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ケンケン大学コミュの初恋

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『私の事忘れないでね・・』



・・・・・・・・・


・・・・


・・。



誰だ・・・誰なんだ・・何でオレのこと・・



・・・・・



・・・



・・・・ピピピピピピ。




目覚まし時計の音が鳴る。



ピピピピピピピ・・・・



・・・・



ピピピピピピピピピピピピ・・・・・・



・・・・・・・・・




ピピピピピピイッピピピイ・・・




・・・・くっ。




ピピピウイピピポイピピ・・・・・・・・




『あーうるさいなー!!!!』




そう言ってベッドから起き上がり、怒り任せに止めたのは、26歳彼女なしの「尾田栄治」。




栄治「げっ、やば!!! 遅刻遅刻!!!」




時計の針は、無情にもバイト10分前を指していた。




栄治「しまったぁぁぁ!!! セット(起きる時間)を間違えたぁぁぁ!!!」




そう言った栄治は急いで着替えをし、家を飛び出していった・・




コメント(10)

案の定、バイトには間に合わず、上司に怒られ、散々な日々となった。


栄治「次遅刻したらクビだな、きっと」


ロッカーで自嘲気味に笑う。


帰り道の途中・・


栄治「そういえば、今日の夢なんだか懐かしかったような・・」


歩きながら、ふと朝のほんの僅かな記憶をたどっていた。


あの人は一体・・


しかし、思い出せない・・・


大事な人と別れた時・・・・


忘れてはいけないような人・・何か大事な約束でもしただろうか・・?


そんなことを考えながら、アパートに着いた。

次の日、いつものように起きてバイトに行く準備をする栄治。


まるで、何もなかったのような静かな朝だった。


栄治「おはようございます」


「おはよう」


職場に着いて真っ先に挨拶した人は、バイト先の上司(とは言っても、ここのバイト仲間の中では一番年下)の平野美崎さん。面倒見の良い先輩だ。


美崎「今日は遅刻しなかったわね、ふふふ」


栄治「まぁ、そんなに遅刻ばかりしていたら、マスターにクビにされますから」


美崎「それもそうね」


そう言って、2人はいつものように店の掃除と一番人気の『コーヒー』やその他料理の仕込みの準備をし始める。


2人はもう4年以上一緒にやってきた仲。仕事も早くて息もピッタリ合う。


あらかた準備も終わった9時55分頃、ここ『ウォータセブン』の喫茶店のマスター、「飯島一(いいじまはじめ)」が入店。


一「おう、コーヒー頼む」


栄治「またですかぁ?マスター。この挽きたての豆はこれから来るお客様ですよ」


栄治は呆れて話す。だいたい店の売り上げが伸びないのもマスターのせいだと常に思っている。


一「なんだ、事業主に向かってその口の聞き方は」


美崎「まぁまぁマスター。あっ今日はこのクッキーにしようかと」


そう言って、夏に向けての新バージョンを披露する。


一「どれどれ、・・・おっこれは美味しい。さすが美崎だ。」


マスターは満足げにクッキーを頬張り、コーヒーを飲んで裏にある部屋に入っていった。



一番ピークのお昼時もようやく終わり、一息つく時間がやってきた。


店の中には殆ど人はなく、店のBGMも自由に変える2人。


流れてきたのは、〜aiko 初恋〜


美崎「この曲好きだったな〜」


栄治「いいすよね〜」


美崎「そういえば、栄治君の初恋はいつ?」


ちょっと意地悪な調子で聞いてきた。


栄治「えー、そう言われても、いつが初恋だったのかなんてわかんないんですよね。」


美崎「そうなの? 栄治君って意外と女泣かせな部分もあったんだ」


またもや意地悪な表情を見せる。


栄治「またーやめてくださいよ。 ・・・あっ」


そういえばこの前の夢、あの人、確かに・・・そう、雰囲気はそんな甘酸っぱいカンジだった・・・


・・・・・・・


・・・・・



・・・君



「ちょっと、栄治君」


その拍子に我に返った。


栄治「あっすいません。ちょっと考え事してしまって・・・」


美崎「もう、いいわ。じゃそろそろ休憩も終わりね」


と言って、2人はまた仕事に戻った。


栄治「ちなみに美崎さんの初恋はいつですか?」


とさりげなく聞くと、


美崎「まだかもね」


とまた意地悪そうに話していた。



2日休んで、次のバイトの日がやってきた。


栄治「おはようございます」


「おはようございます」


「ちーす」


今日のパートナーは、『瀬川 優』と『井伊田 潤』


2人ともまた学生。


しかも、この2人オレからすると付き合っているのかと思えるくらい仲が良い。


栄治「あれっ、潤は午後入りじゃなかったっけ?」


潤「いいんすよ。家にいたってヒマだったもんで。」


そう言われたら、こちらとしてもあえて言うこともない。


優「潤くんは前も色々と手伝ってくれました」


とだけ言って、準備をする優。


・・・あんまり忙しい時は、マスター呼んでなんとかするもんだけど。


ところが、うちのマスターは、毎日朝はきちんと来るものの、よくお昼前に帰ってしまったりする事がある。


・・・まぁ、いいか。



今日は特に何もなく18時となり、店じまいとなった。


それからしばらくして、潤と一緒のバイトとなったある日。


・・・いやいや、男2人だとこの喫茶店に華がないな。


そう考えながら、いつものように仕事をしていると・・


潤「ねぇねぇ、栄治さん」


栄治「なんだよ、潤。今は仕事中だぞ。」


と話すと、いつもと表情が違う様子で


潤「いや、さっきから、栄治さんのこと、チラチラ見ながら、座っている女性がいるんです」


と答える。


うすうす、どこからか視線が来ていたのは知っていたが、まさか・・・


・・・いた。窓際にいる女性。小説を持っている為、あまり顔が見えない。


自分より若いか・・・タメくらいかも。


・・・・・


・・・


でも・・・見てはこない・・気のせいか。


栄治「潤。お客様なんだから、あまりそう考え込むな」


潤「はい・・でも確かにさっきまで・・・」


その後、その女性は会計を済ませ店を後にした。


あまりお客に関心を示さない潤があそこまで言うなんて・・・


店の常連でもない・・


誰なんだろう、あの女性・・


そう考えながら、1日が終わった。


それからしばらく、あの女性はやってきた。


しかし、鋭い視線がきたかと思えば、そうでもないような・・・


でも、不思議と嫌な感じはしなかった。


優さんと一緒のバイトとなった今日。


優「最近あの方、よく来ますね」


栄治「そうなんだ」


わかりつつも、適当に相槌を打つ。



・・・よしっ


今日は自分から話をしてみよう。


そう言って、水を持って行った。


栄治「お冷のお替りはいかがですか?」


とテーブル前に行って尋ねると、


「あっ、はい、スイマセン」


と少し動揺していた様子を見せた。


(トク・・トク・・トク・・)


なんだろう、どうして自分も・・・


このカンジ・・・


どこかで・・・・・


・・・・


・・さん。


優「栄治さん!」


気付くと、コップを持っていた手が震え、床に落としてしまっていた。


栄治「すいません!! 今片付けますから!!」


そういうより早く、優さんが箒と塵取で片付け始めてくれていた。


「いえ、あっ・・・はい・・・」


女性は少し申し訳なさそうにイスから立っていた。


その後・・・休憩時間に入り、


・・これまでの不思議な出来事をまとめてみた。


『懐かしい夢』


『〜初恋〜に関連する甘酸っぱい雰囲気の人』


『最近よく店にやってくる女性』


・・・・・・


・・・


でもこれだけじゃ・・・分からない。


さっき・・どうして・・あんなに手が・・・



そんなとき、休憩室に優も来た。


優「栄治さん、さっきは大丈夫でしたか?」


栄治「あぁ、優さんに迷惑かけちゃったね。ごめん」


素直に謝ると、


優「いえ、いいんですけど。でも栄治さん、あのときなんか変でしたよ、ボーっとしてたというか・・」


栄治「うん、夏バテかな。ははは」


・・・ホントどうしたってんだ、オレ。


その日は、あの女性はもう来ることはなかった。


ただ、店じまいの時に、1枚の図書カードが落ちていた・・


名前の欄には、『蒼井 愛菜(あおいまな)』と書かれていた。



夏本番に差し掛かり・・・早朝にバイト全員が呼び出された。


全員が出勤した後、マスターがとんでもないことを言い出した。


一「今日はココをバーにする。だから、今日は夕方から。」


全員「はぁ??????」


一「だから、今日はバーなの。オレが決めたの。酒はもう買ってきてあるからいいの。」


おいおいおい・・・何を言い出すんだ、このおっさん。


美崎「夜の飲み屋はちょっと・・・」


優「ウチ・・親がなんていうか・・」


潤「オレはいいけど?」


栄治「・・・・」


皆一同、意見が違う・・・・そりゃそうだ。いきなり喫茶店がバーになるって無茶もいいとこだ。


一「なんだよ・・ノリが悪いな・・・」


美崎「マスター、何で急にバーなんかやろうと思ったんですか?」


一「だってそのほうが売り上げいいだろ。ウチには可愛い2人もいるし、アップ間違い無しだ」


全員「・・・・・・・・」


・・・・おっさん!!!!!


もう我慢出来ず、マスターに話しかけようとした時、


ギィ・・・・


ドアが開いて、あの女性がやってきた。


「スイマセン、もう開店の時間になったと思って・・まだでした?」


と恐る恐る聞いてきた。


(トク・・トク・・トク・・)


・・・・・・・・


・・・まただ。


なんで、この女性が来ると・・・


必死に心の動揺を抑え、


栄治「どうぞ、お客様」


と席まで誘導する。


栄治「マスター、この件についてはみんなの意見がまとまるまでしばらく保留にしてくれませんか?」


と聞くと、美崎も


美崎「そうです。少し考えさせてください」


と、強い口調で言うと、マスターもそれ以上は言わなかった。


栄治「じゃ、とりあえずまたな」


と言って、非番の潤と優さんを帰した。


あの女性の注文を取ろうとする前に、


栄治「この前、ウチの店でこのような物を落とされませんでしたか?」


と、落し物の図書カードを見せると、


「あっ! はい、コレは私のです。この店にあったなんて・・・」


と言って、そそくさと大事にバッグに入れた。


蒼井「ありがとうございます。助かりました。」


栄治「いいえ、では注文が決まりましたらお呼びください」


と言うと、微かに手を震わせながらお冷を置いてその場を去った。


・・・まただっ!・・・なんで、心と身体が言うことを利かないんだ!


その時、とても強い視線を感じ後ろを振り向くと・・・


・・・・・・・・・・・


・・・・・


・・・ニヤッと薄笑いを浮かべる蒼井さんの表情が僅かに確認出来た。


・・・・・・・・・


・・・・


・・これは・・・一体・・・何故だ・・・それじゃまるで・・・・



アパートに帰ってから、『蒼井愛菜』という人と繋がりがあったかどうか必死に調べた。


・・・・・・・・・・


・・・・・


・・ない。


いや、オレは小学校の低学年に転校歴がある。そのアルバムだけはない。


とすれば、その時に?


幼馴染なら覚えているが・・・


蒼井・・・愛菜・・・


あの薄笑い・・・


多分・・・2つの顔をあの人は持っている。


だから、稀にその顔を覗かせる・・・と仮定はしたものの・・確証はない。


しかし、強い視線の時と、そうでない時の差が激しすぎる・・・


それでも、正面切って話す時のあのオーラは・・・


分からない事だらけだ・・・


そして夜は更けていった・・・


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