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北京波の新世紀映画水路コミュの「灯台守の恋」評

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これは言いたくないのだが、素晴らしい作品である.

誰にも言わずに大切にしまっておきたい映画だからである。

緻密で知的で、何よりも映画としての馥郁たる香りに満ちている。

もう、これだけ書いてお終いにしたいほどだ。

フランス・ブルターニュ地方の小さな島にアルジェリア戦争で傷痍軍人となった若い男性アントワーヌ(グレゴリ・デランジェール)が灯台守として赴任してくる。

元来が閉鎖的でよそ者を排除している土地柄で、彼がやってくると自分たちの身内が就職できないからと、灯台守たちは裏で使い物にならないと嘆願書を出す腹なのだ。

彼が寄宿した灯台守のリーダー格であるイヴォン(フィリップ・トレトン)は最初みんなの意向どおりに飼い殺しにして放置する気であったが、アントワーヌが他の誰よりも知的で優秀なことに気が付き、アントワーヌに好意を示すようになる。

しかし、そのアントワーヌの優れた人間性に気がついたのはイヴォンばかりではなく、イヴォンの妻マペ(サンドリーヌ・ボネール)もまたそうであり、アントワーヌとマペは道ならぬ恋に落ちた。

このぎこちないが熱情的な恋への描写が大変に肌目細かくて優れていること。

なによりも灯台守という余人には想像もつかない厳しい職種に関しての徹底した日常描写の巧みさ。

そして辺境の島民たちの閉鎖的な日常生活への見事なリサーチ。

この3つが集まって、奇跡的な愛の煉獄が描出されたのである。

具体的な内容には一切書きたくない。その世界に身を委ねた観客だけが、垣間見ることを赦されるものであるからだ。

島の沖合いに建造されたラ・ジュマン灯台の孤高な美しさと同じように、この恋の背景には孤独で気高い人間たちの苦悩と寛容が隠されている。

じっと堪えて堪えて見ていたがラスト・カットで身のうちの涙腺の止め栓がすぽんとはずれてしまい、トイレに駆け込んでしまった。

大人の恋を描いた映画にこれほどうろたえるとは!
本物の強さと言うしかない。

フィリップ・トレトンのこれこそが神業という受けの演技。

見てもらわないと、お話はしないからね。(★★★☆☆☆)

この映画、ポスターがいいんだ。
題名がいいんだ。
なにより、これほどいい映画は久しぶりなんだよ。

多くの登場人物にきっちりと描かれた性格描写の分厚さ。

さぁ、酔いたまえ。

コメント(2)

たっぷり、酔いました。

丹念な日常描写、シケの灯台でのクライマックス、そしてラストのおばの一言。

祭りの夜のせつない視線・・。

札幌は明日まででした。間に合って本当によかったです。
よかったねぇ。

こんな出会いがあるんだもの、やめられないやね。
(志村のバカ殿がかかってます。)

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