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シオミック・ワールドコミュのサブ・ウエイ 1

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ナレーションの男性(20代後半〜30代初)
少女1=ミライ(12歳くらいの少女)
少女2(高校生くらいの少女)兼ナレーションの女性
少年=トキオ(13歳くらい渓流のそばに野宿して 陶芸をしている)シオミ
老婆(占い師のイメージ) 

(地下鉄のドアの開く音 コツコツと革靴の音 )
男性ナレ「地下鉄は人もまばらでその駅で降りたのは僕を含めて
数人だけだった。仕事で忙しい日が続いたせいだったのかもしれない 急に胸苦しさを覚えて僕は通路にしゃがみこんだ。・・・・急がなくてはいけない。今日中に仕上げなくてはいけない仕事がある・・・・体にとろりと絡み付くような空気・・・かき分けるように僕は立ち上がり、歩いた。
地上へ続く階段をやっとの思いで登った・・・」
キラキラ光る音 風の音 ヒバリの鳴き声
男性ナレ「一面に広がる光の渦 どこまでも続く草原の中・・・ここは? 真綿のような白い穂が風に揺れる。青い空、澄んだ湖のように深く、雲ひとつない・・・みなれぬ風景、なぜだか懐かしさを感じる・・・僕の瞳に熱いものがこみあげてきた・・・・・」  宗次郎のオカリナBGM
男性ナレ「真っ白な帽子をかぶった少女が僕の横をすり抜けていた。
軽やかにスキップしながら女の子は土手をかけのぼり、立ち止まると 川に向かって大きく両手を広げ深呼吸した。」  風の音 水が風にふかれて波立つ音
少女1「わぁー川の中に空が映ってる!」
少女1「不思議・・・雲の形まではっきり映ってるんだ・・・」
男性ナレ「女の子は川上に向かって水面に映った空を追いかけ始めた・・・川の中の空は少女が近付くと遠くへ逃げる。彼女が止まると川の中の空も止まった。彼女の瞳の中に空が映った。」 風の音強く
少女1「わ、帽子が飛ばされちゃう・・・・待ってよ(息を切らせて・・・・)待っててば・・・」
少女2「これ、あなたの帽子?」
少女1「お姉ちゃん?(息を切らしながら・・・・)」
少女2「川に落ちなくて良かったね」
少女1「うん、ありがとう。帽子をなくしたらママにしかられちゃう・・・」
少女2「今日はとても風が強いのね・・・」
少女1「本当・・・お姉ちゃんがいてくれて、助かっちゃった・・」
少女2「・・・・・・・・・」
少女1「ねえ、何をしてたの?」
少女2「そうね・・川が流れていくのを見てたの・・・」
少女1「ふ〜ん・・・面白い?」
少女2「そうね・・・面白いかな・・・・・」
少女1「あのね聞いて!・・・川の中に空が映っているの・・・でも変なんだよ。そばに行こうとするとどんどん先に逃げていってしまう・・・だから私ずーっと追いかけてたんだ・・」
少女2「・・・逃げ水みたいね。」
少女1「逃げ水って?」
少女2「暑い日に遠くのアスファルトの道に水がたまっているように見える事があるの・・・手に入れようと近くまでいくと先へ先へと逃げていってしまう・・・だから逃げ水っていうの・・・」
少女1「ふぅーん・・・どうしてなんだろう・・・」
女性ナレ=少女2「(・・・本当に欲しいものは、いつも遠くにあって手に入れようとすると先へ先へと逃げていくもの・・・・)」

少女1「ねえ、お姉ちゃんの首につけてるの、笛? 魚みたいな形してる・・・」
少女2「え?あ、これオカリナ・・・・土を焼いて作った陶器の一種、
これは 私が一番大切な人からもらった物なの・・・自分で作った、たったひとつだけの作品なんだって・・・」
少女1「ふ〜ん・・・・・」
少女2「吹いてみる?」
少女1「うん、いいの?」
ひばりの鳴き声甲 高い笛の音、風に流され消える・・・・
遠く輸送トラックのエンジンの音、地響き・・・
突如花火の音
少女2「あっ、花火・・・今日、お祭りね?」
少女1「お祭り?」
少女2「そう、1年に一度この土地の神様を祭ってのぼりが立つの・・・たくさんの人が神社にお参りして、屋台が出たり、綿菓子、焼きとうもろこし・・・サーカスも来るかな?」
少女1「綿菓子?焼きとうもろこし?サーカス?」
少女2「ねえ・・・・お祭り行きたい?」
少女1「うん!」
少女2「私もしばらく行ってないな・・・いっしょに行こうか?」
少女1「え?いっしょに行ってもいいの?やったー!」 無邪気にはしゃぐ
・・・・・・・・・・たくさんの人が神社にお参りして、屋台が出たり、綿菓子、焼きとうもろこし・・・サーカスも来るかな?
たくさんの人が神社にお参りして、屋台が出たり、綿菓子、焼きとうもろこし・・・サーカスも来るかな?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

地下鉄の構内、アナウンスの音
アナ「・・・線に・・・行きの電車が到着します。」 電車がホームに入る音
女性ナレ「駅のホームは込み合っていた。電車がホームに滑り込むと同時風が舞い上がった。
向かいの線路に止まった対向電車の窓ガラスに私の顔が映っている。ふたつのガラスが重なり合って・・・私の顔がゆがんで見えなくなった・・・・・」
ナレ「人ごみに押されて、女の子がしゃがみこんだ・・・(帽子が落ちちゃった・・・お姉ちゃん、お姉ちゃん・・・)
その時・・・空間が歪みながら女の子へ向かって押し寄せてきた」 地震の音
少女2「ねえ、大丈夫・・・ねえ、・・・・・・・・・・・」音のゆがみ ガリガリとラップ音
少女1「お姉ちゃん?お姉ちゃん、おねえちゃ〜〜〜ん・・・・・・」
静けさ ホームを渡る風の音 からからと空き缶の転がる音
少女1「お姉ちゃん、お姉ちゃん・・・・おねええちゃーん・・・(泣きじゃくる)」
男性ナレ「闇だけが広がっていた・・・崩れかけた建物の中に 少女がただひとりだけが取り残されていた。」
少女1「お姉ちゃん・・・お姉ちゃん・・・・・・・・・・」
女性ナレ「ひんやりとホームから吹き上げる風が体の芯までしみておもわず身震いをした。土ぼこりでくしゃくしゃになった服を手で払って・・・・・そして立ち上がり、地上へ続く階段を一歩一歩上った・・・・・・」
ひばりの鳴き声 蜂の羽音 さらさらと木々の葉の音
少年「ねえ、きみ、大丈夫?・・・きみ・・・青い顔してるけど 気持ち悪いの・・・ねえ大丈夫???大丈夫?・・・」  蜂の羽音 さらさらと木々の葉の音
女性ナレ「細い冷たい指がおでこに触れた・・・・白い木綿のだぶだぶした服を着た少年・・・」
少女1「ピエロ?サーカスのピエロなの?」
少年「え?面白いこというね?僕はトキオ、ピエロじゃないよ。ああ、この服装がね。これは作業服さ・・・それより真っ青な顔してるよ。木陰で少し休んだ方がいいよ・・・」
女性ナレ「蜂の羽音 さらさらと木々の葉の音・・・・・」
少女1「オカリナ?・・・」
少年「え?」
少女1「トキオの首にかけてる魚の形をした笛、オカリナ?」
少年「ああ・・・僕が焼いて作ったんだ」
少女1「お姉ちゃんの持っていたものと同じ・・・お姉ちゃん、一番大切な人から貰ったって言ってた・・・・」
少年「そう?でも、これは僕が自分で土を選んで焼いて作ったんだ・・・・・・」
少女「でも・・・・・・・」
少年「ちょっと変わった形をしてるだろ?魚のアユをモチーフにして作ったんだよ」
少女1「お姉ちゃん一番大切な人からもらった物だって・・自分で作った、たったひとつだけの作品なんだって・・・」
さえぎるように・・・
少年「それより、きみのこと何って呼んだらいいの?名前は?」
少女「ミライ・・・」
少年「ミライか・・・ねえミライ。少し休んで元気になったら 僕の作業場をみせてあげるよ」
鳥の鳴き声 羽音 清流の流れる音・・・・・
木々を踏みしめて歩く音

女性ナレ「トキオはひとりでこの森の中で寝泊りをしているのだと言う・・・もう何年もひとりで暮らしてきて、ここの山の土を集め、それを捏ね上げて土を焼いて作品を作るのが彼の生活なのだと・・・・」
少年「だいぶ元気になったみたいだね。 この奥に僕が生活しているテントがあるんだ。ついてこいよ」
羽音 清流の流れる音・・・・・
木々を踏みしめて歩く音


男性ナレ「薄暗い森の中を歩き、しばらく進むと小さな渓流に出た。水の中を覗き込みと 黒い魚の影がさっと深みのほうへ逃げていく姿が見え、少女は目を見張った。」
男性ナレ「渓流に渡された丸太の橋を渡るとすぐに、小さな広場が見えてきた。そこだけぽっかりと穴が開いたように木々の切れ間から、青い空が見える。」
少年「ここだよ」
少女「トキオはひとりで住んでいるの?」
少年「ああ、作品を作るときは いろいろわずらわしい事から遠ざかっていたいから・・・」
少女「トキオはひとりで寂しくないの?」
少年「寂しい?・・・結構気楽でいいもんだよ・・・でも独りじゃないさ、ほらねこれも僕の作品」
少女驚いたように悲鳴をあげる。
少年「ははは・・・・108の小人。精霊なのさ・・・・」
少女「この小人の人形たち、トキオが作ったの?気持ち悪い・・・・」
少年「そう?僕は結構気にいているけどね。ぼくがここに来てから初めて作った作品が彼らさ」
少女「・・・・・なんだか生きているみたいで怖いな。怒っていたり意地悪だったり、苦しそうだったり・・・なんだか見ていると 胸が苦しくなってくるの・・・」
少年「はは・・・だって精魂込めて作ったからね。僕は彼らが気に入っているよ」
少女「・・・・・・・」

男性ナレ「人の心の中には108の煩悩、迷いやねたみやさまざま感情が渦巻いていて彼はその負の感情をこの焼き物にこめてきた・・・・・」
鳥の鳴き声
少年「ねえ、ミライ。きみはどこから来て、どこに行くつもりだったの?」
少女「わからない・・・・・お姉ちゃんといっしょに お祭り行こうって、地下鉄に乗って・・・
急に大きな音がして・・・」
少年「もうすぐ陽がしずむ。あのさ、ミライ。きみが良ければ、何かわかるまで ここに居てもいいよ。そうしなよ・・・」
男性ナレ「やがて太陽が森の木々をあかく染めながら西の水平線へ落ちてゆき、あたりは漆黒の闇に包まれた。トキオは乾燥した枝を集め、小さな焚き火をおこし 缶詰を使った質素な晩御飯をこしらえた。ほどよく空腹が満たされ、暖かな炎のぬくもりの中でミライは静かにまどろみ始めていた。」
・・・・・・・
小鳥の鳴き声 朝を連想させるBGM

女性ナレ「生成り色のシートの中で私は目を覚ました。トキオはもうとっくに起きて焚き火を起こすと朝の食事の準備を始めていた。なべの中からゆでたジャガイモのいい匂いがする。」
トキオ「顔を洗っておいでよ」
男性ナレ「ミライはするりと起きて川原に下りて行った。清流に指先をつけると川の水はしんと身震いするくらい冷たかった。太陽は白く輝き始め、森の中にやわらかな陽炎が立っていた。
{今日は山に行って土を取りに行くよ。}とトキオは言った。」
トキオ「なかなかいい土がみつからないんだ。きめ細かくて弾力性があって そんな力強い土をさがしているんだけどね」
ミライ「身支度を整えて、トキオは谷へ行くのだといった。ここで待っていてもかまわないといわれたけれど、私は急ぎ足でトキオの後を追いかけた。」
女性ナレ「背丈くらいある草むらの中に続く細い小道、私は置いていかれないように、必死でトキオの後を追い続けた。むせ返るような草いきれ、遠くまで続く青い空と白い雲・・・・
山肌が大きく削れた渓流の横でトキオは陶器にあった土を懸命に探していた
川の流れはゆるやかで 黒色したムカシトンボが2匹仲良くつながって
空を見上げると雲が形を変えながらどんどん流れて行くのが見えた。」
トキオ「もうすぐ雨が降るな」
ミライ「なぜ?こんなにお天気がいいのに?」
トキオ「こんな風に雲が東から西へ流れるときは雨がふるのさ」
ミライ「すごいな風が吹くと丈の長い草が波のようにたなびいて、まるで嵐の海みたい」
トキオ「急ごう!もうすぐ雷が来るよ・・・この先に雨宿りにちょうどいい岩場があるんだ」
女性ナレ「雲がものすごい速さで東へ流れ 遠くで雷鳴が鳴るのが聞こえた・・・・」
かえるの鳴き声
雷鳴と雨だれの音
ミライ「空が破けたみたいに雨が降ってきて、私たちは大きな岩の陰で雨宿りをした。」
雷鳴と雨だれの音
トキオ「ひどい雨だね?もうすぐ止むと思うけどね・・・」
ミライ「ねえ、トキオ・・トキオはいつからここにいるの・・・」
トキオ「うんいつからだったかな?覚えてないよ、そんなこと・・・」
ミライ「覚えてないくらい昔から? ずっとひとりでここにいて、誰とも会わずに?」
トキオ「ああ、ひとりが好きだからね・・・・」
ひとりが好きだからね・・・・
ひとりが好きだからね・・・・
ひとりが好きだからね・・・・
ひとりが好きだからね・・・・
ミライ「トキオの声が岩の壁にぶつかって反響して聞こえた・・・それを聞いていたら、なんだか悲しくなって・・・私はトキオの背中にそっと耳をつけた。トキオの背中は温ったかくて、コトン、コトンとトキオの心臓の音が聞こえた。コトン、コトン、コトン、コトン・・・・それで私は少しだけ安心した。」
雨だれ止む
小鳥の鳴き声
トキオ「さあ、雨があがったよ」
ミライ「きれいだね・・・雲の切れ目から日が差し込んで光のカーテンみたいに見えるあの雲の上に何があるのかな?」
トキオ「さあ・・・・」
ミライ「きっとあの空の上には誰かが住んでいるのかもしれないね」
トキオ「そうかな?雲の上まで上って見なければわからないよな
昔のギリシアの話なんだけど ::::男性ナレ親子が迷路の中に閉じ込められた。父はなんとかここを脱出しょうと息子イカロスの背中に蝋で翼をつけて イカロスは空高く飛び上がった。若いイカロスは父の命令を聞かず太陽をめざしてどこまでも高く上り続けて 太陽の熱で蝋が溶けてイカロスは地上へ落ちてしまった・・・・人は父の命令をきかず太陽へ近づいたイカロスをうぬぼれやと笑うだろう・・・・(トキオ)けれど・・・僕は違うと思うイカロスは自分の可能性に挑戦したかったんだ・・・高くどこまでも空高く・・・・・自分の可能性を信じて、彼にとって空高く飛ぶ事をあきらめてしまうのは死ぬのと同じくらい辛いことだったんだと思うよ・・・・」
女性ナレ「日の光がとてもまぶしくて 太陽の恵みを受けた大地は潤い、やわらかな陽炎が立ち昇っていた。」

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