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ミステリアスハンドルネームズコミュの第八話 そして時は動き出す(その2)

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「それでドモホリアンって一体何者なんですか?」
 
僕はコーヒーをすすりながら質問した。
彼らはどうしてパルプンクルなんて物を生み出せるんだろうか。
そこに僕らが求めるパルプンクルを作る為のヒントがあるはずだ。


「そうね。彼らが確率操作者ということは説明したわよね。
 …じゃあ具体的にどういう人がドモホリアンになれるんだと思う?
 彼らには大きな共通点があるの。…なんだと思う?」

「んー、なんだろう…。
 なんか変な人が多かったような…。変態っぽいというか…。」

「変態っぽいって… あなた…」


やばい、なんかまずいことを言っちゃったかな。。


「やるじゃないの。なかなかよく見てるわね。」

え!当たり?


「ほぼ正解に近いわね。…もっと正確に言うと、
 ドモホリアンはみんなドMなのよ。ドエム。」

「ドM!?」

「そう。彼らはみんなドMなの。」


そ、そうなのか?
でもそう言われると…確かにそうかもしれない。
だいたい一日中、立ちながら液垂れを見てる時点でかなり罰ゲームに近い仕事だ。
相当なドMでないとまず勤まらないだろう。

まあそれを見つめる僕も同じようなものだけど…。

でもだからって…なんでドMじゃないとダメなんだろうか?


「ドMの人は特殊なエネルギーを持っているのよ。
 これはドSの人と比較するとわかりやすいのだけどね、
 
 例えばドSの人が生み出すエネルギーというのは
 『このブタ野郎!』という音のエネルギーだったりとか、
 実際にムチなどで相手を叩く物理エネルギーだったりとか、
 そういう表面上に現れるものじゃない?」


「そ、そうですね」

酒井さんの『ブタ野郎!』にビクッと反応してしまった自分をごまかすように僕は相槌を打つ。


「ドMの人も同じように興奮するとエネルギーを発するんだけどね、それは表面上では見ることはできないの。
 でも確かにエネルギーは発しているのよ。
 
 それでそういったドMのエネルギーはね、
 ドSのエネルギーみたいに数値化できるような単純なものではなくて、
 もっといろいろな思いに満ち溢れた複雑なエネルギーなの。」

「そ、そうなんですか」

この人は一体何を言ってるんだろうか?
とシラフになる気持ちを必死でおさえ、懸命に聞き入る。


「そしてそんな貴重なドMのエネルギーは、
 自ずと彼らの視線の先に集まるのよ。
 彼らの視線の先…つまり液だれが行われているところね。」
 
 
「え、液だれのところにドMネルギーが集まる!?
 …空気中に集まるってことですか!?」


「ひとまずはそうね。
 そしてそのドMエネルギーが充満した状態で、ドモホルンリンクルの液が垂れる…

 ドモホリアンは自然とその液へと視線が動くわよね。
 それと同時にドMエネルギーも、その垂れた液へと向かい…そして干渉が行われるの。

 そのときにごくまれに垂れた液にドMエネルギーが入り込むのよ。
 そしてその結果、ドモホルンリンクルに変異が起こってパルプンクルが生まれる…というわけ。

 だからそういうドMのエネルギーが蓄積したときにパルプンクルが生まれやすい状態になるのよ。」


「そ、そういうことだったんですか」

「そうなのよ。分子レベルでみるとドモホリアンは確率操作者ということに分析されるんだけどね、
 まあマクロな視点で説明するとそういうことになるわ。
 結局、ドMが興奮するエネルギーを使ってパルプンクルは作られるのよ。」

ドMの興奮するパワーを使って…パルプンクルは作られる…!
それが真実だったのか!

…なんかがっかりな真実だ!
もっと神秘性があるものを想像していただけに。


しかし…
ってことはドモホリアン達は、
仕事中は常に興奮状態にあるということなのか…


!?

待てよ…

まさか…


「酒井さん、ひょっとして…
 僕の仕事の役割というのは…」


「ふふ、気づいたようね。
 …もちろん“事象を確定する”というのがあなたの主な役割なのは事実よ。
 
 でも他にね、
 “ドモホリアンを見つめることで、彼らを興奮させる”という役割もあったのよ。
 
 彼らはドMだからね。
 やっぱりじっと見られると興奮するものなの。
 近藤君、あなたそういう意味でもなかなか筋がよかったのよ。
 あなたの顔を見て、窓に張り付くほど興奮する女もいたものね。」


な、なんということだ。
僕は知らず知らずのうちに彼らを視姦していたというのか。
知れば知るほど残念な会社だな、本当に。


「と、とんだ変態の集まりですね」

「そうね。そもそも“ドモホリアン”という名前も実は“ドM”というところからきてるからね。
 彼らをドMって呼ぶのもなんか便宜上都合が悪いから、なんとなくドモホリアンって名付けただけなのよ。」
 

ドモホリアン=ドM

目からウ□コなどは一切落ちない。
こんなことで落としてたまるか。


「だ、だいたい仕組みはわかりました。
 で、肝心なことを聞きますが…
 生成するパルプンクルはドモホリアンによって効果の違いが出るんでしょうか?」

「そうね。集積されるドMエネルギーにはそのドモホリアンの人間性、思考などが詰まっているの。
 だからそういうモノがパルプンクルにも反映されるわ。

 …前に青色の液が垂れたときのことを覚えてる?」


「あ、はい…。
 たしかその液を垂らしたドモホリアンは結局、“消毒処分”になったと聞きましたが…」

「そう。あの青色のパルプンクルはね、
 “うんこが30倍くさくなるパルプンクル”だったの。
 彼はそれを生み出してしまったのよ。」

「う、うんこが…!?」


酒井さんの口から
うんこという言葉を聞ける日が来るなんて!

…いけないいけない!喜ぶところじゃない!

酒井さんは続ける。


「…というのも彼はね、毎日毎日
 ことあるごとに『うんこ』っ言葉を連発してたの。
 だからきっと仕事中も、うんこのことばかりを考えてたのでしょうね。
 そういう思いがパルプンクルに反映されたんだと思うわ。
 そしてその結果、“うんこが30倍くさくなるパルプンクル”ができたのよ。」

「そ、そうなんですか…
 でも、それだけで…彼は消毒処分になってしまったのですか?」


「それはね、そのパルプンクルができたときに彼は自ら実験体に志願したのよ。
 そのパルプンクルの効果を確かめるためのね。
 それで自分自身にそのパルプンクルを投与した結果、
 結局、彼のうんこが30倍くさくなってしまったのよ。
 
 まあ当然におうわよね、そうなると。
 これでは衛生面においても仕事場に影響しかねないということで彼を消毒処分したの。
 まあ、処分って言ってもこの場合はある程度消毒してから辞めてもらっただけね。」

「…あ、そうだったんですか。」

殺されたわけではないと知り、少しほっとした。
でも中にはきっと本当の意味で処分される人間もいるんだろうな…。


「でもどうしてそのドモホリアンは…自ら実験体に志願したんでしょうか?
 処分されるという危険があるというのに…」

「それは単純明快じゃない。
 彼はドMだからよ。
 なんでもかんでもやられてみたい思いがあるのよね。
 ましてや自分の思いがこもったパルプンクルだもの。
 誰よりも先に自分の体に投与したいという気持ちもあるのでしょうね。

 だから、ドモホリアンが自ら志願して実験体になるというケースは決して珍しくないの。
 むしろその方が多いくらいよ。」


うーん、そうだったのか。
さすが変態だな。気持ちはわかるけど。

まあそれはそれとして、だいたいわかってきたぞ。

パルプンクルってのはドモホリアンのドMエネルギーで作られる。
そしてドMエネルギーはそのドモホリアンの思考がこもっている。
その思考がパルプンクルの効果を決定付ける。
こういった塩梅だ。


「酒井さん、じゃあドモホリアンが
 酒井さんを救いたいという思考を乗せたドMエネルギーを発すれば、
 不老不死を打ち消すパルプンクルを生成することができるんですね!」

「簡単に言えばそうだけど…
 興奮状態でそういう思考を完璧にコントロールするのはとても難しいことだわ…。
 それに第一、心から私を救いたいと思ってるドモホリアンなんているわけないじゃない。」


「ここにいるじゃないか!」

「…近藤君!?…まさかあなたが!?
 だってあなたはドモホリアンの経験なんてないじゃない!」

「僕は酒井さんのことを真剣に救いたいと思ってる!
 その想いは他の誰にも負けない!
 そして何を隠そう僕は…



 ドMだ!」




どーん。

いやー決まった決まった。


「まあ、かっこつけるようなセリフでは全くないけど
 …可能性はあるわね。
 というのも前々からあなたには実はドモホリアンとしての素質も相当あるんじゃないかと思っていたのよ。」


え?
そうなの?

「あなたも疑問に思っていたとは思うんだけど…仕事場であなた監視されてるじゃない?私に。
 あれおかしいと思わなかった?
 
 “なんでドモホリアンを監視している自分がさらに監視されているんだ?”っていうふうに。」


「あ、思いました。
 だって相当回りくどいことをしてますよね、あれ。
 はじめから自分抜きで監視すればいいじゃん、って思いましたよ。
 わしは監視の卸し問屋か!と」

「余計なことは言わなくていいわ。
 あれはね、実はあなたにドモホリアンの適正があるかチェックしてたのよ。
 つまりわざとあなたに自分が見られていることを意識させたの。
 監視という手法でね。

 そこであなたの反応を見たわ。
 そしたら予想以上に興奮していたわね、あなた。
 それは心拍数や体温などのデータの面で見ても明らかだったわ。
 監視されていると気づいた時点であそこまで興奮するなんてなかなかのドMっぷりだと感じたわ。
 だからあなたは後々、ドモホリアンとしても使えそうだと会社も考えていたのよ。」


「ひゃー、そうだったんですか。」

「そうよ。あの時点でおそらくあなたは相当なドMなんじゃないかと予測することができたわ。
 そして今日、それを根本的に確認することができたからね。
 あなたの本性を…変態という本性をね。」

「…ど、どういうことですか。」

しかしそういえば、ここにきて急にキャラが変わったように
自分のうんこっぷりが露呈してしまっているような気がする。
まあ元々の自分というか…。


「男って一度女と寝ると本性が出るものなのよ。
 それまでは取り繕っていてもね。
 だからあなたと寝たの。
 
 …感情を持たない私が寝てくれるなんておかしいと思わなかった?
 それはね、確かめるためだったのよ。
 近藤君…あなたの本性をね。
 そう、そしてあなたは私と寝た後、やはり今まで取り繕ってきた部分が剥がれてきたようね、
 ここにきて変態の片鱗を見せ始めているもの。
 
 つまり、あなたは根っからの変態だった。
 これは…ドモホリアンにうってつけよ!
 まさに私が思っていた通り…いやそれ以上だわ!」


なにーーーーーーーーーーーーーー!!

酒井さんは最初から僕が使えそうだということを感じていて
それを確かめるために
あえて抱かれたというのか!!

う、上手だ!!
酒井さん一枚も二枚も上手すぎる!!
け、計算高い!

お、おそらく感情を持たない分、計算だけで動いてるのかもしれない!


「そ、そんなことだろうと思いましたよ、ははっ。」

全くそんなこととは思ってなかったけど
僕は強がりを言ってごまかした。

「ふふ、言うわね近藤君。
 じゃあ私のために…ドモホリアンとして手伝ってくれるのね?」


うん、そうだ!
細かいことはどうでもいいんだ!

僕はとにかく酒井さんを救いたいんだ。
力になれそうならなんだってなってやる!
ドモホリアンとしての素質があるなんて光栄だぜ!


「手伝いますとも!
 じゃあさっそく最瞬間製薬に向かいましょう!
 僕がパーフェクトパルプンクル(3P)を作ってあげますよ!」

「心強いわね。
 でも今はもう真夜中だし会社に入るのは無理だわ。
 また日を改めて決行しましょう。
 また連絡するわ。」


そう言われて結局その日は帰路につくことにした。

いろんなことを言われすぎてまだ頭が痺れているが僕の決意は揺るぐことはない。
今は…とにかく休むことにしよう。


家に帰る途中、ちょっと小腹がすいていたのでココイチに寄った。


そして差し出されたカレーを眺めながら、僕は
これが30倍の辛さのカレー味の酒井さんのうんこでも
30倍のくささの酒井さんのうんこ味のカレーでも
どちらでも飲み干せる覚悟があることを確認した。


その3へ続く
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=28253427&comm_id=2957951

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