ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

憂国の士コミュのアンコール(上)  『日本人よ、なめられるな 』  (高山正之著)

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
[2001年03月22日 東京夕刊]
 
この前、旧日本領の南洋諸島の一つ、パラオにいった。

 日本からは米国の航空会社、コンチネンタル航空のグアム経由便でいくが、さて、成田に行って驚いた。搭乗機がなんと三十年も前につくられたDC10だった。

 この飛行機は製造されてすぐパリで床が抜け落ちて墜落し、シカゴでも離陸直後に裏返しになって落ちて…といった具合に実によく事故を起こした。

 それでダグラス社は左前になってマクダネルに吸収合併された。この機体を今でも使っているのは貨物機ぐらいだろう。

 しかし、それは驚きのまだ入り口だった。座席が異常に狭い。ひざ頭が前席の背にこすれ、ひじ掛けの下から隣席の婦人のわき腹の肉がこちら側に押し寄せてくる。

 酒でも飲んで寝てしまおうと注文すると、国際線なのに「二ドルいただきます」ときた。

 機内食は出た。ただ、これもすさまじい。かさかさのパンにチーズをはさんだだけ。「飲み物といっしょに飲み下すんです」とこの便をよく利用する隣席の女性がコツを指導してくれた。

 やっとグアムに着いたら「乗り継ぎ便は四時間後」ときた。この辺はコンチネンタルの独占運航だから、こんなでたらめができる。でも四時間はいい方で、名古屋からの女性グループは「七時間待ちです」となぐさめてくれた。

 そして帰り便。また恐怖のDC10で、何とか離陸して、こっちは仕事疲れで寝入って、やがて「食事です」で起こされた。機内は真っ暗で、老朽機にありがちな停電かと思ったら、「いや映画を上映するといってもう一時間以上、真っ暗なまま」だと隣の客が教えてくれた。

 客室乗務員に聞くと白々しい驚きのポーズがあって、やっとスクリーンが明るくなった。

 ハリソン・フォードが初の悪役を演じる映画で、恐怖のなぞ解きが進み、ミシェル・ファイファが殺されそうになるクライマックスで、画面暗転。「まもなくナリタです」で終わってしまった。

 乗客は「えーっ」と声はもらしたものの、そこは日本人だから暴動も器物損壊もなく、乗員の冷たい笑顔に送られて降りていった。ちなみにこの航空運賃はエコノミー往復で二十二万円だった。

                 ◇

 「異見自在」は三年余で百七十本近くになる。その中で一番、頭にきたのがノルウェーの航空会社の出品した「日本人」というCMがカンヌ国際広告賞で金賞を取ったという話だ。日本人乗客がおしぼりの何たるかを知らず、ケーキで顔をふいてしまい、といった内容で審査会場は大爆笑、日本代表をふくめ全会一致で金賞が決まったという。

 おしぼりは日本が世界に普及させた日本文化だ。つい前世紀まで手づかみで食事をし、手ばなをかんでいたノルウェーにはこんな上品な風習はない。

 問題はそれ以上に「日本人」というタイトルである。明らかに日本人を間違ったイメージでステレオタイプ化し、メガネに出っ歯、カメラを下げて、の旧来のイメージを土台に、あか抜けないどじぶりを付け加えてみました、という意図がありありなのだ。

 いや、そんな意図はないと日本代表は言ってるようだが、では、なぜ爆笑の対象を「中国人」や「ユダヤ人」にしなかったのか。答えは簡単で、そんなことをすれば外交問題どころか、この航空会社はつぶされてしまったろう。

 要するに、彼らは日本ならどんなことをやってもただへらへら、文句も言わないのを知っているからだ。現にこのCMが流れ続けた在ノルウェーの日本大使館は抗議すらしていない。

 日本を虚仮にしているのは米国も同じだ。ルービン米財務長官の退官パーティーで一本のビデオが座興で流された。クリントンも登場する寸劇はルービンが彼におとしめられた日本の官僚に誘拐され、CIAが救出するという筋立てだ。

 ここでも、なぜどじな誘拐犯が日本人なのか。ルービンの大親友といえば、マハティールがアジア経済危機の張本人と名指ししたジョージ・ソロスがいる。それでルービンが親友をかばい、ヘッジファンドが悪いんじゃあない、アジア諸国の経済体制が未熟だとかマハティールと随分やりあった。

 それなら誘拐犯をマレーシア人にすれば、もっと迫力も出たろうが、そうしたら座興が座興でなくなってしまったろう。

 ここでも同じように、日本ならどう侮辱してもばかにしても、問題にならないということだ。

                 ◇

 日本はおよそ外国となるとやたら寛容になる。その外国で日本を侮辱のネタにしても、「文句を言うのは大人げない」なんて分別そうにいってきた。その結果はどうだったか。ナメられ、見くびられるだけだった。

 もう寛容の時代は終わった。手始めにコンチネンタル航空を日本人乗客の侮辱罪で乗り入れ権を剥奪する。米国が文句を言ってきたらルービンの寸劇の悪意の釈明を求めればいい。

 卑下をやめ、世界を等身大で見る訓練をすべきだ。

 そうすれば、サッカーW杯で「韓日」を公式タイトルにするなんて発想は消えるだろう。

     

コメント(4)

アンコール(中)消えた日本の遺産

[2001年03月23日 東京夕刊]
 昨日に続いて、パラオの話。

 ここは第一次大戦のあと、ドイツ領から日本の委任統治領になった。その当時は「タロイモと魚が島民の主食だった」とパラオ共和国の上院議長だったピーター・スギヤマはいう。

 「日本がきてからその生活は大きく変わった」と続ける。日本はコメを持ってきた。ナスやキュウリなど野菜に、サトウキビ、パイナップルも持ち込んだ。

 そして雇用創出もした。マグロ缶詰工場やかつお節工場もつくり、島民に仕事を与えた。

 インフラも整備し、舗装道路を敷き、電気を供給し、電話も引いた。今、英語で話される日常会話に日本語の「デンワ」が交じるのもそのころの名残だ。

 しかし、その統治は三十年と続かず、パラオは三度、新しい統治国、米国を迎えた。

 彼らはまず「すべての工場を破壊し、畑もつぶした。島々を結ぶ橋も壊し、道路の舗装まではがしていった」。

 すべての破壊が終わった後、米国は島の人々にアメリカ米を支給し、働かなくてもいいように生活保護費を出した。東西冷戦の中でこの島が東側に取られた場合を考えれば、数千の島民にただ飯を食わせるぐらいは安いものだという考え方だ。

 そして、冷戦が終わった今、島民への援助は間もなく打ち切られる。もうこの島を持っている意味はなくなったからだ。カリブ海に浮かぶハイチはナチやソ連の進出が懸念されるたびに米国が占領した。脅威がうせれば捨てられた。それと同じパターンである。

                 ◇

 ピーター・スギヤマは米軍兵士が汗まみれでブルドーザーを動かし、道路の舗装をはがしている光景を覚えている。「まるで日本人がここにはいなかった、何もなかった、と黒板消しで日本の影を消し回っているようだった」と。

 実は、そういう日本の名残を消し去る作業はアジア各地でも見られた。あの泰緬鉄道もそうだ。

 全長四百キロ余り。昭和十八年春から日本軍と連合軍捕虜、それに現地の人たちが従事して十カ月足らずでバンコクからミャンマーのモールメンまでが結ばれた。

 しかし、戦後、戻ってきた英軍は日本軍捕虜を使ってその軌道敷を撤去させ始めた。

 驚いたのはタイで、せっかく敷かれた鉄路を外すことはないだろうと抗議して、結局、タイ領内の五十キロだけが残された。今、それは地元民の重要な足として重宝がられている。

 地元の人たちには有用な舗装道路や鉄道を、彼らはなぜ取り払ったのだろうか。その答えは「ハル・ノート」で知られるコーデル・ハルの言葉に集約されそうだ。

 彼は終戦前年の秋、「日本は敗れても、解放の戦士としてアジアに影響力を残すだろう」とルーズベルトに警告している。

 その影響力を排除しないと「欧米のアジアの植民地支配は終わり、マッカーサーのいう『米国の未来はアジアとその周辺の島々(の支配)にかかっている』という夢も無駄になる」と。

 そうか、じゃあ日本の影響力を排除しよう、とはどんな歴史書にも書かれていない。書かれてはいないけれど、その後の展開は十分それを裏付けている。

 敗戦後、連合軍は国外にいた日本人すべてを引き揚げさせた。アイルランドなど中立国にいた日本人まで引き揚げさせたのは明らかな国際法違反だが、それでも強行している。

 舗装をはがし、鉄路を取り払ったのも日本人がいたという証拠を消し去るためだったろう。

 彼らは、すべてを消し去ったあと、もっと積極的に日本の否定的イメージを植え込んだ。「日本は侵略国家」だとか「残虐非道」だとか、聞き飽きた伝説だ。

 泰緬鉄道では、そこで働かされたP・ブールが「クワイ川の橋」を書いてこの伝説を補強した。

 ただ、勢い余って続編に「猿の惑星」を書いたのはまずかった。日本人を猿に見立てたストーリーは、はしなくも白人こそ有色人種・日本人に勝るのだ、という本音をもらしてしまった。
1の続き)


                 ◇

 韓国で日本の総督府ビルが取り壊された。

 日本はこの国に総督府だけでなく、ダムも鉄道もつくった。おかげで「はげ山が消え、港も立派になった」(日韓交渉での久保田貫一郎政府代表の発言)。

 日本の遺産が気に食わないなら鉄道もダムも壊せばよかったと思うが、それは別にして、この総督府取り壊しには、欧米と同じ人種意識がある。

 十一日付の本紙「日中再考」に「中華のために屍になろうとも、倭奴にはひざまずかず」の引用が示す「華夷弁別」意識である。

 中国文化圏には、この序列が生きていて、中国がその中心にあり、序列二位に朝鮮とベトナム。三位に蒙古その他。その外側の日本はもはや化外の地なのだ。

                 ◇

 彼らは口でこそ言わないが、そういう人種意識、弁別意識がすり込まれている。

 その善悪は別にして、彼らがどういう思考形態を持っているかを知らなければ、日本は国際舞台でどんな交渉をしようとも勝ちはない。

 (編集委員)


--------------------------------------------------------------------------------
アンコール(下)売春汚職の教訓 内なる敵を倒せ
[2001年03月24日 東京夕刊]
 昭和三十年代から四十年代にかけ、全日空はライバル日航と熾烈な空の戦いを展開した。

 貧乏・全日空は最初は旧型のDC3を飛ばしていた。一方、政府が株主の日航は四発のDC4。勝負にもならなかった。

 で、全日空は社の浮沈をかけてコンベア440を導入する。機内与圧式の機は高々度飛行ができ当然、DC4より速かった。

 羽田を出て福島上空辺りでスチュワーデスが「はるか眼下をご覧ください。ただいま、先に出発した日航機を追い越しました」なんてアナウンスしたものだ。

 この新鋭機で全日空が息を吹き返すと、日航はDC6を投入して対抗する。全日空は今度はバイカウントを入れてまた引き離す。ついに日航は本格ジェットのコンベア880を入れ、全日空もまたボーイング727で対決した。

 しかし、このコンベアは大外れで、もし全日空がよしみで採用していたら、会社はつぶれていただろうといわれる。

 日航は事実上の国営だから、つぶれることもなく、次にDC8を投入できた。そして四十年代に入ると、日航はジャンボと二番手としてDC10を入れた。

 ロッキード事件はそんな背景の中で起きた。

 検察はいう。田中首相がロ社に頼まれ、次期主力機にDC10を決めていた全日空にトライスターを入れさせ、その謝礼にピーナツを受け取った、と。

 これはどうだろう。もし機種選択を誤れば全日空はつぶれてしまうことはその歴史が語っている。いくら首相の頼みだって駄目なものは駄目なのだ。

 全日空はDC10に決めていたというのももっと変だ。日航の二番手機種をライバルの全日空が主力機に選ぶだろうか。

 「民間機の機種選定にからむ」という検察の構図は航空界を知っている者には虚構にしか見えない。むしろ、あのとき国産化を白紙に戻し、ロ社のP3Cにした対潜哨戒機の方が筋は通る。

 ところが検察幹部はある日、トライスターがロ事件の“本命”だとにおわせ、「P3Cにこだわる者の取材を拒否する」と言い出した。そして、その構図に従って田中首相が逮捕された。後には釈然としない空気が残った。

 で、それを当事者の若狭得二氏(全日空会長)に話したことがある。彼は「売春汚職事件を知っているか」と問う。

 昭和三十二年、売春汚職にからんで読売の記者が二人の国会議員の名をスクープし、あげくに検察に逮捕された事件のことだ。

 ロ事件では正義の検察を喧伝した伊藤栄樹氏が後に「秋霜烈日」でとくとくと書いているように、この事件の背後には検察の派閥抗争があった。その一派がガセネタを相手派に流し、新聞にリークされるのを待って記者を逮捕し、リーク元をしゃべらせて相手派をつぶすはずだった、と。

 権力を私し、新聞まで派閥抗争に利用する。「権力の妄執と思い上がり」と青木彰氏は「新聞との約束」で満腔の怒りを書いているが、これが検察に限らず、権力をもった公務員の本性なのだ。

 若狭氏は、自分の体験を通して公権力のでたらめさ、逆らう者への容赦なさを知れ、と言いたかったようだ。

 青木氏は「傲岸不遜(ごうがんふそん)の姿勢は今日にも引き継がれている」と指摘する通り、ロ事件でも彼らの思い通りに事件を作り上げていった。そこには、なぜ米議会にロ社の機密資料が誤配送されたのか、というこの事件のもつ隠微な国際戦略の解明は一切ない。

 かくて世界を相手にできた宰相は切られた。分別はないが、権力はある公務員が日本沈没の引き金を引いた瞬間だった。

             
3の続き)   

 ◇ 

 日本の税制は、たとえばフランスが仏領インドシナに課したのと基本的には同じである。苛斂誅求(かれんちゅうきゅう)の果実は本国に持ち帰って国防や福利に使われた。

 日本は朝鮮や台湾を持っていたが、フランスとは逆に本国からカネを出して開発や民生に使った。そのカネはどこから持ってきたかというと、それが自国民への植民地なみ課税だった。それで日本は台湾、朝鮮の面倒をみた上で連合艦隊をつくり、五十個師団の陸軍を養ってきた。

 戦後、税金の二五%以上を占めた軍事予算枠が消えた。しかし公務員は植民地税制を維持し、軍事予算枠分を五百万公務員が今、好きに使っている。

 庁舎の新築もハコ物も好きなだけ作り、七十歳まで三度の天下りと四度の退職金を取る。例の外交機密費もそう。実態は公務員の機密遊興費でしかなかった。

 そんな勝手ができるのも彼らが権力を握っているからだ。

 彼らは国民の血税を詐取するだけでなく、ワルさもする。

 この前、自転車で杉並区の裏道を走っていた本紙女性記者が車両進入禁止の横道から出てきた車の横腹にぶつかり、けがをした。

 警視庁関係者という運転者は警官を立ち会わせて車についた傷の修理代二十万円を請求した。

 仏領インドシナではフランス人の犯罪は問われない。アンドレ・マルローはアンコールワットから仏像を五体盗んでおきながら、お構いなしになっている。

 日本国民はその意味で、公務員という名の「組織犯罪集団」に統治された植民地の民という言い方もできる。

 早めに彼らを滅ぼさないと日本そのものが滅びてしまう。

 (編集委員)


--------------------------------------------------------------------------------

高山正之の異見自在

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

憂国の士 更新情報

憂国の士のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング