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ケンケン大学コミュのあの喫茶店で

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皆様お待たせしましたexclamation


久々にあの学部が帰って参りましたexclamation


これは嘘のようで本当にあったお話なので妄想とは離れてるかもしれませんが話の流れは真実ですわーい(嬉しい顔)


ちょっぴり甘く、ちょっぴり苦い恋物語台風


このお話が皆様に読んでもらえたら嬉しいですわーい(嬉しい顔)


妄想学部 代表 wish芽

コメント(25)

春。

桜がきれいに咲いている。

さくら並木の中、1人歩く学生がいた。

4月から大学に通う1人の学生。

彼の名前は幸孝。

新たな学生生活に多少ドキドキしている。

初めての学校は何もかもが新鮮で孝幸も色んな物に目がいってしまう。子どものように。




ドキドキでスタートした学生生活だったが1ヶ月が経っても見るもの全てが珍しく思えた。

そんなある日。

いつものように周りを見ながら歩いていると誰かにぶつかった。

美海「いたっ」

幸孝「あ、ごめん。大丈夫ですか?」

美海「大丈夫です」

そういって彼女は立ち上がった。

幸孝「本当にすいません」

何度も謝ろうとする幸孝。

美海「いいですよ」

笑顔でこたえる。

美海「あれ、さっきの講義で一緒じゃなかったですか?」

幸孝「え…すいません、気付かなくて…」

幸孝は前の方に座っていたため学生はあまりみていなかった。

美海「じゃあ今度声掛けますね!私のこと忘れないでくださいね(笑)」

幸孝「わかりました(笑)」

そう返事をし、2人は別れた。



2日後。

幸孝は教室に座っていた。

すると背中をトントンとする人がいた。

美海「こんにちは」

この間ぶつかった美海であった。

幸孝「あ、こんにちは。この間は…」

美海「もういいですよ(笑)。言った通り同じ講義でしたね!」

幸孝「本当でしたね。この講義眠くなりません?」

そんな会話をしながら2人の会話は盛り上がった。

それからというもの、顔を合わせるたびに挨拶程度は交わすようになった。

美海だけではなく、次第に幸孝には新しい友達も増え、学校に行くのが楽しい日々を送っていった。
楽しい日々の中、大学生活にも慣れ、幸孝のやんちゃぶりが出始めていた。

学生生活はホントに楽しい。しかし、遊ぶだけではなく、きちんと講義には出ていた。

そこが彼のすごい所でもある。

家にいても暇だというだけであるが。



やんちゃしながらあっという間に学園祭の時期が来た。

メインは3年生だったため、若干暇でもあった。

そして学園祭当日。

やることが少なく、やっぱり暇であった。

学校の中をフラフラ歩いていると

美海「幸孝くん!何してるの〜?」

エプロン姿の美海がいた。

幸孝「別に何もしてないよ。フラフラしてただけ」

美海「何それ(笑)、やることないの?」

幸孝「ない!」

美海「少しは働いたら?」

幸孝「大丈夫大丈夫」

美海「そうなの?まだウチのクラスやってるから良かったら来てね!」

幸孝「はいはい」

そういって別れた。

でも結局行かないのであった。

しかし、少し幸孝の心の中には行こうかと迷う瞬間があった。

普段はそんな気が起きないのに…

幸孝は自分でも不思議に思う。


3日後

講義に美海がいた。

ノートで頭を叩く。

美海「ん?あっ、幸孝くん!この間来なかったでしょ!罰としてご飯おごって!!」

幸孝「なんでやねん!おごるわけねぇだろ!」

美海「来なかったから!」

幸孝「いや〜あの後友だち見つけてカラオケ行ったんだよね〜。久々に熱唱したわ〜。カラオケはスポーツだな!」


美海「何それ〜。まったく」

そんな会話を交わしながら今日も講義が始まった。



そしてあっという間に1年目が過ぎた。

無事に単位を取り2年目に上がる幸孝。

2回目の桜が咲き始める頃、やんちゃな幸孝はある計画を立てようとしていた。

自由人な彼は旅行にいきたかがっていた。

しかし、行き先が決まらない。

行くなら遠くへ。

1週間悩み出した行き先は…

アメリカ。

出来るだけ遠くへ、出来るだけ広い所へ、そして出来るだけ飽きないところ(笑)

少しずつ計画を進めていくことにした。目標は夏休み。少しずつ貯めたお金で行くことを決めた。



講義が始まる前に旅行雑誌を見ていた幸孝。

ノートアタックが炸裂する。

美海「よっ!何真剣に見てんの?アメリカ?行くの?」

幸孝「いて〜な〜。せめて1回にしろ!」

美海「…何しに行くの〜?」

幸孝「ん、ちょっと旅行したいだけ」

美海「ふ〜ん、物騒だから気をつけなよ〜」

幸孝「帰ってこなかったらどうする?」

美海「さぁ」

幸孝「さぁって」

美海は意外とサバサバしているタイプだ。しかしそこが居心地がいい所でもある。今日もそんなことを思いながら会話を楽しむ幸孝であった。
新学期


幸孝と美海は以前よりも仲良くなっていた。


共通の友達も沢山でき、楽しく過ごしている。


バイトを始めていた幸孝は着々とアメリカへ行くための準備をしていた。


バイト代をもらうたびに心がわくわくしていた。


忙しい日々を送っていたがある日友達からある誘いがあった。


友達「幸孝!花見しようぜ!」


幸孝「おっ、いいじゃん!やるべやるべ!」


友達「女の子も誘うからよ!」


幸孝「女の子?」


友達「あったりめぇだろ!桜の花だけじゃ俺は満足しないぞ!」


幸孝「はいはい」


花見の日時も決まり、問題は女の子だった。


誰を誘うか相談しながらも幸孝の頭の中ではもう決まっていた。さっそく声を掛ける。


幸孝「お〜い、そこのちょっと乱暴なお姉さん♪」


ノートで叩かれる幸孝。


美海「誰のこと言ってるのかしら?」


笑いながら怒る美海。


幸孝「すみません、きれいなお姉様…」


美海「あら、私のこと?正直なんだから♪」


幸孝の顔が引きつる。


花見のことを伝えるとあっさりOKをもらうことができ、他の女の子も誘ってくれることになった。


人数も揃った。後は当日を待つだけ。人数もそこそこ集まった中で距離が縮まる人もいるだろう。その中には2人も入っているのであった。
夜桜が綺麗にライトアップされている公園。待ち合わせ場所には続々と人が集まってくる。

シートに座り一人ひとりにお酒が配られる。

しかし、幸孝だけがいなかった。それに気づいたのは美海であった。

美海「あれ、幸孝は?」

友人「買い出し。じゃんけんで負けたから(笑)」

美海「あ、そうなんだ」

友人「超頼んどいたから、今頃ヘコんでるんじゃない?」

友人達は笑っている。しかし美海の顔は無表情。

皆の話しが盛り上がってる中、静かに立ち上がり歩き始める美海。



幸孝「どこにあんだよ・・・くっそう・・・アイツらめ…」

店の中を探し回る幸孝。

全部揃え、公園へ向かう。両手には袋いっぱいに入れられたお酒やお菓子。

信号機に止まり、一息ついて顔を上げると人混みが見える。そこでもう一度ため息がこぼれる。信号が変わり、横断歩道を渡りきると急に左手の袋が軽くなった。

美海「大丈夫?」

そこには美海がいた。

幸孝「あれ、何してんの?」

美海「皆が沢山頼んだっていってたから手伝いにきた」

幸孝「皆は?」

美海「楽しそうに飲んでるよ(笑)」

幸孝「あ、そう…」

公園の手前の上り坂を登り切り、場所に着くと皆は変わらず盛り上がっている。

美海「楽しそうだね〜(笑)」

幸孝「ホントだな。初めて会う人もいるから皆楽しめてるんじゃない?というか女子はお前任せだったけど」

美海「皆喜んでOKしてくれたよ♪」

幸孝「それは何より(笑)」

友人「何二人だけで話してんだよ〜入れろよ〜」


今年の春は賑やかで少しだけ優しさに触れることが出来た幸孝であった。
春が終わり、夏が来た。

まもなく試験が終わり夏休みに入る。

必死にお金を貯めていた幸孝。

同じように勉強も必死だ。

赤点を取ったら計画はダメになる。

学校にいてもまじめに勉強に励む。

幸孝「わっかんね〜よ…なんでテストなんかあんだよ。」

独り言をつぶやくと後ろからノートで叩かれた。

幸孝「いでっ」

美海「何一人でいってんの?」

幸孝「何も!」

美海「相変わらず変な人だね!」

幸孝「そんなことない!…と思う」

最近の2人の間は花見以来少しずつ良い感じだ。

友人も含めて遊びに行く回数も増えている。

会話も増え、2人でいればカップルのように仲良しだ。



テスト最終日。

美海「幸孝〜、テストどうだったの?」

幸孝「まぁまぁかな〜♪意外と出来た方だと思うよ」

美海「なら良かったじゃん!アメリカに行けるかもね!」

幸孝「金はあまり貯まらなかったから野宿しても仕方ないけどね(笑)」

美海「え〜!絶対ダメだよ!物騒だもん!」

幸孝「大丈夫大丈夫♪野宿なんて旅らしくていいじゃん!」

美海「…。」

幸孝「あれ、どうした?もしかして心配してくれてんの〜?(笑)」

美海「…うん」

幸孝の笑顔が一瞬くもった。今まで見たことがない暗い顔が美海に見られていた。

幸孝は優しく声を掛ける。

幸孝「ありがとう」

美海の顔は暗いながらもほほえみが見えた。



テストが終わり、無事赤点を取ることは無かった。

計画通りアメリカに行くことにした。

荷物は出来るだけ少なめに。

アメリカに行ってからの計画は無し。

旅立つ日は近づいていたが、その日を心配している人もいることをまだ気づかない幸孝であった。
出発当日。


幸孝はチケットを握りしめ飛行機の出発を待つ。


携帯が鳴った。


美海からであった。


『気をつけて行ってきてね?無事に帰ってくるんだよ?』


自分を待ってくれる人がいることを嬉しく感じ、そして少し意識し始めた瞬間であった。


そして飛行機はアメリカへと向かった。
アメリカに着き、さっそくホテルを探す幸孝。偶然にもすぐにホテルは決まり、そこを拠点に次の日から色んなところを見て回る。


日本とは違う景色、人々、街並み、何もかも新鮮であった。


色んな店に行き、色んなとこを歩き、始めて自分でタバコを作った。


そのタバコをくわえながら公園で休む幸孝。


自由な国、沢山の人たちとの出会い、満喫していると思っていたのに、ふと思い出す存在。


美海。


自分探しのはずなのに、なんで美海のこと思い出すんだ?


日に日に気になっている自分に気付く幸孝。


あいつのこと…好きになってたんだ…


自分の気持ちに気付けたことに驚きを隠せない幸孝であった。
あっという間のアメリカ滞在。帰国する当日には孝幸の気持ちも固まり、美海に伝えたいことも心にあった。


飛行機が日本に近づくにつれ、少し緊張している。


飛行機が着陸しゲートをくぐると、出口には見覚えがある姿があった。


美海だ。


幸孝は一気に緊張した。


美海『おかえり。どうだったアメリカは?』


美海の安心した顔を見て、幸孝は胸が苦しくなる。


幸孝「楽しかったよ。そして大切なことに気付くことが出来た。」


美海『大切なことって?』


幸孝「美海のことが好きだってこと。」


少し笑いながらも恥ずかしさを隠しきれない。美海の表情は真顔だ。


幸孝がごまかそうとしたそのとき美海が口を開く。


美海『気付くの遅いぞ!』


幸孝が美海の顔を驚きながら見る。そしてお互いが笑いあった。
紅葉が少しずつきれいな赤に染まる頃…幸孝と美海は並んで街を歩く。街の外れにある喫茶店が2人のデートコースの一つである。


喫茶店の奥にある席が2人の特等席。


時には笑ったり、時にはくだらない話をしたり、時には勉強もした。


片方がそこにいると、必ず遅れて相手もくる。


喧嘩をするときもあったが、最後は必ず笑って店を出る2人。


一緒にいると居心地が良くて、お互いを信じ合えて、何でも話せる。


そんな日々が続き、あっという間に冬が来た。



幸孝「今日はさみいな〜」


美海『そうだね〜。喫茶店にでも行く?』


幸孝「せっかくのページェントなんだからもう少し歩こうよ」


2人はページェントを見にきていた。人混みの中をゆっくり前に進みながらページェントを見る2人。


美海『幸孝待ってよ〜』


幸孝「ごめんごめん、こんなに人多いと離れちゃうな〜。手貸して。」


そういうと静かに手を握り締めた。


お互いがドキドキした。手は冷たくても心が温まる。


幸せをお互いに感じ、自然と2人の距離も近くなる。


日に日に幸せを感じあう2人。


周りから見ても2人の幸せは羨ましく見えた。
時はたち、2人は3年になった。


就職活動も少しずつ始まってきた。


美海『幸孝、就活進んでるの?』


幸孝「う〜ん、まだ〜」


美海『大丈夫なの〜?』


幸孝「ぼちぼち決めないとな〜。美海はどうするの?」


美海『なんか所か受けるつもりだよ。決まったら教えるね!だから幸孝も教えてね?』


幸孝「わかった!」


幸孝は美海に嘘をついた。


本当は自分が行きたい所は決まっていた。



幸孝が受けようとしていたのは乳児院だった。しかしこんな自分が受けていいのか、仮に受かってもやっていけるか不安だったのだ。決心が固まってから伝えようと思っていた。


数か月がたち…


美海『就職決まったよ!大手企業に受かったの!』


幸孝「すごいな〜。もう決まったのかよ!」


美海『次は幸孝の番だね!気合い入れなよ?』


幸孝「任せとけ!」


幸孝の試験は4年になってからだ。


それまで勉強を頑張る幸孝を美海は温かく見守っているのであった。
美海には一抹の不安があった。

幸孝がしている勉強・・また就職活動についてあまり話してくれない事。

何を聞いても、『まぁ実になるのは4年になってからだからっ!!まぁまぁ^^』とばかり。


でもやるときはやる人だし、いいか。 とそのときは思った。

夏も終わり・・秋がやってきた。

勉強を頑張る幸孝。それを見守る美海。時には一緒に勉強をしながらも、喫茶店に行くのは日課だ。


美海『今日も頑張ったね!そんなに勉強して何を受けようとしてるの?』


幸孝「う〜ん、俺保育士になろうと思ってさ。乳児院を受けたくて!アメリカに行ったときに色んな世界をみたんだけど、少し景色がズレるとそこには傷だらけの子供やストリートチルドレン、孤児が沢山いた。日本にはあまりない光景だけど、そんな子ども達を少しでも守りたいと思ってんだ。俺だけじゃ何もできないけど(笑)」


美海『そんなことないよ、すごいね?幸孝がそんなに考えてるとは思わなかった!』


幸孝「やっていけるかは不安だけど男だから出来ることもあるかなって思って」


美海『頑張ろうね!』


幸孝「あたりめ〜だ(笑)」


それからも幸孝は勉強を頑張るのであった。
秋が終わり、冬がきた。


ページェントも始まり、夜の街もいつにも増して賑やかだ。


人混みの中を手をつなぎ歩く2人。


出店を見てまわりながらこの冬の景色を楽しむ。


そしていつもの喫茶店も季節に合わせて小さなクリスマスツリーが光り輝いている。


幸孝「今日もすごい人だったな。」


美海『ホントだね、なんだか疲れちゃった…』


幸孝「やっぱここが一番落ち着く(笑)」


美海『もう家みたいなもんだよね(笑)』


幸孝「……来年はいよいよ試験だな。」


美海『あんなに勉強してんだもん、絶対受かるって。』


幸孝「なるようにしかならないからな〜。ダメだったら次を考えるよ。」


不安は隠せない幸孝だが、美海の応援を胸にラストスパートを精一杯頑張ることを再度心に決めた幸孝だった。
寒さが厳しい冬も終わり、春。


夏には幸孝の試験がある。


美海『幸孝、勉強の方はどう?』


幸孝「ぼちぼちだな。俺の試験は夏だから集中力がもつか…」


美海『どんな試験なの?』


幸孝「教養と専門だよ。普通の公務員試験。」


美海『やっぱり難しいんでしょ?』


幸孝「さぁな〜。とりあえず頑張るのみ!」


美海『申し込みは終わったの?』


幸孝「いや、今から(笑)」


美海『遅い!早く申し込みしに行こう!』


幸孝「…ZZZ。」


バシッ!


美海のノートアタックが久々に幸孝の頭を打つ。


夏は日に日に近づき、あっという間に試験の日になった。


緊張しながら会場に向かう幸孝。


幸孝のことを心配する美海。


美海は心の中で幸孝に対する思い、就職してからの不安があった。


そして、最近の幸孝を見ていると、なんだか幸孝が遠い存在になっていく…そんな気持ちが心の中で漂っていた。


卒業、就職、恋…沢山のカウントダウンが今始まろうとしていた。
試験開始。


幸孝の鉛筆は一つ一つ着実に動いていく。


試験問題を解きながら幸孝はふと美海を思い出した。一緒に勉強したこと、応援、そして美海の笑顔。


幸孝は一層気合いを入れ直す。


試験は午後までかかった。

全ての試験が終了し、会場を出た。


携帯に電源を入れ、美海に電話をする。


美海『もしもし?終わったの?』


幸孝「終わったよ〜。難しかった〜。」


美海『お疲れ様。今から喫茶店でも行く?』


幸孝「そうだな。んじゃ喫茶店で待ち合わせね。」


幸孝が喫茶店に入るとそこには美海が先にいた。


試験のこと、会場のこと、そして美海を思い出したことを幸孝は美海に話した。


美海は笑顔で聞きながら幸孝のことを見ている。


目の前にいるのは幸孝だ。だけど何だか寂しい気持ちが少し残っている。


試験から2週間がたった。

美海の携帯がなる。


幸孝「もしもし?美海?1次試験受かったよ!」


美海「ホント?やったね!まずは一歩前進だね!」


幸孝「ホント良かったよ〜!これも美海のおかげだな!」


2人の会話は続く。


次は面接。気持ちを新たに面接の練習を始めようとする幸孝だった。
面接試験当日。


幸孝の順番はすぐに回ってきた。


あっという間に時間は過ぎ、その日の試験は終了した。


結果は2週間後。緊張から解放された幸孝であったが、心の中は不安もある。


でも美海と一緒にいるとその不安も和らいだ。




2週間後、家には封筒が届いた。


試験結果である。


少しずつ封筒をあけ、通知を読む。


静かに携帯を開き、美海へ電話する幸孝。


美海の携帯が鳴った。


美海『もしもし幸孝?どうしたの?』


幸孝「…試験の結果…来た。」


あまりにも静かな声に美海も驚く。


美海『…どうだったの?』


幸孝「それが…」


美海『それが?』


幸孝「…受かっちゃった〜!合格だって!!」


美海『ホントに!?落ちたんじゃなかったの!?』


幸孝「ちげぇよ!なんてこというんだ!」


美海『だってあまりにも静かだったから(笑)でも、良かったね!』


幸孝「これで春から保育士として働ける!」


美海『…頑張ったもんね、あんなに勉強してたし…幸孝も…』


変わった、そう美海は言おうとしていた。しかし口には出せなかった。


幸孝「ん?俺がどうかした?」


美海『ううん、何でもないよ。喫茶店行こう!』


幸孝「おぅ、じゃあまた後でな。」


美海の心は揺らぐ。好きな気持ちは変わらない。ただ、幸孝の存在が遠く感じる。この心の距離感は何なのか。


静かに心の穴は広がっていく。
いつにも増して喫茶店の角の席は賑やかだだった。


美海『これで来年から働けるね!』


幸孝「まだどこの施設になるかわかんないけどな。でもホントに良かった。」


美海『卒業までもう少しだもんね。単位足りてるの?』


幸孝「当たり前だろ!」


笑い話がたえない2人。


そんな2人を4度目の冬が近づき、卒業も近づいている。


今年の冬は学生最後の特別な冬。


雪がちらつき始め、街にはカップルで賑わう。


2人は手をつなぎ、街を歩く。周りから見れば幸せそうな2人。


何度も何度もこの光景を見たい。


そう思いながら、2人は街を歩いていく。


卒業が近づき始め2人も社会人の準備を次第に始めていった。
幸孝「2月になってもまだまだ寒いな〜。」


美海『そうだね、まだまだ冷え込みそうだよ?』


幸孝「おかげでまだまだスノボーに行けるな!」


美海『何回行けば気が済むの!』


幸孝「一年中行きたい!」


美海『仕事をしなさい!』


卒業まで残りわずかとなった。


2人で遊ぶことも少なくなるだろう。


今は1日1日を大切にしたくなる。


そんなことを考えてる間に、外も暖かくなり、あっという間に卒園式前日になった。


幸孝の携帯が鳴る。


幸孝「もしもし?どうした?」


美海『今日って予定ある?』


幸孝「ないよ〜。」


美海『喫茶店行かない?』


幸孝「行く。んじゃあ喫茶店に集合な!」


美海『うん、後でね!』


幸孝が喫茶店につくと、すでに美海はいた。


幸孝「早いな〜。さっき電話きたばかりなのに。」


美海『まぁね。』


幸孝「どうした?」


美海『ちょっと話があって。』


美海の表情はいつもより暗く見える。


幸孝「ん?」


美海『あのね…幸孝。』


幸孝「…」


美海『幸孝は保育士になるためにいっぱい努力してきたよね、近くで見ててすごくそう感じてた。でもその分、何だか少しずつ遠くに行っちゃう気がしてたの…幸孝のことは好き。ホントに好き。ただ…距離感が開いてるような気がしてた。』


幸孝「そんなことないよ。」


美海『幸孝はそうかもしれないけど…私にとってはそう感じたの。』


美海は全てを打ち明けた。


幸孝が近くにいてくれたから安心した、近くにいてくれたから毎日が楽しかった、近くにいてくれたから愛を感じることができた。


ただ心の中にある穴は開いていくばかりなこと。不安な気持ち、全てを幸孝に話した。


美海の目には涙が浮かんでいた。


幸孝は始めて美海の全ての気持ちを知ることができた。今まで気付いてあげれなかった美海の心の中。


全てをしってしまった。


黙りこむ二人。


これからどうすれば良いのか二人は考えた。


美海の心の穴は長い月日がかかった分、すぐには埋まらない。


幸孝は突然の話に戸惑う反面、冷静に考えようとしていた。


これからの二人、社会人としての不安、環境が大きく変わる中このままで大丈夫なんだろうか。


二人の心は揺らいでいた。
幸孝が思い口を開く。


幸孝「美海は俺と一緒に過ごして幸せだった?」


美海『うん、色々あったけど、すごく幸せだった。』


幸孝「これから俺たちは社会に出ていくわけだけど、きっと時間も合わなくなるだろうし、寂しい思いをさせちゃうかもしれない。それは俺も嫌だ。」


美海『うん。』


幸孝が決断する。


幸孝「離れた方がいいのかな。」


美海『…うん、そうだね。』


卒業式は明日。その前にお互いかけがえのないパートナーと卒業することになった。


幸孝の気持ちは揺らいでいた。本当は好きなのになんでこうなってしまったのか、美海の心を埋めてあげることが出来ない悔しさ、自分の情けなさ。


様々な思いがある中、卒業式は開かれた。


卒業式、皆華やかな服装で参加している。


そんな中、幸孝は静かに参加していた。


幸孝の携帯が鳴る。


美海からのメールだった。

『今日の夜7時、喫茶店で待ってます』


幸孝は静かにメールを閉じ、式場を出た。
夜、7時になった。


街はいつもよりもにぎやかに見える。


そして店の前はいつもと変わらないが、何だかいつもと違う。


きっと胸の中のどこかがひっかかってる感じが幸孝はした。


店の中に入ると、いつもの席に美海は座ってコーヒーを飲んでいた。


幸孝も静かに席に座った。


美海『ごめんね、呼び出したりして。』


幸孝「どうしたの?」


美海『私ホントはまだ幸孝のこと好きなの。』


幸孝「いきなりどうしたの?」


美海『このままずっと会えなくなる気がして』


幸孝「そんなことないよ。お互い一人前になったらまた胸はって会おうよ。」


美海『一人前になれるのかな…』


幸孝「美海なら大丈夫だよ。しっかりしてるから。」

美海『…また会えるかな。』


幸孝「また会えるよ。大丈夫。」


美海『わかった。一つ約束しない?』


幸孝「なに?」


美海『3年後、またこの場所で会うって。3年、一生懸命働いて、一人前になるから。』


幸孝「3年かぁ。約束忘れるんじゃないの?」


美海『忘れないよ。』


幸孝「そう?じゃあ約束するよ。」


美海『ありがとう。』


この日からお互い連絡をすることはなかった。


幸孝は乳児院に勤め、毎日可愛い子ども達のために頑張って働いた。


働きながら出会う女性もいたが、幸孝は付き合うこともなかった。


幸孝は働いて得た経験を他にも活かしたく講師としての道を考え初めていた。

新たな自分を探すために。


月日はあっという間に過ぎ、社会人になって3回目の冬になった。


毎年変わらない賑わい。


友達の飲んだ帰りに通るページェントは人も多い。


人混みをかきわけて歩く幸孝。


ベンチに座り少し休もうとする。


空を見上げていると、3年前のことを思い出す。楽しかった学生、皆と飲み明かしたこと、そして美海のこと。


幸孝「もう3年か…3年?そういや〜3年前に約束したな。いつだったっけかな。」


携帯を見て日付を確認した。


幸孝「明後日じゃん。」


驚きながらも、心の中ではあまり何も感じていなかった。


あれから連絡もない。


美海もきっと忘れてる。


こんな年度末の忙しい時期に思い出せることもないだろう。


しかし、その思い出を幸孝は思い出した瞬間、少し笑顔がこぼれた。
あれから2日たった。


仕事が終わり、帰り道。


いつもと変わらない帰り道なのに自然と足はある場所へ向かう。


2人の思い出が詰まった喫茶店。


あの懐かしい思い出がよみがえる。


なんだか昔に戻った気分だ。


扉を開き中に入る。


コーヒーの匂い、変わらない店内、一つひとつ懐かしさを感じながら入る。


そして一番奥のテーブルには先客がいた。


幸孝は少し残念だった。






『幸孝?』


テーブルに座っていたのは美海だった。


幸孝「美海?どうしてここに?」


美海『約束したでしょ?それより幸孝が本当に来てくれるなんて思わなかった。』


幸孝「実は一昨日まで忘れてた(笑)」


美海『…実は私も一昨日まで忘れてたの(笑)』


幸孝「えっ?これって奇跡だね!」


席に座る幸孝。


それから2人は3年間してきたこと、最近の出来事を語り合った。


時間を忘れるくらい話し続けたのだった。
2人の会話は途切れない。


まるで恋人のように見える。


ばらばらになってからの時間はどこにいったのかと思うくらいだ。


会話も落ち着き2人は窓を見る。


景色も変わらないこの喫茶店は2人にとっては本当に宝物だ。


ただただ、この時間は2人にとって幸せな時間。


しばらく外を見つめる2人。


そして美海は幸孝を見た。


美海『…幸孝?』


幸孝「ん?何?」


美海『あのね…』


幸孝「ん?」


美海『実は…』


幸孝「?」









美海『私、今度結婚するの』
幸孝「えっ?」

一瞬頭の中が真っ白になる幸孝。

でもすぐに幸孝は我に戻った。

幸孝「おめでとう!」

美海『ありがとう』

幸孝「幸せになって最高の家庭を作ってな」

それから二人はたわいもない話をした。

しかし所々で浮かない表情をする美海が少し気になる幸孝。

幸せのはずなのにどうしてだろう…。



あっという間に時間は過ぎ、店も閉店時間。

二人な外に出た。

町は相変わらず賑やかだ。

自然と二人の目が合う。

その顔は二人とも付き合ってたときと変わらない表情だ。

美海『それじゃあね。』

幸孝「うん、元気でな」

美海『幸孝も。』

幸孝「おぅ」


二人は別れた。


それから3年が過ぎた。

幸孝は専門学校の教壇に立っていた。

毎年春には思い出す恋。

滅多に自分の恋話なんてしない幸孝だったが
、この日は生徒からの話題にこの話をした。

生徒は嘘のように聞いているがそれでも幸孝にとってかげがえのない思い出。

話の最後に幸孝は考えていた。あの時の美海はなぜあんな表情をしていたのか。

ホントは言いたくなかったのか。

もっと喜んで欲しかったのか。

それとも…

とめてほしかったのか。


来年の春も、この先も、時折思い出しては二人の思い出を大切に幸孝はこれからも素敵な未来を作っていく生徒達の教壇に立ち続けていく。









完

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