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「ニーベルングの指環」コミュの「神々の黄昏」

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さてしばらく休憩していた「リング」ですが、
このまま休演になってしまわないうちに(笑)
「神々の黄昏」をまた書き綴りましょう。

ここではまずプロローグがあります。
ワルキューレの岩山に3人のノルンたちがいます。
このノルン達はエルダの娘で運命の女神達です。
彼女達が紡いでいるのは運命の綱なのです。
第一のノルンが言います。
「あの光は何かしら?」
第ニのノルン、
「もう朝なのかしら?」
第三のノルン、
「あれはローゲの炎、まだ夜は明けないわ。
綱を紡ぎながら歌いましょうよ。」
第ニのノルンが言います。
「この綱の端はどこに結わえ付けておきましょうか?」

第一のノルンが松の木に結びつけ語り始めます。
「何が起ころうとも綱を紡ぎながら歌うのが私たちの務め、
昔、“世界のトネリコ”のそばで綱を紡いでいたわ。
大きく強くて緑の生い茂った枝のそばでね。
その木陰は涼しくて、
そこには知恵の声が響く泉があったの。
私は聖なる歌を歌っていたわ。
そこへ勇敢な神がやってきて泉から水を飲んだの。
知恵の代償は彼の片目だった。
大神ヴォータンはトネリコの枝を折り取って槍を作ったの。
年月と共にトネリコの木は弱っていった。
だんだん干からび、葉っぱは落ちてしまい、
泉の水も枯れ始め、私の歌も悲しい調べになってしまったわ。
それ以来、私はトネリコのもとで綱を紡ぐのをやめたのよ。
今はこの松の木に綱を結ぶわ。
さあ、妹よ、それから何が起こったか歌いなさい。」
こう言って第一のノルンは綱を第ニのノルンに投げます。

第二のノルンは綱を受け取り、
語りはじめます。
「ヴォータンは神聖文字ルーンで契約をその槍に刻んだわ。
そしてその槍を持って世界を支配していたけれど、
英雄がやりをへし折ってしまった。
聖なる掟は破られてしまった。
ヴォータンはヴァルハラの戦士達に命じて、
トネリコを切り倒し、枝を切り刻ませてしまったの。
木は死に、泉は枯れ果ててしまった。
今日はこの綱の端を洞窟の入り口の
ギザギザした岩に巻きつけねば。
妹よ、この綱を受け取って歌いなさい。
それからどうなるか知っている?」

第三のノルンは、
「巨人達が作り上げた偉大な城には、
ヴォータンが玉座に座り、
神々や英雄戦士達が集まっているわ。
その回りには木々が積み上げられている。
それこそが“世界のトネリコ”なのよ。
その枝が燃え上がるとき、
神々の支配は終わりを告げるの。
その後に何が起こるか、お姉さまたちはご存知でしょう?
私が北の方から投げるこの綱を受け取って
もっと綱を紡いで歌って頂戴ね。」

投げられた綱を第ニのノルンが受け止めて、
第一のノルンに投げ渡します。
彼女は綱を最初の松の枝からはずして、
別の枝に結びます。
「あれは夜明けかしら?それとも炎?
悲しみに私の眼はかすんでよく見えないの。
ローゲはどうなってしまったの?」

第二のノルンが答えます。
「ヴォータンの魔法で服従していたローゲは、
ヴォータンの知恵袋でもあったけど、
自由になりたいと掟を破って逃げ出したわ。
でもまたヴォータンの槍の力で呼び戻され、
ブリュンヒルデの眠る岩山を燃やせと命じられたわ。
それから彼はどうなるの?」

第三のノルンが答えます。
「ヴォータンは砕けた槍を拾い、
ローゲの胸に突き刺すの!
槍は火を噴出し、
ヴォータンはその炎をヴァルハラの薪の山に移すのよ。
その先を知りたい?
知りたければこの運命の綱をもっとよることよ。」

第一のノルンが、
「夜が明けてきたわ、私の眼はもうはっきり見えない。
綱のより目もよく見えないわ。
この目に見えるのはおぞましい光景、
ラインの黄金を盗んでいったアルベリッヒだわ!
あの男はどうなるの?」
第二のノルンが、
「ギザギザの岩角にこすられて綱が切れそう!
もつれてめちゃめちゃになって垂れ下がっているわ。
よこしまな欲望から生まれたニーベルングの指環が見える。
そののろいが綱を噛んでいるわ。
これから先はどうなるの?」

第三のノルンが言います。
「綱が緩んでいて届かないわ、
北に向かって投げるのなら、
もっとしっかり張らなくては!」
「ああ、切れてしまった!」

恐怖に駆られたノルン達は、
私たちの知恵もこれで終わり、
世界はもう私たちの言うことを聞いてくれないわと叫び、
母なるエルダの元へと嘆きながら消え去っていきます。




コメント(15)

場面は変わって洞窟の前、
ブリュンヒルデとジークフリートが出てきました。
ジークフリートは鎧を着込み、
ブリュンヒルデは愛馬グラーネの手綱を引いています。
「愛しい英雄よ、新しい冒険に出かけてください。
あなたを愛しているからこそ、
お引止めすることは出来ません。
私はあなたに全ての知恵も力も全て捧げました。
もう私があなたに与えるものはないのです。
こんな私を嫌にならないでしょうか?」
ジークフリートは答えて言います。
「あなたは僕にふさわしいもの以上のものを与えてくれた。
それなのに僕はまだこんなに無知でいる。
あなたこそこんな僕に腹を立てないだろうか?
ブリュンヒルデのためにだけ生き、
ブリュンヒルデを忘れてはいけないということだけは学んだよ。」
「あなたが私の愛に答えたいなら、
あなた自身のことを忘れないでください。
岩の上に横たわっていた乙女の深い長い眠りを思い出してください。」
「僕が目覚めさせたブリュンヒルデ!」
「ひとつに結ばれている私たちの愛と信頼を忘れないで!
ブリュンヒルデという炎は、
聖なる火のように永遠に燃えているのです。」

「僕は君を置いて行かねばならないけれど、
その聖なる炎が君を守ってくれるだろう。
この指環を君に。君が教えてくれたことのお返しにね。
これは’僕がドラゴンを命がけで倒して、
手に入れたものなんだ。
今からは君が守ってくれると良い。
僕の真心の贈り物だよ。」
ブリュンヒルデは喜んで指環をはめます。
「私の命の限り、この指環を守ります!
指環のお返しに私の馬を差し上げましょう。
私と共に空を駆けた勇敢なグラーネ、
私と共に魔法の力は失いましたが、
何物にも恐れることなくあなたを運ぶでしょう。
グラーネはあなたの声を聞き分けます。
ブリュンヒルデからよろしくと伝えてください。」

2人は愛情を確かめ合い、
挨拶を交わして別れます。
こうしてジークフリートは、
新たな冒険に旅立って行ったのでした。
ではやっと第1幕に入ります。

第1幕:第1場、
ライン河畔のギービッヒ家の広間、
ここにはグンターとグートルーネの兄妹がおり、
異父兄弟のハーゲンがいます。
グンターがハーゲンに問いかけます。
「ハーゲンよ、
私はこの地方で本当に尊敬を得ているのだろうか?」
ハーゲンは答えて言います。
「あなたはこの家の嫡子、私にはそれが妬ましい。
私たちの母グリムヒルトは、
あなたを敬うようにと教えた。」
グンターは、
「羨まなくても良い。
お前の方が知恵に優れているではないか。
だからこうして尋ねているのだ。」
ハーゲンはこういいます。
自分達にはまだ手に入れていない宝物があるのだ、と。
それはグンターには妻がいないこと、
グートルーネにも夫がいないこと。
グンターの名声を上げるには、
岩山に住む聖なる乙女を妻にすること。
それには最強の英雄でないといけないこと。
それはジークムントとジークリンデの息子で、
彼こそがグートルーネの夫にふさわしいのだ、と。
グンターは最強の英雄は、
一体何を成し遂げたのかと尋ねます。
ハーゲンは答えて、
ナイトへーレの洞窟に住む
ドラゴンを退治したことと答えます。
そのドラゴンはニーベルングの宝を守っていたが、
今やそれはジークフリートのもの。
彼だけが聖なる乙女ブリュンヒルデを妻に出来る、
魔の炎もジークフリートには、
別にどうということもないからな。
その男を魔法の薬でグートルーネの虜にしてしまおう。
そしてブリュンヒルデはグンターのものに。
グンターがどうしたら会えるのだろう?と尋ねると、
ハーゲンは彼はもうじきここへやってくると告げます。
そしてその通り、ジークフリートは、
グンターの館へと
ライン川を下って、やってきたのでした。
第1幕:第2場、
ハーゲンはジークフリートの船を岸につなぎ歓迎します。
ジークフリートは歩み寄ってきたグンター、
グートルーネに目を向けました。
「ギービッヒのご子息はどなたか?」
とジークフリートが尋ねます。
歩み出たグンターは名乗りをあげます。
戦いか友情かと問われて友情と答えたグンターに、
馬をつなぎたいと告げると、
ハーゲンがその役を買って出ます。
グンターはジークフリートを広間に招き入れ、
ここにあるもの、いるもの全て
自分の物同様に扱ってくださいと言います。
ジークフリートはそれに答えて、
「僕には領地も領民もありません。
あるものはこの頑丈な身体ひとつとこの剣です。
このわが手で鍛えた剣に誓って、
僕も剣もあなたのものです!」
ハーゲンが戻ってきて、
「でもニーベルンゲンの宝物はあなたのものでしょう?」
「あんなもの大切だとも思わなかったので忘れていました。
それでそのままドラゴンを殺した洞窟に置いて来ました。
「ではそれは?」
「何に使うのかわからないんですよ。」
それは隠れ兜のことでした。
ハーゲンはジークフリートに隠れ兜のことを説明します。
それをかぶれば何にでも姿を変えられること、
心に思えばどこへでも行けること。
「他に何か持ってこられなかったのですか?」
とハーゲンが尋ねるとジークフリートは、
「指環ですよ。それは素晴らしい女性の指にあるのです。」
ハーゲンはそっとブリュンヒルデだとつぶやきました。

グートルーネがそばへ来て、
盃を掲げ歓迎の言葉を述べた上で、
ジークフリートに手渡します。
それこそが魔薬の入った盃でした。
この一杯をブリュンヒルデに捧ぐといって飲み干した途端、
ジークフリートは今までのことを全て忘れてしまい、
目の前にいる女性グートルーネに
熱烈な恋をしてしまったのです。
これこそがハーゲンの思うつぼでした。
それどころかグンターが、
ブリュンヒルデを妻に迎えたいと話した時、
そのための協力を惜しまないと告げてしまいます。
義兄弟の契りを交わした2人は早速、
火の山へ向かって船出することにしました。
第3場はブリュンヒルデのいる岩山で始まります。
ブリュンヒルデはウットリと指環を眺め、
キスを繰り返しています。
その時雷鳴が響き、
ワルトラウテの声が聞こえてきました。
「お姉さま、起きていらっしゃるの?」
「懐かしい妹の声だわ!
森の中へ入って馬を休ませたら良いわ!
本当に私に会いに来てくれたの?
ヴォータンの禁令を破って来たの?
それともお父様の気が変わったの?私は罰されたけれど、
英雄が私を見つけて妻にしてくれたわ。
今はとっても幸せに暮らしているのよ!」
彼女は妹の不安そうな表情には全然気づいていません。
ワルトラウテはそんな姉の脳天気な態度に
怒りすら感じています。
ワルトラウテはノルンたちが話していたと同じことを
ブリュンヒルデに話します。
ヴォータンの槍が真っ二つにされたこと、
世界のトネリコを切り倒して、
ヴァルハラに積み上げさせたこと。
そしてヴォータンはもう
不死のリンゴを口にしなくなってしまったこと、
そんなヴォータンを何とかしなくてはと
やってきたワルトラウテは言うことには、
ブリュンヒルデがはめている指環を
ラインの乙女達に返して欲しいということでした。
そうしたら神々の世界を破滅から救うことができるのです。
夫からもらった大事な指環を手放すなんてとんでもないと、
激昂したブリュンヒルデは、
ワルトラウテを岩山から追い出してしまいました。

夕方になって岩山の炎が光を増して来ました。
ジークフリートが帰ってきたのだと思って出迎えたブリュンヒルデの前に現れたのは、
グンターの姿をしたジークフリートでした。
魔酒を飲まされたジークフリートは、
グンターとして岩山にやってきて、
求婚者として彼女の前に現れたのでした。
ジークフリートはブリュンヒルデと格闘して指環をもぎ取り、
失神しかけている彼女を抱きかかえて、
洞窟の中に入って行きました。
彼はノートゥングを抜き放つと
グンターの花嫁には手を触れないと誓って、
2人の間に剣を置いたのでした。
やっと第2幕に辿り着きました。
この最終幕は長いんですよ〜、やれやれ(笑)


第2幕:第1場、
ギービヒ館の裏側の岩山、
アルベリッヒがハーゲンに呼びかけています。
「わが息子ハーゲンよ、眠っているのか?
わしの言うことを聞いていないのか?
情けない奴めが。」
ハーゲンは答えて、
「聞いているさ、嫌らしい小人めが。
何を言いたいというのだ?」
「お前は強い力を持っているのだぞ。
あの母親に生んでもらったのだからな。」
「母親譲りの力だって?
そんなものに礼を言うつもりもないぜ。
あんたの計画に乗せられただけだからな。
おかげで俺は老け込み蒼ざめて、
幸せや悦びを感じることなく生きているんだぜ。」
「その通りだ、わが息子よ!
この世の幸福を憎め!ずるくなれ。
憎しみで我々の敵を滅ぼしてしまえ!
この俺様から指環を奪っていったヴォータンは、
おのれの孫に負けたのだ。
だからあいつなどもう目ではない!
あいつら一族郎党は滅びさるのだ。
ハーゲン、わが息子よ、聞いているのか?」
「では不死の神々の権力は誰のものだ?」
「お前と俺のものだ。
あの指環を持っている若造を破滅させれば、
俺達に運が巡ってくると言うものだ。
ハーゲン、わが息子よ。眠っているのか?」
「あいつはもう破滅に向かって歩き始めているさ。」
「あの指環をなんとしても奪い取るのだ。
あいつは馬鹿だがあの男を愛している女は賢いぞ。
そのせいでラインの女達に
指環が戻ってしまったらだめなんだぞ。
お前は物怖じなんぞしないよう生まれついている。
指環を奪い、
ヴォータンとヴェルズングどもを嘲笑ってやるのだ!」

というわけでこの父子は計画を開始したのでした。
第2幕:第2場、
「ホイホー、ハーゲン!疲れてるのかい?
僕が来るの見えたかな?」
とジークフリートが隠れ兜を脱ぎながらやってきました。
「ジークフリートじゃないか!
何て素早い英雄なんだ!どこまで行ってきた?」
「ブリュンヒルデの岩山だよ。そこで息を吸ってね、
吐いた息で君を呼んでみたんだ。
どうだいすごく速いだろう?」
「じゃあブリュンヒルデを連れてきたんだな?」
「グートルーネはもう目覚めただろうか?」
それに答えてハーゲンは、
「ホイホー、グートルーネ!
ジークフリートが帰ってきたぞ!早く出ておいで!」
と呼びかけました。

ジークフリートは嬉しそうに岩山でのいきさつを語り、
義兄弟となるグンターに花嫁を連れてきたと言います。
一夜を共に過ごしたので何かあったのでは?
と勘ぐるグートルーネにジークフリートは、
「あなたに忠実だったのですよ。」と答えます。
正体がばれないように河岸で
グンターと入れ替わったことを話していると、
遠くからまた船の帆が見えてきました。
兄の花嫁が快適に過ごせるように歓待しなくてはと、
グートルーネはハーゲンに頼んで、
一族郎党を呼び集めることにしました。
ジークフリートに急速を撮られますかと尋ねるグートルーネ、
それに答えて、
「あなたを喜ばせることが僕の休息です。」
と答えるジークフリートの頭の中は、
グートルーネを娶る事でいっぱいです。
第2幕:第3場、
ハーゲンが突然立ち上がって角笛を吹き鳴らし、
大声で叫びます。
「ホイホー、ホイホー、ホホー!
一家の一大事だ!みんな出て来い!
武器を取って戦いに備えろ!
危険が迫っているぞ!」
何事かと飛び出してきた兵士たちが、
館の前の広場にいっぱい集まりました。

「ハーゲン、どうしたのだ?
どこの誰が攻めてくるのだ?
武器は準備してあるぞ!」
「グンターさまが花嫁を連れて戻られるのだ。
ジークフリートが2人を無事守ってくれたからな。
まず牡牛をヴォータンの祭壇に捧げよ!
フローには猪、フリッカには羊だ。
結婚を祝ってもらわねばいかんからな!」
それからどうするのかと尋ねる兵士達に、
ハーゲンはみんな陽気に飲んで騒いで、
グンター様の結婚を祝うのだと言い出して、
ここでやっと兵士達はハーゲンが冗談を言って、
皆を招集したことを知ります。
ハーゲンが陽気だったことなんか見たことないと、
兵士達は呆気に取られたますが、
すぐに笑い出し宴会の用意を始めます。


このハーゲンが雄叫びを上げて兵士達を招集するところは、
やっぱりMETの舞台のマッティ・サルミネンが最高です!
あの大きな身体に坊主頭の大入道は、
彼以外のハーゲンなど考えられないと思わせてくれます。
第2幕:第4場(前半)
なっかなか終わらない2幕・・・、

家来達がグンターと花嫁を出迎えます。
グンターは厳かに花嫁を紹介し、
これでジークフリート、グートルーネと並んで、
ギービヒ家の比類なき栄誉となろうといった途端、
どれまでずっと顔を伏せていたブリュンヒルデが、
ハッとして顔を上げました。
「ジークフリートですって?
彼がここに?グートルーネ?」
ジークフリーとはそれに答えて、
「グンターの優しい妹、私の妻となる人です。
あなたがグンターの妻になるのと同じように。」
「私がグンターの・・・?そんな・・・・嘘だわ!
ああ、目がかすむ・・・・ジークフリート!
私のことがわからないの?」
気を失いそうなブリュンヒルデの様子を見て、
ジークフリートが助けようと手を差し伸べました。
そこにある指環を見たブリュンヒルデは、
「あの指環が!」と叫びます。
ハーゲンが進み出て、
「奥方様の言い分を聞こうではないか!」
ブリュンヒルデは、
「あの指環はあの男グンターが私から奪って行ったのです!
彼のものではないわ!
どうやってグンターからもらったのですか?」
ジークフリートは元から自分が持っていたのだから、
誰にももらっていないと答えます。
興奮したブリュンヒルデは、
「これはあの夜、私があなたから奪われたもの!
本当にそうならあなたが自分の権利を主張すべきです。
あの指環をあなたに戻させなさい!」
グンターは全然わけがわからず、
指環を与えたことなどないと答えてしまうので、
ブリュンヒルデは益々激昂し、絶叫します。
「あなただったのね!この裏切り者!」
ジークフリートはこれは、
ナイトヘーレの洞窟から持ってきたんだ。
僕があのドラゴンを倒したときにねと答えて、
平気な顔をしています。

忘れ薬を飲まされているのだから全部忘れそうなものですが、
ブリュンヒルデのことだけ忘れているんですね(^^;

話がややこしくなって揉め事になってきたので、
シメシメと思っているハーゲンは、
これからもっと話をややこしくします。
まだ2幕の第5場・・・・(^^;
ここから裏切られた女というものは、
いかに恐ろしいかわかる展開となります。
世の殿方、くれぐれもご注意あれ!(笑)

第2幕:第5場、
ジークフリートがグートルーネとその場を去った後、
深い物思いに沈んで呟くブリュンヒルデ、
「一体どんな悪魔がこのようなことを仕掛けたの?
どんな魔術がなされたというの?
この混乱の中では私の力など役に立たない。
この謎を解く鍵はどこにあるの?
ああ!何という悲しみ!
私の知恵は全てあの人に与えてしまった!
私にはもうあの人に従うことしか出来ない。
そんな私をあの人は他の男に与えようとしている!
誰か剣を!このいましめを断ち切る剣を貸して!」
嘆く彼女にそっと近付いたのはハーゲンです。
「私を信じてください!裏切られた奥方様。
私が仕返しをして差し上げますよ!」
「誰に?」
と呟くブリュンヒルデは目もうつろです。
「ジークフリートにですよ。あなたを裏切った男。」
「ジークフリート?あなたが?
あの目のきらめきはやっぱり彼だったのね。
姿かたちは違っていても
あれはやっぱりジークフリートだった・・・・。
あなたの勇気など恐怖の前に消し飛んでしまうでしょう!」
ハーゲンは自分の槍でジークフリートを倒すと言いますが、
ブリュンヒルデはそんなもの役に立たないと一蹴します。
ハーゲンはジークフリートの強さをよく知っていると話します。
だからこそあの英雄を倒す方法を教えて欲しいと
ブリュンヒルデに頼み込みます。
彼女は自分が魔法をかけたから、
どんな武器でも倒せないのだと話し始めました。
でも背中だけは祝福しなかった、
何故なら彼のような英雄は、
敵に背中を見せることはしないだろうからと。

2人が話していると座り込んでいたグンターが、
よろめきながら立ち上がりました。
「おお、何たる恥辱!
この世にこんな惨めなことがあろうとは、
思いもしなかった!」
ブリュンヒルデは落ち込んでいるグンターを更に追いつめます。
「英雄の後ろに隠れていた弱虫の腰抜け!
花嫁が物にされてからのこのこ出てくるとは
ギービヒ家の名誉も地に落ちたもの!
こんな卑怯者を生んだとは!」
グンターは惨めさにまみれて訴えます。
「私は騙された者であり、また騙した者。
私の骨は砕け、心臓は粉々になった!
ハーゲンよ助けてくれ!私の名誉を救ってくれ!
同じ母から生まれた身ではないか!」

グンターはこの期に及んでも、
自分で何も出来ない男ですね(笑)
いつも誰かに助けを求めるばかりです。
ギービヒ家の栄光とは一体誰が作り上げたのでしょうね?

ハーゲンはそんなグンターに冷酷に言い放ちます。
「どんな知恵もあなたを救いはしない!
ジークフリートの死のみがそれを行えるのだ!」
驚いたグンターが問いかけます。
「ジークフリートの死だと?」
それ以外にこの恥辱を拭い去る手立てはないというハーゲンに、
グンターは「血の契り」を結んだ義兄弟と言いかけますが、
血で結ばれたものは血で断ち切るしかない!
と轟然と言われます。
まだ話がよくわからないグンターは、
「私が裏切られた?」などと言っていますが、
ブリュンヒルデにもジークフリートの死のみが事を治めると言われてしまいます。
ハーゲンもグンターにこそこそとささやきます。
「彼の死はあなたの利益、全てのパワーはあなたのものになる。
ただし指環をあなたのものにすればの話さ。」
「ブリュンヒルデの指環か?」
「いいや、ニーベルングの指環さ。」
「ではやっぱりジークフリートは死ななくてはならないのか?」
「彼の死はみんなの利益になるのだ。」
グンターはグートルーネはどうなるのだ?と言います。
ジークフリートの妻になったのに、
義兄の自分がジークフリートを殺したら、
顔の合わせようがないではないかというわけです。
ハーゲンはじゃあこっそりやってしまおうと持ちかけます。
みんなで狩りに出て帰ってきたときには、
猪に殺された死体になってることにすれば良い。

グンターとブリュンヒルデ、
考えは違っていても同じ男の死を願う2人は共に叫びます。
「ジークフリートは死なねばならない!
誓いを破った男は己の血で償うのだ!
ヴォータン!我々の誓いを聞き入れたまえ!」
ハーゲンはこれまた別の思いにふけっています。
「彼は死ぬのだ!ハンサムな英雄よ!
これで財宝も指環も俺のものだ。
あいつの指から指環を奪い取ってやるからな!
夜の守り主、ニーベルハイムの王、
敗北したる父アルベリッヒよ、聞こえるか!
指環の主であるあなたにまた全てのものが従うのだ!」

館から出てきた人々はまた2組の結婚式の準備を始めます。
ハーゲンがブリュンヒルデをグンターの元に押しやり、
グンターは花嫁ブリュンヒルデの手を握ってから、
山の祭壇へと向かいます。

やっと2幕が終わった・・・・・。
第3幕:第1場、
3人のラインの乙女達が川面に出てきて、
水と戯れています。
この3人とは「ラインの黄金」で出てきた
例のおしゃべりかしまし娘達です(笑)
3人は声を揃えて歌い始めます。
「神々しい太陽が光を落とすけど、
水の中は漆黒の闇。
でも昔はここも明るかった。
父上の黄金が照らしていたわ。
ラインの黄金!輝かしい宝よ!
何と明るく輝いたことだろう。」
3人はまた輪になって泳ぎ始めました。

角笛が聞こえてきて3人は喜びに溢れて、
「あの英雄をここへ!
あの方ならきっと私たちの黄金を取り戻してくれる!
黄金が戻ってきたら、
もう太陽を羨んだりしないわ!
ラインの黄金!輝かしい宝よ!」

ジークフリートが近付いてきたので、
3人は水中に隠れました。
それと同時にジークフリートが現れてこう呟きます。
「妖精め、何かイタズラを仕掛けたな!
道に迷っちゃったじゃないか!
それに僕の獲物をどこへ隠したんだ?」

3人のラインの乙女達がまた水面に浮かび上がり、
ジークフリートに話しかけました。
「何を怒ってるの?」
「毛だらけのクマがいなくなっちゃったのさ。
あれが君たちの恋人だってんなら、
喜んで差し上げますよ。
でも今は何もあげるものがないんだよね。」
「その指環!それをちょうだいよ!」
「だめだめ、これはでっかいドラゴンを倒して手に入れたんだ。
クマ1匹なんかとじゃ取り替えられないよ!」
「意地悪ねぇ!女には気前よくするのが良いのよ。」
「これをなくしちゃったら奥さんに叱られちまう!」
「奥さんが怖いのね?あなたを殴ったりするの?」
あ、そうか!殴られたことがあるのね!
こんな良い男なのに!こんなに強そうなのに!
でもミジメなのよね〜!」

3人の乙女にからかわれてムッとしたジークフリートは、
「じゃあこっちへ来いよ!指環をあげるからさ。」
ジークフリートは指環を抜いて見せました。
そうすると乙女達はもう笑ってはおらず、
「ちゃんと持っていると良いわ。そのうちわかるから。
その指環に込められた呪いを知れば、
その災厄から解放してくれって
私たちに懇願することになるのよ。」
ではその災厄を教えてくれといっても、
乙女達の話は抽象的過ぎて、
ジークフリートにはさっぱりわかりません。
イラついて来たジークフリートは怒り出します。
こうなってはいくら乙女達が警告しても、
もうジークフリートは聞く耳持たず、
僕の剣で何でも打ち砕いてやる!
今までだってそうやって来たんだから。
指環を手放さないと呪われるなどという脅しに乗るものか!
などと言い出すので、
3人の乙女達はため息をつきながら、
「この男はやっぱり狂っているわ。
英雄なら強く賢いと思っていたけれど、
この男は盲目同然、さようならジークフリート。
指環は今日、ある気高い女性の手に渡される。
その人こそが私たちの望みをかなえてくれるでしょう。
さあ、彼女のそばへ行きましょう!」

3人の乙女達はまた歌いながら遠ざかって行きました。
ジークフリートは女というものは笑顔がダメなら脅すんだ。
放っておけばがみがみ言い出すし・・・・と言いながらも、
乙女達が消えていった方向を見やって、
グートルーネという妻がいなかったら、
1人くらいものにしてみたかったな!と思うのでした。

男ははみんなこうしたもの・・・・・(笑)
さて物語は佳境に入ります。

第3幕:第2場、
森の中、ハーゲンの声が聞こえてきます。
「ホイホー!」
ジークフリートはその呼び声に角笛で答えました。
「ホイホー、ホイホー、ホイヘー!」
ハーゲンが崖っぷちから姿を現します。
その後ろにはグンターもいます。
「やっと見つけたぞ!今までどこにいたんだ?」
ジークフリートは答えて、
「こっちへ降りておいでよ!ここは涼しくて良いぞ!」
それを聞いてハーゲン、グンターと家来達もやってきました。
ここらで一休みするのにもってこいだと思ったハーゲン、
ジークフリートはどんな獲物を捕まえたのかと尋ねます。
ジークフリートは何も捕まえられなかったこと、
3羽の水鳥たちだけだったけど、
それも逃がしてしまったと答えます。
その鳥たちは今日僕が殺されるだろうと言うんだよと話します。
ジークフリートはそんなことを全く信じていませんから、
あっけらかんとしたものです。
咽喉が渇いたというジークフリートに
ハーゲンは酒を手渡します。
グンター、君も飲めよ!と言われて酒を見れば、
何だか気味の悪い色をしています。
それにはジークフリートの血が入っていると聞かされて、
グンターは益々憂鬱そうです。
じゃあ2人の血を混ぜたら良いんだよとはしゃいで、
ジークフリートは杯を飲み干します。

相変わらず浮かない顔をしているグンターに、
僕の冒険物語を話してあげるねと言って、
ジークフリートは話し始めます。
今までに起こったことを全て思い出します。
彼は「忘れ酒」の反対の「思い出し酒」を飲まされたのです。
自分の生い立ち、冒険、
ドラゴンとの戦いと財宝を手に入れたこと、
恐ろしい炎の山に登りブリュンヒルデにキスしたこと、
その後、2人の間に起こったことを話したところで、
グンターが憤然と立ち上がりました。
やっぱりこの2人は!と言うわけです。
その時、2羽の大鴉が現れ、
ジークフリートの頭上を舞います。
鳥の話がわかるのは本当なのか?とハーゲンに訊かれても、
ジークフリートはハーゲンに背を向けたまま
じっと立ち尽くしています。
「大鴉はこういったのだ!復讐せよとな!」
そう言うなりハーゲンは、
ジークフリートの背中に深々と槍を突き刺しました!

驚いたグンターと家来達は、
「ハーゲン、何をしたのだ!?」
と問いかけますが、
ハーゲンは裏切り者に復讐しただけだと嘯きます。
茫然としたままのグンターですが、
ジークフリートを案じて彼を見やります。
家来達に支えられて身体を起こしたジークフリートは、
宙を見つめて呼びかけます。
「ブリュンヒルデ、聖なる花嫁よ!
起きるのだ!目を覚ませ!
誰が君を眠らせたのか?
かつて君を目覚めさせた男が
またブリュンヒルデのしがらみを断ち切り、
ブリュンヒルデの喜びの微笑みを輝かせる!
その目は永遠に見開かれ、
その息は妙なる悦びに匂い立つ!
ブリュンヒルデが僕を迎え入れてくれるのだ!」

ジークフリートはその場にくずおれ息絶えました。
家来達が亡骸を運びます。
ここで流れる音楽が有名な
「ジークフリートの葬送」です。

私が初めてこの曲を聴いたのは12歳の時でしたが、
背筋がゾクゾクしたのと
何ともいえない荘厳な気持ちになったのを覚えています。
第3幕:第3場(前半)
場面はギービヒ家の広間、
眠れないグートルーネが起き出して来ています。
「まだあの方はお帰りにならないのかしら?
さっき角笛が聞こえたような・・・。
悪い夢を見て目が覚めてしまった。
馬の激しいいななきとブリュンヒルデの笑い声、
河岸へ歩いていく女を見たけど、
あれは誰かしら?
私はブリュンヒルデが怖い!
ブリュンヒルデ、ブリュンヒルデ!
あなたも起きているの?
彼女の部屋は空っぽだわ。
やっぱりあの女は彼女だったのね。
あら?彼の角笛の音かしら?
ああ、早くあの方が帰ってこられますように!」

急にハーゲンの声が聞こえてきます。
「ホイホー、ホイホー、みんな起きろ!
明かりをもってこい!狩から戻ったぞ!」
広間へ入りながらハーゲンはこう呼ばわります。
「グートルーネ起きなさい!
ジークフリートが戻ったぞ。英雄のご帰還だ!」
「ハーゲン、何が起こったの?
あの人の角笛が聞こえなかったわ!」
松明を掲げた人々が広間に入ってきます。
そこに運ばれてきたのはジークフリートの遺体でした。
ハーゲンはもうこの英雄は角笛を吹くことはない。
狩りにも戦にも行くことはないのだ。
麗しい女性に愛を語ることもないと言います。
グートルーネはまだわけがわからず、
「誰なの?誰を運んできたの?」
「猪の犠牲になったのだ。
ジークフリート、あなたの夫だよ。」
グートルーネは悲鳴をあげ、
遺体の上に倒れ伏します。
気を失いかけている妹を励まそうと話しかけるグンター、
グートルーネは意識を取り戻すと兄を突き飛ばします。
「ジークフリートは殺された!
私の夫を殺した殺人者!あっちへ行って!
ああ、誰か、誰か助けて!
ジークフリートが殺された!」
グンターはハーゲンが殺したのだと言いますが、
ハーゲンは落ち着き払っています。
「そうさ、俺が殺したのさ。嘘つきの報いさ。
神聖な誓いを守った俺には神聖なものを求める権利があるというものだ。
あの指環をいただくぞ!」
さすがにここでグンターも怒り出します。
「あれは私のものだ!
グートルーネこそが受け継ぐべきものなのだ。
恥知らずのニーベルングの息子めが!」
ハーゲンは剣を抜き、グンターに切りつけます。
「ニーベルングの息子がニーベルングの宝を要求しているのだ!
指環をよこせ!」
ハーゲンがジークフリートの指から指環を抜き取ろうとすると、
ジークフリートの腕が持ち上がります。
悲鳴を上げて下がるグートルーネと女達、
その時、ブリュンヒルデの声が響いてきました。
おお、遂にたどり着いた大団円!(^^;
聴いていたら流せるシーンでも、
書いていたらそうはいかないワーグナー!(笑)


第3幕:第3場(後半)、
ブリュンヒルデはしっかりした足どりで現れ、
「静まりなさい!泣き虫ども!
みんなに裏切られたこの私が、
夫の復讐を遂げるために来たのです。
ミルクをこぼしたといって泣く子供のような真似はやめなさい。
そんなもの英雄にはふさわしくありません。」
グートルーネは怒りに燃えて立ち上がりさま、
「ブリュンヒルデ!嫉妬に狂った禍の女!
あなたの言葉が男達を夫に歯向かわせたのだわ!
私はあなたがこの家へ来た日を呪います!」
「お黙りなさい、哀れな女!
あなたは彼の妻などではなかった。
私こそが正統な妻、彼があなたに出会う遥か以前に、
永遠の誓いを交わしたのです。」
ここでグートルーネは何かに思い当たりました。
「あなたを呪ってやるわ、ハーゲン!
あの薬を飲ませてこの女性から夫を奪い取ろうとさせたのね。
ああ、何てこと!今こそ全てわかったわ!
ブリュンヒルデこそが彼の本当の妻だったのね。
彼は薬のせいでそのことを忘れていただけだったのね!」

ブリュンヒルデは一人、広間の真ん中に立ち、
ジークフリートの顔を見つめています。
深いショックから立ち直り、今は毅然としています。
そして力強くこう告げます。
「太い枝をたくさん高く高くライン河のほとりに積み上げてください!
明るい炎が燃え上がり、
気高い英雄の身体を包み込むように。
彼の馬をここへ!私を乗せて彼に従うのです。
英雄の聖なる名誉に従う私の願いをかなえてください!」
若い男達が進み出て薪を積み上げます。
女達は花を捧げてこれを飾り付けます。
ブリュンヒルデの表情は喜びに溢れています。
「輝かしい太陽の光が彼の目から湧き出る。
彼は純粋であり、裏切り者でもあった!
妻を裏切ったが友達には忠実だった。
心から愛する女と寝ながらその剣で間を隔てていた。
他の誰もこんなこんなことは出来ない。
聖なる誓いをこんな形で裏切ってしまった者はいない。
何故だかわかりますか?」

ブリュンヒルデは天を見上げます。
「天上の方々、私の嘆きをご覧ください。
あなた方の終わりなき罪をご覧ください!
あの方はあなた方に降りかかった呪いを
その身を持って拭い去ったのです!
この誠実な英雄が私を裏切ったのは、
私がそれによって叡智を得るためでした!
私は全てを理解しました。
大ガラスの羽音が聞こえます。
今こそあなたが待っている知らせを大鴉たちに託しましょう。
安らかにお休みください、神よ!」

ここでブリュンヒルデは滅びの知らせを待っているであろう
最愛の父親ヴォータンに直接呼びかけています。
これこそがヴォータンの望んだ神々の終焉だったのです。

ブリュンヒルデは家来達に命じて、
ジークフリートの遺体を薪の上に横たえさせます。
そしてその指から指環を抜き取りました。
「今こそ私の残されたこの遺産を受け取りましょう。
恐ろしい呪われた指環よ、私はお前を捨てます。
ラインの水底に住む娘達よ、私はあなた方に感謝し、
あなた方にこれを返しましょう。
炎が私の身体を焼き尽くし、
指環の呪いを消し去ってくれるでしょう。
あなた方の水が禍を洗い清めるでしょう。」

ブリュンヒルデはその指に指環をはめ、
薪の方に向き直ります。
家来から松明を奪い取り、
積み上げられた薪に向かって投げると、
たちまち激しい炎が上がります。
「大鴉たちよ、お前達が見たことを天上の主人に伝えなさい!
ブリュンヒルデの岩山を越え、ローゲの元へ。
そしてローゲをヴァルハラへ連れて行くのです。
ヴァルハラの塔に私が火を点じます。」

2羽の大鴉達は岸辺から飛び立って天へと消えて行きました。
家来が馬を連れて現れます。
「グラーネ!私の愛馬よ!ごきげんよう!
お前は知っている?お前は私を乗せて行くのよ。
あの輝ける炎の中にお前のご主人がいるわ。
ジークフリート、私の英雄!
グラーネ、お前も嬉しいのね。
だからお前も笑っているのね!
明るい炎が心に燃え、あの人が私を抱きしめる。
私たちは愛の炎の中で1つになるのよ!
さあ、行きましょう、グラーネ!
ジークフリート、あなたの妻が今おそばへ参ります!」

ブリュンヒルデはグラーネと共に炎に飛び込みます。
その途端炎は赤々と燃え盛り、
全てを焼き尽くさんばかりになったので、
家来達は恐れおののいてその場から下がりました。
炎が全てを包み込み焼き尽くすと火勢は緩まり、
ラインの水が岸辺に溢れかえってきます。
ラインの乙女達が現れ、薪の上を泳ぎ回ります。
これを見ていたハーゲンは大慌てで槍も鎧も捨て去って、
狂ったように水中に飛び込みました。
「指環に近付くな!」
ヴォークリンデとヴェルグリンデは、
その腕をハーゲンの首に回し、
後ろ向きに水中へと引っ張り込みます。
フロスヒルデが近付き差し上げたその手には、
黄金の指環が輝いていました。

ラインの水はだんだん元に戻り始め、
茫然とたたずむ人々の目の前に、
ヴァルハラ城が浮かび上がります。
そこには居並ぶ英雄達の姿がありました。
明るい炎が城を包み込み炎上していく神々の住処には、
神々の姿は既に見えませんでした。

こうして音楽もライン河のライトモティーフに戻り、
長い長い物語は終わりを告げるのです。

やった〜!終わったぞーー!!
読者のみなさま、お疲れ様でした。
読んで下さって本当にありがとうございました!
感謝いたします!!!m(_)m
ふくろう様
四夜に渡っての大変な力作ありがとうございました。

コミュに花を添えて頂いてコミュ主冥利につきまする。
感謝しても仕切れないです。





もし、差し支えなければふくろう様の知識の一環として連載しているオペラのあらすじも掲載して頂いたら嬉しいなーと・・・


(指環とは関係ないですが・・汗)
おにぎり村正さん、
オペラのストーリーなら、
やたらと沢山書きましたので(笑)
私の方へ来て必要に応じて探していただく方が、
使いやすいかと思います。
いかがでしょうか?
(探す方が大変なんだってばって?(^^; )

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