石川文之進医師が主治医の9人の長期入院患者のカルテに、朝信医師は数々の指摘を行った(記者撮影) A ・入院要否意見書にC型肝炎や糖尿病の病名記載があるが、診療録に血液検査の結果や評価に関する記載がない。 ・アルツハイマー型認知症の病名記載があるが、服薬など治療をしていない。 ・傷病名がレセプトでは統合失調症だが意見書では老人性精神病。 B ・統合失調症の病名記載があるが、診療録に統合失調症の検査結果や評価に対する記録がない。 ・統合失調症の病名があり、入院形態が「医療保護」(強制入院の一種)と記載されているが内服がない。医療保護入院の必要性があるのか。 C ・内服の治療をしていないのに入院の必要があるか。 ・長期入院診療計画書がない。 D ・ベルソムラ(睡眠薬)のみの処方があるが、精神入院の必要があるのか。なぜ内科入院にしないのか。 ・入院診療計画書がない。 E ・精神科の治療薬を飲んでいないのに、精神科入院が必要なのか。退院できない理由の記載がない。 ・傷病名がレセプトでは老人性精神病だが意見書では老年期認知症(妄想型) F ・診療録に処方の記載がないため、何が処方されているのか不明。また治療計画の記載がないため、退院支援介入の有無、退院計画が不明。さらに病名が「覚せい剤後遺症」となっているが、症状の経過の記載がないため、精神科入院の意味がない。 G ・診療録に処方の記載がないため、何が処方されているのか不明。 ・診療録に長谷川式検査結果がH27年に22点、H30年に29点(30点満点中)の記載があるが、なぜ医療保護入院なのか、また、この検査は最低年2回必要だが実施していない。 ・診療録に「中等度認知症」とあるが診療記録がない。また退院計画の記載がないが、なぜ入院が必要なのか。 ・傷病名がレセプトでは便秘症だが意見書では老年精神病。 H ・診療録に退院支援計画がない。 ・入院要否意見書に「うつ病」の病名記載があるのに、抗うつ薬の処方がない。 ・傷病名がレセプトでは器質性精神病だが意見書では器質性うつ病 I ・「糖尿病」「高血圧症」の病名記載があるが、診療録に採血結果の記載がなく、治療薬も飲んでいないし、HbA1c(平均血糖値)の記載もないが、なぜ糖尿病診断なのか。 ・診療録に「てんかん」の病名記載がないが、治療薬が処方されている。 ・傷病名がレセプトでは統合失調症だが意見書では非定型精神病。 「正直、こんなでたらめは見たことがないし、こんなことがありうるのかと思うほどひどい」(朝信医師)。