんどふぐ料理に手をつけていなかった。「そこなんだよ。鶴岡医院長と陽子さんは表面的には何の問題も見えないように見える。うまくいっている親子に見える。だからこそ今回の一連の鶴岡医院長の行動は謎だらけなんだよ」里中は新しくついだコップの焼酎をすぐにまた飲み干した。

と彩が途中まで言い、続きを遮るように「実は」と言って里中が口を開いた。「最近医院長室に山縣康太が入っていくのを見たんだ」「山縣康太？」「鶴岡医院と裁判で争っている原告の弁護士だよ」