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『劔岳点の記』上映までの軌跡コミュの木村大作監督からのことばを紹介します

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『劔岳 点の記』木村大作監督からのことばを紹介します。


 新田次郎さんの小説「剣岳 点の記」は、氏の原作映画を「八甲田山」「聖職の碑」と2本続けて撮ったこともあり、出版された当時から読んでいた。昨年(2006年)に文庫版が新装発売され、改めて読み、これは経済至上主義、効率ばかり求められる世の中にあって「今、とても必要なメッセージがここにある」と、映画化を考えた。

 地図を作るために三角点をこつこつと建てていく仕事は、根気の要る仕事。100年も前にこのような仕事に誇りを持ってやっていた人間に興味を覚えた。ある意味、私たちがやってきた映画の撮影ととても似ている。
 また、人間の環境破壊によって消えいく自然を映像に残していかなければならないと思った。これは数々の自然を相手に仕事をしてきた私の使命だと強く感じた。

 さらに、新田次郎さんのご次男が藤原正彦さんと聞き、ますます因縁を感じた。私は藤原さんの著書「国家の品格」に深く感動していたが、藤原さんが新田さんの息子さんであることを失礼ながら知らなかった。「国家の品格」の中には「剣岳」に通じる思想が存在していることを感じた。『悠久の自然と、儚い人生』という言葉が「国家の品格」の中にある。その思想をぜひこの映画で表現したいと思った。
 藤原さんとすぐにお会いしたところ「あの『八甲田山』」を撮影された木村さんならと原作権について快諾をいただいた。

 昨年6月からの下見を経て、撮影開始は今年の4月から。第一次撮影で雄大な雪の立山連峰の映像を200カット撮ってきた。6月下旬から第二次撮影に入り、俳優が合流する今年9月から季節を追い、来年7月まで延べ200日以上立山連峰にいるのではないだろうか。
 この映画は人間の目線から見た映像にこだわっている。一日に撮影できるカットはわずかだと思うが、それをこつこつ続けようと思っている。ヘリコプターもCGも使わない映像は、観る人に訴えるものがあると信じている。

 キャストは、「志」ある人が参加してくれた。香川照之さんは何度かご一緒しているが、浅野忠信さん、松田龍平さん、そして仲村トオルさんは初めて組む俳優。仕事を超えて「仲間」として参加してもらうこととなった。長い時間をこの作品に割いてもらえることを感謝する。

 わたしは来年、活動屋生活50年。二年後公開時には70歳になる。たぶん、この作品が肉体的にも精神的にも一番大変な作品になるだろう。また、今までずっとキャメラマンという職種で映画にかかわってきたが、この作品では初めて監督をつとめる。もちろん、映画は一人でつくることはできない。「仲間」であるスタッフ、キャストと共にこの映画を戦っていきたい。

 この映画は、決して山岳映画ではない。山を舞台にした人間の心情の物語であり、人生の映画だ。
 皆さんにいい映画を届けたい。ぜひ、応援してください。



『剣岳 点の記』パンフレット、
 「男たちの仕事を剣岳(やま)だけは見ていた」より
※:文中は「劔岳」を「剣岳」としました。

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