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海の部屋コミュの第3号:初練習試合?@

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8月夏休み。

長期休暇で練習も日に日に厳しくなった。
朝から練習、昼からは試合が2試合あり、1試合目は2年生が、2試合目は1年のレギュラー候補と2年生の補欠が交代で出ている。やはり2試合とも出番はなくグラウンドの周りを走り、5周終わったらベンチ裏でティーバッティングと素振りの繰り返しの毎日。
いつまでこの練習を、そして皆と同じ練習を続けて上手くなるのだろうか。そんな疑問を感じていた。

そんな日が1週間続いたある日、監督から初めて声がかかった。
『桐原、お前大津谷みたいなバッティング目指してみろ。』大津谷と言うのは1つ上の先輩で、身長は157cmで細身の先輩だ。その人のバッティングスタイルは流し打ちを得意として、バントもチームで1、2を争う上手さだ。
『はい。』俺は勢いよく返事をした。しかしよく名前を覚えてるな、こんなに人数がいるのに。そんなことを考えていると、監督が更に続けた。
『最初はティーバッティングで足を開いて前のネットに向かって打ってみろ。それが第一歩だ。』
『はい、わかりました。』そう言ってティーバッティングの続きをやろうと振り返るとすぐ後ろに木下がいた。
この木下とは外野に転向した時に初めて話したやつで、何とも人が良いやつだ。身長は165cmの少し筋肉質だが野球は中学に入ってから始めたらしい。足が早いのが特徴だ。
木下『何話してたの?』
『いや、監督がオープンスタンドで練習してみろって。』
木下『そっか、それじゃ続きをそれでやるか。』
いいやつだ、と言うよりやってみようって感じであまり分かってなかったらしい。
その後すぐに木下も呼ばれて、左打ちに変更しろと言う指示も出たらしい。
その日から朝の練習時間前に木下は左打ちの、俺は流し打ちとバントの朝練をして、先輩達が来たら練習の準備。この日課が続いた。
いつの間にか練習の厳しさにも慣れて、残っても練習を続けていた。
初めの1年のレギュラーには、ピッチャー戸田、キャッチャー望月、ファースト桑原、セカンド斉木、サード大谷津、ショート中川、レフト矢板、センター木下、ライト高戸、と少年野球でも活躍した面々がほとんどの中に木下もいた。
悔しかった…。何が一番悔しいって、足が早い木下、矢板は力強いバッティング力のある左打者、しかし高戸は全国大会優勝と言う実績のみでレギュラーだった。
練習も朝早くでもなく、普通の時間に来て、普段の練習をこなし、夕方終わると帰るやつだった。あくまでも部活の領域、それ以上はやらないといった主義だ。
しかし、ティーバッティングを変則的なやり方に変えてから2週間後、そんな俺にもチャンスが巡ってきた。ライトの高戸が休んだ代わりにだが、2試合目のレギュラーとしてライトで先発出場のチャンスだった。
このチャンスをものに出来なかったら俺はダメになる。そう考えたら緊張してきた。
しかし木下が、『固くなってちゃいつもの練習が無駄になるぞ。』と声をかけてきた。
『あ、わかった?試合ってこんなに緊張したっけ?』本当に緊張して、体が思うように動かない。
そこへ大谷津と戸田が声をかけてきた、大谷津『お、今日は桐原か。少年野球で5年間やって来たやつの実力みせてよ。』笑いながら大谷津が肩を叩く。ちょっとプレッシャー…
戸田『あまり緊張すんな。いつも通りやればいいから。大谷津もあんまプレッシャーかけんなって。』笑いながら戸田が返した。
『うん、何とか自分の出来ることをやってみるよ。』俺も何とか頑張らなきゃと、少し緊張した面持ちで声を張った。
大谷津『そうそう、ちょっとは気合い入ったろ。』そう言うと飲み物を取りにベンチに向かう。
『ピッチャーなんてもっとプレッシャーかかるもんな。俺ってプレッシャーに弱いから外野に転向して正解かも。』笑いながら戸田に言うと
戸田『そうかな、プレッシャーを感じるのは始まる前とピンチの時だけだぜ。』簡単に返された。
『そっか〜、でもそれって凄いよね。』感心の一言。俺は恐らくそんな風には思っていなかった。
戸田『まあ試合が始まればわかるよ。あ、そろそろ試合だ、用意しよ。』そう言って戸田が集合をかける。
ベンチ前、監督の周りに40人くらいの部員が円になる。
面白い光景、そしてレギュラーしか入ることの出来ない内円に俺がいる。遂にここまで来たぜ!1人心の中で喜びを噛み締めると同時に、けど高戸の代わりで9番ライト。一番に繋げる大事な役割だ。俺のバッティングの見せ場があるかな。しかし一番打席が回るのが遅い為に少ないチャンスを活かさないとな。
外の円に先輩と1年が囲む。
監督『いいか、サインは覚えただろ。今日は指示を多く出していくから見逃すなよ。練習試合で見てるのは1つ1つのプレーを頭で考えてやってるかを見てるんだからな。』その時とっさに思い出した。…サイン…?ヤバい…、初めての試合での緊張でサインを思い出せない。
円陣で気合いを入れてからまだ少し試合までに時間があった。
と、ここでやはり木下が頼りになる。俺は木下の近くに行き聞き出す。
『サイン…どんなんだっけ?』
木下『ブロックで左手から盗塁、バント、エンドラン。右手でランエンドヒット、バスター、スクイズ。フラッシュで、胸横撫でもスクイズ。首がセーフティ。帽子のツバが待て。かな、あとはベルトがバスターのフラッシュかな。』あ、結構あるな。そう思いながら
『サンキュー。もう覚えた。』嘘だけど…、さすがに数があるからいっぺんに言われても覚えらんないしとっさに出されたらテンパる。ってなわけでバント系とエンドラン以外は忘れた。

試合時間が迫ってきた。ベンチ前に集合してうちは後攻なのでグローブを持って構える。
審判が『集合!!』と声をかける。
両キャプテンが一斉に声をかける。『行くぞ!!』それに合わせて皆で声をかける。『おう!!』そして走って主審の前に整列する。
俺は緊張で一歩目がズレてしまい、つまづきそうになりながらも走っていき何とか整列。
主審『それでは只今より桐青中対小平一中の試合を始めます。礼!!』
『お願いしゃーす!!』

コメント(1)

野球詳しくないが読んでると詳しくなっていきそうだなw

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