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生活保護者の集いコミュのコロナ下でホームレスは… 「消えてしまいたい」社会の危うさ浮き彫りに

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https://mainichi.jp/articles/20201230/k00/00m/040/273000c

新型コロナウイルス感染拡大で揺れた2020年。経済的に困窮する人が大幅に増え、ホームレス生活となり、野宿したりネットカフェで暮らしたりする人たちが増えた。冷え込む師走の東京で、声を集めた。【丸山博/統合デジタル取材センター】

 12月19日、東京・日比谷公園で、新型コロナの影響で困窮する人たちを支援する「コロナ災害乗り越える『なんでも相談会』」が開かれた。訪れたのは52人。年齢では50代以上の男性が多いが、中には30代など若い人もいた。女性は11人いた。

ネットカフェと路上生活繰り返す
 相談会の会場で、派遣社員の69歳の男性に声をかけてみた。普段は都内または埼玉県内の1泊二千数百円のネットカフェで寝泊まりし、時々野宿をするという。

 普段の仕事は、個人宅の引っ越しや事務所移転作業など。「NHKの紅白歌合戦の会場設営もしたことがある」と話す際は、少し誇らしげだった。「今年はコロナで仕事が減りました。年末を路上で過ごしたことは何度もありましたが、今年ほど大変な年はなかったです」。大きくうなずきながら語った。

 相談会で窮状を訴えると、生活保護の申請をするように助言されたという。男性は「働けるうちは受け取らないでいようと思ってきたが、さすがにもう限界です」と本音をもらした。

 翌週、男性に電話取材してみると、指示通りに生活保護を申請して、回答を待っている状態という。「幸運にも年末は仕事があり、神奈川県に出張して宿に泊まっています。これで年明けまでは安心できます」。電話越しに明るい声が返ってきたので、私も少しほっとした。奥からパチンコ店のけたたましい音が聞こえた。

 男性が寝泊まりすることが多いという東京・浅草のネットカフェを訪ねてみた。同じビルにはストリップ劇場も入っている。

 午後7時、入り口近くで待っていると、裸足にサンダル履きの50代とみられる男性が入ってきた。「12時間で」。慣れた様子でチェックインし、部屋に向かった。廊下には、シャワーを浴びた直後とみられる30代ぐらいの男性の姿もあった。ジャージー姿で、まだ髪がぬれていた。

 店員によると、1週間前払いのプラン(1万3900円)を利用する人が多く、延長を繰り返して長期滞在する人もいる。年末年始は予約でほぼ満室という。受付で取材を申し込むと、本社の許可が必要とのことで、電話で取材を申し込んだが、担当者からの返事はなかった。

工場ストップ、空き缶拾いの収入減

ホームレスの人が多い隅田公園で東京五輪の広告が見えた=東京都台東区で2020年12月28日午後3時2分、丸山博撮影
 ネットカフェから観光客でにぎわう浅草寺を抜けて15分ほど歩き、隅田川沿いにある隅田公園に行ってみた。ホームレスらしき人を数人見かけた。

 大量の空き缶を手でつぶして袋に詰めていた男性がいたので声をかけた。現在74歳で、「東京に来て3年」という。


空き缶集めを「仕事」にしているホームレスの男性。一つ一つ手で握りつぶしていた=東京都台東区で2020年12月28日午後2時2分、丸山博撮影
 「コロナの影響でホームレスが増えたかって? いや、増えたという感じはないですよ。ここではね」

 公園では10人ほどの人が野宿しているが、ずっといる人たちばかりだという。「ここに縄張りがあるわけじゃないけど、若い人だったら少しは仕事があるだろうから、すぐには来ないんじゃないですかね。ネットカフェとか行けそうだし、生活保護を受けている人もいるでしょう」

 男性はいったん話をやめ、タバコに火をつけた。よく見ると、黒ずんだ左手の薬指に銀色の指輪が光っていた。子どもが4人いて、みんな結婚したという。

 「私はこの仕事をやっているから、生活保護はまだ受けたくないです。以前に受けたことはあったんですけど、やっぱり働けるうちはね。これで1000円ぐらいかな」と空き缶の山を見つめた。「月に1、2回は(ネットカフェで)DVDも見ます。映画も見るけど、エッチなやつも多いですね」と笑った。

 空き缶集めの仕事にもコロナの影響がふりかかったという。「春ごろ、空き缶を引き取ってもらう単価が1キロ68円まで下がりました。コロナで工場がストップしたからです」。一時打撃を受けたが、今は1キロ102〜104円まで回復し、何とかやっていけるという。

 缶はゴミ捨て場から無断で持ってくることもあるが、住民たちからもらうこともある。明け方に2〜3時間かけて10キロほど集めて公園に持ち帰り、アルミ缶とスチール缶などを分別し、蓋(ふた)を外して仕分けする。缶は一つ一つ手で握り潰す。午後までの1日仕事だ。

 「缶コーヒー3杯で360円、それにタバコを買えば無くなってしまいます。毎日炊き出しの人が来てくれるので、なんとか食べられます」

 お金の心配に加え、コロナ感染も怖いという。「ここにいれば人に会わないから安全だけど、買い物でスーパーなんかの人混みに行くときはマスクしています。早く薬ができて収まってほしいです」

 「お子さんに連絡はしていますか」と尋ねると、男性はうつむいてしばらく沈黙し、小さな声で言った。「3年ぐらい、うん、3年ぐらい、もう連絡していません」

 そう話すと終始笑顔で冗舌だった男性は、黙り込んでしまった。3年前、東京に移ってから、関係が変わってしまったのだろうか。

 男性は別れ際、「人混みでの仕事は命がけですね。コロナに十分気をつけてください」と笑顔で私のことを気づかってくれた。

 よく見ると、隅田川の向こう岸の堤防には、ブルーシートで建てた小屋が所々に建っていた。

35歳で生活保護「税金で生きる価値ないのでは」
 日比谷公園の相談会では、比較的若い男性にも出会った。

 47歳の男性は今夏に失業し、11月から生活保護を受けるようになったという。

 非正規で駅の清掃の仕事をしていたが、同僚からのいじめを受け、出社できなくなった。ハローワークで求職中だが、コロナで失業した人が多いせいか倍率が高く、仕事は見つからないという。

 「若い人もたくさん応募してきたら、40代後半には回ってこない。コロナの影響は確実にありますよ」と困った様子だった。

 男性は自動車部品工場で非正規社員として10年ほど働いた後、非正規の仕事を転々とし、今夏以降は仕事に就けていない。今は東京都台東区内の簡易宿泊所で暮らしているという。

 さいたま市から相談に来た35歳の男性は、飲食店のアルバイトを今年4月に解雇され、今は生活保護を受けている。何とか暮らしてはいけるが、仕事を失ったことで自信がなくなり、将来に希望が持てないという。


「12.19なんでも相談会」に来て食料を受け取った男性。仕事が見つからず生活保護を受けて暮らしているが、「1日1食しか食べないこともあります」と話していた=東京都千代田区の日比谷公園で2020年12月19日午後1時7分、丸山博撮影
 「自分は税金で生きる価値がないのではないかと思い、消えてしまいたいと思うことがあります。行動に移してしまいそうです」

 これほど若い人でも、仕事をなくしたことで、追い詰められてしまっている。

 前述の69歳男性がネットカフェに泊まるお金がない時に野宿すると話していた場所も訪ねてみた。JR赤羽駅(東京都北区)近くにあるという。

 駅前には飲み屋街が広がる。近年、「1000円でベロベロに酔える」という意味の「せんべろ」で人気が高かったが、忘年会シーズンでも閑散としている。

 「居酒屋いかがですかー」。冷たい風に吹かれ、2人の若い女性2人が客引きをしていた。20歳と21歳。「お客さん来ません。歩合制なのでお給料出ないんです」と嘆いた。

 繁華街を抜け、少し離れた場所に毎晩ホームレスの人たちが集まるという。午後7時に行くと、誰もいなかったが、8時半に再訪すると壁際に段ボールの仕切りができていて、これから作り始めようとする人もいた。

派遣会社には「面接に来る若い人が増えた」
 仕切り用の布越しに足が見えた男性に聞いてみた。「今、食事中!」と迷惑そうな感じの声が返ってきたが、「コロナの影響について聞きたいんですが」と伝えると、仕切り越しに男性が野太い声で語り始めた。


ホームレス歴20年という派遣社員の男性=東京都北区で2020年12月23日午後9時39分、丸山博撮影
 男性は65歳で、派遣の仕事をしているという。「毎年3〜4月は繁忙期なんですけど、今年は仕事が何もなく、大変でした」

 日給は9000円、繁忙期で1万1000円。仕事内容はさまざまで、引っ越し業者の手伝いや事務所移転作業が多い。駅のホームドアの運搬と設置、エレベーターの部品の運搬もやった。

 最近はコロナの影響で、若い人が面接に来ることが多くなったという。「私が行く派遣会社の事務所は、細長い大きな一部屋があるだけ。だから、面接している内容も聞こえてきますよ。最近は、見かけが20代の人も増えていますね。コロナでアルバイトがなくなり、大学の学費が払えなくなって大学をやめたという人もいた。みんな真面目ですよ。一生懸命やらないと次から仕事がもらえなくなるから必死なんです」

 男性は大学卒業後に結婚し、長女が生まれた。喫茶店を開き、6台のインベーダーゲームを置いて繁盛したが、離婚して店をたたんだ。一人になり、派遣社員として長期出張の多い仕事をしているうちに、家賃を払うのがバカバカしくなって部屋を解約。サウナなどに泊まるようになり、住所不定になった。以来20年間、ホームレス生活で仕事を続けているという。

 視力が悪化していて数メートル離れた人の顔が識別できない。「多分、白内障です。保険がないから医療費は全額自己負担です。病院なんか行けません」

 男性はひげをきれいにそっていて、頰が赤みがかって肌艶はいい。実年齢より5〜10歳ほど若く見えるが、「白髪になって、もう年ですね」と力なく笑う。「コロナでぽっくりいけたらいいような気もします」。そう言って毛布をかぶった。

視覚障害で字が読めず

上野駅構内でじっと立ったまま暖をとる79歳のホームレスの男性=東京都台東区で2020年12月28日午後4時12分、丸山博撮影
 別の日、JR上野駅(東京都台東区)周辺でも話を聞いた。73歳の男性。年季の入った古い白杖(はくじょう)を持ち、真新しいスーツケースの上に寝袋を載せていた。ベージュのダウンジャケットを着込み、汚れが目立つ白い帽子をかぶっている。

 生まれつき視覚障害があり、盲学校を卒業し、川崎市内の小さな家具店に就職した。「18歳から60歳まで42年間働きました。350万円の退職金はすぐにパチンコでなくなりましたが……」

 点字しか読めないため、以前に生活した簡易宿泊所では、共用の冷蔵庫に入れる物に名前を書けず、孤立した。今はわずかな国民年金を受け取っているが、家賃ですべて消えてしまうため、やむなく今年5月から路上生活になったという。「私の場合、コロナのせいではないです。年金だけじゃ、部屋代しか払えないですよ」。小さく笑い、やりきれない様子でそう語った。

 新型コロナウイルスは、人々の生活に大きな痛手をもたらした一方で、もともとあった日本社会の危うさを浮き彫りにしたとも言える。ターミナル駅を行き交う人々の背中が寂しく見えた。

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