ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

生活保護者の集いコミュの「福祉の空白地帯」に目を向けよ=後藤広史・立教大教授

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
https://mainichi.jp/articles/20220804/ddm/004/070/002000c

新型コロナウイルスのまん延によって、生活に困窮する人々の実態が次々に明らかになっている。これまでの調査では、非正規雇用やフリーランスで働く人々、女性に大きな影響があったことが報告されている。ここでは、働き方や性別とは異なる観点から、あまり着目されてこなかったケースの生活困窮の実態を報告し、求められる支援について考えてみたい。

 報告に用いるのは、「いのちとくらしを守るなんでも電話相談会」で収集された第3〜12回の累積データ5592件である。(相談会の概要は「生活保護問題対策全国会議」のホームページを参照されたい)。今回着目するのは、相談者の「滞納・借金の有無」である。


 まず指摘しておきたいのは、滞納や借金が「ある」と回答した割合が17・4%に上ることである。この結果は、将来的にさらなる金銭的な負担を強いるという意味で、現行の貸し付けに傾斜した施策では支援として不十分な層が一定数いることを示唆している。

 では、どのような世帯が滞納や借金をするリスクが高いのだろうか。相談者の世帯を、(1)同居の子どもなし/不明(2)同居の子どもあり(未成年)(3)同居の子どもあり(成人)――の三つに分類して分析したところ、(1)の世帯に比べて、(2)よりも(3)の世帯で滞納や借金をするリスクが有意に高いことが明らかになった。(1)に比べて、公共料金は2・66倍、家賃は3・32倍、税金は3・33倍であった。


 (3)の世帯の具体的な相談事例を紹介しよう。「自身(70代)の年金と統合失調症の息子(40代)の収入でなんとか暮らしていたが、息子がコロナに感染し、収入が減少して家賃や光熱費が支払えない」。この事例に代表されるように、(3)の世帯の中には、「低年金・低年収の親+障害等の理由によって就労が不安定な子ども」のような、もともと複合的な問題を抱えていたケースが少なくない。

 国は、この間、0歳から高校3年生までの子どもに、10万円を支給してきた。学校の臨時休校で仕事を休まざるをえなかった保護者なども多かったため、こうした支援はもちろん必要である。


 一方で、成人の子どもと暮らしている世帯の困窮については、支援の必要性はおろか、その事実すら見過ごされてきた感がある。

 「生活保護を受ければよい」と思われるかもしれないが、こうした世帯は、「子どもが稼働年齢層である」「持ち家がある」「複数人世帯であるがゆえに受給することの合意が難しい」などの理由により生活保護の利用につながりにくくなっている可能性もある。相談会でも、こうしたことを理由に申請を受け付けてもらえなかったり、申請自体をためらったりするケースが散見された。

 まずは、相談窓口の拡充と給付金をセットにした就労支援の拡充、生活保護の運用改善などが求められるが、これらは平時の際にも必要なものである。顧みれば(3)のような世帯は、平時の時から使える支援制度が手薄な「福祉の空白地帯」である。コロナ禍をきっかけとしてそれらの支援が恒久的に整備・改善されていくことが期待される。

 ■人物略歴

後藤広史(ごとう・ひろし)氏
 専門は貧困・生活困窮者の支援論。認定NPO法人「山友会」理事。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

生活保護者の集い 更新情報

生活保護者の集いのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。