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北京波の新世紀映画水路コミュの『SPIRIT』評

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100年前の中国に実在した伝説の武闘家、霍元甲(フォ・ユァンジア)を主人公にしたマーシャル・アーツ・エンタテインメント。1910年に上海で開催された史上初の異種格闘技戦を壮大なスケールで描く。
主演は「HERO」のジェット・リー、共演に「いま、会いにゆきます」の中村獅童。監督は「フレディVSジェイソン」のロニー・ユー。
優れた武術家を父に持つ少年フォ・ユァンジア。強さに憧れを抱くフォだったが、息子が同じ道に進むことを嫌った父は稽古をつけることを拒み続けた。
だが、彼は秘かに鍛錬を積み、やがて天津一の格闘家へと成長する。高まる名声とともに傲慢さも増したフォはある日、大ケガをした弟子の仇をとろうとして、怒りのあまり相手を殺めてしまう。
しかし、その報復がフォの家族に及んだとき、フォは絶望の果てに天津を離れ、放浪の旅へと出るのだった。
そして、数々の苦難の末にフォは本当の強さというものを知る。ついに彼は天津に帰る決心をする。
そんなフォを待ち受けていたのは、世界中から戦いの猛者が集い開催された世界初の異種格闘技の大会だった。(HPより)


極めて満足、堪能した。

友人たちが表現していた”大味”とは思わなかった。

物語には太い太い幹が一本貫かれていて、それが頑ななまでに王道のストーリーなのだ。

登場するすべてのキャラクターに工夫はあっても小細工なし。

これがややもすれば"大味”という言葉がでてしまったのではないだろうか。小細工はジェット・リーの鍛錬による肉体の切れさえあれば十分ということなのだろう。

多少の早回しはあっても、すべてが肉体表現の完成形という目標があるようだ。心から楽しんだ2時間。

武術映画についても武侠映画についてもほとんど見たことはないボクだが、娯楽映画として東洋的な精神と、隠し味として西洋のものを上手くミックスしていると思う。

前半はジェット・リー扮する主人公が武術を極めるあまりに、人間的には大きく逸れてきており、驕り昂ぶって家族を失うことになり、その後主人公は流離の旅にでる。

そして数年、故郷の没落した生家に戻ると廃屋になっているかと思ったら下男が自宅を守っている。。


この場面でありゃりゃと思い起こしたのが『ベン・ハー』である。


ガレー戦の奴隷としての数年間はベン・ハーの復讐心を掻きたてるためにあったものであるが、この映画の高地民族との数年間は主人公の悔恨と失意からの復活のための数年間であった。


あの民族が田植えの途中で田に吹いてくる風の気配に信仰のように身をまかせている。リーもまた、最後には田に吹いてくる[風の春の密度=神からのおしるし]に祈りと恭順を捧げていく。

これはジュダァ・ベン・ハーが出会い養子にもなるローマ帝国のジャック・ホーキンス将軍とのそれである、異文化との邂逅ではないか。

死を賭けて挑む戦いには戦車競争がオーヴァー・ラップする。

あの自分が慈悲のこころを持たずに死なせてしまった相手の妻と子を訪ねて、こころから詫びの姿勢をしめすことで、あの母子を怨嗟の日々から救ってやることになるのだが、これはハンセン病にかかって死の谷に捨てられていた母と妹の2人がキリストへの思いで蘇ることへの実に巧みな取り入れではないのか?

『SPIRIT』という映画は武術の心を伝えるために、その背景に『ベン・ハー』のもつ永遠不滅の精神を取り入れることによって東洋と西洋の融合を図ったものじゃないか・・・と、堪能しながら、読後感をも楽しんだ。

この映画は、完全に目的を達している、清潔な作品であると心から満足した。

(★★★☆☆)

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