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憂国の士コミュの貧者の一燈、核兵器〜中国軍拡小史

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JOG(186) 貧者の一燈、核兵器〜中国軍拡小史
 9回の対外戦争と数次の国内動乱を乗り越えて、核大国を目
指してきた中国の国家的執念。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h13/jog186.html



-----Japan On the Globe(186) 国際派日本人養成講座----------
_/_/
_/ The Globe Now: 貧者の一燈、核兵器
_/_/ 〜中国軍拡小史
_/ _/_/_/ 9回の対外戦争と数次の国内動乱を乗り越えて、
_/ _/_/ 核大国を目指してきた中国の国家的執念。
-----H13.04.21----33,572 Copies----245,282 Homepage View----

■1.ズボンをはかなくとも核武装を■

 中国はどんなことがあっても核兵器を作り出すだろう。
そのためにはおそらく何年もかかるであろうし、大量生産
を始めるにはもっとかかるかもしれない。しかし中国はた
とえズボンをはかなくとも、完成された兵器を製造するで
あろう。

 1963年に、外交部長だった陳毅が日本のジャーナリストと会
見した際に述べた言葉である。「ズボンをはかなくとも」とい
う表現は、日本語なら「よれよれの着た切り雀になっても」と
いう所だろうか。

 それはともかく中国は1949年以来、朝鮮戦争をかわきりに台
湾2回、インド、チベット、ソ連、ベトナム3回など9回もの
戦争を行い、さらに大躍進、文化大革命、天安門事件など国内
の大動乱を経つつも、この言葉通り、一途に核武装の道を歩ん
できた。その核軍拡の歴史は現代中国を理解するための重要な
鍵である。

■2.毛沢東の核武装決断■

 中国が核武装を決意したのは、建国後5,6年後の1955〜56
年という非常に早い時期である。朝鮮戦争(1950〜53)、インド
シナ戦争(〜54)、台湾海峡での国民党政府軍との戦争(54〜55)
と、立て続けに戦争を行い、しばしば米国の核兵器に威嚇され
た。朝鮮戦争ではマッカーサーが中国に対して原爆使用を提案
し、トルーマン大統領に解任されている。毛沢東は米国のよう
な大国に対して、対等な発言権を持つには核兵器が必要である
ことを明確に認識していた。

 当時の人民解放軍はゲリラ戦中心の前近代的な装備だったが、
これを全面的に近代化するには、当時の国家予算の何割もの金
が必要であり、それでも米国には対抗できない。これに対して
核兵器開発なら1割程度でできる。ここから通常兵力は前近代
的なまま、核兵器に国防予算を集中する、という思い切った政
策がとられるようになった。

 毛沢東は人口を全国に散在させ、人民公社で自給自足化する
ことで、原爆によって人口の半分が死んでも、侵略してきた敵
を各地域での人民戦争で消滅させうると考えた。そして鉄鋼や
食糧生産などの「大躍進」政策がとられたのだが、これが失敗
し、2、3千万人が餓死するという結果を招いた。[a]

 この頃、日本では朝鮮戦争による特需景気で経済復興が進み、
日米安保条約のもとで、55年からは神武景気、60年には所得倍
増計画がスタートした。

■3.ケンカ好きのシャモのよう■

 ソ連は当初中国の核開発を支援すると約束していたが、フル
シチョフは「原爆によって中国の人口の半分は死んでも半分は
生き残る」という毛沢東の発言に刺激され、58年の台湾・金門
島砲撃では「ケンカ好きのシャモのように戦争に熱中してい
る」と非難して、核兵器開発援助をうち切った。「世界戦争は
人類の破滅」であり、中国のような「好戦的な」国家が核兵器
を持つ事の危険性をフルシチョフは危惧したのだった。

 しかし、中国はソ連との同盟関係をほごにしても、さらに社
会主義陣営を離脱しても、自前の核兵器開発を選択した。冒頭
の「ズボンをなかなくとも」との発言はこの時のものである。

 64年10月16日、最初の核爆発実験を行った。過去に行わ
れた米国、ソ連、英国、フランスによる第一回核実験はすべて
プルトニウム239型であったが、中国は始めから難度の高いウ
ラン235型で成功した。

 ウラン235型原爆は、水爆の引き金に適している事、そして
原子力潜水艦に必要な小型軽量の原子炉には濃縮ウラン生産が
必要なことから、当初から水爆開発と原潜建造を目指していた
事が分かる。

 ちょうどこの時、日本は東京オリンピックの真っ最中であり、
その直前には新幹線が開通していた。OECDに加盟して、先
進国の仲間入りを果たした。

■4.「人質」戦略と「昭和元禄」■

 66年から始まった文化大革命は、67年には中国全土で内戦状
態に至るまで燃えさかった[b]が、その間にも核兵器開発は着
々と進められた。66年10月、準中距離弾道ミサイル(MRBM、
射程千キロ)による核弾頭の爆発実験を行った。70年4月には
人工衛星・東天紅を打ち上げ、中距離弾道ミサイル(IRBM、射
程2〜3千キロ)が一応の水準に達している事を示した。

 北京から射程3千キロなら、日本列島がすっぽりと入ってし
まう。まだアメリカを直接核攻撃する事はできないが、その同
盟国日本、およびそこでの米軍基地を「人質」にとって、核攻
撃の脅しをかけることはできる。米国に対する最小限の核抑止
力ができあがった。

 この間、日本では69年に東名高速道路が完成し、70年には大
阪万博が開催された。戦後最長のイザナギ景気が続き、日本は
世界の経済大国の仲間入りをしつつあった。国民は「昭和元
禄」を謳歌していた。

■5.ソ連との対抗■

 68年8月、ソ連軍のチェコスロバキア侵入に中国は衝撃を受
けた。翌69年3月には中ソ国境のウスリー江にある珍宝島で両
国の警備隊が武力衝突を起こし、その後、数カ所に飛び火した。

 ソ連は6月にモスクワで開かれた世界共産党会議で東欧諸国
の指導者に対し、「中ソ国境紛争が拡大した場合、ソ連軍は中
国の核施設を破壊するための行動をとらざるをえなくなるかも
しれない」と述べたと伝えられ、強大な通常戦力・核戦力で中
国に威圧をかけた。

 中国では国をあげての戦争準備が進められ、各地での食糧備
蓄、防空塹壕堀り、地方経済の自給化が推進された。毛沢東は
周恩来総理を通じて、対米関係の改善によってソ連に対抗しよ
うという政策を始めた。これに反対する林彪・中国共産党副主
席は、武装クーデターと毛沢東暗殺を計画したが失敗し、71年
9月に空軍機でソ連に逃亡を企て、モンゴルで墜落死したとい
う。

 72年2月、ニクソン大統領が中国を訪問した。米国の後ろ盾
を得てソ連に対抗したわけであるが、前近代的な通常戦力だけ
では、東欧諸国のように全面的にソ連に屈服せざるをえなかっ
たであろう。やはり核兵器を持つ事で、大国に対しても対等の
発言権を持てる、という毛沢東の戦略は正しかったのである。

■6.核戦力の完成■

 米国やソ連との確執の過程で、中国は核兵器というカードの
有効性を確認したのであろう。核兵器の高度化を着々と進めて
いった。

 80年5月には大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発に成功した。
これでモスクワ、ヨーロッパ、米国の一部を核攻撃できるよう
になった。81年10月には1基のミサイルで3個の衛星を打ち
上げる実験に成功した。これは同一のミサイルから複数の核弾
頭で敵の複数地点を同時に狙う多核弾頭(MIRV)を目指した実験
であると注目された。

 82年10月には水中の通常型潜水艦からの弾道ミサイル発射
に成功し、88年9月には原子力潜水艦からの水中発射実験に成
功した。これでどこからでも核攻撃できる手段を手に入れたこ
とになる。

 原潜からのミサイル発射成功によって、中国の核兵器開発は
ひとまず完了した。55〜56年の毛沢東の決断から、実に30年
以上経過している。この間、度重なる対外戦争と、大躍進、文
化大革命、林彪事件など国内動乱があったが、それらをものと
もせずに核兵器開発に邁進してきた中国の国家的執念は凄まじ
い。

 80年代後半からは、トウ小平の指導のもとに、通常戦力の近
代化が急ピッチで進められ、軍事費も89年から、2001年予算ま
で13年連続で2桁の伸び率を続けている。これらは中国軍拡
史の第2幕と言えるが、別稿に譲る。

■7.台湾の自由選挙を核で威嚇■

 完成した核兵器は、どう使われているのか? その典型は96
年3月の台湾総統選挙の直前に行ったミサイル演習だろう。基
隆沖と高雄沖に合計4発のミサイルを打ち込んだ。中国大陸か
ら台湾の北東・基隆沖にミサイルを打ち込もうとすれば、台北
など台湾北部地域を頭越しに通過する形となる。これは李登輝
総統が再選されれば、戦争になるぞ、というあからさまな威嚇
である。

 遅浩田・国防相は「李登輝(総統)一味が祖国を分裂して、
『二つの中国』『一中一台』をつくろうとしている」として、
名指しで非難し、また江沢民主席はミサイル実射演習について、
「中台統一のために重要であり、中国が台湾を統一する能力を
示すものだ」と強調した。[3]

 ミサイル実験の後に、中国は台湾海峡南部の海・空域で航空
機や艦艇による大規模な実弾演習を開始した。台湾南部で陸軍
最大の軍事拠点である高雄では、主力部隊は中国軍上陸に備え
て山間部に全面移動し、また日本や東南アジアの駐在員も続々
と高雄を離れた。

 アメリカは即座に太平洋艦隊の原子力空母インデペンデンス
とミサイル巡洋艦バンカーヒルなど5隻、さらにペルシャ湾か
らも原子力空母ニミッツと随伴艦5、6隻を台湾近海に派遣し、
クリストファー国務長官が「中国の演習は無謀な威嚇であり、
危険な威圧だ。米国は必要な場合に助けになるため台湾に近づ
く」と警告した。

 中国の威嚇は、台湾人の結束を高め、皮肉にも李登輝氏への
投票率を押し上げる結果となった[c]。また自由選挙を核で脅
かそうという中国の戦術は国際世論の非難を浴び、さらに米国
の軍事圧力に屈した形となって、威信は大きく低下した。核兵
器という政治的武器を手に入れても、それを使う政治そのもの
が間違っていては、効果は発揮できない。

■8.アジアでの核拡散を刺激■

 また中国の核武装は、核兵器の拡散に大きな影響を与えた。
62年にインドは、国境紛争で中国軍10万人規模の侵攻を受け
て、敗退し、さらにその2年後、中国の核実験成功があった。
インドは核兵器を含めた戦力差のもとでは平等な平和交渉はで
きないことから、独自の核開発を進め、74年には最初の核実験
を成功させた。

 その後、中国はインドと対立するパキスタンに核技術の支援
を行い、98年にインドが24年ぶりの核実験を行うと、すかさ
ずパキスタンも核実験に成功した[d]。

 さらにパキスタンに対するミサイル技術供与の継続疑惑、対
イラン原子炉供与問題がある。中国の核武装は、その敵対国を
刺激し、友好国を支援して、アジアでの核兵器の拡散を招いて
いる。

■9.日本を狙うミサイル群■

 米国の国防総省所属の防衛分析研究所などが中心になってま
とめた「中国の核兵器と軍備管理」という報告書には、中国の
中距離弾道ミサイル(射程1千キロから3千キロ)が日本に照
準を合わせて配備されている事を明らかにしている。それによ
ると、数十基規模で、ほとんどが通常弾頭装備用だが、一部に
は核弾頭装備の可能なミサイルもあると推定されている。[4]

 これに対し、米国は本土を守る国土ミサイル防衛(NMD)、
および、同盟国を守る戦域ミサイル防衛(TMD)の開発を進
め、日本にも参加を呼びかけている。TMDはミサイル発射を
衛星などで探知し、大気圏外も含めた高層から低層までの何段
階かの迎撃ミサイルで打ち落とそうというシステムである。

 まだまだ技術的には課題が多いが、完全に防御的なシステム
なので、平和主義に立つわが国にはふさわしい。日本に配備す
るには1兆円ほどかかるというが、98年に江沢民が来日した時
に約束した経済援助3900億円の3倍弱に過ぎない。

 中国はTMDは軍拡を招くと猛反発しているが、中国の槍
(核兵器)がわが国を狙っているからこそ、盾(TMD)が必
要になるので、その盾が中国を攻撃するわけではない。中国の
反発は、TMDが自国の虎の子の核兵器を無効化してしまうか
もしれない恐怖の裏返しなのである。

 中国が核兵器開発に着手した頃、その一人あたり国民所得は
69ドルと、日本の249ドルの4分の一強であった。それが
近年では860ドルと、日本の3万8千ドルの44分の一にま
で差が開いてしまった。

 米国の核の傘のもとで、ひたすら経済成長を続けてきた日本
と、「ズボンをはかなくとも」核軍拡に邁進してきた中国とは
まさに対照的な道を歩んできた。その道は米ソと対立し、多く
の近隣諸国と戦い続けた、孤独な険しい道であった。核兵器に
よって大国と対等な発言権を持とう、という毛沢東の戦略は成
功したと言えよう。ただ、それが中国人民の幸せにつながった
かどうかは別問題である。
(文責:伊勢雅臣)

■リンク■
a. JOG(109) 中国の失われた20年(上)
〜2千万人餓死への「大躍進」
b. JOG(110) 中国の失われた20年(下)
〜憎悪と破壊の「文化大革命」
c. JOG(061) 李登輝総統の志
 漢民族5千年の歴史で初の自由選挙で選ばれた台湾総統。「世
界でももっとも教養の高く、かつ名利の欲の薄い元首(司馬遼太
郎)」
d. JOG(040) 真の反核とは
「反核」を叫び、「制裁」を唱えているだけでは、世界はちっと
も変わりません。

■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
1. 平松茂雄、「中国の軍事力」★★、文春新書、H11
2. 平松茂雄、「中国人民解放軍」★★、岩波新書、S62
3. 産経新聞、「中国ミサイル発射強行 『統一能力を誇示』江主席
が強調 狙いは独立派追放」、H8.03.09、東京朝刊
4. 産経新聞、「中国ミサイル 日本照準、核弾頭装備用も 米政
府機関報告書が指摘」、H12.06.19、東京朝刊

コメント(1)

最新号サピオの『ソウルの風』に、韓国内で日本の核武装への理解が深まってきている状況が載っていますね。

一番理解させねばならないのは日本国内の反日サヨク&ポチ保守かもしれません。

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