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生活保護者の集いコミュの「ホームレスにはなりたくない」「首をつるロープを買ってきました」…コロナ禍で社会福祉士の元に寄せられる“相談”の実態 『コロナ貧困 絶望的格差社会の襲来』より #1

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https://bunshun.jp/articles/-/48368

日本で新型コロナウイルス感染者が確認されて1年余りが経過した。しかし、いまだウイルス根絶への道筋は見えず、感染拡大の影響で仕事やお金、住まいを失った人たちも数多い。はたして新型コロナウイルスによる影響で生活が追い込まれてしまった人たちはどのような不安を抱えているのだろう……。

 ここではソーシャルワーカーの藤田孝典氏の著書『コロナ貧困 絶望的格差社会の襲来』(毎日新聞出版)の一部を抜粋。同氏が相談を受けた2名の女性の深刻な実情を紹介する。(全2回の1回目/後編を読む)

◆◆◆


男女格差、正規と非正規……いびつな労働環境があらわに
「雇用の調整弁として非正規労働者は使いやすい」という当たり前になった言葉が、コロナ禍ほど実感できた時はなかっただろう。

 日本の労働市場は1960年代以降の男女格差を文化として温存してきた。今回最も重要なのは、女性へのしわ寄せという構造的な問題が表面化したことである。

 総務省が2020年12月1日に発表した10月の労働力調査によれば、正規労働者が前年同月から9万人増加しているのに対し、非正規労働者は85万人減少した。つまり、新型コロナウイルス感染拡大により、85万人の非正規労働者が何らかの形で辞めているのである。そのうち何と53万人が女性だ。

コピーライトiStock.com
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 NHKが専門家と共同で実施したアンケート調査では、2020年4月以降、解雇や休業、退職を余儀なくされるなど、仕事に何らかの影響があったと答えた人の割合は、男性が18.7%であるのに対し、女性は26.3%であり、女性は男性の1.4倍に上っている。実際、女性が男性よりも高い確率で仕事を失っていることが指摘されており、業種別では観光や飲食、小売など女性が多く雇用されてきたサービス業で突出している。

ひとり親世帯の貧困率は2人に1人
 数だけの問題ではない。男女間の賃金格差は大きく、2019年の給与所得者の年間平均給与は436万円であり、男女別では男性540万円、女性296万円(国税庁2020)。そして何らかの経緯で子どもを一人で育てていく場合、2019年の国民生活基礎調査では、ひとり親世帯の貧困率は48.1%と2人に1人が相対的貧困に陥っている。ひとり親にはシングルファーザーとシングルマザーがいるが、厚生労働省調べでは母子家庭は123.2万世帯と、父子世帯18.7 万世帯を大きく上回る(2016年度)。子どもを育てることに困難を抱えている女性の多さが見て取れる。

 さらに、OECD(経済協力開発機構)諸国と日本を比較すると、親が就労していてもひとり親世帯の相対的貧困率は50%を超えており、先進諸国のなかで群を抜いている。日本の母親は、子育てと両立させながら必死に働いても収入が圧倒的に少ないことがわかる。

それなら男性に養ってもらえばいい。そう考える人たちがいまだにいる。もしそれが可能だったとしても、女性が生きてゆくための代償に、男性に「性」を差し出すことになってしまう。確かに、これまで日本の社会では「家族」が経済的に困窮することを防ぐ大きな役割を果たしてきた。しかし今日では、各世代で単身者(ひとり暮らし)が急増しており、家族がこれまで果たしてきた役割・機能を行えなくなっている。

 世界経済フォーラム(WEF)が経済、政治、教育、出生率や健康寿命などから男女格差を算出する「ジェンダーギャップ指数」において、日本は2016年の111位から順位をさらに下げ続けており、コロナ禍の2021年4月の発表では156カ国中120位と、G7中最下位を更新した。

日本の女性参画の遅れ
 閣僚や企業の管理職に女性の登用が少ないことも、かねてから指摘されてきた。安倍政権(当時)の目玉だった「女性活躍推進法」は、女性を管理職に登用することを推進したが、戦前から続く女性差別を振り返り、総括することは行われなかった。過去の検証と反省がなければ、同じことはまた起こる。2020年9月16日に発足した菅義偉新内閣では女性閣僚は2人で、3人だった直前の安倍内閣から1人減った。


 他の国々がダイバーシティー推進に向かっているなか、日本では2021年2月、多様性と調和の重要性をコンセプトに掲げた東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長が女性蔑視の発言をして辞任するなど、社会での女性参画の遅れを世界中にさらしてしまった。

 森会長が辞任に至ったのは、複数の海外メディアで女性蔑視発言が取り上げられ、国内外から非難が殺到し、さらにIOC(国際オリンピック委員会)の「森会長の最近の発言は完全に不適切であり、IOCのコミットメントと五輪アジェンダ2020の改革に矛盾している」との声明が決定打となった。外圧によってではあるが、女性差別が問題視されて是正策が講じられたことは、日本がオリンピック開催国になった「メリット」だったとも言える。

〈事例〉ロープを手にSOSメールを打つ20代失職女性
〈家賃が払えないので明日出て行かなければならない。ホームレスにはなりたくないので首をつるロープを買ってきました〉

 南美加さん(仮名・22歳)からメールが届いたのは、2020年12月のことだった。こういう時は「思いとどまりましょう」といったメールではなく、まず所持金を聞くなど、現実的な返信をする。

〈お財布に4000円くらいです〉

〈仕事はどうされていますか〉

〈カフェで働いていたんですが、コロナで雇い止めにあいました〉

 首都圏のアパートにひとり暮らしだった。カフェで働けなくなった後、風俗店に移ったのだが、そこも感染症拡大で閉店になり、大家さんに待ってもらっていた家賃も、とうとう払えなくなったのだという。

実家に帰ることはできませんか〉

〈きょうだいが多いので、私が帰ると迷惑をかけるだけだし……〉

 実はこんな理路整然としたメールではなく、話が前後したり、矛盾した言葉が出たり、誤字があったりする。仕事がなく貯金も潰え、自殺を考え始めると、人はまともな文章が書けなくなる。ただ、状況が嘘でないことはメールの文面から読み取れた。


 睡眠薬を大量に飲んだが死にきれなくて、メールをくれた人もいる。「追い出されたらホームレスになればいいや」と、あっけらかんと開き直ることなどできないからこそ、精神も危うくなるし、誰かに自分の暴走を止めてほしくて「これから死ぬ」と、支援団体に連絡をくれたりする。だから、「狂言ではないか」と高をくくらないでほしい。

自殺を実行してしまう場合も
 すぐに連絡が取れればいいが、こちらがつい見逃したりしていると、相談者は何度も発信しなければならない。繰り返し「これから死ぬ」と発信しているうちに、やがて自分が自分に暗示をかけることになって、実行してしまう場合もある。

 すぐに南さんの面談に入り、翌日には生活保護の申請に付き添った。仕事も貯金もなく、家賃も払えないのだから、待ったなしの措置である。生活保護の法的要件は、「生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用」しても、規定された最低限の生活ができないことが前提になる。「維持のため」の努力のなかには親や親族など、扶養義務者への扶養照会も含まれる。未成年の弟妹を抱える南さんの実家に自治体が照会したところ、「そういうことならぜひ保護を受けてほしい」という返答があった。

 実際、南さんの言うとおり、実家の資産状況は芳しくはなかった。地域により細かな額が違うので具体的には書けないが、まずは必要なだけの生活費が支給された。現金が振り込まれるまでの間は、社会福祉協議会が窓口になっているフードバンクで日用品と食品の無料支援を受けて、緊急事態を乗り切っている。

生活困窮者には食品と通信インフラの無料支援を
 フードバンクとは、地域の家庭や企業、休業店に呼びかけて、未開封の食料品や日用品を寄付してもらう民間の生活支援活動である。

 子ども食堂、シェルター(避難場所)、個人宅への配送など、状況に応じてさまざまな受 け取り方ができる。具体的な場所は、全国社会福祉協議会のホームページにアクセスして確認してほしい(https://www.shakyo.or.jp/network/kenshakyo/index.html)。

 こうした支援窓口にアクセスする手段を持たない人は、間違いなく窮地に陥る。保護費、給付金などが振り込まれたら、何よりも先に携帯電話(スマートフォン=スマホ)は復活させてほしい。そこまでの人生の岐路に立ってほしくはないが、「命か、家か、携帯電話か」という選択を迫られたなら、まず命、次に携帯電話が優先だ。
 携帯電話は災害と困窮の最強支援ツールであり、何をおいても必要なものとなっている。外部の支援団体などに連絡すれば、命や暮らしを守れるからだ。生活が困窮しているなら携帯電話を解約すれば利用料金を節約できるではないか、という考えは決定的な誤りである。

 携帯電話の重要性は年々高まっており、相談者の多くがネット情報をスマホで見て連絡してくる。私たちの支援活動もSNSやメールを通じてのやり取りが多い。スマホがない暮らしを想像するだけで恐ろしいことである。

携帯電話やインターネットは生命線
 コロナ禍では、携帯電話会社が利用料金の一定の支払い猶予を設けており、条件や猶予期間は事業者によって異なる。契約者からの申告がなければ適用されないので、契約している事業者へまずは問い合わせてほしい。


 住居や水道など、人間が生きていくのに必要なものは公共財として民間企業に渡さず、共同管理(コモン)の一環として自治体が運営していくべきというのが私の持論だが、携帯電話やインターネットも、それらと同様の生命線ではないか。

 菅政権のいいところを挙げるとすれば、大手通信キャリアに働きかけて一気に通信料を引き下げたことだ。世界でも突出して高かった日本の通信料は、ようやく米英などの先進国並みとなった。

 今後も可能な限り、政府はこれらの企業に働きかけを行い、生活必需品は安価で提供されるように、あるいは商品化の度合いを引き下げていくように注力するべきだ。女性の生理用品がトイレットペーパーと同様、学校などの公共施設に常備されていくように、無償配布するものを増やす政策を歓迎したい。

〈事例〉水商売で生計を立てる「虐待サバイバー」にコロナが追い打ちをかける
 給料が生活費に届かず、副業で水商売をする女性からの生活相談は日に何件も届く。就職しても非正規従業員だったり、給与水準が抑えられたりしているからだ。

 飯村奈津さん(仮名・33歳)は、夫からのDV(ドメスティック・バイオレンス)が原因で離婚し、都内のキャバクラで働くようになった。昼に寝て、夜に出勤する、昼夜逆転生活が始まる。時間給も高く、その日のうちに給料が出る日払いなのもありがたい。

 はじめは救われた気分で働いていたものの、次第に夜眠れなくなった。夕方からの出勤で昼夜逆転生活になってしまい、体内リズムがおかしくなったのだろう。好きでもない相手に疑似恋愛を仕向け、笑ったり酒を飲んだりするサービスが、日常生活に支障をきたすような乖離状態を引き起こす。
当然、コロナ禍でお客はだんだん減っていき、ノルマをこなすことも難しくなった。一生働ける仕事ではないことを改めて思い知らされる。常連客とのカラオケ中にふいに涙が出てきたり、テーブルに何を運ぶかを忘れてしまったり、ミスが続くようになる。一軒だけでは稼げなくなり、複数店をかけもちするようになった。

店を転々と渡り歩くも収入基盤が全滅
 夜の世界では、男性でも女性でも、規則正しい仕事に就くのが難しい人が多く働く。水商売なら辞めても別の店にすぐ移れるし、勤務形態も「今日これから行ってもいいですか」「明日行きます」と店に電話すればいいだけだったりする。日払いというのも助かる。そこまで柔軟な働き方を用意してくれているセーフティーネットが、夜の世界しかなかったといってもいい。

 飯村さんは店を転々と渡り歩きながら、その時々でお客の相手をしていたが、コロナ禍でその収入基盤が全滅した。2020年夏の時点で相談があった。


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 所持金は数千円。彼女とのやりとりを通じて、幼い頃から激しい暴言と暴力を生母から受けていたことがわかった。出身家庭で心身に傷を負うと、子どもはその後の人生に大きなダメージを受ける。親の代わりに自分を受け止めてくれる庇護者(=男性)を探そうとして、家庭を持つことに過度な期待をしてしまう場合もある。たとえば、メールや電話にすぐ応答してほしい、どこにいるかいつも知らせてほしいなど、親に甘えられなかった分まで求める。飯村さんは家庭のぬくもりを求めて結婚。しかし、夫への愛情は親への代償行為である分激しく、結局破綻したという。そのことは、支援団体に送られてくるひっきりなしのSOSメール、

〈コロナで休業し、所持金がない。アパートを出るしかない〉

 といった文面からも読み取れた。幼児期から受けた虐待が積み重なり、大人になるにつれ重症化していったのかもしれない。家族に頼れないこと、仕事がないこと、精神を患っていることなど、いずれも生活保護受給要件は十分となり、手続きすることとなった。

その後、彼女から連絡は…
 飯村さんはやがて、「友人のところに住まわせてもらうことになった」と連絡をくれた。家賃の負担もなく、いわば「居候」らしい。相手は「男性の友人」ということだった。

 彼女の他者依存は、男性に嗜虐性を起こさせてしまうかもしれない。だが、どんなボーイフレンドですかといったことまでは踏み込めない。その後、彼女から連絡はない。

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