ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

生活保護者の集いコミュの“福祉業界の有名人”が支えられる側に 『マイホーム山谷』から見えるもの〈週刊朝日〉

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
https://news.yahoo.co.jp/articles/b92c9f3aacb5a9b70a5d12558ad2d3acfb050eb2?page=1

マイホーム山谷』(末並俊司著、小学館 1650円・税込み)の主人公、山本雅基さんは、2002年に東京のドヤ街・山谷で行き場のない人たちのホスピス「きぼうのいえ」を設立し、NHKの「プロフェッショナル」など各メディアに登場した。きぼうのいえは山田洋次監督の映画「おとうと」の舞台のモデルにもなり、山本さんは福祉業界の有名人であった。

 末並さんが彼に会ったのは、18年8月のこと。

「介護職員初任者研修を取ってケアした両親を相次いで家で看取り、虚無感をぬぐえなかった。何かしら救いを得られると期待していました」

 きぼうのいえに隣接した山本宅を訪れた末並さんを待っていたのは、しかし、酒の臭いと腐臭だった。床はペットペトしている。真空管アンプだけが場違いな空気を醸す。しかも、末並さんが両親の話をすると、「僕は亡くなった父と話せるんだ。霊界通信というやつだね」とまで口にした。

 山本さんはこの年3月にきぼうのいえの理事を解任されていた。統合失調症を患い、アルコール依存症でもあった。結婚し、二人三脚できぼうのいえを育てた美恵さんは、とうの昔にスタッフの男性と出奔していた。

 当ては外れた。一度きりの訪問で終わっても不思議ではない。だが末並さんは、月に1回ぐらいのペースで山本宅に通い始める。自身は酒を飲まないのに、頼まれて買っていった金麦をワイングラスで流し込む山本さんの半生に耳を傾ける。

 山本さんは、たまに連絡がつかなくなると、入院していた。山谷に数百人規模の施設を開く構想も頓挫した。20年秋、ついに生活保護を受けることに。末並さんは申請に付き添った。それから取材を本格化させた。

「支える側の人が支えられる側になった落差と、それでも山谷に居続けたいという気持ちに惹かれたのです」

 末並さんは、山谷で活動する訪問看護ステーション・コスモスの山下眞実子さんと一緒に、山本さんが吉原の近くに引っ越すのを手伝う。その後も、弁当やお菓子を持って訪ねた。手が震えた山本さんのお尻を拭いたこともある。21年夏、逃げた男性と別れていた美恵さんも捜し出した。パズルが埋まった──

企業取材で訪れたのを機に、末並さんが山谷と緩やかに関わりだしたのは11年。山下さんら福祉を担うキーパーソンたちと出会い、困っている人に何かをしたい人が集まり、連携し、ときに制度を超えて手を差し伸べる空間に魅せられた。山本さんもまた、山谷に包まれて生きている。

「山本さんの物語を軸に山谷の福祉システムも描きたかった。山谷は特別な地域ですが、ここで築かれる疑似家族のような関係は、山本さんがよく言うファミレス、ファミリーがレスの時代の解になるかもしれません」

 その意味では、山谷自体も本書の主人公と言える。末並さんは今も“山本さん通い”を続ける。以前より濃密だという。(中村智志)

※週刊朝日  2022年7月8日号

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

生活保護者の集い 更新情報

生活保護者の集いのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。