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Wineと貴女に酔う会コミュのmemories♯3「キュベ・ヨシコ89/武田伸一」

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初心の頃、浜田山の酒販店「いせや」が行き着けであった。
90年初頭であろうか。
そこで、ボルドー留学から帰国したばかりの武田伸一氏(タケダワイナリー嫡子)と出会う。

彼は本場の技術習得のため、約3年半の間渡仏する。
そして実家ワイナリーでの醸造の傍ら、流通も学ぶため、手伝だいにきていたそうだ。

真摯で屈託無く少年のような瞳に朴訥な語り口。

研修先の「Ch.ポンテカネ」でのリ・コルクのエピソード。
61、45から始まり29、27といった世紀のヴィンテージの味わうことの出来た感激。
本場生産者のワインに対する恐ろしいまでの執念。
栽培から醸造、フランス最新のトレンドまで縦横な話は尽きる事がない。
そして、店に訪れるフランス人客にはもちろん流暢な仏語でリコメンドをする。
僕はいっぺんで彼のファンになり、週末「いせや」に通う事が大きな楽しみであった。

ある日、彼は誇らしげにサンプルボトルに入ったスパークリングワインを飲ませてくれる。
「シャンパンを作り始めたんですよ。シャルドネ100%は日本では始めての試みなんですよ」

国内で唯一であろう、瓶内二次発酵、ノンドサージュの
本格シャンパン
「キュベ・ヨシコ89」の誕生である。

「こうゆう人が日本のワイン界を変えるに違いない・・・。」
いつしかワイナリーの仕事が本格化しほとんど会えなくなってしまう。
「ワイン作りに専念しているんだろうな」とタケダのプリムールを店頭で見るたびに彼のことを思い出していた。

そんなある日、訃報が届く。
交通事故で永眠されたとの事であった。


惜しんでも惜しみきれない、悲しんでも悲しみきれない。
人の世をこれほど儚んだことはない。


先日、ワイナリーの代表に兄の意志を継いだ妹さんが就任されたそうだ。

就任に際し、彼女は兄の教えをこう述懐している。
『続けることに意義がある。仏の老舗シャトーは、それを伝えてきた事がすばらしい。この仕事で大事なのは、次に何を残し伝えていくのかであって、『あの人のあの1本』を造る事ではない』

この世に永遠のものなど無いのかもしれない。
でもきっと例外もあるのさ。


シャトータケダ
http://www.takeda-wine.co.jp/index.html

コメント(2)

直接伸一さんのことはまったく知りませんが、この前キュヴェ・ヨシコの92年を開けました。

とても美味しかったです。ああいう日本のレベルを最高級に仕上げた方がこの世からいなくなったことは日本が財産を失ったに近いことだと思います。

一度でいいからお会いしてみたかったです。

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