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生活保護者の集いコミュの《探る考える》 発達障害と向き合う 悩み尽きず保護者疲弊 多様性認める社会に

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https://news.yahoo.co.jp/articles/684c3bfc58dc5d4cf9e51937c24a99cd9dbd3f55

発達障害のある子どもはコミュニケーションや学習面などに困難を抱え、学校生活で苦労することがある。保護者も悩み、疲弊する場合が少なくない。国の調査では小中学生の6%程度に発達障害の可能性があるとされ、大人になってから診断を受け、初めてその状態に気付く人も。近年、複数の著名人が自身について公表するなど理解が進んできたが、これまで表立って語られることが少なかった。発達障害の「リアル」に迫った。

衝動的行動
 「3歳の夏、夜中に水遊びをすると言って急に起き出し、制止を振り切って家の外に出てしまったことがあった。衝動的過ぎて驚いた」。群馬県の西毛地域の主婦、田中敦子さん(41)=仮名=は、発達障害のある高校1年生の長女(16)の幼いころを振り返り、苦笑した。

5年生の冬、田中さん(仮名)の長女に出された医師の診断書

 長女は、保育園に入ったころから他の子どもと異なる行動が見られた。だが、就学時健診は「異常なし」。児童相談所で検査も受けたが、結果は発達障害とまではいかない「グレーゾーン」。不安を抱えたまま、小学校進学を見守った。

田中さん(仮名)の長女が確定診断を受ける前、児童相談所で受けた検査の結果

 学習面で支障が出始めたのは2年生のころ。算数の計算でつまずいた。漢字ドリル4ページ分の書き写しに3時間かかったことも。深夜まで泣きながら鉛筆を握る姿に胸が痛んだ。

 5年生のとき、情緒障害の特別支援学級に入れることも考えたが、学区外の学校にしか設置されておらず家庭の事情もあり諦めた。

 その年の冬、長女は医療機関で確定診断を受けた。「注意欠陥(欠如)・多動症」「自閉スペクトラム症」。予想通りの結果だった。

 長女の将来が不安だった。「発達障害者が暮らしやすいまちに移ろう」。進級と同時に現在暮らす自治体へ移住した。

 長女は引っ越し後、環境の変化に適応できず6年生で不登校になったが、中学校では情緒障害の特別支援学級にも通った。高校は発達障害に理解がある一般校に入学。現在は学校生活を楽しんでいるという。ただ、悩みの種は尽きない。今心配なのは進路だ。特に就職する場合、選択肢は「一般採用枠」と、精神障害者保健福祉手帳を取得して就労する「障害者採用枠」があるが、どちらを選んでも難しい状況に置かれる可能性がある

 一般枠で就職した場合、発達障害の特性である集中力の欠如が影響し、工場などで継続的な仕事ができない可能性が高い。一方、障害者枠で就職する場合は、一般枠と比べて職種や求人数が限られる。田中さんは「そもそも(障害者の)手帳を持つことで、結婚が不利になる可能性もある。娘は今、そこで一番悩んでいると思う」と話す。

通常授業合わず
 東毛地域の福祉施設職員、千葉莉子さん(37)=仮名=は、中学2年生の長男(14)に発達障害がある。

発達障害のある長男について語る千葉さん(仮名)

 小学校入学後、すぐに特性が現れた。授業の予鈴が鳴っても教室に戻らなかったり、座席を離れたりすることもしばしば。「興味がない」と言って、国語の授業中に算数の勉強を始めたこともあった。

 1年生の夏、医療機関を受診。注意欠如・多動症、自閉スペクトラム症と診断された。

 高学年になると友人関係がこじれることが増えた。繊細な面もあり、友人に非難されたショックで登校できないこともあった。

 中学進学後、状況は悪化した。長男は興味がないと集中が続かず、板書も苦手で時間がかかる。勉強についていけず、同級生からばかにされた。1年生の間は何とか頑張ったが、2年生から不登校になった。

 その後、医療機関で適切な学習方法を把握する検査を受け、通常の授業が合っていないことが分かった。「もっと早く分かっていれば学校側に強く配慮をお願いできた。かわいそうなことをした」。千葉さんは声を震わせた。

仕事辞め転職の悪循環 普通の感覚が分からず
 「自分は普通じゃなかったんだ」。12年前の冬のある日、県央地域の香川皐月(さつき)さん(39)=仮名=はJR前橋駅で人目をはばからず号泣した。群馬県内の医療機関で、「広汎性発達障害(現在の自閉スペクトラム症に含まれる)」と診断された直後だった。

「ただの個性で済まされていたのが、実は障害だった」。青森さん(仮名)は過去のさまざまな体験の全てが腑に落ちたという

 過去を振り返ると、幼少期から発達障害の特性があった。小学生のころは2桁の足し算ができず、掛け算九九は七の段で挫折。コミュニケーションを取るのも苦手で、友人関係で苦労した。「何を話せば良いのか全く分からなかった。気付くといつも1人だった」

それでも高校、短大と進学。短大卒業後に靴店のアルバイトを始めたが、在庫数を把握できず、何度も間違えて怒られた。店長との相性も悪く、翌年には辞めた。

 化粧品会社で商品サンプルにラベルを貼る仕事もしたが、貼る順番が変わるだけで頭が混乱した。別の会社で営業事務をした際は、取引先との電話対応で失礼なことを言ったと注意されたが、「何が悪かったのか全く分からなかった」。他にもさまざまな仕事をしたが続かず、いつの間にか上司や同僚との関係が悪化することも多かった。1カ月〜1年半程度で辞めては転職を繰り返した。

 発達障害を両親に打ち明けたものの、「障害があるように見えない」と理解してもらえなかった。家にも学校にも、そして職場にも居場所がない人生―。「ずっと死にたかった」。30代後半から家に引きこもるようになった。

 6月に1人暮らしを始め、11月からは発達障害の支援団体に通い、社会復帰プログラムを受け始めた。「自分でもできる仕事を見つけたい」と前を向く。

 それでもネガティブな気持ちは消えず、家族を持つことに否定的な思いを抱く。「生まれてくる子どもも発達障害の特性が強いかもしれない。同じ苦しみを経験させたくない。だから、絶対に子どもは産まない」

 北毛地域の青森翔太さん(41)=仮名=は昨年夏、約20年ぶりに東京から地元に戻った。

 小さいころから相手の気持ちがうまく理解できず、他人への興味、関心が全く持てなかった。それでも勉強はできたので、学校では「変わり者」と周囲に認識される程度だった。

 大学院を修了し、教育系の企業に就職。3カ月間の新人研修が始まり、そこでつまずいた。職場や出先で先輩に注意を受けたが、何が悪いのか一切理解できない。「とにかく“普通の感覚”が分からなかった」

 研修期間が終わり、会社から解雇された。その後は飲食店や運送業などのアルバイトを転々とした。仕事で失敗して怒られても、理由が分からず悶々(もんもん)とすることがよくあった。

昨年冬、群馬県内の医療機関で注意欠如・多動症と診断された。自閉スペクトラム症の特性もあり「共感性が著しく欠如している」と説明を受けた。「ただの個性で済まされていたのに、実は障害だったのか」。過去の体験の全てが腑(ふ)に落ちた。

 現在、青森さんは支援団体で就職に向けたリハビリに取り組む。規則的で細かい作業、手順通りの業務は得意だ。「仕事を見つけて、1人で生活ができるくらいの収入が得られれば十分」とほほ笑んだ。

発達障害とは
発達障害の主な分類

 発達障害は神経系の機能不全が原因とされ、「神経発達症」と呼ぶ専門家もいる。多くの人と行動や感覚などが異なるため、社会生活への適応に苦労する。周囲に非難されることで自己肯定感を失い、不登校になる場合もある。

 文部科学省は2012年、通常学級に在籍する全国約5万3800人の小中学生を対象に、発達障害の特性を調査した。知的発達に遅れがなくても学習面や行動面に著しい困難を示す児童生徒を調査し、6.5%に発達障害の可能性があるとした。発達障害の主な症例に挙げられる学習症とみられるのは全体の4.5%、注意欠如・多動症の可能性があるのは3.1%だった。

家庭の安心 生きる力に 本島敏乃医師に聞く
 生まれつき脳の働きが多くの人と違うことで、社会生活に支障が出る「発達障害」。専門家は親や周囲の人たちが特性の違いを受け入れ、理解する必要性を強調する。行政による支援体制は拡充しつつあるが、保育や教育の現場からは職員へのサポートが不十分との指摘も。一方、自身が発達障害だということを大人になってから気付き、職場の理解が得られずに仕事を辞め、転職を繰り返す人もいる。支援団体は誰もが暮らしやすい社会の実現を訴える。

 発達障害のある子どもに、保護者や家族はどう向き合えば良いのか。診断から療育まで行う群馬県太田市の本島総合病院小児科の医師、本島敏乃さんに聞いた。

 ―子どもが発達障害と診断されたとき、どう受け止めればよいか。
「感性の違いを認めてあげてほしい」と語る本島さん

 診断の有無にかかわらず「別の人格を持つ一人の人間」として、正面から向き合うことが大切。自分と子どもの「感性の違い」に戸惑う場合も多いが、それがその子の全てではない。その子なりの考え方、感じ方を理解してあげて。

―保護者にとって、子どもの発達障害を受け入れるのが難しい場合もある。
 特定のイメージの「障害」と考えると受け入れられなくなる。まずは、自分と子どもの感性 の違いを認めることが大切で、そうしないと、子どもがつらい思いをする。子どもの世界を両親も楽しむ という方向に考えを転換してみるのもいい。医療、教育面の支援体制も広がってきた。医師や保健師など、継続して子どもの成長を見守ってくれる相談者をつくってほしい。

 ―家族が接するときに心掛けることは。
 神経発達症(発達障害)のある子どもは、「少数派の感性」を持っている。他の友達が興味を持たないことが、逆に興味深いことかもしれない。友達と遊ぶのが嫌いではないが、1人で遊びたい気持ちが先に来ている場合もある。勝手に「かわいそう」などの印象を抱いてはいけない。

 他の子と感性が違うため、生きづらさを感じることがある。そんなとき、家族は外の世界で頑張ってきた子どもをねぎらい、励ましてほしい。家族が「安全地帯」であることが、社会を生き抜く力になる。

 ―薬物療法は受けるべきだろうか。
 子どもに適したアプローチをしても社会生活に支障が出る場合、薬物療法の対応がある。だが、家族がそれを否定的に捉え、望ましい時期であっても薬物療法を希望せず、状況が悪化して「二次障害」が起こることもある。抱えている困難が薬物療法で減り、結果的に家族や本人の笑顔が増えるケースが多いことも知っておいてほしい。

成人の就労支援NPO 特性に合う仕事導く
 大人になり社会に出た後で発達障害と診断される人の中には、診断が確定するまで何年間も転職や失業を繰り返す場合がある。職場の上司や同僚に非難され、自信を失って引きこもる人もいる。発達障害者に特化したさまざまな支援事業を展開するNPO法人リンケージ(群馬県高崎市)は、こうした当事者の就労支援に取り組んでいる。

リンケージの利用者が作った折り紙の作品。作業を通して発達障害者の社会復帰を支援している

 11月下旬、同法人が入るビルの一室で、就労を目指す成人を対象とした支援プログラムが実施された。発達障害のある20〜40代の男女8人が参加し、漢字を使った「脳トレーニング」に挑戦した。

 同法人は、自己理解や感情コントロール、協力作業のこつを伝えるほか、人間関係を円滑にする職場での振る舞い方を教えるプログラムも実施。参加者は、手順通りに折り紙を作ったり、冊子を制作したりとさまざまな作業を体験する中で、それぞれの特性に適した仕事について考え、自分自身と向き合う。

 石川京子理事長は「同一性が求められる日本社会では、一つのルートに乗れない人を『不幸』や『困っている』と思い込む傾向がある」と指摘する。発達障害者に対しても多くの人が同じように期待する傾向があるとした上で、「人間はそもそも一人ずつ違うのが当たり前。多様な生き方を選択できる方向に社会が移行できれば、それが発達障害者の支援につながる」と力を込めた。

働く意欲を後押し 厚労省の支援事業
 群馬労働局によると、県内公共職業安定所(ハローワーク)の紹介による2020年度の発達障害者の就職件数は前年度比2.19倍の114件、新規求職申込件数は1.86倍の246件だった。近年、新規求職申込件数などが増加傾向にあり、同局の担当者は「発達障害の認知が広がり、特性を受け入れてもらった上での就職を希望する人が増えているのではないか」と分析する。

ハローワークを介した発達障害の新規求人申込件数と求人件数

 働くことに悩みを抱えた若者を広く対象とする厚生労働省の支援事業「地域若者サポートステーション」の活用が、就労につながるケースもある。自閉スペクトラム症などの特性がある東毛地域の女性(24)は昨年9月、県内のサポートステーションに登録した。大学を中退後、新型コロナウイルスの影響下でも「とにかく社会に出る必要がある」と感じたためという。

 女性は計算やコミュニケーションが苦手で、焦るとパニックを起こすことから車の運転免許証も取得していなかった。だが、同ステーションの職場体験プログラムに参加し、一つの作業に高い集中力を発揮して取り組める特性を評価されて今年5月、スーパーのアルバイトに採用された。

 週4日、1日4時間半の勤務。規則正しい作業が得意で弁当に具をのせたり、総菜を並べたりする仕事が丁寧だと褒められたこともあった。「働ければ何でも良かったけど、やっと稼げた」。淡々と語りながら、時折笑顔を浮かべた。

対応悩む教育現場 支援体制の強化を
 発達障害者支援法が2005年に施行、16年に改正されたことなどを受け、群馬県内市町村では発達障害の早期発見に向けた5歳児健診が広がり、独自の実態把握調査や検査体制の整備も進む。ただ、保育や教育の現場からは、発達障害のある子どもと向き合う保育士、教職員らに対する専門家のサポートを求める声が聞こえる。

 東毛地域で働く40代の女性保育士は「発達障害のある子どもやその保護者への対応が分からずに悩む先生もいる。相談できる専門家が近くにいてほしい」と訴える。

 県内の小中学校でスクールカウンセラーを務める60代女性は「毎年、複数の先生から発達障害がある子どもの授業中の離席や多動、対人トラブルなどの相談を受ける。訪問回数を増やしてほしいと言う校長も多い」と打ち明けた。

 発達障害に詳しい共愛学園前橋国際大短期大学部の上原篤彦教授(61)は「発達障害に対する理解は深まってきたが、専門家による現場の支援体制がまだ弱いように感じる。スピード感を持って改善する必要がある」としている。

《視点》医療機関の充実急務
 発達障害がある子どもの保護者は「揺れ動く心理」を持つ傾向があるという。他者と違うわが子の行動、感覚を不安に感じるのと、支障なく生活できる様子を見て「やっぱり普通だ」と安心するのを繰り返す。これが発達障害を受け入れることを難しくする場合もある。

 筆者も4歳の娘がいる。「うちの子は普通だ」と信じたい保護者の気持ちは痛いほど分かる。しかし、その先に医療機関の受診や療育を受ける考えがなければ、子どもは苦しい人生を歩み続ける可能性がある。難しい決断だが、事実を受け入れる勇気を持ってほしい。

 市町村レベルで発達障害の相談ができる場所は増えているが、「診断してくれる医療機関が少ない」と訴える関係者もいた。ある地域の医療機関では、予約から診察まで数カ月待ちの状況だという。早期の療育につなげるためにも、この状況の改善は急務だ。

 発達障害を取材しようと考えたのは保育士の妻とのやりとりがきっかけだった。この分野への無関心さを指摘され、反省の思いも込めて取材を進めた。社会問題解決の最大の敵は無関心だ。だから、発達障害についても多くの人に知ってほしい。その先に「多様性」を認める社会の実現が待っている。

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