A. 乳房にしこりがあると、乳がんかも?と心配になりますが、乳房にできるしこりの8〜9割は良性の腫瘍といわれています。“痛みのあるしこり”は「乳腺症」の確率が高いです。多くの場合問題のない良性のしこりが多いのでここでむやみに怖がったり、不安になったりしないで、早めに検査を受けて、すっきりしましょう。
Q.胸が小さい人は乳がんにならないと聞きました。本当ですか?
A. 乳がんと胸の大きさはまったく関係ありません。成人女性は必ず発育した乳腺組織を持っていますので、胸の小さな女性も乳がんにかかることがあります。乳がんは「大人の女性なら誰でもかかる可能性のある病気」ととらえ、日頃から自分の胸の状態をよく観察することが大切です。
Q.妊娠中に乳がん検診を受けても子どもに影響はありませんか?
A. 妊娠中にX線を受けると、胎児もX線を受ける可能性があります。専門家のデータによると、妊娠初期の胎児が100ミリグレイ以上のX線を受けると、悪影響を受けることがわかっています。 マンモグラフィ検査のX線量は、最大で3ミリグレイです。胎児に悪影響を及ぼす量ではありませんが、妊娠中に不必要なX線撮影はしないという考えから、妊娠中あるいは妊娠の可能性がある場合には、マンモグラフィ検査は行わず、視触診と超音波検査がよいでしょう。
Q.母は乳房の良性の腫瘍を手術でとりました。 自分もそうならないか心配です。
A. 良性腫瘍は、遺伝的な発生に関してあまり言われていませんが、乳がんは遺伝する可能性が高いとされています。また良性の腫瘍を持つ既往のある方は、乳がんの発生リスクも高いと言われています。そこで月に1度の自己チェック(乳房の異常やしこりを探す)と、年に一度の乳がん検診を習慣にしましょう。たとえ乳がんになったとしても、早期発見できれば簡単に治るのですから。 検査についてのQ&A
Q.超音波検査とはどのようなものですか?
A. 乳房に超音波をあてて、乳房の内部から跳ね返ってくる反射波を画像にするものです。良性・悪性の区別が比較的容易な検査とされています。しかしごく小さい石灰化などの検出はマンモグラフィより劣ると考えられています。 仰向けになって検査し、超音波の通りをよくするために、乳房表面にゼリーを塗り、端子を皮膚に沿って滑らすようにしながら検査します。よく、妊婦がおなかの子どもの育ち具合をみるために、超音波検査をしていますが、あれと同じです。 エコー検査で痛みや苦痛を感じることはありませんし、人体に対しても無害です。
Q.マンモグラフィ検査は痛くありませんか?
A. マンモグラフィ検査とは、乳房専用のレントゲン撮影のことです。上下の2枚のプラスチック板の間に乳房をはさんで薄く引き延ばした状態で、上下方向から撮影します。さらに2枚のプラスチック板を縦にし、左右から乳房をはさんで薄く引き延ばし、左右方向から撮影します。 乳房をプラスチックの板で挟むので、多少の痛みを感じる方もいます。でも、それは撮影をするほんの少しの間で、心配するほどのことはありません。
Q.マンモグラフィ検査と超音波検査のどちらがいいの?
A. 最近では多くの自治体の乳がん検診でもマンモグラフィ検査(乳房専用のX線撮影)が行われています。1回のマンモグラフィ検査で乳房が受けるX線量は、最大で3ミリグレイです。専門家の意見では、マンモグラフィ検査は安全な検査と考えられており、超音波検査では見つけることのできない微細石灰化(乳がんのサイン)も、マンモグラフィ検査なら見つけることができます。ひんぱんに検診を受けなければならない人や妊娠中など特別な理由がなければ、マンモグラフィ検査をおすすめします。 ただし、マンモグラフィ検査でも特に50歳未満の方は約10〜15%の病変を見落とす恐れがあります。乳がんの疑わしい人は、視触診とともに超音波検査とマンモグラフィ検査の両方を行う病院もあるようです。
A. マンモグラフィ検査、エコー検査で乳がんが疑わしいと判断された場合、精密検査を受けなければなりません。「マンモトーム生検」とは、乳房内の病変を直径3〜4ミリほどの針で組織の一部を吸引・採取する方法です。局部麻酔ですみ、縫合の必要もないので、当然、入院の必要もありません。傷跡も1カ月程度でほとんど見えなくなります。 皮膚を切開して行う外科的生検と比べて短時間で済み、患者さんへの負担が軽いことから、世界では230万人以上、日本でも2万人以上の患者さんがすでにマンモトーム生検を受けています。また、この方法で組織を調べることで、ステージの正確な診断ができるようになり、適切な処置を、早期に行うことが可能になりました。
A. 乳がん手術後に起こる後遺症のひとつで、脇の下のリンパ節を切除することが大きな原因になっています。リンパ節を切除するために、リンパ液の流れが障害され、腕の太さが倍になるほど腫れあがったり、手がグローブのように腫れたりします。さらに、リンパ節は病原菌などから体を守る免疫システムの中心的な器官でもあります。その一部が失われるため、トゲを刺したり、ちょっとしたスリ傷やささくれからも病原菌が侵入して化膿しやすくなります。そのため、土いじりもダメ、皮がむけるような日焼けも禁止、手術した側の腕では注射や血圧測定も避けるなど、生涯にわたって生活が制限されることになります。
A. 脇の下のリンパ節郭清に関しては、現在過渡期にあると言っていいでしょう。上記のように、リンパ節郭清を行うことによる後遺症は、患者さんにとってはかなり辛いものです。しかし、これまで長い間、乳がんはリンパ節を経由して全身に転移する。したがって、リンパ節を完全に取ってしまえば、再発の防止になり、患者さんの生存率の向上につながると信じられていました。
A. がんの進展度や大きさにもよりますが、乳房温存療法が可能であれば、乳房の変形は少なくてすみます。また、一部ではごく早期の乳がんを対象に、内視鏡による乳癌の摘出手術も行われています。これは、乳輪にそって切開を入れ、乳房の組織を風船のようなもので剥がして、内視鏡によって乳がんの病巣を切除する治療法です。摘出したがん組織が大きめであれば、シリコンバックなどを入れてふくらみを作ることもできます。傷口はほとんど目立たなくなります。ただ、この治療は通 常の手術より楽というわけではなく、手術後の痛みは乳房切除術と同様にあります。