＜代名詞＞は英語 Pｒｏnoun の翻訳でpｒｏ(代)＋noun（名詞）と文字どおりに解釈したものである。ラテン語の Pronomen（ for name）である。形式主義者ないし機能主義者の文法論は、形態ないし機能の不当な重視から、このような規定に疑いをもたないだけでなく、一体なぜ＜代名詞＞が＜名詞＞に代わりうるのかを理論的に説明しない。その根拠を解明することもできない。
三上文法に依拠する『日本語に主語はいらない』の著者、金谷武洋も「�蟻緻昌譴箸浪燭�」と項を設けながら、「もちろんその（Prｏnoun）の直訳だ。」と述べるだけである。そして人称代名詞について論じても英語などとの表面的な現象の比較でしかない。こうした代名詞論の誤りを指摘した、三浦つとむ「代名詞の機能をめぐって」から「一 ＜代名詞＞についてのいろいろな規定」の主要部を引用する。
品詞はいずれもそれ自体の特殊性を考察するのであって、＜代名詞＞も＜名詞＞とのかかわり合いいかんと関係なくそれ自体の特殊性を取り上げなければならない。これを考察した学者は＜代名詞＞を「【さす】語」と規定する。大槻文彦は『言海』（一八八九年）の巻頭にかかげた『語法指南（日本文典摘録）』で、「代名詞ハ、名詞ノ一種ニテ、事物ノ名ニ代ヘテ、ソレヲ指シテイフ語ナリ。」と規定した。ここでは、「【名】ニ代ヘテ」と言って、英語学的に「【名詞】ニ代ヘテ」と言っていないところに注意が必要である。山田孝雄も『日本文法学概論』（一九三六年）で「概念を直接にあらわさずして、ただ其を間接に【さす】に用ゐらるるもの」（【】は原文では傍円）「直接にそれに固着せる実体は存在せぬなり」と、＜代名詞＞と＜名詞＞の内容の差異を論じるとともに、上記の英語学的解釈に対し次のように反駁している。
代名詞の定義は注意を要す。注意をせざるときは名詞も亦事物をさしてその代りに用ゐるにあらずやといふ疑を起こさしむ。これその説明の不可なるに基づくものにして、代名詞の意義は「名目をいふ代わり」といふ点にあるを忘るべらず。この故に先ずその名を明かにいふ時はその語は名詞なれども、その名目をいふ代わりに用いるものは代名詞なりといふことを注意するを要す。即ち代名詞はその名目の明かならぬ場合又は【全く名目のなきものにも仮に用ゐる如きこともある】ものなり。〜
その語義は「名目（name）の代り」といふにあり。従来多くは名詞の代りとやうにいひたれど、さにあらず。名詞はその対象の名目（name）として用ゐられ、代名詞はその対象の名目（name）の代りに用ゐられ、【両者の契合点は対象そのものにありて、代名詞は名詞といふ品詞の代りには決してあらざるなり。この故に上にいへる如く名の明かならぬもの、名のなきものに対しても用ゐらる々なり。（強調は引用者）
このように山田は、＜代名詞＞の機能を ＜名詞＞を代用することだけでなく、まだ命名されていない事物を扱うことまでもふくめて問題にした。英語学的な機能論は皮相な観察の所産でしかないが、そこから定義づけると＜代名詞＞は暗黙のうちに＜名詞＞の先行を前提づけることになり、＜名詞＞の一部として片づけられてその内容の特殊性が無視されてしまう。しかし、山田のようにひろく機能を問題にすると＜代名詞＞が＜名詞＞の成立に先行してまだそれ自体として名を持っていない対象の言語表現に使われるという、言語の発展の中で果たしている特殊な役割を解明しなければならなくなる。この品詞の持っている内容の特殊性を軽視してはならぬ、という自覚が生まれてくる。
時枝誠記は『日本文法・口語篇』（1950年）で、＜代名詞＞は＜名詞＞を代用するものだという説明は「皮相な観察」の所産だといい、「このような見解からは代名詞の真義が理解できない」と批判した。そしてさらに、山田孝雄・橋本進吉・佐久間鼎などが「さす語」だと規定したのも不充分であるといって、この品詞の特殊性を【話手との関係概念の表現】に求めている。たしかにこれが正しい規定であって、山田たちの規定は＜代名詞＞の内容の特殊性を正しくとらえていないまだ不充分なものであるが、山田の規定の背後にある問題意識は―時枝の本が全書とよばれる小冊子だという制約もあろうが―充分に受けとめられていない。それゆえここでは山田の問題意識に即して、今少し検討をすすめてみよう。
いうまでもないことだが、すべて定義は対象の本質的なものをとらえていなければならない。ことばを変えていうならば、対象に独自な普遍的なものがとりあげられなければならない。山田のような＜代名詞＞の機能把握からすれば＜名詞＞の代用という機能は＜代名詞＞の機能のうちの特殊なものでしかないのであるから、この一事をもってすでに定義としての資格に欠けていることになる。また＜代名詞＞が＜名詞＞を代用している事実についても、なぜ代用できるのか、その過程的構造をたぐって明かにすることが必要である。なぜならこの代用は、「カボチャ」とよぶところを「トウナス」とか「ナンキン」とかよぶような、単なる形式上の変更ではないし、またある＜名詞＞に対してある＜代名詞＞を使えと【直接】に規範で規定しているわけでもなく、＜名詞＞と＜代名詞＞がそれぞれ持っている性格に規定されて客観的に代用の可能性が与えられているからである。山田も指摘したように、対象を【媒介にして】両者が客観的に結びついていることから、結果として代用の機能が生じたのである。＜代名詞＞も語である以上、それが直接的に結びついているのはやはり対象であって、決して＜名詞＞ではない。したがって、＜代名詞＞の本質的な定義も、これまた＜名詞＞とは無関係に、それがどんな対象をどうとらえているかからひき出さなければならないことになる。
それゆえ＜代名詞＞とは＜名詞＞を代用する語だという定義に対しては、イェスペルセンその他多くの学者から批判が出たけれども、それに代わる定義も充分に説得的ではなかった。本質的に正しい定義を出しても、認識論的な説明が充分でなければ、認識論的に幼稚な形式主義や機能主義者に対して説得力を持ちえないのである。だからいろいろな批判が出て、時枝の定義がかなりひろく知られるようになった今日でも、それらを拒否していまなお＜代名詞＞は＜名詞＞を代用する語だという定義にしがみつく学者があとを絶たない。その一例が空西哲郎の『英語・日本語』（一九六三年）である。さらに見逃せないのは、これと【逆のかたちの代用】で、「君（きみ）」は＜名詞＞だが敬語としての二人称に転用されいまでは非敬語化している。「手前（てまえ）」も同じく＜名詞＞だが一人称にもまた二人称にも転用され、「おてまえ」（敬語化）「てめえ」（反敬語化）などともいう。山本周五郎の『こんち牛の日』の主人公は、自己批判として、観念的に対象化したもう一人の自分に軽蔑的によびかける。
「そうだ、そうだろ」と歩きながら、塚次はもう一人の（脇にいる）自分に云った、「【てめえ】が食うや食わずで育っていながら、そこに気がつかなかったという法があるか、……」
「おやじ」「兄貴」「親分」などの＜名詞＞も、会話のときは聞き手に対して＜代名詞＞的に使われる。西欧の言語でもこの種の逆のかたちの代用が存在するのであって、二種類の代用には【理論的に相通ずるものがある】と考えなければならないし、【＜代名詞＞の定義は逆の代用の解明でさらに説得的になる】と予想できる。けれども西欧の言語学者にはそういう自覚が欠けているらしい。
（三浦つとむ「代名詞の機能をめぐって」;『試行』Ｎｏ.37 1972.11）
三上文法に依拠する『日本語に主語はいらない』の著者、金谷武洋も「�蟻緻昌譴箸浪燭�」と項を設けながら、「もちろんその（Prｏnoun）の直訳だ。」と述べるだけである。そして人称代名詞について論じても英語などとの表面的な現象の比較でしかない。こうした代名詞論の誤りを指摘した、三浦つとむ「代名詞の機能をめぐって」から「一 ＜代名詞＞についてのいろいろな規定」の主要部を引用する。
品詞はいずれもそれ自体の特殊性を考察するのであって、＜代名詞＞も＜名詞＞とのかかわり合いいかんと関係なくそれ自体の特殊性を取り上げなければならない。これを考察した学者は＜代名詞＞を「【さす】語」と規定する。大槻文彦は『言海』（一八八九年）の巻頭にかかげた『語法指南（日本文典摘録）』で、「代名詞ハ、名詞ノ一種ニテ、事物ノ名ニ代ヘテ、ソレヲ指シテイフ語ナリ。」と規定した。ここでは、「【名】ニ代ヘテ」と言って、英語学的に「【名詞】ニ代ヘテ」と言っていないところに注意が必要である。山田孝雄も『日本文法学概論』（一九三六年）で「概念を直接にあらわさずして、ただ其を間接に【さす】に用ゐらるるもの」（【】は原文では傍円）「直接にそれに固着せる実体は存在せぬなり」と、＜代名詞＞と＜名詞＞の内容の差異を論じるとともに、上記の英語学的解釈に対し次のように反駁している。
代名詞の定義は注意を要す。注意をせざるときは名詞も亦事物をさしてその代りに用ゐるにあらずやといふ疑を起こさしむ。これその説明の不可なるに基づくものにして、代名詞の意義は「名目をいふ代わり」といふ点にあるを忘るべらず。この故に先ずその名を明かにいふ時はその語は名詞なれども、その名目をいふ代わりに用いるものは代名詞なりといふことを注意するを要す。即ち代名詞はその名目の明かならぬ場合又は【全く名目のなきものにも仮に用ゐる如きこともある】ものなり。〜
その語義は「名目（name）の代り」といふにあり。従来多くは名詞の代りとやうにいひたれど、さにあらず。名詞はその対象の名目（name）として用ゐられ、代名詞はその対象の名目（name）の代りに用ゐられ、【両者の契合点は対象そのものにありて、代名詞は名詞といふ品詞の代りには決してあらざるなり。この故に上にいへる如く名の明かならぬもの、名のなきものに対しても用ゐらる々なり。（強調は引用者）
このように山田は、＜代名詞＞の機能を ＜名詞＞を代用することだけでなく、まだ命名されていない事物を扱うことまでもふくめて問題にした。英語学的な機能論は皮相な観察の所産でしかないが、そこから定義づけると＜代名詞＞は暗黙のうちに＜名詞＞の先行を前提づけることになり、＜名詞＞の一部として片づけられてその内容の特殊性が無視されてしまう。しかし、山田のようにひろく機能を問題にすると＜代名詞＞が＜名詞＞の成立に先行してまだそれ自体として名を持っていない対象の言語表現に使われるという、言語の発展の中で果たしている特殊な役割を解明しなければならなくなる。この品詞の持っている内容の特殊性を軽視してはならぬ、という自覚が生まれてくる。
時枝誠記は『日本文法・口語篇』（1950年）で、＜代名詞＞は＜名詞＞を代用するものだという説明は「皮相な観察」の所産だといい、「このような見解からは代名詞の真義が理解できない」と批判した。そしてさらに、山田孝雄・橋本進吉・佐久間鼎などが「さす語」だと規定したのも不充分であるといって、この品詞の特殊性を【話手との関係概念の表現】に求めている。たしかにこれが正しい規定であって、山田たちの規定は＜代名詞＞の内容の特殊性を正しくとらえていないまだ不充分なものであるが、山田の規定の背後にある問題意識は―時枝の本が全書とよばれる小冊子だという制約もあろうが―充分に受けとめられていない。それゆえここでは山田の問題意識に即して、今少し検討をすすめてみよう。
いうまでもないことだが、すべて定義は対象の本質的なものをとらえていなければならない。ことばを変えていうならば、対象に独自な普遍的なものがとりあげられなければならない。山田のような＜代名詞＞の機能把握からすれば＜名詞＞の代用という機能は＜代名詞＞の機能のうちの特殊なものでしかないのであるから、この一事をもってすでに定義としての資格に欠けていることになる。また＜代名詞＞が＜名詞＞を代用している事実についても、なぜ代用できるのか、その過程的構造をたぐって明かにすることが必要である。なぜならこの代用は、「カボチャ」とよぶところを「トウナス」とか「ナンキン」とかよぶような、単なる形式上の変更ではないし、またある＜名詞＞に対してある＜代名詞＞を使えと【直接】に規範で規定しているわけでもなく、＜名詞＞と＜代名詞＞がそれぞれ持っている性格に規定されて客観的に代用の可能性が与えられているからである。山田も指摘したように、対象を【媒介にして】両者が客観的に結びついていることから、結果として代用の機能が生じたのである。＜代名詞＞も語である以上、それが直接的に結びついているのはやはり対象であって、決して＜名詞＞ではない。したがって、＜代名詞＞の本質的な定義も、これまた＜名詞＞とは無関係に、それがどんな対象をどうとらえているかからひき出さなければならないことになる。
それゆえ＜代名詞＞とは＜名詞＞を代用する語だという定義に対しては、イェスペルセンその他多くの学者から批判が出たけれども、それに代わる定義も充分に説得的ではなかった。本質的に正しい定義を出しても、認識論的な説明が充分でなければ、認識論的に幼稚な形式主義や機能主義者に対して説得力を持ちえないのである。だからいろいろな批判が出て、時枝の定義がかなりひろく知られるようになった今日でも、それらを拒否していまなお＜代名詞＞は＜名詞＞を代用する語だという定義にしがみつく学者があとを絶たない。その一例が空西哲郎の『英語・日本語』（一九六三年）である。さらに見逃せないのは、これと【逆のかたちの代用】で、「君（きみ）」は＜名詞＞だが敬語としての二人称に転用されいまでは非敬語化している。「手前（てまえ）」も同じく＜名詞＞だが一人称にもまた二人称にも転用され、「おてまえ」（敬語化）「てめえ」（反敬語化）などともいう。山本周五郎の『こんち牛の日』の主人公は、自己批判として、観念的に対象化したもう一人の自分に軽蔑的によびかける。
「そうだ、そうだろ」と歩きながら、塚次はもう一人の（脇にいる）自分に云った、「【てめえ】が食うや食わずで育っていながら、そこに気がつかなかったという法があるか、……」
「おやじ」「兄貴」「親分」などの＜名詞＞も、会話のときは聞き手に対して＜代名詞＞的に使われる。西欧の言語でもこの種の逆のかたちの代用が存在するのであって、二種類の代用には【理論的に相通ずるものがある】と考えなければならないし、【＜代名詞＞の定義は逆の代用の解明でさらに説得的になる】と予想できる。けれども西欧の言語学者にはそういう自覚が欠けているらしい。
（三浦つとむ「代名詞の機能をめぐって」;『試行』Ｎｏ.37 1972.11）
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コメント(26)
この英語学の機能主義、形式主義的な＜代名詞＞という誤りは当然ながら、更なる混乱を招き、＜関係代名詞＞という誤った品詞分類を生み出しています。これについては別途 Ｔｏｐｉ を立てますが、これがいかなる英文理解の混乱をもたらしているかの例を挙げておきます。
Soon， a lot of problems will emerge that need to be solved.
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14262550549
このthat節の働きは…
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/12969410.html
こうした、機能主義的な発想の教育を受けるために混乱します。■
Soon， a lot of problems will emerge that need to be solved.
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14262550549
このthat節の働きは…
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/12969410.html
こうした、機能主義的な発想の教育を受けるために混乱します。■
By moving its office to California, The Startup Corporation is certainly planning to start its services there.
このits はどう訳しますか？
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/12974957.html
＜名詞＞を代用する語、前方照合、後方照合などという機能主義的な発想に基づく教育では、こうした日常的な文の＜代名詞＞理解にも疑問が生じるのが現状である。
＜代名詞＞は対象との関係認識の表現であり、屈折語では多用され、先行把握、再把握に使用されることをきちんと理解、指導、教育する必要がある。■
このits はどう訳しますか？
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/12974957.html
＜名詞＞を代用する語、前方照合、後方照合などという機能主義的な発想に基づく教育では、こうした日常的な文の＜代名詞＞理解にも疑問が生じるのが現状である。
＜代名詞＞は対象との関係認識の表現であり、屈折語では多用され、先行把握、再把握に使用されることをきちんと理解、指導、教育する必要がある。■
＞＞英語の質問です。 この例文のwith you that 〜themの部分が分かりません。これは一体なんのthatなのでしょうか？ わかる方いらしたら回答の方よろしくお願いいたします。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10262741280
ここでは、接続詞とされる”that” の意味が不明で質問されている。しかし、これは
�� agree that
Ｓ＿_�后横�
という構文の目的語である代名詞として使用されている。これを接続詞とするために、この簡明な文の解釈にとまどうことになってしまう。
さらに、”that”を指示代名詞としたのでは何を指しているのか混乱する他ないことになる。関係詞としての意義を正しく教えることが重要であることを明かす例である。■
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10262741280
ここでは、接続詞とされる”that” の意味が不明で質問されている。しかし、これは
�� agree that
Ｓ＿_�后横�
という構文の目的語である代名詞として使用されている。これを接続詞とするために、この簡明な文の解釈にとまどうことになってしまう。
さらに、”that”を指示代名詞としたのでは何を指しているのか混乱する他ないことになる。関係詞としての意義を正しく教えることが重要であることを明かす例である。■
生成文法を奉じ、普遍文法を作る文法として、metaＬａｎｇｕａｇｅを提唱する、
小野隆啓
『英語の素朴な疑問から品質へ 文法を作る文法』（開拓者；2015．10）
では、存在文の”there” を次のように＜名詞＞だとする。
＞＞
物がどこかに存在することを表す文を存在文と呼び，Ｔhere was a book on the table. のように there という語が用いられます。この there は副詞だと思われていることが多いようですが，副詞ではなく名詞です。上の文を疑問文にすると Was there a book on the table? のように主語助動詞倒置を起こします。主語になれる要素は基本的に名詞ですから、存在文の there は名詞だといえます。／／
このような機能主義的な発想ではいわゆる代名詞の本質を捉えることができず、機能的に名詞とされてしまう。代名詞は次のように定義されている。
＞＞
言語には談話に一度出てきた要素を繰り返すのではなく，別の形式で表現する代用表現（Ｐro-form）というものがあります。代名詞（Ｐronoun） はその一つです。／／
このような代用という機能をもとに品詞を分類するしかないのが現在の英文法学の現状である。■
小野隆啓
『英語の素朴な疑問から品質へ 文法を作る文法』（開拓者；2015．10）
では、存在文の”there” を次のように＜名詞＞だとする。
＞＞
物がどこかに存在することを表す文を存在文と呼び，Ｔhere was a book on the table. のように there という語が用いられます。この there は副詞だと思われていることが多いようですが，副詞ではなく名詞です。上の文を疑問文にすると Was there a book on the table? のように主語助動詞倒置を起こします。主語になれる要素は基本的に名詞ですから、存在文の there は名詞だといえます。／／
このような機能主義的な発想ではいわゆる代名詞の本質を捉えることができず、機能的に名詞とされてしまう。代名詞は次のように定義されている。
＞＞
言語には談話に一度出てきた要素を繰り返すのではなく，別の形式で表現する代用表現（Ｐro-form）というものがあります。代名詞（Ｐronoun） はその一つです。／／
このような代用という機能をもとに品詞を分類するしかないのが現在の英文法学の現状である。■
副島隆彦『完結・英文法の謎を解く』（ちくま新書；1988.8）では、”it”と”one”を取り上げ、次のように論じている。
I like it. 「私はそれが気にいった。」
I like this one. 「私はそれが気にいった。」
〜
この it 「これを」「それを」は、明らかに【特定物】を表している it である。それに対して、one は、【不特定物】を表している代名詞である。／／（３４ｐ）
ここでは、代名詞が「物」を表すという誤った理解により全くの誤謬を展開している。
第三人称関係詞の it は this や that とは異なり、話手との距離の如何に拘わらず、実体を、その性的側面には拘わらず、単なる第三人称関で捉え表現する。示された例文、
I like this one. 「私はそれが気にいった。」
では実体である one に対する関係認識が this で表現されており、one は抽象的な実体認識を表す抽象名詞である。代名詞が物を表すというという誤った思い込みから”it”と”this” の相違と関連を捉えることができず、単に「特定物」「不特定物」という対象自体の在り方に解消し、「this one」の両者を代名詞とし、代名詞が連続するというのでは全く説明にもならない。
現在の英文法に意義を唱えながら、機能主義的な発想では代名詞という誤りを克服できないことを露呈している。■
I like it. 「私はそれが気にいった。」
I like this one. 「私はそれが気にいった。」
〜
この it 「これを」「それを」は、明らかに【特定物】を表している it である。それに対して、one は、【不特定物】を表している代名詞である。／／（３４ｐ）
ここでは、代名詞が「物」を表すという誤った理解により全くの誤謬を展開している。
第三人称関係詞の it は this や that とは異なり、話手との距離の如何に拘わらず、実体を、その性的側面には拘わらず、単なる第三人称関で捉え表現する。示された例文、
I like this one. 「私はそれが気にいった。」
では実体である one に対する関係認識が this で表現されており、one は抽象的な実体認識を表す抽象名詞である。代名詞が物を表すというという誤った思い込みから”it”と”this” の相違と関連を捉えることができず、単に「特定物」「不特定物」という対象自体の在り方に解消し、「this one」の両者を代名詞とし、代名詞が連続するというのでは全く説明にもならない。
現在の英文法に意義を唱えながら、機能主義的な発想では代名詞という誤りを克服できないことを露呈している。■
>>[12]
a長嶋一茂は長嶋茂雄と比較されてかわいそうだなあ。
bそ「れ」を言うなって。
a長嶋一茂は長嶋茂雄と比較されてかわいそうだなあ。
c俺もそう思うよ。
あなたの意見はcの「そう」は「そ＋う」ですが、関係詞「そ」は関係しか表さず、必ず「れ」などと複合語になります。「その」は「れ」などの省略です。あなたの意見は関係詞が単独で使われていることになり、おかしいです。
文法に縁もゆかりもない素朴な人は、「それのように」の省略で「そ (れのよ) う (に) 」と考えると思います。私はまったく正当だと思いますが。
a長嶋一茂は長嶋茂雄と比較されてかわいそうだなあ。
c俺もそ「れ」のように思うよ。→俺もそう思うよ。
ちなみに、三浦は「そ＋う」とは言っていません。
a長嶋一茂は長嶋茂雄と比較されてかわいそうだなあ。
bそ「れ」を言うなって。
a長嶋一茂は長嶋茂雄と比較されてかわいそうだなあ。
c俺もそう思うよ。
あなたの意見はcの「そう」は「そ＋う」ですが、関係詞「そ」は関係しか表さず、必ず「れ」などと複合語になります。「その」は「れ」などの省略です。あなたの意見は関係詞が単独で使われていることになり、おかしいです。
文法に縁もゆかりもない素朴な人は、「それのように」の省略で「そ (れのよ) う (に) 」と考えると思います。私はまったく正当だと思いますが。
a長嶋一茂は長嶋茂雄と比較されてかわいそうだなあ。
c俺もそ「れ」のように思うよ。→俺もそう思うよ。
ちなみに、三浦は「そ＋う」とは言っていません。
>>[17]
＞＞関係詞「そ」は関係しか表さず、必ず「れ」などと複合語になります。「その」は「れ」などの省略です。あなたの意見は関係詞が単独で使われていることになり、おかしいです。
『日本語はどういう言語か』(講談社学術文庫)を引用しておきましょう。
一方ではこれらの語(これ／それ／あれ／どれ)から「れ」を取ったかたちで、
【こ】の絵。
【そ】の本。
【あ】の山。
【わ】がなみだ。
【な】がいのち。
【か】のひと。
などとも使っています。ですから、「これ」「それ」などは実は複合語で、このうちの「こ」「そ」などが話し手と対象との関係を表現した＜代名詞＞としての基本的なありかたであり、これらに「れ」を組み合わせてその関係にある実体を示すものと考えることができましょう。〜（ｐ124〜125）／／
また、Topiで引用した、三浦つとむ「代名詞の機能をめぐって」(『試行』Ｎｏ.37 1972.11）を良く読んで下さい。■
＞＞関係詞「そ」は関係しか表さず、必ず「れ」などと複合語になります。「その」は「れ」などの省略です。あなたの意見は関係詞が単独で使われていることになり、おかしいです。
『日本語はどういう言語か』(講談社学術文庫)を引用しておきましょう。
一方ではこれらの語(これ／それ／あれ／どれ)から「れ」を取ったかたちで、
【こ】の絵。
【そ】の本。
【あ】の山。
【わ】がなみだ。
【な】がいのち。
【か】のひと。
などとも使っています。ですから、「これ」「それ」などは実は複合語で、このうちの「こ」「そ」などが話し手と対象との関係を表現した＜代名詞＞としての基本的なありかたであり、これらに「れ」を組み合わせてその関係にある実体を示すものと考えることができましょう。〜（ｐ124〜125）／／
また、Topiで引用した、三浦つとむ「代名詞の機能をめぐって」(『試行』Ｎｏ.37 1972.11）を良く読んで下さい。■
>>[18]
・私もそう思う。
いやですから、「こころとことば」 (新版) の105ページに、
＞「そ」「あ」だけであとは【省略】しています。
とあり、あなたの意見は「れ」の省略ということでいいのですか？関係詞「そ」は単独では使えませんよ。接頭語のようなものです。
そうすると、「それう」ということになりますが、あなたの意見は「そ (れ) う」ということでいいのですね？
・私もそれう思う。
これがあなたの意見ということですね。馬鹿っぽいなあ笑 それと、辞「う」を使う場合、世界の2重化を考えなければいけません。そうすると、「それ■う」とならないとおかしいのですが、なぜあなたは零記号を考えないのですか？
ちなみに三浦は「そ＋う」としているとは言っていません。あなた個人の意見です。
私の意見の
・私もそ (れのよ) う (に) 思う。
のほうがよっぱど整合性が高いと思いますけどね。
・私もそう思う。
いやですから、「こころとことば」 (新版) の105ページに、
＞「そ」「あ」だけであとは【省略】しています。
とあり、あなたの意見は「れ」の省略ということでいいのですか？関係詞「そ」は単独では使えませんよ。接頭語のようなものです。
そうすると、「それう」ということになりますが、あなたの意見は「そ (れ) う」ということでいいのですね？
・私もそれう思う。
これがあなたの意見ということですね。馬鹿っぽいなあ笑 それと、辞「う」を使う場合、世界の2重化を考えなければいけません。そうすると、「それ■う」とならないとおかしいのですが、なぜあなたは零記号を考えないのですか？
ちなみに三浦は「そ＋う」としているとは言っていません。あなた個人の意見です。
私の意見の
・私もそ (れのよ) う (に) 思う。
のほうがよっぱど整合性が高いと思いますけどね。
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