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「ニーベルングの指環」コミュのパルジファル攻略法

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と題名うってますが・・・
副題は・・・・

「助けてください!アムフォルタスEDとグルネマンツ爺がつらいんです。」
という名のトピです。

私の原体験はジーバーベルクのパルジファルから入っていったので其れほど気にならなかったのですが

http://mixi.jp/view_item.pl?id=206185

三回目以降第一幕老騎士グルネマンツ爺の語りの部分で行き成り(o_ _)o パタッと眠りに付かされた事在りまして・・・

恥ずかしながら('A`)・・・

でこういうことを思っている方が実は意外と多いことを知りましてトピ建てた次第です。

そうしたら「わびすけ」様がぴっぽ様作「救済のライトモチーフ」付き救いの手が・・・・

わびすけ様より転載の許可を頂きパルジファル攻略とさせていただきます。

オディロン・ルドン
パルジファル

オディロン・ルドン
ブリュンヒルデ

オディロン・ルドン
神々の黄昏
ジークフリートとブリュンヒルデ

コメント(28)

わびすけ様の日記より許可を頂き転載
(私にとって永久保存版です!)
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

辛いよね、「パルシファル」。

私なんかアーサリアンでもクリスチャンでもないからまず物語に親近感がわかない。

実演どころか映像も持っているのはバレンボイムのVTRだけ。今ならネットがあるから教えを乞うこともできようが、PC歴はやっと一年になるかならないかぐらいなので、結局自力に頼るしかなかった。分かりたいんだ、このオペラを!という執念を燃やしつつ(笑)。

一体そうまでして聴いて何が楽しいの?そんな必要どこにもないじゃん…

ごもっともなのだが、それを言ってはおしまいです(笑)。

人はRPG的に強いボスにチャレンジしてレベルアップを図るべきなのです。(微妙に論点ずれてる?)

ということで、優れたビジュアル作品や実演にかけるお金がないときのCD頼みの場合…を考えてみた。カラヤン/BPOのパルシファルを一応想定。

?頭から真っ向勝負

この場合、ボス戦前のレベルアップの戦いは必須。つまり、他のワーグナー作品をある程度クリアしていることや、クラシック&オペラ初心者ではないこと、などの条件が挙げられる。

・あらかじめ遅めのブルックナーや聖金曜日の音楽の演奏などで同属に対する耐性をゲット

・「ライトモティーフの書」というキーアイテムを手に入れる…カラヤンのCDの国内盤には楽譜つきで載っているし、作曲家解説本などでもよし。

・忘れちゃいけない、歌詞必須です。ドイツ語が流暢に読める方以外は対訳をゲットしましょう。誤訳もあるかもしれませんが、そういうことが発見できるのもまた退屈を消す前向きな発想につながります。

これらがあれば戦いが楽になります。

?最大の難所

パルシファルが難しいのは第1幕の冒頭が最大の難所だということ。このグルネマンツのSprechgesang、つまりラップは歌手に実力がないとかなり苦しいものに。いけてないラッパーの音楽は大変つまらない(笑)。大抵パルシファルが登場する前に落ちる。それとテンポ。カラヤン盤は間を重要視した、非常に繊細でなおかつ重厚、素晴らしい表現なのだけれども、遅い…。これではいくらクルト・モルの声量と演技力が素晴らしくても落ちてしまいかねない。

そんな時のために。

・ケーゲル盤は極端かもしれないが、ああいう少し軽めのサウンドで速い演奏を聴いてみる…つまり音源を変えてみる。

・「ライトモティーフの書」を使用。今何の話をしているのか、それが音楽でどう表現されているかに注目。例えばアンフォルタスやクリングゾールが登場する前にも、グルネマンツが語る部分でモティーフが先取りされているし、そのアレンジの仕方によって苦しみの表現などが浮き彫りになる。聖餐、聖杯の動機も然り。矢白鳥までたどり着けると、ローエングリンの動機が断片的に使用されたり、背後にアンフォルタスと聖槍の動機が組み合わさって流れることで、矢白鳥がアンフォルタスの事件を暗示しているんだな、などということが分かる。

・少しピントのずれたことを考える…内容から大きく外れてはいけないけれども、歌詞を見ながら自分なりにアレンジを考えつつ聴いてみる。私だったらサッカーやアニメ、ゲームの3頭身パロディだろうか(笑)。これはグルネマンツが物足りない時によくやる。
そうこうしているうちにおなじみの動機が鳴り響いてきたりして、ああ、こんな風に言葉と音楽が表現されるんだなあ…と興味もわいたりして。

難所はもう一つ。第2幕のパルシファルとクンドリーの対話。

ここはちょうどサッカーでいうと後半60〜70分あたり、中だるみの時間帯。うっかりして落ちかねない。声の演技が素晴らしいP.ホフマンとヴェイソヴィッチだけなら何とか持ちこたえられると思うが、カラヤンの表現力も素晴らしくて、子守唄のようにパルシファルを誘惑されるとまずい(笑)。この場合は花の乙女のあたりで一度休みを入れて聴き直すか、やはり少しピントをずらして聴いた方がよいだろう。

・アイテム「トリスタン」を習得している場合には、トリスタンと比較してこの2人の部分を聴くと興味深い。「タントリス」に「ファルパルシ」(笑)。このあたりの音楽も似ている部分あり。また、第1幕と第3幕がパルシファルの覚醒を中心としてほぼ対照的に描かれているところなども似ているので、それも手助けになる。

?細切れにして聴く

これは例えば好きな歌手、歌の部分、音楽の部分など既知のものにすがる場合。私はイタリアオペラでよくやっているが、ワーグナーでもある程度は通用すると思う。つまり、ボス戦をある程度リセットしながら戦ってみて、戦略を立てる方法である。

・好きな歌手が歌っている→カラヤン盤の場合、私にとってはアンフォルタスのヴァン・ダム以外はほぼベストメンバー。きちんと入り込める。(また、ヴァン・ダムも別に悪くない。)

・好きな歌の部分→例えばアンフォルタスの嘆きは大変印象的。第2幕のクリングゾールの登場や、パルシファルの覚醒、はたまたクンドリーの悲鳴、男声合唱の力強さなどもこれに入るだろう。

・好きな音楽→前奏曲、聖金曜日の音楽などから派生して、個々の動機を覚えると楽である。カラヤン/BPOは、伴奏部分の器用さはないけれども、オケのパワー抜群。録音もBPOにしては歌手とオケのバランスが比較的良い。ライトモティーフも大切にしているし、「間」を取ることで、演奏自体は遅くなるけれども次のフレーズに対する緊張感が生まれてくる。

以上の聴きやすい部分を中心にすれば、少しずつそれ以外のところも慣れていけるかも。この場合、グルネマンツのラップなどは気軽にとばしつつなじんでいきましょう。

?荒療治

何となくBGMとしてかけ続ける。PCとか、雑誌読んでいる時とか。常に半分くらいの注意を引く演奏を選ぶのが大変だけれども(笑)。全く違う作業に没頭してしまっては意味がないし、BGMに引きずられると寝る羽目に(笑)。いつか自然に体が覚えれば…という博打。とりあえず攻略法なんかめんどくさい、直接ボスに当たって砕けろ!で、何回かかけてクリアしちゃう方法といえる。そして後から攻略本を読んで、ああ、こうすればよかったのね…とかこういうことだったのね…と理解。

残念ながら、このカラヤン盤はあんまりBGMには向いてないと思う。珍しく引きずられる。それだけ重厚な名演に入るからだろう。構造を理解するにはよいが、荒療治をするならもう少し軽めの演奏を選ばれた方が良いだろう。



だんだん書いていて、自分でも悲しくなってきてしまいました。要するに最後は根性、で終わりそうで(笑)。

普段忙しい方には、なかなか難しいと思うのです。なので、余裕のあるときに、睡眠をばっちりとることも重要かと。第1幕はさわやかにお小姓を起こす場面から始まるので、朝に集中されるとよろしいかも。
わびすけ様の日記より許可を頂き転載 part2
(私にとって永久保存版です!)
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



・・・・皆さんが私と同じように、パルシファルに悩んでいらっしゃったんだなということに元気付けられ、昨日一日お休みをいただいて、

つまり宿屋(テント)に泊まり(笑)

再び満タンスタートでボス戦にチャレンジしてみました。

と言いましても長期戦ですし、一気に倒せるものでもないので、とりあえず最大の難関、グルネマンツラップの攻略だけ試しにやってみました。前奏曲〜第1幕の矢白鳥の前までです。

既に解説書をゲットなさっている方は全く読まれる必要はないかと。全て先人のおっしゃっていることを我流に砕いてる(曲解かも)だけなので。こいつバカか、今頃そんなこと言いやがってという気持ちになられること必定です。

ワーグナー御大のすごさは、ぴっぽさんのトリスタン解説などを参照いただけるとお分かりかと思いますが、キーワードやキーキャラクターにメロディが振られています。これがライトモティーフ(Leitmotiv、示導動機)と呼ばれるもので、ゲームや映画でも主人公が登場するといつも背後に同じ音楽が流れていたりしますよね?○○のテーマというやつで。エアリスのテーマ、チョコボのテーマや愛のテーマ、バトルミュージックなどなど。これをワーグナー御大は一世紀以上前にオリジナルで自由自在に使いこなしていたという…つまりは現在あるBGMの形式は、御大がいなかったら成り立たなかったくらい偉大なのです(褒めすぎ?)。ですので、ライトモティーフとか動機とか言うとなんだか堅苦しいと思う方は、簡単にテーマと言い切っちゃってください(笑)。

キーワードにくっつけて、「聖餐」や「聖杯」のテーマ、「パルシファル」のテーマ、「クンドリー」のテーマなど。要は分かればいいんです。

一応この部分で重要になる動機をカラヤン盤についている楽譜で挙げておきます。

まず、前奏曲から矢白鳥までを3つのブロックに分けます。





?前奏曲

ここでは動機を覚えましょう。
厳粛な静けさで始まる最初のメロディが聖餐の動機です。

ぴっぽ様作

・聖餐の動機
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seisan.mid


少し哀しげですね。そしてこれが繰り返された後、金管を伴った少し明るめのメロディが登場。聖杯の動機です。


・グラール(聖杯)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seihai.mid


やや間を取った後、金管のみで勇壮に始まるのが信仰の動機。

・信仰
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/sinkou.mid



(カラヤン盤はメロディの区切りで少しずつ間を取って、次のメロディへの布石にしているのが分かりやすいです。)しばらくこの3つが組み合わさって流れます。
この部分は大変静かで荘厳な立ち上がりですが、サッカーで言えば序盤の3トップ攻撃に値します。そのくらい重要な動機たちです。FWの名前が覚えやすいように、無理しなくても覚えてしまうでしょう。

一区切りつくと、また聖餐の動機に戻り、今度は冒頭とは少し違うアレンジで、弦のトレモロがちょっと不安感をあおる感じで始まります。

・聖餐の動機
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seisan.mid


まもなく次の重要な動機、不安げな聖槍の動機が下のほうからそろそろと重なってきます。

・聖槍
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seiyari.mid


つまり、3トップに中盤の選手が重なった波状攻撃になるかも、という感じ?まだ前奏曲なので予感にとどまります。
また、ここではアンフォルタスの動機が断片的に混ざっているらしいのですが、(楽譜4、救済・今は覚えなくても良いでしょう)かすかでわからないので置いておきます。御大らしい先取りということで。

・アンフォルタスの苦悩
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kunou.mid

・救済
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kyuusai.mid


?グルネマンツラップその1

前奏曲が切れたあと、まず遠くからかすかに(舞台裏金管らしい)聖餐の動機が聞こえます。なんと聖騎士さんたちはこれが起床ラッパ!。

・聖餐の動機
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seisan.mid


知ったときは笑えました。かすかですから、聞き落としのないように(演奏によってはわりと大きく聞こえるものもあります)。続いてグルネマンツが小姓たちを起こします。

この部分でまた前奏曲の動機の3トップが背後で繰り返されてますね。聖餐+聖杯+信仰です。


・聖餐の動機
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seisan.mid

・グラール(聖杯)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seihai.mid

・信仰
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/sinkou.mid

つまり今日は何の日か、ここはどこなのか、台詞を聞かなくてもわかってしまうのです。


聖杯=儀式、信仰=騎士たち、という結びつきです。ト書きを読むと、まずは朝の祈りを捧げている部分など、聖杯+信仰で言われなくても何をしているか分かります。

「パルシファル」ではこういうところキ○ガイじみているくらい細かい…。だから御大の集大成なんでしょうけど。

ほとんど行単位、もしくは単語単位にまで刻まれます。


次に、Wie geht's Amfortas heut?(アンフォルタスのご容体は?)で背後にチェロで流れるのがアンフォルタスの動機です。


・アンフォルタスの苦悩
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kunou.mid


哀しげな下降のメロディです。登場するどころか、名前が挙がっただけなのに流してしまう御大の先取り…。



第2の騎士が「薬が効かないから水浴びするのだ」、と答えると、
またもや事情を知っているグルネマンツの先取り…

Toren Wir, auf Lind'rung〜lindert!
(われわれは愚かだ、ご快癒のすべは唯一つと知りながら〜)
の部分は後述の、Durch Mitleid wissend…のメロディ、つまり予言の動機

・愚者の箴言
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/singen.mid

で歌われます。この中で彼だけが事情を知っているということが、音楽のみでも分かってしまうのです。

そこにクンドリーがやってきます。
(馬で疾走してくるこのメロディも彷徨の動機として挙がってますが、これは覚えなくても可。)

到着した時の落馬したような、もしくは悲鳴のような急速下降のメロディが彼女の動機です。
クンドリーがからむ場面になると必ず背後で鳴り響きます。これが出てくれば彼女の話ね、と覚えてしまうでしょう。

このあたりはグルネマンツラップの中でも動きがあるので、比較的クリアしやすいかも。

彼女が疲れた!といって倒れると、そこにアンフォルタスの重苦しい動機と共に彼が担がれてやってきます。


・アンフォルタスの苦悩
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kunou.mid

先取りではない、本物の登場です。これでアンフォルタスの動機は何となく覚えられると思います。以下、彼の苦痛が話に上るたび、流れます。

くどいくらいです。


こういうのを「また出てきた、ここもだ!」と探しているうちになんとか難所をのりきれる気がしてきます。

アンフォルタスの歌唱に対応しつつ、音楽は変化してゆきます。「水浴をすれば痛みも和らぐだろう」の部分ではObの少しホッとする、朗らかなメロディ(森の動機・聞き流してください、何となく明るい音楽ということで充分です)が流れます。

しかし常に苦痛は彼をさいなんでいるということで、das Weh(苦痛)という単語と共に、またアンフォルタスの動機に戻っちゃったりするのです。本当にあまりにも密接な音楽。

・アンフォルタスの苦悩
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kunou.mid

ガーヴァンがまた彼のために旅立ったと聞いて、彼を心配するところの、Gralsgebote(聖杯の掟)というほんの一言も聖杯の動機が使用されます。そこまでするくらい、聖杯は大事なんですね。

・グラール(聖杯)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seihai.mid



で、重要なのが既に先取りされている次の箇所。「私のために使わされる人」、つまりDurch Mitleid wissend der reine Tor…の予言の動機です。



ここの表現はこのオペラを通して重要な部分です。歌手と指揮者がどう表現するか注目ですね。

そこで、グルネマンツがクンドリーの薬を差し出します。
誰が持ってきたかという王の問いに、傍らのクンドリーを起こそうとするのですが、当然また彼女の動機が挿入されます。


ここまでくれば、音楽で全て語るつもりなんですね、御大…

・・・(御大やり過ぎの気がします('A`)・・村正注釈・・・・

ということがそろそろ分かっていただけるでしょう。


で、
それを受け取り、アンフォルタスは彼女に感謝の意を示すわけです
が、背後に流れるのは非常に微妙な音楽です。


過去の事件からくる複雑な感情が見事に表現されてます。

そして、水浴に出発すると同時に森の動機が一時的に戻ってきて、彼の痛みはクンドリーの薬でとりあえず落ち着いた、ということが暗示されるわけです。

ふう、長い道のりですね。
まずはここまでで切りましょう。

覚えるべき主要動機は、聖餐、聖杯、信仰、聖槍、アンフォルタス、クンドリー、予言くらいなものです。覚えるべき、といっても嫌でも覚えるくらい繰り返してますのでご安心を。

そして、ここまででお気づきでしょう。グルネマンツの動機はないのです。面白いことです。
わびすけ様の日記より許可を頂き転載 part3
(私にとって永久保存版です!)
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


さて、続いてちょっと苦しいかな〜と思われる、矢白鳥までの後半戦。


序盤の攻略で敵のゲージがたまってしまい、カウンターされそうになるところです。


ここのグルネマンツラップは「ラスボスの一度目の究極奥義」に値するでしょう。

つまりつまらない演奏なら間違いなく落ちます(笑)


「全てを超えし者」に一回目の「世界最後の日」を食らうようなものです(大げさ)。
アイテムや召喚獣などで持ちこたえなければいけません。不安な場合は飴やガムなどをご用意くださいませ。

・・・ファイナル・ファンタジーをご存知でしたらとてもわかりやすい喩えなのでよりよく理解したいかたはコンシューマー・ゲームのFFシリーズを攻略をお薦め汁(村正注釈


?グルネマンツラップその2

クンドリーの「感謝しないで!」というところから。
背後に叫ぶかのようにクンドリーの動機が鳴り響きます。つまり地に伏せていても、本当は叫びたくなるくらい彼女も苦しいという表現につながります。

アンフォルタスの退場を挟んで、(前述の森の動機の回帰の部分です)小姓が彼女をなじり、彼女が「ここでは獣は神聖ではないの?」と返すところ、このheiligの一言にも聖杯が直結。

でも小姓たちは彼女が魔法を使うのでは、と反論。背後にながれるのは登場の時に使用された空を翔るメロディにクンドリーの動機がつながったもので、要するにそういう魔法の能力が怖いんだ、ということが音楽的に指摘されます。

それに対するグルネマンツの弁護。
ここは逆に彼女の動機を使っていません。

「空中を飛んで」というところで逆に上昇形の音楽を使ったりしてます。
小姓たちが、悪い意味で彼女の動機を使っているからです。

上手いですね、御大。

クンドリーの動機は堕落した彼女を表現するものだということがはっきりします。

すると小姓が「魔法使いだ」とまた反論し、クンドリーの動機も同じように悪いイメージで繰り返されます。

でもグルネマンツはそういう彼女も救済の余地があり、それが自分たちの為にもなるとさとします。

この部分では単語レベルの細かさで動機がからみあい、Schuld(罪)やfrueh'rem Leben(過去の生活)に対応して、聖餐の動機とクンドリーの動機がコンボで流れつつ、Uebt sie nun Buss〜zum Heil geratenの部分で、予言の動機に至る訳です。


これはもうすぐ来るパルシファルの先取りの意味もあり、つまり、彼女もわれわれもパルシファルによって救済されるだろうということの音楽的暗示です。

更に信仰の動機が短く「信じよう」という感じで続きます。

小姓の問いに答えつつ、グルネマンツの説明は果てしない…(笑)。


・・・(o_ _)o パタッ(村正注釈

クンドリーの不在こそが悪いことを引き起こす、と。

ここで明らかなのは、グルネマンツは絶世の美女=クンドリーということを認識してなかったんですね。
何とな〜くそうじゃないかな、くらいで。(だから彼女に優しい?)森の中にティトレルが城を建てたとき…というくだりで、背後に弦で流れるのが誘惑の動機(楽譜10番、魔法とも言う)です。

これは形を変えながら事件が語られたり、パルシファルが誘惑される時にも流れます。
不吉な感じで盛り上がり、頂点でクンドリーの動機につながって急降下。「何故主君が刺された時いなかったんだ?」と迫ります。

・・・・下品な絵ですまんm(_ _)m
http://ic2.mixi.jp/photo/diary/48/57/39664857_4.jpg

一応いたんだけど、美女になっていただけ(笑)。いったい普段クンドリーはどんな外見?

彼女は魔法がかかっている状態を説明できないので、「私は決して助けない」とだけ答えます。

小姓が「じゃあこいつに聖槍を探させろ」とまたなじると、絶望的に聖餐の動機の断片が鳴り響きます。

「それが可能ならとっくにやっとるわい」というグルネマンツの嘆きです。

聴き所ですね。
更にもう一度、オケの高まりから聖餐の断片+聖槍の動機が高らかに繰り返されます。heiliger Speer!に重なるように。

ここでやっとグルネマンツがアンフォルタスが槍を失う経緯を説明し始めます。じらさずさっさと吐け!といいたくなりますが、耐えましょう。

要するに王が戦っていたら、恐ろしいくらいの美女が彼を誘惑し、アンフォルタスはまんまとハマって槍をポロリ。背後に誘惑の動機が高鳴ります。
頂点でそのまま聖餐の断片+聖槍にクンドリーがからみ、王が落ちたことを表現。

聖餐の動機の断片は、つまりアンフォルタスの傷、贖罪の意味も含まれるということがはっきりします。楽譜にはこの断片の部分だけを「苦痛」と命名して差別化してあります(1のa)。聖槍の動機も、聖餐の動機の後ろの方を変化させたもので、このことから、傷+槍が聖餐に含まれていることが導かれますね。

ここから彼の苦悩が始まったと、その後またアンフォルタスの動機が流れるのです。象徴的です。

じらしているのは次。

・・・(御大焦らしすぎ・・・村正注釈

小姓がクリングゾールについて聞いているのに、グルネマンツは王の容体に話をそらすのです(笑)。

・・・(そらすなよ・・・('A`)村正注釈

音楽的にも、このあたりはクリングゾールが話題に上がっても、彼の動機は出てきません。

つまり出し惜しみで、部下の冒険心に火をつけるのをふせいでいるんですね。

言葉がなくても、それを音楽で全て表現。

「容体はいいよ」の表現に、先ほどのさわやかな森の動機が一瞬帰ってきますが、またグルネマンツは「決して閉じない傷!」とアンフォルタスの苦悩に思いをはせます。
そしてアンフォルタスの動機がまた流れちゃいます。各動機が少しずつ形を変えることで、状況の表現が細かくなってます。

つまり、

グルネマンツはどんな感じで今アンフォルタスのことを考えているのか、ということまで。

ノートゥンクの動機も折られた時は哀しげ…というのと同じですね。転調したり、ちょっとはしょったり。

ここまでじらしておいてから、グルネマンツはようやく事件について詳しく語り始めるのです。


「早く思い出せよ!」「やっとかよ!」と、まさにチョコボ爺さんと話している気分。「話の長い爺さん」という称号をつけたいくらいです。

御大の台本には無理があると言われて当然(笑)。もう一押しです。

信仰の国が異教徒に脅かされたので(信仰の動機)、聖なる御使い(聖杯の動機)が先代王ティトレルに最後の晩餐で使った聖杯と聖槍を手渡した、という部分から細かく言葉と動機の応酬がはじまります。

・・・ウイリー・ポガニー
http://img1.mixi.jp/photo/bbs_comm/51/82/16885182_159.jpg
村正注釈

傷(聖餐の動機の変形したもの)と聖槍の動機、信仰の動機などが単語レベルで対応して背後に流れるわけです。


・聖餐の動機
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seisan.mid

・聖槍
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seiyari.mid

・信仰
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/sinkou.mid


何というアンサンブルでしょう。

細かすぎ。

・・・・(御大前戯に時間掛け過ぎ。・・・村正注釈

王はこれら聖遺物を守るために信仰の動機に導かれ、城を建てるわけですね。

そしてそこに入れる人は清き人だけ。
この人たちが聖杯の奇跡を受けているということが背後の聖杯+信仰の動機の高まりで分かります。

・グラール(聖杯)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seihai.mid

・信仰
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/sinkou.mid


頂点で聖杯の動機が鳴り響きます。


・グラール(聖杯)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seihai.mid


一転して話はクリングゾールに。

やっとはっきりした形で彼の動機が流れます。木管のいかにも怪しいメロディです。誘惑の動機と絡み合うことで、彼の悪事を表現します。
聖杯を奪いたかったけど出来なかったので、聖騎士を誘惑する方法を思いつき、魔法を使った…と、この盛り上がりは当然クンドリーの動機に帰結します。

更に歓楽の園を作り、騎士たちを堕落させたというくだりでは、クリングゾールの動機に加えて、2幕の花の乙女たちのメロディが一瞬先取り。

(こんなんばっかですね。小説の伏線と一緒。覚えていられるわけないでしょう!)


その中にクンドリーもいたことが、彼女の動機が含まれることで音楽的には明らかになってますが、グルネマンツが知っているかどうかは疑問。

彼はここで一度言葉を切りますが、クリングゾールの動機が陰鬱に挿入。

絶妙な表現ですね。

そしてティトレルからアンフォルタスに使命は受け継がれ、何が起こったかはさっき話した通り…という意味の音楽が背後に流れます。

クリングゾール+クンドリー、聖杯、聖槍、誘惑などが絡み合って短く印象的にまとまって話を終える、という感じです。

小姓たちはやっと事件が分かり「槍を取り返そうぜ!」とやる気になります。

しかしいったん話し始めると長いグルネマンツ、肝心なことを最後に付け加えるのです。

残されたアンフォルタスは熱心に祈った結果、予言を得るわけです。
聖杯に向かって祈っているので、神の御使いは聖杯の動機によって登場。聖餐もさり気にミックス。


やっと、


やっと、


予言の動機にのってDurch Mitleid wissend,〜den Ich erkorが歌われ、グルネマンツが



「わしらじゃダメなのさ」


と水をさすわけです。




以下、小姓が印象的にこの予言のフレーズを繰り返しているところに矢白鳥事件が起きて、待ちかねた主役のパルシファルが登場するわけですね。

はあ、何という苦しみでしょう(笑)。


書いててもかなり辛くなってしまいました。今日のところはこれくらいで。また宿屋に泊まってセーブするため、レスが遅れましたら申し訳ありません…。つたない一通りの説明なんですが、間違いなどありましたらご教授くださいませ。
 とりあえず村正注釈は削除の方向で・・・(笑

コピペして是非永久保存する価値あります。
凄い。感謝です。
実はパルジファルは挫折して放置。脳みその奧の小部屋に放り込んで灰になってたら嬉しいな,の作品だったのです。
これでいつ封印の扉が破られても迎え撃つことができます。
いいえ、お礼を申し上げなければならないのは寧ろ私の方です。

転載の許可が降りなければこのようなトピが立ちませんでしたもの。
このような丁寧な文章を書き綴って頂いてパルジファルが解かりや易くとても感謝の至りです。

ご紹介が遅れましたがMIDはぴっぽお師匠様のご協力を仰ぎましたことを記して置きますね。

 有難うございます。
うわあああ「動機の書」だ・・
ぴっぽ様どうも有難うございます。

保存版パルジファル冒険の書が出来ましたね。

ファンタン・ラトゥール
パルジファルと花の乙女

と絵葉書
二種
わびすけ様の日記より許可を頂き転載 part4 改
(私にとって永久保存版です!)
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
以下引用です。


基本的にぴっぽさんの「動機の書」があればほとんど分かったも同然なので、そのメロディと先人の解説を参照しております。

とりあえず、第1幕の残りを4つに分けます。まずそのうちの2つだけ。矢白鳥から場面転換の音楽の前までです。

?矢白鳥

お待ちかね、Hnの勇壮な動機にのって主役パルシファルの登場です。御大のワンパターンというか、ジークフリートも角笛Hnだったし、分かりやすいですね。すぐ覚えます。

・パルジファル
http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/parsifal.mid

アンフォルタスはちょうど沐浴している最中に飛んできた白鳥を吉兆だといって喜んでいたのですが、(要するにパルシファルの到来を暗示するもの・この白鳥は雄です)よりによってその吉兆のパルシファル自身が白鳥を射落としてしまいます。

つまり、

第一幕では救済はないよ、ということの表現で、まさに地雷踏んでます。アンフォルタス、傷をえぐられて卒倒でしょう(笑)。

こういうことが部下の騎士から語られ、背後には分かりにくい形で、白鳥の動機の断片とパルシファルの動機が重ねられます。

そして当然グルネマンツの説教が始まるわけです。

せっかくラスボスの奥義を残りHP30位で耐え、全回復アイテムまでコマンド入力済みなのに、味方が投げる前に敵のしっぽの一振りで瞬殺されたことありませんか?

ここはそんな場所です(笑)。

グルネマンツの説教で再び落とされないよう、気合を入れましょう。

前回のラップの場面で、クンドリーが「ここでは獣は神聖ではないの?」という場面で獣に聖杯の動機をあてて表現されていたことにつながりますが、グルネマンツもDes Haines Tiere(神苑に遊ぶ動物たち)に信仰の動機を当てて表現。

・信仰
http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/sinkou.mid

Was tat dir 〜Schwan(白鳥がお前に何をした?)のあたりからハープに伴われたローエングリンの白鳥の動機がはっきり表れます。チャイコフスキーの白鳥っぽいのですぐ分かります(絶対あちらがパクりでしょう)。

御大、ローエングリンは後からだいぶ手を加えているので、ついセルフカヴァーに及んだものと思われます。もちろん物語の共通性もうかがえる場面です。


・白鳥
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/hakutyou.mid
  〜ローエングリンからの転用

グルネマンツはパルシファルを責めます。ここも単語レベルで、Bogengeschoss(弓射)にパルシファルの動機を当て、その後hier trafst du ihn(ここに当てたんだぞ!)という箇所で詠嘆の動機が重なります。

・救済(詠嘆、救い主の嘆き、罪の苦悶)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kyuusai.mid

聖槍と似ているこの詠嘆の動機は前奏曲の終わりに登場した救済の動機とも言われているものです。これ以降アンフォルタスの嘆きを示すものとして、かなり重要な動機となります。若干変形しているので、救済と区別している本もあります(私も前奏曲のものとは区別して覚えた方がいいような気がします。)

もちろん矢白鳥の傷にこの詠嘆の動機が重なることは、アンフォルタスの事件の暗喩です。

・詠嘆
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/eitan.mid

怒られて一瞬パルシファルの動機が回帰し、ト書きにあるように、弓を折ったことが示されます。更にその後に詠嘆の動機が続き、deine grosse Schuld (大きな罪)に傷の動機が重なることで完全にアンフォルタスのことに結び付けてます。

・パルジファル
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/parsifal.mid

・詠嘆
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/eitan.mid

・苦痛(傷)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kutuu.mid

グルネマンツもワーグナーもくどいですが、やはり絶妙な音楽的表現でしょう。

以後、反省するパルシファルにグルネマンツが出自を訊ねますが、背後には反省しているような調子で彼の動機が繰り返されてます。「父は誰だ?」という部分に再び傷の動機が挿入されて、父の死及びアンフォルタスの後継者としての彼が暗示されます。

そして名前を知らない、という場面にチェロで流れるのがヘルツェライデの動機です。

少し覚えにくいです。

(マジで覚え辛い・・・・(-_-;)

この部分と第2幕、クンドリーがパルシファルを誘惑するところで使用されます。(覚えていれば便利ですが、忘れても大丈夫でしょう。)

・ヘルツェライデ
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/herz.mid

ここで一区切り。

とりあえずグルネマンツは集まってきてた小姓たちをアンフォルタスの世話に向かわせると同時に白鳥を片付けさせます。ト書きには白鳥を即席の担架に乗せるとあり、白鳥の動機とアンフォルタスの動機が組み合わさって流れることで、完璧に音楽的にシンクロしている場面です。

・白鳥
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/hakutyou.mid

・アンフォルタスの苦悩(アムフォルタス)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kunou.mid

くどい!くどすぎますね(笑)。何度も暗示しつつ、最後に白鳥を担架にまで乗せてしまうとは。もう分かったよと泣き出したくなります。

とりあえずここで一息。更に続きます。
わびすけ様の日記より許可を頂き転載 part5 改
(私にとって永久保存版です!)
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
以下引用です。



続いて、場面転換の音楽の前までの部分です。

?人払いして、グルネマンツ・パルシファル・クンドリーの3人になった場面〜儀式へ出発する前

このあたりまでくればボスの直接攻撃はだんだん弱まります。頑張りましょう。

グルネマンツはさてはこの若者が予言にある「愚者」か、と更にパルシファルに詰問。

ヘルツェライデの動機に乗って、パルシファルが母の名と自分の生い立ちを語ります。彼の語る部分では母と自分の動機しか出てきません。つまりそれだけ無知だということを音楽的に表してます。

・ヘルツェライデ
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/herz.mid

・パルジファル
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/parsifal.mid

そこでクンドリーが彼のことを説明し始めます。父はガムレットで、ヘルツェライデが夫の死を嘆き、パルシファルを戦いと縁のないところで無知な若者に育てたという場面。ヘルツェライデの哀しげな動機が流れますが、Toren(無知な若者)に予言(託宣・愚者)の動機が重なっていることに注目。

・愚者の箴言(託宣、予言)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/singen.mid

パルシファル=救いの愚者という表現です。クンドリーが彼の名を教えず、このような形で表現していることが屈折しています。あざ笑うかのように彼女の動機が最後に加わります。

・クンドリ
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kundry.mid

御大が聴衆に対して提示しているだけなのか、それともクンドリーが知ってて黙っているのか…興味深い部分ですね。

野育ちのパルシファルはある日獣(馬)に乗った男たちを見て、騎士への憧憬を募らせます。この部分で流れる付点のリズムはクンドリーの切迫(彷徨)と共通する動機です。

・切迫
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seppaku.mid

動機として覚えるというより、要するに御大の偉大なるワンパターンの一つとして心に留めておくくらいでいいでしょう。ワルキューレ然り、馬で駆ける時やヴォータンが迫ってくる時などに使用されている躍動感や焦りの表現です。

そうして彼は成長し、向かうところ敵なし。悪人どもを震え上がらせるわけですね。

じゃあ善人は誰だというパルシファルの問いに、グルネマンツは善人は母親であり、一人でどんなにか嘆いているだろうと諭すのですが、クンドリーが母は死んだといって水を差します。馬で通り過ぎる時見たという切迫+クンドリーの動機に、逆上したようなパルシファルの動機が響き、彼女に飛び掛ったところを表現。

・切迫
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seppaku.mid

・クンドリ
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kundry.mid

・パルジファル
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/parsifal.mid

グルネマンツが二人に割って入り、彼女は事実を言っただけだといさめます。

ここでヘルツェライデの動機が陰鬱に挿入されると共に、Timp.の三連符が!

・ヘルツェライデ
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/herz.mid

御大、死の告知?

しかもちょっと禁欲の動機入ってます?

ヤバッ、曲間違えちゃった…っていうか御大のお茶目なセルフカヴァーの一面(笑)。ワグネリアンの皆様ならおなじみですね。

そう、「ティンパニの三連符が来たら死の合図!」です(笑)。

クンドリーはその様子を見て反省したのか、激しい自分の動機と共に駆け出していって泉から水を汲んできて、パルシファルに振りかけた後、飲ませます。

・クンドリ
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kundry.mid

この部分は第3幕、パルシファルの洗礼の部分に対応する場面です。覚えておくと良いでしょう。

その善行こそこの場にふさわしいと、グルネマンツは聖杯の動機と共に彼女を褒めます。

・グラール(聖杯)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seihai.mid

しかし彼女は「欲しいのは安息だけ」と嘆き、誘い込まれるかのように眠りに落ちてしまいます。おりしも聖餐の儀式が始まるという時間です。救済は与えられないわけですね。
背後には呪縛(魔法・誘惑)の動機にクリングゾールの動機が絡み、眠りたくなくても眠らされてしまうことを表現。第2幕への布石と言えるでしょう。

・魔法(呪縛)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/mahou.mid

・クリングゾル
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/klingsor.mid

そんなクンドリーを他所に、グルネマンツとパルシファルは儀式に参列するために城へ向かうのです。

さあ、このあたりまでくれば完全に峠は越えました。後は音楽の素晴らしさに乗って一気に第1幕を終えることが出来るでしょう。

ここまでで新たに覚えるべき動機といえば、パルシファルは嫌でも覚えますので、やはり詠嘆の動機でしょうか。しかしこれも続く場面転換の音楽とアンフォルタスの歌のところではっきり提示され、大変印象的なので自然になじむと思います。

・詠嘆
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/eitan.mid
わびすけ様の日記より許可を頂き転載 part6
(私にとって永久保存版です!)
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
以下引用です。

クンドリーが眠りに落ちてしまうと同時に、グルネマンツはパルシファルを連れてやっと儀式に向かうことにします。とうとう乗り切りました!最大の難関を。長かったですね〜。ここまでくればもうほぼ大丈夫でしょう!多分…。いや、きっと。

とりあえず乗り切った自分に最大の賛辞を送りましょう(笑)。

さあ、今回は亜空間に突入です!

目標:モンサルヴァート…ワープ!(古いなあ…)

?場面転換の音楽

背後では場面転換の音楽が、まず歩みの動機で静かに始まります。これは儀式の時間を合図する鐘の動機が行進曲風に付点のリズムになっただけですので、鐘の音と同時に歩いている情景を表現するものとして覚えるだけでよいでしょう。

グルネマンツはパルシファルが救済の「愚者」かもしれないと推測。本物ならば聖杯の恵みにあずかれるだろうと説きます。Gral(聖杯)という単語に動機を当てているだけでなく、聖杯の導きがなければ城には入れないということを表現するために歩みの動機にはところどころ聖杯の動機が挿入され、エンドレスでループ。

以下のぴっぽさん作の歩みの動機のうち、前半の付点のリズムが歩みでしっぽの部分が聖杯です。この形でループしていきます。

・歩み
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/ayumi.mid

・グラール(聖杯)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seihai.mid

・鐘
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kane.mid

ここで気づくのは、これほどまでに細かい御大のことだから、bist du rein(お前が本物なら)という言葉や、Mich duenkt, dass ich dich recht erkannt(お前が誰だか読めてきた気がする)という台詞には当然無理にでも愚者の動機が当てられて良いはずなのですが、当てられていないことです。

つまり結果はバレバレ。第一幕ではパルシファルは愚者になりきれないということを暗示している箇所だと言えましょう。もういい、しつこいっていう先取り(^_^;)

ずいぶん遠くまできたみたいだと言うパルシファルに、グルネマンツは「ここでは時間が空間になる」と答え、場面転換する間に次第に音楽が高まります。

オペラを見ているときにはただの場面転換のBGMに感じられるかもしれませんが、この音楽の構成は素晴らしく雄弁です。聴き入りましょう。

まずは引き続き歩み+聖杯の動機が繰り返されますね。イメージでこれを水平方向のベクトルとします。

・歩み
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/ayumi.mid

槍の動機が欠如していることに注目。今現在城にないことがはっきり提示されてます。

ここに、信仰の動機の変形したものが加わります。

・信仰
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/sinkou.mid

どことなくマイスタージンガー風の重なり方で、分かると思います。これが上方へのベクトルです。これらがループしつつ高まっていくことで、空間的な表現を具現化してしまうのですね。

グルネマンツラップで、小姓たちに「(聖杯城に)仕えるお前たちは罪人には決して見出せない道を通ってここへくる」(クリングゾールの動機が初出する少し前、Die seinem Dienst〜des Grales Wunderkraefte staerkenの部分)というようなことを語っているあたりの音楽に似ています。
既に先取りされていると言えるかもしれません。

細かく聞き込んでいくと後から気づくことばかりです。「ああ、あの音楽はこういうことだったのか」と。

空間的な表現については、ブルックナーが少しこういうところを受け継いでますが、とにかく御大のすごさを感じるところです。

信仰の動機と共に、聖騎士たちが祈りながらやってくるところが見えるようです。

音楽はうねりながら続きます。そして一度目の頂点。金管で悲痛な詠嘆の動機が重なります。

・詠嘆
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/eitan.mid

アンフォルタスのいるところに近づいてきた、と教えてくれてるわけです。

ワープする時人がぐにゃぐにゃになって空間を飛び去ったりしますよね?あれです(笑)。

アンフォルタスがムンクの「叫び」みたいにぐにゃぐにゃっとして映像的に挿入されるところを想像しましょう。

仮に前奏曲で出てきた救済とも呼ばれる詠嘆の動機を詠嘆Aとし、後から出てきたメロディアスな方を詠嘆Bとすると、B+Aがうねりながら3回繰り返されます。

(同じ派生なので白水社の解説本ではまとめて詠嘆、とネーミングされておりますが、分けている表示もあって、実際ちょっと分かりにくいので分けた方がいいかな?と先日言っていた部分です。)

・詠嘆 B
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/eitan.mid

・詠嘆 A(救済・救い主の嘆き・罪の苦悶)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kyuusai.mid

そして繰り返されるたびに音楽は悲劇性を強め、最高点で金管の力強い聖餐の動機が鳴り響くのです。

オケが素晴らしければ鳥肌のたつところですね。劇的です。

この聖餐の動機にも注目。

前奏曲で流れたフルヴァージョンはこの後傷と聖槍の部分を含んだ、長いものなのですが…

台詞がないにもかかわらず、傷の動機のしっぽと聖槍の部分が欠けた前半のメロディのみです。

・聖餐(愛餐)の動機
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seisan.mid

・苦痛(傷)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kutuu.mid

・聖槍(槍)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seiyari.mid

槍の欠如はともかく、アンフォルタスの嘆きを詠嘆で示しておきながら、傷の動機が完全ではないということ、これは聖騎士にMitleid(同情・共悩・共苦)が欠けているということを表すものです。


(ウァァァァァ凄い読みだ・・・(・Д・`ilノ)ノ


聖騎士達は聖杯の力を受けなければ務めも果たせず、存在意義もなくなってしまいますから、アンフォルタスの傷より聖餐の儀式の方が大事。

当然なんですが。

傷のことなんか誰も知ったことではないんです。


惑わされたアンフォルタスも悪いけど、誰かMitleidしてあげてもいいんじゃない?っていう気がするくらい、冷たい!聖騎士さん達。

それがその後、何事もなかったようにまた始まりの歩みの動機に戻ってしまう部分に表れてます。そこまで音楽で表現しちゃうすごさ!

・歩み
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/ayumi.mid

最後にダメ押しのようにもう一度聖餐の動機が強奏されます。救われませんね。そして鐘が鳴り響き、聖杯城に到着です。

・聖餐(愛餐)の動機
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seisan.mid

・鐘
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kane.mid

ワープ完了。お疲れ様でした!

ああ、このエンドレスな音楽…聴き終わっても頭の中で鳴り響いてとまらない…まさに脳内亜空間状態。御大に絡め取られているような気がしてなりません。こうして人はワーグナー中毒になるのでしょうか。

もっと聴かせろ〜! 

でももういや〜(泣)

でもやっぱり聴いちゃいたい…誰か止めてー!

まさにムンクの叫び!ていうかセルフ詠嘆!?

…ともかく、ひとまずここで区切りたいと思います。
次のためにも。

この部分はオーケストラのみなので、なるべく迫力がある演奏で聴きたいものです。アンフォルタスの嘆きを表す詠嘆の動機は、細かいことは置いといて、これで完全に覚えられると思います。つかの間ですが、音楽に身を任せましょう。
わびすけ様の日記より許可を頂き転載 part6
(私にとって永久保存版です!)
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
以下引用です。




さて、長かった第1幕も終わりに近づきました。モンサルヴァートに到着、儀式の始まりです。

?聖餐の儀式

鐘の音が鳴り響き、グルネマンツとパルシファルは聖杯城の大広間に到着しました。彼はパルシファルに期待していることを告げます。同時に聖杯の動機と鐘が輝かしく挿入され、彼の期待の大きさを物語っているかのようです。

・グラール(聖杯)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seihai.mid

・鐘
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kane.mid


歩みの動機は果てしないかのよう。タンホイザーやローエングリンにもこういうところは既出なのですが、続いて合唱とともに聖騎士や小姓たちが入場してきます。

・歩み
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/ayumi.mid

この場面のすごさは、音楽で空間を表現してしまっていること。登場人物が増えたので、視点の変化があることは当然なのですが、映像を観なくても立体感があるというのでしょうか…単に合唱が遠くから聞こえるとか、録音がすごいとかそういうことではなく、あくまでスコアのみで3Dを語っているということです。

まずは合唱の3部構成です。

最初は男声合唱の大人の聖騎士。歩みの動機に乗せて比較的力強く歌いながら、食卓に集います。「至高の恵み」(die hehrste Gab )を授かろうと、もう嬉しさ爆発!とばかりに最後に聖杯の動機+鐘がまたしても鳴り響きます。

「腹減った〜、アンフォルタス、早くメシくれよ!」の状態です。この聖餐のぶどう酒とパンは聖杯の力という麻薬入り(笑)。

Mitleidのかけらもないことが、音楽的に良く示されてますね。この人たちは詠嘆の動機やら、槍だの傷だのには全く無縁。

続いて、反対の扉からアンフォルタスが聖杯と共に担がれて登場。即音楽が詠嘆の動機に変化し、聴衆に水平方向の視点の変化を促します。

更に上方から、若者たちの合唱が詠嘆の動機に乗って響きます。空間的な構造です。

・詠嘆
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/eitan.mid

この子たちは少し同情的…と思いきや、歌詞の内容を考えると、

「救済の戦士のために、喜びの心もて自らの血を注がん」
(dem Erloesungs-Helden〜mein Blut vergossen)…つまり犠牲になれって言ってるんですね(笑)。

彼の苦悩は主の嘆きであって、尊いから放っておいてもOK!みたいな?

その反映か、次第に詠嘆の動機は歩みと聖杯の動機でかき消されていきます。ああ、気の毒なアンフォルタス!

追い討ちをかけるように、高音部の少年合唱がその上の高みから降ってきます。ト書きで上方に位置するように設定しているだけでなく、声の使い分けで上方のベクトルを示していますね。しかもこの少年合唱が歌うのは信仰の動機です。場面転換の音楽で、信仰の動機の変形したものが上方のベクトルを指す、と言ったことはここに通じています。

・信仰
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/sinkou.mid

とにかく信じろよ、と。

解説本には少年になるほど神に近い、ということが指摘されておりますが、なるほどよく理解できる部分です。

さて、一段落して皆所定の位置に着きました。

左右、上方。三つの視点で聖杯城の大広間を表現。

ここで更に奥行きが加わります。

そう、ティトゥレルです(笑)。

息子の血を吸って生きているようなものなので、私はゾンビオヤジとこっそり呼んでいる…

静まり返った中、彼の声が響きます。そしてティンパニの3連打。来ましたね、死の告知(笑)。まさにアンフォルタスにとっては死に等しい催促でしょう。

アンフォルタスはもちろん詠嘆の動機に乗せてもう嫌だと嘆き訴えます。歌手の演技力に注目。

・詠嘆
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/eitan.mid

しかしティトゥレル、われ関せず。更に強要します。「役目を果たして罪を償え、聖杯の覆いを取れ!」です。この最後のGralという言葉に当てられている動機が、完全形ではないことが、既に聖杯の効果が切れかけていることを暗示していると言えましょう。まさにヤク中。ヤクをくれ〜の叫びなんですね(笑)。

ここで突然クンドリーの動機が挿入されるのですが、実に絶妙!「覆いは取るな!」と叫びながら、アンフォルタスがなぜこんなことになったか、理由を改めて音楽的に説明するものです。

・クンドリ
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kundry.mid

この後アンフォルタスの嘆きが、初めてアリアらしい音楽に乗って歌われます。バリトンの大いなる聞かせどころですね。言葉と音楽とともに、歌手がどのように表現しているかをかみしめましょう。そして、クンドリーの動機がどこに挿入されるかに注意しましょう。つまりは彼の嘆きはクンドリーの嘆きでもある、という御大の表現だからです。

ここで白水社の解説本ではアリアの出だしの部分、Wehvolles Erbeが先んじているティトレルのMuss ich Sterbenと同形であることが指摘されてますが、

個人的な推測ではこれはトリスタンの第3幕、トリスタンの遺体にイゾルデがすがる場面…mit Tristan treu zu sterbenのあたりで使われていたものに通じると思います。

「死への憧憬」を表す、象徴的な音型なのかもしれません。


(凄い!絶句です。
よわびすけ師匠!!?( ̄□ ̄;) 村正注釈・・・・


ぴっぽさんのお力をお借りしまして、この部分をMIDI化していただきました。とても分かりやすいと思います。感謝感激です。

♪なんとつらい務め 〜アムフォルタス
 (Wehvolles Erbe)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/erbe.mid

♪果てるさだめか 〜ティトゥレル
 (Muss ich Sterben)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/sterben.mid

♪一緒に死ぬために 〜イゾルデ
 (mit Tristan treu zu sterben)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/isolde.mid



先を続けましょう。この歌の背後にも、相変わらず各所に効果的に動機が配置されてます。hoechsten Heiligtums (=Gral)にはマイナーな感じで聖杯の動機が当てられる細かさ。その後の清らかな者たちのために祝福を請わねばならない、というところのReineにクンドリーが当てられていることに気がつきます。

聖騎士に加えて彼女も、という御大の付加なのか、それとももともと彼女自身は魔法で呪縛されているだけで、本当は清いのだ、とする解釈なのか。深いですね。

続いてOh, Strafe!で最初の頂点。詠嘆が悲痛に鳴り響き、クンドリーの動機に帰結。彼女の詠嘆でもあるようです。聖杯と詠嘆、信仰がコンボで続きます。彼(とクンドリー)の苦悩、激しく聴衆にMitleidを引き起こさせますね。そうでなければいけません。

・詠嘆
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/eitan.mid

・クンドリ
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kundry.mid

泣いてはしゃくりあげ、を繰り返す人みたいに、アンフォルタスはここでいったんいつもの聖餐の儀式を回顧。音楽的には前奏曲まで回帰しているとも言えるでしょう。どのような状態になるのか、説明してくれます。

・聖餐(愛餐)の動機
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seisan.mid

聖杯の覆いを取ると、聖杯の力を得られると同時に新しい血が傷口から流れ出す、と彼は訴えます。単語レベルで動機が対応しているのはもうおなじみですが、アンフォルタスが歌う場合には傷の動機の反復があります。そしてそのまま聖槍の部分もきちんとつながり、アンフォルタスの動機に至ります。

・苦痛(傷)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kutuu.mid

・聖槍(槍)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seiyari.mid

・アンフォルタスの苦悩(アムフォルタス)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kunou.mid

更にその傷を作ったのはクリングゾールであるということがin die Welt der Suendensucht(罪を求める→罪にまみれた世界)という部分に動機で重なります。とにかく細かいですね。Wundeに傷の動機の反復、痛々しい。

・クリングゾル
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/klingsor.mid

「この傷は主と同じ傷」、と彼は再び詠嘆の動機に乗せて嘆きます。この動機が「救い主の嘆き」とも呼ばれる要因です。2度繰り返します。2度目の頂点です。細かい反復を除くとOh, Strafe!の部分と合わせて3度繰り返されるこの詠嘆の動機は、場面転換の音楽の構成と似ていますね。

ループです。エンドレスです。あれはまだ続いているのです…。

そしてその傷口から流れる血は、欲望の泉から湧き出ていると、彼は懺悔しつつ苦しみ続けます。背後に流れるのはもちろん呪縛の動機。

・魔法(呪縛)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/mahou.mid

聖杯にみなぎるのはErloesungsbalsam(癒しの妙薬)なのに、自分の中から溢れてくるのはheisse Suendenblut(熱い罪の血)なわけですね。動機の対照的な扱い方、本当に細かい!当然ここでも呪縛はクンドリーに帰結し、3度目の頂点が来ます。

Erbarmen!の反復の間にクンドリーの動機が挿入される部分です。何という音楽!。

ここで気になるのはアンフォルタスがクンドリー=絶世の美女だと知っていたのか?ということ。
グルネマンツは気がついてないようだ、ということは前にお話しました。アンフォルタスは最初にクンドリーから薬を受け取った時わりと冷静な対応でしたね。

確かにこの嘆きようから言って、知っていたらとても平然とは会えない気がします。
でもあの時も背後に微妙な音楽が流れていました。
音楽的に示されている通り、彼が口には出せないが、クンドリーのためにも慈悲を請い願っていたとしたら?
何て立派な王だろうと感心せずにはいられない部分です。

(ワーグナー御大は王様を何かと偉大なできた大人物に描きたがりますね・・・村正注釈

演出及び歌手の演技にぜひ注目したいです。

続くDu Allerbarmer, ach! Erbarmen〜schliesse die Wundeに重なるのはそう、聖槍の動機です。
慈悲を願いつつ、彼が求めてやまないのは聖槍。

・聖槍(槍)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seiyari.mid

「槍、槍をくれよ〜。槍で治るんだよ〜(T_T)」

…という叫びなのです。なんて分かりやすいんでしょう(笑)。

アンフォルタスの叫びが誰にもMitleidされないことは、ここまで聖槍の動機がアンフォルタスの部分にしか使われていないことで明白。

そりゃ失神もします。

かわいそうなアンフォルタスに答えるのは託宣の言葉だけ。

・愚者の箴言(託宣、予言)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/singen.mid

神に近い少年合唱と若者がそれを繰り返し、全くMitleidの欠けた聖騎士達はそれを聞いて「まあ、託宣は下ってるから、とりあえずメシにしよう」です(笑)。ティトゥレルまでもが「覆いを取れ」と厳しく追い打ち。息も絶え絶えにアンフォルタスは起き上がり、聖杯の覆いがここで取り除かれるのです。

余談ですが、彼の傷がどういう傷なのか、そして聖槍とは何の象徴か…ということは既に皆様のパルシファル討論でご存知の通り。台詞もかなり思わせぶりですが、音楽レベルのクンドリーのからみ具合といい、少しの動機を頭に入れるだけで、更に深く、果てしなく、妄想の域にまで達する事だって出来ちゃいますね。ますます御大の音楽に絡め取られて行きそう…。



(村正注釈

アムフォルタスの傷が脇腹という風な解釈が一般的ですが、実は睾丸という事実を知っていると男だったら切実にヒシヒシと伝わってくるのではないでしょうか?



この件に関し別トピ立てて説明しますね。)
攻略、やっとここまでたどり着きました。


聖餐の儀式で、聖杯の覆いが取られるところから第1幕の最後までです。

?聖餐の儀式(続き)

さて、冷たい聖騎士さん達とティトゥレルに催促され、とうとう聖杯はその姿を現すことに。でも失神してるアンフォルタスが開帳しろって言ったわけではもちろんありません。言ったのはティトゥレル。ひどいゾンビオヤジです(笑)。

結局アンタが命令ですか!(笑)

まあ、ね、仕方ないんですよ、聖騎士もティトゥレルも、とにかく一番大事なのは聖杯の守護で、神に仕えることですものね。

感情より仕事優先!それに助けたくたって助けられるものでもないし。

けなげなアンフォルタスはやっとのことで失神から起き上がり、小姓たちがその彼の前に聖杯を置きます。

その間、傷の動機が陰鬱な感じで反復され、アンフォルタスの痛々しい様子を表現。絶望的ですね。聖槍につながってはいるのですが、やはり中途で反復されています。

・苦痛(傷)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kutuu.mid

・聖槍(槍)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seiyari.mid

つまり、彼の心の声は、

「また傷が開くのか…痛いよう(T_T)」から、
「槍さえあればなあ…」

だと、御大自ら説明してくださっているわけですね。
ありがたや(笑)。

すると、高みからの声として、合唱が聖餐の動機に乗って歌われます。聖杯の力が呼び起こす、救済の声です。
姿を見せないこの声は、若者たちの声とは別という設定のようです。主の言葉を聖餐の動機で直接歌うことで、他の合唱と差別化していると言えます。

・聖餐(愛餐)の動機
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seisan.mid

厳かに聖餐の動機が完全な形で鳴り響き、アンフォルタスは敬虔に聖杯に祈ります。

もう一度、更なる高みからの少年たちの声と指定された合唱が聖餐の調べを歌います。

合唱の3部構成で丸天井の大広間を表現しているのみかと思いきや、ここでは更に上方、無限の空間まで突き抜けていってます、御大(笑)。全く何という方でしょう。

単に舞台裏楽隊の効果を必要とするだけなら、そういうのを書く作曲家は他にもいるでしょうが、3D空間を表現しつつ突き抜ける人はなかなかいらっしゃらないでしょう(笑)。

御大のすごさは、しかもそれが具体的に伝わるというところではないでしょうか。

(このときの天上の響きは・・・・感涙もので素適です。村正注釈)


アンフォルタスが祈っている間にあたりは暗転し、このとき聖杯に天井から光が射します。すると聖杯は、紫がかった深紅色(Purpurfarbe)に輝いて周囲を照らし、アンフォルタスはこれを高く掲げて一同に聖杯の恵みを与えるわけですね。

もちろんこの様子も音楽で全て表現されます。

少し前にアンフォルタスがアリアで、聖餐の儀式の様子を語っていましたね。

さて、儀式本番になったので、アンフォルタスの言ったとおりに音楽も進むわけです。つまり前奏曲の回帰です。

あの前奏曲はこういうことだったのか!とここではっきり分かります。

合唱のあと、聖餐の動機がより悲痛な感じで繰り返され…ここでおそらく聖杯に光が射すのでしょう…聖槍の動機がそれに続きます。聖杯が輝きます。そしてアンフォルタスが聖杯を掲げるところで詠嘆Aの方の動機に繋がっていく感じです。

・聖餐(愛餐)の動機
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seisan.mid

・聖槍(槍)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seiyari.mid

・詠嘆 A(救済・救い主の嘆き・罪の苦悶)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kyuusai.mid


ティトゥレル、ヤクを浴び、無神経に喜びます(笑)。

彼が「うれしいな〜」と歌っている間に詠嘆はかき消され、再び聖杯と歩みの動機に戻ってしまいます。
このMitleidのなさ!
これでもかという具合にアンフォルタスの傷をえぐってますね。ここで聖杯が元通りしまわれて、聖騎士たちが食卓についたわけです。

・歩み
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/ayumi.mid

解説によれば初版の台本では、聖杯の魔法で食卓にいつの間にかパンと葡萄酒が!あら不思議〜っていう設定だったそうなんですが、後でちゃんとあらかじめ聖別されたものを小姓たちが給仕するように変更されたそうです。
魔法ならおもしろいのに。舞台ではちょっとやりにくそうだから仕方ないか(笑)。

(村正注釈
ヴィスコンティの「ルートヴィッヒ二世・・」でのネタが使えそうな気がします。
(下からテーブルごと食事が出される)

そうして丸天井の最上段にいる少年たちから、聖騎士が食べている間に合唱が降りてきます。

「飲まのまイェイ!」

( 村正注釈
\(∀\)飲マ飲マ(/∀)/イエィ!!┌(*゜▽゜*)┘ )

…ま、とにかくあおってます。

騎士たちの食事の合唱のなんと力強いこと(笑)。歩みの動機を交えた音楽も軽やかです。

「押忍、いただきまッス!」
「戦闘準備完了!いつでもいけまっす!」

…とは言ってません。あくまで雰囲気。

聖杯の動機で最後に葡萄酒を流し込んで席を立つ感じでしょうか?

「ぷはー、よっしゃあ、行くぜ!!」

そして「信仰と愛のうちに祝福を!」
握手&がっちりスクラムです。

言い換えれば、「じゃあな、アンフォルタス!」(笑)。
まったくいい気なものですね。
背後には信仰の動機が流れ、神への感謝を表しているかのようです。

・信仰
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/sinkou.mid

ここで突然詠嘆の動機が挿入されます。
かわいそうなアンフォルタスがこの間どうしているかということに注意を促しているのですね。
こういう部分、入場の時と音楽的に同じです。ひたすらループ。

彼は聖餐には加わらず、しばらくは聖杯の力で自分を保っていたけれども、この詠嘆の動機によってまた苦しみが始まったことが示されています。

以後、歩みの動機と詠嘆の動機が交互に流れる事によって、元気に退場していく聖騎士たちと、担架で運ばれるアンフォルタスを対照的に表現。大変具体的で分かりやすいです。

・詠嘆
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/eitan.mid

・歩み
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/ayumi.mid

更に視点はパルシファルまで戻ります。愚者の動機の挿入です。この退場の様子を見ていたのですね。

・愚者の箴言(託宣、予言)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/singen.mid

再び鐘が鳴り響き、到着した時と同じ音楽がループで戻ってきて、しめやかに聖騎士一団が退場します。

グルネマンツは聖餐の時にもパルシファルを隣の席に呼んだのですが、パルシファルはただ見ていただけ。最後まで突っ立っているパルシファルに腹を立て、たたき出してしまいます。

「何を見たか分かったのか?」と愚者の動機にのせて詰問。「ここの白鳥に手を出すな、ガチョウのお前に似合いの雌ガチョウでも探すがいい!」と大変なご立腹。

クンドリーには「善行をもって報いるのはいいことだ」とか言っておきながら、自分でこれですからね(笑)。

亜空間から放り出して元のところに帰れるの?という疑問もあります(笑)。
入るのが困難な一方通行という設定なんでしょうが。

この短い一瞬にも、パルシファルの動機と愚者の動機が重なったり、白鳥の動機がすこしガチョウっぽい感じで挿入されたり、こんなところまで御大は細かいです。

・パルジファル
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/parsifal.mid

・白鳥
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/hakutyou.mid
  〜ローエングリンからの転用

最後にアルトの声がもう一度、パルシファルが予言の愚者であることを指摘するかのように「同情(共悩、共苦)によりて知にいたる、清らかなる愚者」(Durch Mitleid wissend, der reine Tor)のフレーズを繰り返し、合唱がそれに聖杯で答えて締めくくります。

グルネマンツ退場、終幕です。

さて、気になるのがこのたった一言のアルトの声。女声で歌われます。この第1幕でクンドリー以外の女声が登場するのは小姓を除けばここだけです。

以前、クンドリーがパルシファルの生い立ちを語ったとき、グルネマンツにはパルシファルという名前を教えず、ただ愚者の動機が背後に当てられていたことを覚えていらっしゃるでしょうか。クンドリーは通常メゾの役ですが、別に低くつぶやいていてもいいわけです…

歌う人は別人ですが、彼女の本来の精神みたいなものと、この声が重ねられている気がしてなりません。

退場するグルネマンツにあの場面と同じように、クンドリーが遠まわしに告げているような。これも御大のすごさ?


(私から物申せば此処まで分析できるわびすけ様凄すぎ・・・
・・・村正注釈)
    
      ・・・・・・・・・・・

ふう、長い道のりでしたね。お疲れ様です!
第1幕だけで疲労困憊。

考えてみれば果てしないループでした…。
場面転換してから第1幕の終わりまで、同じような音楽が時には前奏曲まで戻ったりしながらずっと繰り返されているので、無限の空間の中に閉じ込められていたような、そんな気がしてしまうのです。

これがラスダンなのでしょうか?

あのラスボスが浮かんでいる、良くわからない空間?

でもとにかく最強の敵は片付けたと考えましょう!
この第1幕さえ乗り切ってしまえば、後は楽なはずです(笑)。

例えていうなら、グルネマンツというラスダンに入ってからしかバトることができない最強の敵を倒して経験値やアイテムをゲット、レベルが飛躍的に上がったのであとのボス戦はうまくいくだろう、という感じですね。

ほんとかなあ…?

とにかくそうであることを祈りましょう(笑)。


第2幕からもこれを続けるのか…?ということについてはいささか自信が無いのですが、とりあえず宿屋でセーブ&回復しつつ考えようと思っています。


画像は新白鳥城のローエングリンから二枚
あわわわああ・・・
番号振り間違いしてるし・・・_| ̄|○
しかもこの上の文章はガイド文を忘れてる・・・
il||li _| ̄|○ il||li
誤解が在るといけないので注釈・・・
上記文章はわびすけ様宅から許可を戴き転載したもので私のものではありませんので誤解なきようお願いしますね。
(画像引用は私ですが・・・)

 文才は無いのでわびすけ様のような文章は書けといわれても書けません・・・orz
わびすけ様の日記より許可を頂き転載 part9
(七、八が無いのは番号の振り間違いです。申し訳ありません!)

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
以下引用です。

また2幕をいくつかの部分に分けます。引き続き、ぴっぽさんの動機の書をお借りして思い出しながら…。

?前奏曲〜魔法の園まで

まずは前奏曲。
第2幕で重要な動機はここで呈示されます。

・クリングゾル
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/klingsor.mid

・詠嘆 B
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/eitan.mid

・クンドリ
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kundry.mid

・魔法(呪縛)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/mahou.mid

激しいクリングゾールの動機、
それが詠嘆を経由してクンドリーに帰結。
この部分は1幕のアンフォルタスを受けてます。
前回のあらすじ!みたいなもので、幕で切れてはいますが、パルシファルの継続性が示されるところです。
背後には呪縛が重なり、この2人の呪いを簡単に説明。
過去映像がぱぱぱっと瞬間的に重なる感じですね。
100年以上前に音楽でやっちゃうんだからすごい。
反復し、最後はクンドリーの動機で下降。
眠りに落ちた時のような、呪縛の動機が途切れ途切れに
響き、クリングゾールの
「時が来た」

につながります。

とまあ、これは表向き。

クリングゾールの動機の、この上昇と下降。
どう考えても自慰です(笑)。

もう、いきなり〜?って感じ。

たとえば、トリスタンでは2人の憧憬のモティーフが絡み合って上昇していきますが…

クリングゾールは完全な自己完結。
クンドリーの動機はむしろアンフォルタス、もしくは呪縛に結び付けられていて、クリングゾールとエクスタシーを共有することはないわけです。しかも常に下降系で、テンション下がってますし(笑)。というか、絶頂に達する度に救済が遠のくという、クンドリーの苦悩も同時に表されているわけですが…。

言葉ではなく、これを音楽で。
とんでもないエロおやじですね、御大。

また、クリングゾールは実際に自分で処理しているわけではないでしょうから、楽譜どおりの解釈だと、アンフォルタスを汚すことによって自慰しつつ、湧き上がる衝動に苦悩する、というところに行き着きます。

後ほど、はっきりと歌う場面もあります。
ここは前奏曲で、御大らしくチョイ見せなのです。

そんな、赤面だわ!と
おっしゃる方はいないでしょうが…(笑)
仕方ありません。2幕はタンホイザーのヴェーヌスベルクにも通じてますし、そっちの方が赤面です(笑)。

さて、話を戻します。

「時が来た(Die Zeit ist da)」はクンドリーが眠った時の言葉と同じという指摘がされています。いよいよパルシファルの登場の時、ということですね。

やはり第1幕を振り返る形で、愚者の動機とパルシファルを表すHnの断片が重ねられて、彼がグルネマンツにたたきだされ、ここまでやってきたことを表現。

・愚者の箴言(託宣、予言)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/singen.mid

・パルジファル
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/parsifal.mid

クリングゾールはクンドリーを起こしにかかります。

ここの呪縛+クンドリーの動機の入り方。
トリスタンの憧憬の動機の後半→イゾルデの部分に似ています。作為的かどうかわかりませんが、2幕中は何回か登場。イゾルデの死への憧憬と、クンドリーが重ねられている部分です。

とはいえ、呼びかけのほうは「いでよ!クンドリー!」

…まさに召喚獣(笑)。状態変化系ですか?
間違ってエルダ呼んじゃったかな〜みたいな御大のセルフカヴァー…

この誰かを起こすシーン、1幕&3幕のグルネマンツと共通します。結局彼は聖槍を奪っていても、聖杯王とは同格ではないようです。おにぎり村正さんからのご指摘もあったのですが、この、敵が最初から小者!っていう描き方も面白いです。

●●●●●
村正注釈

そうなんですよね。この人いかにも大胆不敵でいかにも強そうな倒し甲斐のある悪党ではないんです。
 
音も凄そうに聞こえますし、クリングゾルの魔宮とか字面を並べるとなんか凄そうに見えますが・・

逆恨みから出発して、坊主憎くけりゃ袈裟まで憎い的理論武装で一大レジャーぱふぱふランドつくっちゃった人ですもの。

諸悪の根元のティトゥエル先代王はあくまで脳天気だし。
家臣達も同じく王様の痛みなんてしらねーし。
心配はしてみても下手な考え休みに似たりの騎士長だし。
わびすけ様の日記より許可を頂き転載 part10
(七、八が無いのは番号の振り間違いです。申し訳ありません!)

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
以下引用です。


?前奏曲〜魔法の園(その2)

クンドリーが起きる場面からです。

ギャーっ!!

召喚獣のデザインは何と楳図先生が!?

だったら怖いですね…。見た瞬間石化しそうです。

悲鳴とともにクンドリー登場。動機も流れます。

呪縛+クンドリー。駄目押しのように彼女の状態を表現。とてもやりきれない様子です。

・魔法(呪縛)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/mahou.mid

・クンドリ
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kundry.mid


死への憧れ。
Sehnen-Sehnen!に詠嘆が重なり、彼女もまたアンフォルタス同様、救済を待つ身であることが呈示されます。そして、断片的にイゾルデの憧憬に似た形を経由してクンドリーに帰結。大変切ない。

・詠嘆 B
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/eitan.mid

まとまった形にはまだならないものの、トリスタンで語られた愛が、晩年の御大によってどう変化しているか…これも面白い点です。

召喚獣で敵を石化させ、頃合を見計らって聖槍でトドメを刺すぞ!

でも敵は愚者の盾を装備しているからな…。

戦略に余念がないクリングゾール(笑)。聖槍の動機と愚者の動機が言葉にあてられます。

・聖槍(槍)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seiyari.mid

・愚者の箴言(託宣、予言)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/singen.mid

クンドリーは反抗。詠嘆と憧憬。死なせてくれという苦しみです。
あくまでも強制しようとする彼に、

「アンタ不能?」

●村正注釈

「アンタ不能?」 「アンタ不能?」「アンタ不能?」 「アンタ不能?」 「アンタ不能?」 「アンタ不能?」 「アンタ不能?」「アンタ不能?」 「アンタ不能?」 「アンタ不能?」「アンタ不能?」 「アンタ不能?」「アンタ不能?」 「アンタ不能?」 「アンタ不能?」「アンタ不能?」 「アンタ不能?」「アンタ不能?」 「アンタ不能?」 「アンタ不能?」


     (⌒⌒)
モチツケ  l|l l|l   不能の何がいけないんだ〜!
  ∧∧∧_∧
  (;゜Д(#・∀・)") }}}
  ヽ 、と'^)  l^)´
  〜〉  ) )、 \
   (_ノ(__) ヽ_)

見っ直そう〜 見直そう

 (⌒) .(⌒)   (⌒) .(⌒)   (⌒) .(⌒)  
( ´・●・)つ ( ´・●・)つ ( ´・●・)つ
 ( 二つ    ( 二つ     ( 二つ
  \./ /、    \./ /、     \./ /、
    ∪`J      ∪`J       ∪`J

 >クリングゾルの人生を見直そう ちんぽたてずに見直そう (サァ)
 イ、インポだ EDだ

\\ シャバダバダバダバダバダバー    //
  \\ シャバダバダバダバダバダバー //

(⌒) .(⌒)   (⌒) .(⌒)   (⌒) .(⌒)  
( ´・д・.)】( ´・д・.)】 ( ´・∀・.)】<あ、もしもし
(     ノ (     ノ  (     ノ>>クリングゾルの不能の件なんですが






…クリングゾール自爆。

ここの間がかなり自爆を引き立てます(笑)。

しかし自覚あり。
素直にそうとも、俺は不能者!

愛の断念?アルベリヒみたいな中途半端なことはしないぜ!と、自分の動機を歌い上げちゃうところ、聴きどころです。

・クリングゾル
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/klingsor.mid

クンドリーが彼に突っ込むまでは下降系だった音楽が、自爆で途切れた後、ここで上昇系に転じます。

エロですね。

男子的には突き上げなんですけど、女子的には下降なわけですよ。必死だけど空振り。

でもこれも彼自身が自ら罪に落ちた結果で、情欲を抑制するのに苦しんでいることや、間違った方法ではあるが聖杯を求めていたことから、彼もまた救済されるべき人であることもはっきり描かれます。

とりあえずティトゥレルとその息子には復讐を果たし、自分が聖杯をゲットするという野望を語るクリングゾール。

・アンフォルタスの苦悩(アムフォルタス)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kunou.mid

・グラール(聖杯)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seihai.mid


その単語を意味するアンフォルタスの動機と聖杯の動機も一緒です。聖杯の不協和音が不可能を表していて、なんだかクリングゾールにもちょっと同情。
ひどい奴でしたからね、ティトゥレル(笑)。

クンドリーはそれを受けて、
「弱かった、彼も!弱かった‐みんな!」と救済者を切望する気持ちを語ります。この部分の音楽は確かに後ほどパルシファルとクンドリーの場面で出てきます。
「永遠の眠り(Oh, ewiger Schlaf)」のあたりは、少しタンホイザーのローマ語りのモティーフも感じさせます。憧れ、ちょっと音楽変えてみましたってところかも(笑)。

するとクリングゾールは愚者の動機と共に、「色気に惑わされない奴がいたら救ってくれる」と教えてくれるわけです。

・愚者の箴言(託宣、予言)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/singen.mid
わびすけ様の日記より許可を頂き転載 part11
(七、八が無いのは番号の振り間違いです。申し訳ありません!)

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
以下引用です。


前回はクリングゾールがクンドリーに拒否されまくるお話でした(笑・ほんとか?)。

仕方ないよね、
ないんだもん…。

今回はパルシファルの登場です。

?前奏曲〜魔法の園まで(その3)

パルシファルを誘惑させようとするクリングゾールとそれを拒むクンドリー。

そうこうしているうちに、パルシファルの動機が彼の到来を告げます。

・パルジファル
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/parsifal.mid

クリングゾールは角笛で手下の元聖騎士たちを呼んで対応。

曲者じゃ!出会え出会え!

以下、実況は俺様がお送りする。

…とは言ってませんが、そのまま彼によって状況が説明されます。

ここの音楽表現が絶妙。
切迫の動機に似た上昇形の音楽に角笛のHnが裏拍で絡み、パルシファルが城壁を上っている様子を説明。

・切迫
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seppaku.mid

次第に音楽が明るくなり、頂点でパルシファルの動機が勝利を告げます。さすが勇者。

するとクンドリーは不可解な哄笑を残して、
姿を消すのです。

彼女が何故このとき笑ったのか?
それは後ほど彼女自身から語られます。

続いて逃げる手下の様子と城壁の上に立ったパルシファルの姿が語られます。愚者の動機が切れ切れに盛り上がり、

きた、きた、きた…かも?

みたいに聴こえます(笑)。切れ切れなので、まだ予想にとどまっている感じです。逃げる手下の説明に愚者の動機を重ねている部分は、彼ら元聖騎士が待ち受けていた人が来たのか?という先触れにも取れます。

そして音楽はパルシファルに結びつき、彼が内側の庭を見下ろしている様子が下降系で表現され、そのままクンドリーにつながります。He! Kundry!とちょうどクリングゾールがクンドリーを呼ぶところです。

彼女の姿は既に無し。彼女を動かしているのはクリングゾールではない、彼女自身の罪ということが明らかになります。

細かい部分ですが、
御大得意の先取りがここにも。

Wie? Schon am Werk?のあたりですが、このとき彼女の動機に続くのはヘルツェライデ。母性愛から異性愛に目覚めさせる、という今後のクンドリーの行動がほんのわずかながら予告されているわけです。

・クンドリ
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kundry.mid

・ヘルツェライデ
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/herz.mid

メーテル…
母さんみたいだ…(違)

純真な少年を彼が望む姿で誘い、ネジにするために、
列車に乗ってさまよい続ける…
そう、それがクンドリーに課せられた罰…

そんなわけないない(笑)。

この音楽はクリングゾールの動機に帰結。愚者の予言のこと
は知っていたようで、ここでもWeissagungなどの言葉と
動機の結びつきがあります。

・クリングゾル
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/klingsor.mid

・愚者の箴言(託宣、予言)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/singen.mid

言ってることは要するに、

俺様のシナリオでは、
貴様はメーテルに落ちる!
戦士の銃もついでにいただきだ!(大嘘)

この捨て台詞のところ、和声やフレーズが完全に歌われていないことは、1幕の最後、パルシファルをたたき出すグルネマンツを再度想起させますね。

…ともかく、クリングゾールは魔法の園を出現させるわけです。

RPGのつもりが、つい松本先生の方向に。
なぜ!?

こういうことを脈絡もなく考えていると、寝ずにすむ気がするからかも(笑)。
わびすけ様の日記より許可を頂き転載 part12
(七、八が無いのは番号の振り間違いです。申し訳ありません!)

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
以下引用です。


?魔法の園(花の乙女)

クリングゾールの魔法で、城壁の内側の建物は沈み、代わりに魔法の花園が出現する場面です。

彼の動機はフェイドアウトし、この様子を城壁の上から見ているパルシファルの動機が再度挿入。乙女の嘆きのモティーフが次第に高まり、花ちゃんたち(命名:coyoteさん)が登場です。

・乙女の嘆き
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/otome.mid

これも覚えていれば便利ですが、特に名前と一致しなくても、ああ、花ちゃんの所のメロディだな…くらいでいいと思います。

ここから音楽はがらりと一変。
まずは花の乙女の構成。
合唱とソリストがそれぞれ2群に分かれて、ステレオみたいに交互に歌う様子…
水平方向の空間の広がりです。また、この乙女の嘆きの動機もループで続き、はっきりとした上昇や下降ではなくなってます。

では、2幕冒頭からここまでの音楽はどうだったか?
クリングゾールの自慰といい、クンドリーの下降といい、垂直方向のベクトルですね。実際彼がいるのは塔の中という場面指定でもあります。

第1幕の聖餐の儀式のところでも書きましたが、スコアで空間を描いちゃうこの凄さ。

パルシファルの視点で見てみましょう。
彼は上昇系の音楽と共に城壁を登って、いまや開けた魔法の空間に踏み込んだわけです。

この魔法の花園が意味するところは…
そう、子宮。
後ほど、クンドリーが母性からパルシファルを誘惑しようとする場面からも明らかです。

つまり、パルシファルはよじ登るという行為ではっきりと母体回帰を行っているわけです。
そして、ここから脱出するということは、覚醒の後の再生に他なりません。

タンホイザーのヴェーヌスベルクも同じ意味合いでしたが、パルシファルは子宮へとよじ登る=戻る→覚醒→再生がより具体的に音楽で表現されているわけですね。

解釈ではなく、もともとそう書いてあるところが凄い。

…でもある意味、エロ過ぎる。

だって、花園ですよ(笑)。
しかも、花ちゃんたちが風にゆれて、さわさわ誘っているようなこの音楽。
書けないようなものしか連想できない…。

水場まであったタンホイザーとどっちが赤面かなあ…。

話を戻します。

恋人を痛めつけられ、嘆く花の乙女たちは犯人を発見。パルシファルが動機と共に、彼女たちのところに飛び降りてきます。この部分ちょっとジークフリート入ってますね(Zu euch〜ja wehrten sie mir den Wegの辺り)。

この辺に、ぱふぱふの部屋があるらしいんだけど、君たち知らない?(違)

うっふ〜ん、ここがそうかはおしえてあげられないの。
でもイベントこなしてくれたらおしえてあげようかな?

というわけで(嘘です)、パルシファルはここで花ちゃんたちと遊ぶことに。動機もそれっぽい感じで、楽しく挿入されます。

花ちゃんたちは遊ぶといっても「かも〜ん(はあと)」の方なので、とたんにラインの娘に変身(笑)。ワーグナーはエロ一筋のつもりで花ちゃんたちの歌を書いたらしいですが、

お金じゃないのよ、
お金じゃないのよ…

こんなに繰り返されるとね…。
かなり空々しい(笑)。
若い頃借金で首が回らなかったせいか?御大。

ま、女の本性はどうあれ、子宮内に戻ってきているパルシファルにお金ということもないですから、とりあえずここもセルフカヴァーってことでいいでしょう。

乙女たちはKomm! komm!とパルシファルを誘います。
これが愛撫(誘惑)の動機。

・愛撫
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/aibu.mid

第1幕のグルネマンツラップの最後のあたりでも、一瞬先取りされてました。この魔法の花園を語る時に使われます。上記の乙女の嘆きの動機と同じく、水平方向のループですね。雰囲気が違うので覚えてしまうと思います。

続くlass mich dir bluehen!ではソプラノが、アラビアンな感じの高音を重ねます。くねくねと怪しげな誘惑…といえばアラビアかい!と短絡すぎて突っ込みたくなりますが、音楽の上での効果は絶大。確かにこれはユーゲントシュティール。それまで直線だった音楽の輪郭線に急に曲線が交わる感じです。
このエロスの表現!

そしてこのあたりからがまずい。
私が第2の難関だと思っている部分です。

激しい運動…例えば水泳のあと、急に心地よい眠気が来たりしますよね。あれです。

そもそも、第2幕の構成がそうなってるんです。激しい行為(音楽)→つかの間のやすらぎ…

全体的にもちょうど中間を過ぎるころ。名演なら愛撫の動機が子守唄に聴こえるし、名演でなかったら中だるみのほうで落ちる危険大。

幸い短いので、何とかパルシファルと一緒に睡魔を退けましょう。

これはぱふぱふじゃない!!

勇者はそうは言いませんが(笑)。

眠ってもいい状況なら話は別ですが、そうでない場合はクンドリーが来たところで、一度お休みを入れることをおすすめします。




一枚目拾い画像

二枚目ルーベンスのパリスの審判
あわわわ
途中で送信してしまいました。
三枚目ヨアヒム・ウテウェル

パリスの審判が何かしら雰囲気が似てるような気がしたので。

御大は台詞でお金じゃないのよと言わせながら実はお金!お金!
のご苦労が垣間見えますね。

この辺トリイズ第二幕のマルケ王の説教汁の部分と似ていてあの説教はイゾルデ不在で不思議な台詞なんですが、御大の理想、かくあって欲しいのパレードのような。
 もし、あの説教にイゾルデを絡ませて切々と歌い上げるとマルケ王の単なる好色で嫉妬深いエロ爺じゃん風になって高尚そうな人格その他が引っ剥がされますのもの。
(イタリアオペラ風になっちゃう?)

 ということで隠された真意は

私達とエッチしたきゃお金をちょーだい。

 なんでしょうかね・・・・
わびすけ様の日記より許可を頂き転載 part13


再開

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
以下引用です。


まずはクンドリー再登場〜パルシファル覚醒まで。
たかがキス、されどキス。
御大の焦らしぶりが苦しい場面です。
一応その様子について語りますが、
特にクンドリーがいけてない歌手の場合は、ある程度違うことを想像して流すか、覚悟するか(笑)。寝ないように気を引き締めましょう。

ぴっぽさんの動機も引き続きお借りしています。ありがとうございます。

?クンドリー再登場〜パルシファル覚醒(その1)

さて、花ちゃんたちに弄ばれて逆ギレしたパルシファル。
出て行こうとすると、彼の名を呼ぶ声が。

Parsifal!

メーテル…(笑)じゃなくて、美女クンドリー登場。

このParsifalの音型は、愚者の動機の der reine Tor(清らかなる愚者)にあたる部分と同型。
パルシファルが愚者であること、その名前の持つ意味を音楽的に示す呼びかけとなっています。

パルシファルはその名を聞き、母を思い出します。
そう、鉄郎がメーテルに自分の母を重ねるのと同じように。

引き続き、クンドリーはパルシファルにとどまるように呼びかけます。

ここでヘルツェライデの動機が回帰。クンドリーが自らをヘルツェライデと同化させていることを表現。

・ヘルツェライデ
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/herz.mid

まるでトリスタンの第2幕、夜の歌の後の部分のような雰囲気です。「決して目覚めない!」という、あの状況に似た空間を作り出しています。

一方でクンドリーは乙女の嘆きの動機に乗せ、花ちゃんたちに帰れと催促。

・乙女の嘆き
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/otome.mid

彼女たちはパルシファルに対して、Du-Tor!(おバカさん)と捨て台詞を残し、消えてゆきます。

ねえ、ほんとにほんとにおバカさん
おしえてあげよかおバカさん♪

…とは歌ってないけど(笑)。

でもそんな感じ。

クンドリーだって
キスとかするのもやっぱりタイミング、だと思うでしょ♪(笑)。

…話を戻します。
ここでもそのTorの後に愚者の動機が挿入。

・愚者の箴言(託宣、予言)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/singen.mid

注目すべきは、これまでの彼女たちとパルシファルのやり取りでは、パルシファルの台詞のところでは、基本的に彼の動機が使用されていたことです。彼はこの場面でクンドリーや乙女たちに名を「愚者」として呼ばれることで、自分のアイデンティティを一度喪失した形になります。

直後、乙女たちへの返答で、パルシファル自身が愚者の動機に乗せて「夢なのか?」と歌う一節は、言い換えれば「俺が…愚者?」という覚醒への予感を示すものです。

彼の動機は覚醒後、アンフォルタスの所へ向かおうとするまでしばらく欠如したままです。それがすなわち、子宮内で彼が一度母体と混ざり合った状態を表しています。

どんどん行きましょう。

パルシファルが声の方へと振り返ると、そこにはコートを脱いだメーテルが!(いないって・笑)

名無し(Namenlosen)の俺を呼んだのは君?

パルシファルは自分を「名無し」と言っています。
2幕の冒頭ではクリングゾールがクンドリーに対して同じようにdich Namenloseと呼びかけていました。2人の一体感をあおっているように取れます。

トリスタンのNamenlos /in Lieb' umfangen(名前もなく、愛の内に抱かれ-2幕、死の歌)を思い出しますね。

彼女は先ほどのParsifal=der reine Torという呼びかけを、更に細かく愚者の動機に乗せて説明。

toer'ger Reiner(愚かな、純粋な人)であるFal parsiに Durch Mitleid wissendのメロディをあて、もう一度今度は完全な形で、Parsifalにder reine Torのメロディを同化させています。

「タントリス」のように、完全に音が逆転しているわけではありませんが、御大流のロジックで、パルシファルをしっかりと定義付けている場面。

ついで、彼女はパルシファルの両親について触れると共に、彼に名を告げるために待っていたと語ります。
次の歌詞は意味深。
was zog dich her, wenn nicht der Kunde Wunsch?
直訳すると「その知らせ(つまり、両親や名のこと)を望む気持ち以外に、何があんたをここに引き寄せたと?」となりますが、このder Kunde Wunschは同時にKundry自身のWunsch、つまり願望なわけですね。

しかもこの部分には、愚者の動機の断片に、かすかに槍の動機が挿入されています。

・聖槍(槍)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seiyari.mid

つまり、御大は聴衆に対して、パルシファルがここに来たきっかけはクンドリー自身の願望と共に、聖槍の奪還のためだということを同時に呈示しているわけです。

2幕の冒頭の様子からクリングゾールがおびき寄せたとも考えられますが、彼は小者扱いなので、もっと大いなる力に導かれたと解釈する方が良いでしょう。

些細な箇所ですが、これが「パルシファル」の凄さ。

何故なら、深読みすれば、クンドリーの願望=愚者、つまり正当な人間が手にした聖槍ということにつながるからです。




画像は若しかして既出?
わびすけ様の日記より許可を頂き転載 part14


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
以下引用です。



クンドリー再登場〜覚醒(その2)

パルシファルはクンドリーに両親のことを聞かされ、不安げな様子。この部分の彼の台詞の背後には、パルシファルの動機でも愚者の動機でもなく、花の乙女の音楽が流れます。前述しましたが、これは彼が一度アイデンティティを失って、魔法の空間、つまり子宮の中で漂う様子そのものです。

ちなみにモティーフの欠如で言えば、お気づきかと思いますが、美女として登場したクンドリーにはクンドリーの動機は使われていません。これも重要です。それが再びはっきりとした形で戻ってくるのは覚醒するあたりから。

君も花園から咲き出たのか?と聞くパルシファルに、
私の故郷は遥か遠くの国、と答えるクンドリー。
何故彼女がここにいるか?それは背後に流れる呪縛の動機が語ってくれています。

・魔法(呪縛)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/mahou.mid

つまり、クリングゾールに縛られているから、ということですね。

不安げな彼をあやすかのように、クンドリーは彼の生い立ちを語り始めます(Ich sah das Kind〜)。

ここはクンドリーの子守唄と特に名づけている場合もあります。彼女のアリアとも呼べる部分です。ヘルツェライデの動機ににた曲想で、巧みに母性から異性への移行を図ろうとするクンドリー。

・ヘルツェライデ
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/herz.mid

ここもトリスタン2幕のLausch, Geliebter!のあたりの音楽に似ています。まるで夜の世界、つまり再生のない世界に引き込まれるかのよう。

以下、ぴっぽさん作のMIDI比較をお聴きくださいませ。

・・・・・・・・・・

クンドリの子守唄
 ♪http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/mutter.mid

 お聴きなさい、愛しいひと
 ♪http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/lausch.mid

 
 (この旋律の元は「まどろみの動機」ですね・ぴっぽさん談)
 ♪http://www.ee.em-net.ne.jp/~pippo/lm/madoromi.mid

・・・・・・・・・・・

まるっきりセルフカヴァーなのがお分かりいただけると思います(笑)。ただ、トリスタンではストレートな表現だったのが、パルシファルでは「母親」にこの雰囲気を重ねる、というストーリー上の一手間が音楽にもかかっているわけです。

もう回りくどすぎ!
表向きは母、その裏はエロス…
そんなのばっかりです、このオペラ(笑)。画伯もご指摘下さっておりますが、音楽上の暗喩・隠喩が多すぎ。

この歌はクンドリー役の聴き所ですが、名演に会うと本当に寝てしまうので、上記のようなことを考えつつ乗り切りましょう。

アリアの頂点はumschlang(抱きしめる)という言葉に置かれていて、更にその後のKuessen(キスする)という言葉が印象的。クンドリー(もしくは御大)の手管、さすが。

直後、Doch ihr Wehe〜からは突然ヴォータンの苛立ちのような旋回音型が挿入されます(母の嘆きの動機。覚えなくてもいいでしょう)。パルシファルがクンドリーの言葉にグサっと来ているのが手に取るようです。最後のUnd-Herzeleide-starbではそれがさりげなく詠嘆の動機の断片につながっています。

・詠嘆 A
  http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kyuusai.mid

御大の偉大なるワンパターン、チョイ見せ。覚醒への布石です。

続くパルシファルのWehe! Wehe!から、やっと本格的な覚醒が始まります。やれやれ。

まず、言葉だけ第1幕のアンフォルタスを踏襲。
ティトゥレルに開帳を迫られた時の、Wehe! Wehe mir der Qual!につながる発言。あの時アンフォルタスはErbarmenやStrafeといった単語を反復していたことを思い出しましょう。

パルシファルもここから、MutterやTorといった言葉を反復し始めます。

また、この部分は自分のことを初めてTor(愚か者)と言う自覚のシーンですが、Mutterに一応下降の音型があてられているものの、それがはっきりとしたクンドリーの動機の下降や、詠嘆につながるのは更に先。

母を思い出したパルシファル。Deiner, deiner vergessend,の叫びはイゾルデを求めるトリスタンを想起。パルシファルの側にも、母性→異性の錯覚効果があることを示しています。

そこで、クンドリーはしめしめ、かかったわと、
愛の慰めであなたを癒してあげる、と迫ります。
憧れ(イゾルデ)にも似たアラビアンな音楽ですね。

以下、ぴっぽさんの解説からの引用です。

・憧憬の動機(あこがれ、愛のあこがれの動機) トリスタン和声

http://www.ee.em-net.ne.jp/~pippo/lm/tristan.mid

最初の2小節は愛の告白(またはイゾルデ)
後半2小節は欲望(またはトリスタン)を指す

パルシファルがトリスタンの憧憬に近い音楽だったのに対し、クンドリーはイゾルデの憧憬に近い音楽。
これも些細ですが、2人が結びつきそうな表現として、絶妙かと。

依然として旋回音型が続く中、パルシファルはWas alles vergass ich wohl noch?(他に一体何を忘れているんだ?)とつぶやきますが、その部分に聖槍の動機が、今度ははっきりと回帰。

・聖槍(槍)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seiyari.mid

「お前が忘れているのは槍だよ、槍!」
まさに御大のセルフ突っ込み。

それはいいから、話進めてよ…。
キスまで前振り長すぎ(笑)。

この槍の動機はクンドリーに帰結します。

・クンドリ
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kundry.mid

さあ、アンフォルタスの歌に近づいてきました。一時欠如していたクンドリーの下降の動機が復活。

次の一節で、クンドリーは呪縛の動機に自らの動機を結合させたものに先ほどの子守唄の部分をたくみに織り交ぜながら、パルシファルに口づけするのです。

als Muttersegens letzten Gruss
der Liebe - ersten Kuss.
(母の祝福の最後の挨拶として、
愛の-最初の口づけを。)
ヴォータンとジークフリートがいっぺんにやってきたこのキス!(笑)。

はあ、長かった…ここまで。そのまま呪縛の動機が流れ、まるで金縛りにあったかのようなパルシファル。弦のトレモロといい、動機の断片といい、まるで媚薬を飲んだトリスタンのよう。

この断片は傷の動機。パルシファルはこれで完全にアンフォルタスの事件を追体験。アンフォルタスへのMitleidに目覚めるのです。

そして、もうお分かりですね。クンドリーの下降の動機は、再生への陣痛のようなものです。ここからパルシファルは覚醒&再生に向かうわけです。歌詞じゃなく、音楽で(笑)。

・・・・・・・・・

ぴっぽさんの更なるご協力をいただきまして、
この部分をMIDI化していただきました。感涙です。

クンドリの接吻効果 (前半)
♪http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/amfortas.mid

媚薬の効果
♪http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/biyaku.mid


傷のモティーフ(前者の中間部あたりに出てきます)と憧憬の断片(特に終わり近く、反復されるところ)が元々共通(>♪ミ♯、ファ♯〜 )。

これは深いです。
欲情でつながっているということですから。
トリスタン的和声を使うことによって、あの傷がどういう原因で出来ているかということが明らかになります。 後ほど述べる、傷が欲望の泉であるという表現にも関係します。

御大意図していた…でしょうね、やっぱり。

更に重要なのは、
この2つの比較です。

媚薬の効果は全体的に上昇ですね。
クンドリの接吻効果は思いっきり盛り下がってます(笑)。

媚薬を飲んだ二人は最初離れていて抱きあう。
キスした二人は最初くっついていていきなり離れる。

トリスタンの燃え上がりと、
パルシファルの愛の断絶感の表現が大変分かりやすいです。

ここで合体しちゃいかんのですよ!!
ここでぴっぽお師匠様お言葉を引用しますね。

指導動機の表意文字的解釈

この場合一般的といえる使いまわしです。



「パルジファルとトリスタンのスコア比較2」

なんて偉そうなタイトル付けてみているけど、両方のヴォーカルスコアを見ていて気がついたこと。

「Ewig」に同じ下降音程が当てられているんですね。

左)パルジファルの場合は「ソ、シ」↓

中央)トリスタンの場合は「ラ♭、ド もしくは ラ、シ」↓

おまけで
右)ジークフリート 「シ、ミ」↓


この前の「ミ♯、ファ♯ー」(半音階上昇)↑
が「官能」を表すのと同じように

大胆な下降は
「永遠」を表す御大ならではのライトモティーフ的使用表現といえるでしょう。
わびすけ様の日記より許可を頂き転載 part15


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
以下引用です。

覚醒〜終幕

パルシファルとクンドリーのキスシーンからです。

呪縛の動機で動けないパルシファル。

しかし、そこに傷の動機が挿入。ついで聖槍の動機と詠嘆が結びつき、彼にアンフォルタスの苦悩が流れ込む様子を表現。

ぴっぽさんのMIDIを再度お聴きください。

クンドリの接吻効果
♪http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/amfortas.mid

接吻のシーンは前半です。だいたい以下のようなモティーフで構成されていることがお分かりいただけると思います。

・魔法(呪縛)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/mahou.mid

・苦痛(傷)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kutuu.mid

・聖槍(槍)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seiyari.mid

・詠嘆 A(救済・救い主の嘆き・罪の苦悶)
  http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kyuusai.mid

いよいよこのオペラの核です。
散々焦らし、盛り上げたあと、指揮者とテノールがここをどう表現するか?あるいは演出はどうなのか?注目。

ここからは第1幕のアンフォルタスが回帰。御大の音楽に、圧倒されましょう。

上記の接吻効果のMIDIの後半の部分がアンフォルタス!と叫んでいるところです(〜hier-hier!まで)。動機で言うと、以下のような感じで続きます。クンドリーの急降下に注目。

Amfortas!(クンドリー!)

Die Wunde!(クンドリー!)Die Wunde!(更に下降)

Sie brennt in meinem Herzen.
(アンフォルタス)

Oh Klage! Klage!〜Jammervollster!
(詠嘆)       (クンドリー)

・クンドリ
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kundry.mid

・アンフォルタスの苦悩(アムフォルタス)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/kunou.mid

絶妙な対応です。
第1幕のアンフォルタスで見えなかったものが、クンドリー(のキス)によって知覚される、というスコア上の表現ですね。パルシファルが知に至るには、両方の要素がなくてはなりません。アンフォルタスのアリアの部分より、さらに突っ込んだ、深い意味合いを帯びています。Jammervollster(嘆きの極みにいる人)であるのはアンフォルタスと同時にクンドリーでもあるわけです。

さらに彼は傷を知覚します。
Die Wunde sah ich 〜blutet sie in mir-
(傷)              (詠嘆)

hier-hier!(クンドリー)

この「ここだ、ここなんだ!」の台詞!(笑)。

表向きは胸を指してるはずですけど。
本当はどこを指してるか?それはお分かりのはず。
キスされた途端ずきゅ〜ん、みたいな(笑)。
間違いなく御大のエロです。

これらのクンドリーの動機は、傷をクンドリーに向かって訴えていると同時にクンドリーへのMitleidとも取れます。

そして、続く部分でパルシファルは
これは血を流している傷じゃない、
胸の炎、つまりfurchtbare Sehnen(怖ろしいほどの憧れ)であり、Qual der Liebe(愛の苦悩)であると語るわけです。

メラメラ、ずきゅ〜ん、の訴え(笑)。

キス一つでここまで強烈に燃え上がるなんて!
すごいですね〜クンドリーの威力(笑)。

この部分に流れるのは、アンフォルタスと、彼を苦しめていた呪縛+クンドリー、そして切迫に似た音楽。
それがクンドリーで終わるQual der Liebeの部分は、2幕の前奏曲の最後の部分と同型です。

あれはこういう予告だったのね!
後から気づく場面ですね。

さて、続くEs starrt der Blick〜の部分。

アンフォルタスのアリアの中間部、聖餐の儀式の様子を彼が語る場面に対応しています。パルシファルがアンフォルタスにMitleidする場面です。

まず聖杯の動機で、アンフォルタスが聖杯を見据える様子が語られます。

・グラール(聖杯)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seihai.mid

聖杯に注がれる血は熱くたぎるのに、
彼の苦しみは引くことがない。

聖餐の動機に続き、後半の聖槍の部分だけが反復。
槍がないからだ、という御大の暗示です。

・聖餐(愛餐)の動機
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seisan.mid

・聖槍(槍)
 http://pippo.sakura.ne.jp/mp3/lm/seiyari.mid

そして、im Herzen, will die Qual nicht weichen(心では苦悩が離れることはない)に一瞬クンドリーを表す下降が挿入。クンドリーとも共鳴しているということでしょう。

というのも、次のDes Heilands Klage〜からは槍+詠嘆で、アンフォルタス=キリストがパルシファルによって語られます。これはクンドリーからの視点によって知覚されたものです。クンドリーは単に聖杯王としてのアンフォルタス以前からの罪の救済を求めているからです。

彼の嘆きは冒涜された聖遺物への嘆き。すなわち聖槍の強奪&傷。
パルシファルには聖餐の動機はこう聞こえた、というのがその次のerloese,rette mich〜の部分です。

Erloeser! Heiland!の聖槍の叫びもアンフォルタスに通じます。「ああ、槍なんですね!」って感じでしょうか(笑)。痛々しいですね。


さて、この覚醒に驚愕のクンドリー。気を取り直して
もう一度、誘惑しようとしますが…


◆村正注釈◆
「うあ、やべぇよそっちに転んじゃったンかぃ!」


>キスされた途端ずきゅ〜ん、みたいな(笑)。
間違いなく御大のエロです。

勃起して痛いとなるとヤッパリ真性(神聖)包茎でないと・・・

これが起点で神聖包茎パルジファルという名前が思いついたのですけれども。

ルイ16世も真性包茎だったので、マリーとのセックスは苦痛でしかなく、包茎手術後、こんなに楽しい物かと述べてますし。
 勃って剥けたのはいいが皮が亀頭を締め付ける状態だとより具体的ではないかと・・・・


でも
包茎の痛みというのは在る意味女性には解らない痛みかも

木 亥 火 暴



ロシュグロス
花の騎士という題名ですが明らかに間違いなくパルジファルです。

http://hp1.cafesta.com/view_image?param=lfnCMld1vSkPtmENRN7JzB+uhE8gB60KNrBAAQ7QwjnYfS4mSZYdg20SxR6kTFzqRTvbtiG/lolp0sK2WEnKTfx1L+t4V0kFUf5rb4GBTTA=
はじめまして、4月に上野でパルジファルを見に行く予定です。

このトピックの内容を100%理解出来れば満足・満腹で帰れるか?
これから頑張って勉強します!
凄いぉお!!(゚Д゚屮)屮
リージョンの関係で見れなかった、発売してなかった、ジーバーバーグ版パルジファルだ!!!
しかも全部休み無しで4時間15分!!!!!




対訳はマイミクrikkaさんの所へGo!!!!
http://kisaragirikka.seesaa.net/

楽しく読めますよ!!

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