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グローバル・ピース!格差NO!コミュの日雇い派遣体験記

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☆07年1月から6月まで日雇い派遣労働を体験した。


ある日の木曜日、目指すは大阪市は大正区、日本リサイクル工場。仕事は産業廃

棄物の分別。大正区は大阪市で沖縄出身者が密集している町。JR環状線の大正

駅を降りると、駅裏の道には沖縄料理店が集まっている。しかし、そんなことは

どうでもいい。俺は大好きな沖縄料理を楽しみに来たわけではない。

大正区のもう一つの特徴は町工場の街というところだろう。外国人労働者も多数

働いている。

会社で貰った地図を頼りに歩く。徒歩15分とのこと。表通りを曲がりしばらく

行くと工場街。そこを通り抜けて歩くことしばし。産廃(靖国神社参拝ではない

ので念のため)を満載した大型ダンプが工場の前にズラリと並ぶ。

入り口を入るとすぐ事務所。事務の女性に派遣で来ましたと告げる。仕事は夕方

5時から夜10時まで、途中15分の休憩があるとのこと。彼女が電話連絡し

て、しばらく待たされる。ヘルメットに作業服のおじさんが現れ案内される。事

務所裏が更衣室。細い鉄の階段を三階まで上がる。階段も廊下も更衣室のテーブ

ルも粉塵で真っ白である。会社から指示があったのは、軍手の用意と汚れるので

着替えを持って行くようにとのことだけ。しかし前日に入った現場で、この日雇

い派遣の会社で5年になるという男性と一緒になり、産廃工場に行くならマスク

を持っていくようにアドバイスされていた。近所の薬局で花粉症用マスクを買っ

ていった。

マスク着用しヘルメットを被って、いざ工場内へ。派遣会社からの同僚は俺を含

めて3人。そのうち1人は2日間予約していたので、その日が2日目。ベテラン

だ。のっけから、

「エライですよ!」

と脅される。

工場内は産業廃棄物の山がいくつもある。大型ダンプが入って来て産廃をぶっち

ゃけて行く。粉塵がモーモーと舞い上がる(牛を飼っているのではないので念の

ため)。豊かな大消費国・ニッポンの産業が排出するウンコ。俺たちはウンコの

山にへばり付く。ユンボ(重機)ガ突っ込んで来る。「ダンボール」と指示され

たら、ゴミの山を掻き分けて、ひたすらダンボールを拾い集めてユンボのバケッ

トにほり込む。木、鉄、アルミ、ブロック、ビニール、耐火ボードなどを指示毎

に拾い集める。ずっと中腰の作業だ。ミレーの有名な「落穂拾い」の絵を思い出

していただきたい。あの農婦の姿勢と同じだ。あれは美しい田園風景だが、粉塵

がモーモーと舞い上がる汚い工場でゴミを拾い集める。ちょっと比喩が美しすぎ

た。フィリピンにはゴミの山に住んでゴミ拾いしながら生活している人たちがい

る。子ども達もゴミ拾いをしている。そちらの方が比喩として相応しい。

並んで待つダンプカー積載の産廃を時間内に処理してしまわないといけないのだ

から、作業員は殺気立ち慣れない派遣の人間には怒声に近い指示が飛ぶ。ところ

が、工場内の騒音がすごく、マスクをしていることもあってその指示が大抵聞き

取れない。だから作業員のしていることを見よう見まねで身体を動かす。ユンボ

が作業場内を何台も走り回る。四方八方に目配りしていないと、後ろから「どけ

っ!」と叫びながらユンボが突進して来る。

靴の裏に何かがくっついた。見ると、廃材に釘が何本も打ち付けてあって、スニ

ーカーの踵でそれを踏んづけ、釘が踵に刺さり廃材ごと靴にへばり付いてしまっ

たのだ。俺は底の薄いのと厚いのと2種類スニーカーを持っている。その日は胸

騒ぎがして厚底のスニーカーを履いていたため、釘は貫通せず幸い怪我には至ら

なかった。こういう足元の危険な作業は安全靴を履くように会社が指示すべき

だ。そういう派遣会社の、働くものの安全など何も考えず人数さえ送り込んで、

給料を大幅ピンはねして儲ければいいとしか考えていない体質に対し、猛烈な怒

りが湧き起こる。

腕時計を見ると、まだ1時間しか経過していない。これはとても5時間も持ちそ

うにないと正直思った。口と鼻はマスクで覆っているとはいえ、粉塵が眼に沁み

る。

ここは、きつい、汚い、危険の3拍子揃った、いわゆる3K職場である。働いて

いる作業員が30人くらいで、中に3人の黒人がいた。日本語も片言だ。彼らは

真剣によく働く。

2時間以上経過して7時を回っても休憩はない。大きな材木やセメントブロック

などは重くて、持ち上げバケットにほり込むのは重労働だ。電線コードに足を引

っ掛け転びそうになる。そしてただただ頭を空っぽにして、ゴミの山を漁る。

何とか8時半までこぎつけた。昨日も仕事に入っていた同僚は、昨日は7時に休

憩があった、もうこの時間になったら休憩は無しでしょうと悟ったことを言う。

モノを言わないニッポンの労働者の典型か…。俺が、監督に休憩してよろしいか

と申し出て許可が出る。3人で更衣室の椅子に座り、缶コーヒーを飲み煙草を吸

う。もう一人が「このまま、10時までここにいましょうか」と真面目とも冗談

ともつかず言う。なかなか魅力的なサボタージュの提案。俺はおおいに心を動か

される。しかし、2日目のベテランは怒られるから15分休憩したら行こうと言

う。昨夜、もう一人入っていた若い男性がフラフラにバテてしまい、作業場でし

ゃがみ込んでしまって酷く作業員に怒鳴られたそうだ。8時45分、仕事に復

帰。あと1時間15分の辛抱である。

またまた、ゴミの山にへばり付く。俺たちは、ねずみかゴキブリ程度の存在でし

かない。

10時5分前に、作業長が身体の前で両腕をクロスさせバツ印の合図。作業終

了。この時ほど幸せを感じたことはない。労働を終えた充実感などという洒落た

感情ではない。ただただ奴隷のような非人間的苦行から解放された安堵感なの

だ。

更衣室の入り口まで帰って行くと、一人の黒人労働者がエアーシャワーのホース

を持って、体中に付着した粉塵を吹き飛ばしていた。俺は前に立って待った。頭

のテッペンから靴の先まで粉塵で真っ白なのだ。今晩一日で、10年間煙草を吸

ったくらいのダメージを俺の肺は受けてしまったに違いない。アスベスト粉末だ

って、しっかり吸い込んだことだろう。あれは何に効くサプリメントだったっ

け…。

黒人が、エアーシャワーをかけるかと俺の目を見て語りかけてきた。目と目の会

話。目は口ほどにモノを言う。俺は頷いた。黒人は俺にエアーシャワーのホース

を渡してくれるのかと思ったら、彼が俺にかけてくれた。俺は流暢な英語で「サ

ンキュー」と礼を言った。麗しき国際親善。

疲労困憊という言葉はパソコンでしか書けない。漢字を覚えていないのだ。しか

しそんなことはどうでもいい。疲労困憊という言葉の意味を、この日、頭だけで

なく全身でもって理解した。

同僚2人は自転車で来たそうだ。日雇い派遣会社は交通費は自腹なのだ。安い給

料から交通費を引かれたら、たまったもんではない。だから多少時間がかかって

も自転車を利用する人が多いようだ。

2人と別れ閑散として工場外を俺はフラフラと歩く。俺は過去に30以上の仕事

を経験して来た。工事現場のガードマンを経験したときから、いつか建築労働者

のドラマを書きたいと思い続けている。テーマソングには岡林信康の「山谷ブル

ース」を使いたい。

「今日の〜仕事は辛かった〜あとは〜焼酎をあおるだけ〜♪」

森閑とした工場街の薄暗い夜道に、俺の「山谷ブルース」が響く。

「きっと〜き〜っと来〜るさ そのうちに〜働く〜俺た〜ちの世の中が〜その日

にゃ〜泣こうぜ〜うれし泣き〜♪」

明るい表通りに出て、コンビニに入りカンチュウハイを買い、飲みながら駅へ向

かう。

ルポライターの鎌田慧は、トヨタの期間工として潜り込み、日本の花形産業の過

酷な労働実態を「自動車絶望工場」にまとめた。俺には、鎌田氏のような明確な

野心があるわけではない。俺の人生はギャンブルだ。付け加えるなら、俺の人生

は俺自身の人体実験なのだ。社会や人間を本の上で頭で理解するだけでなく、直

接の体験を通して五官で感じ取ることが大切なのだ。そのことで、俺の肉体と心

がボロボロになろうと…。

梅田に帰りつくと、そこはファッショナブルな街。勤め帰りや飲み会帰りの小奇

麗な男性や女性たちが家路を急ぐ。これが同じ国ニッポンであることに不思議な

違和感を感じる。しかし、小奇麗な彼らは幸せな恵まれた人たちなのだろう

か…。格差社会ニッポンの中で、ボロ雑巾のようになった俺の足取りは重い。


◎後にグッドウィルなどで社会問題化するように、この派遣会社も1回の勤務について、200円のデータ装備費という名目の金を給料から差し引いていた。これは、明らかに労働基準法違反である。労働基準法第24条の後段にこうある。「法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる」。

どのような場合に、賃金の一部を会社が控除してよいかが厳密に規定されている。
「法令に別段の定めがある場合」とは、税金や社会保険費などの控除のことだ。
労働組合や労働者の過半数を代表する者との協定によって控除するのは、労働組合費や親睦会費などである。この場合、労使の書面による協定が必要なのである。会社側が恣意的に勝手な名目で、賃金から控除することに歯止めがかけられている。
データ装備費は、労働組合や労働者の過半数を代表する者との協定によらない控除であるから、労働基準法第24条違反なのである。
私は、所属支店に返還を求めたが拒否された。労働基準監督署に申告し、会社に指導が入った。本社から私に返還するとの連絡が入り、銀行振り込みによって返金された。
泣き寝入りしてはいけない。





 

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