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生活保護者の集いコミュの気鋭のジャーナリスト・篠原匡氏が、人口わずか13万人の小自治体で困窮者支援に奮闘する人々を描いた感動のルポ『誰も断らない こちら神奈川県座間市生活援護課』/6月28日まで

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https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001475.000004702.html

『誰も断らない こちら神奈川県座間市生活援護課』が6月20日に刊行されます。発売に先がけ、6月18日から6月28日まで、朝日新聞出版の公式note「さんぽ」で本作の全文を期間限定で公開します。「どんな人も見捨てない」をモットーに、激増する生活困窮者に「命を守るサービス」を届けるために奮闘する人びとを描く本書は、福祉の新しいかたちを提示し、地方自治体の未来の示唆にも富んだ、今こそ読むべき作品です。


気鋭のジャーナリスト・篠原匡氏が、人口わずか13万人の小自治体で困窮者支援に奮闘する人々を描いたルポ『誰も断らない こちら神奈川県座間市生活援護課』が6月20日に朝日新聞出版から刊行されます。

発売に先がけ、6月18日から6月28日まで、本作の全文を朝日新聞出版公式note「さんぽ」で期間限定公開します。「型破り」な自治体・神奈川県座間市で奔走する、様々なバックボーンを持つ「規格外」の職員たちの姿を活写した注目の作品です。
■朝日新聞出版「さんぽ」
篠原匡氏『誰も断らない こちら神奈川県座間市生活援護課』全文公開ページ
https://note.com/asahi_books/n/nebdfe11f7d5a
神奈川県中部に位置する座間市。人口13万人ほどの小さな自治体ですが、今、生活困窮者支援の取り組みで全国から注目を集めています。同市生活援護課は生活保護や就労支援、子どもの学習支援など様々なサービスを提供しており、その試みは斬新です。職員自ら、既に困窮状態になっている住民だけでなく、その予備軍にも救いの手を差し伸べているのです。


なぜこうしたきめ細かな対応が可能なのでしょうか。その理由は、ともすれば対立しがちな自治体と、NPO法人などの民間団体(「チーム座間」)がタッグを組んでいることにあり、それを実現する職員たちの日々の奮闘にもあります。

本書は、こうした「断らない窓口」の舞台裏にスポットを当て、困窮者サポートに奔走する座間市生活援護課の職員とチーム座間の姿を追います。

どんな小さな地域にも市民とつながり支援する社会資源はあります。その資源とは「人」に他ありません。社会貢献のための様々な活動をしている人を育むことは、自治体こそが担える役割です。座間市生活援護課、チーム座間、そして彼らに救いを求めた方たちの物語を通し、福祉や生活支援、地方自治体のこれからについて考察します。


篠原匡氏著『誰も断らない こちら神奈川県座間市生活援護課』
定価:1870円(本体1700円+税10%)
発売日:2022年6月20日(月曜日)
https://www.amazon.co.jp/dp/4022518251

 神奈川県中部に位置する座間市。人口13万人ほどの小さな自治体だが、今、生活困窮者支援の取り組みで全国から注目を集めている。同市生活援護課は生活保護や就労支援、子どもの学習支援など様々なサービスを提供し、その試みは新しい。職員自ら、既に困窮状態になっている住民だけでなく、その予備軍にも救いの手を差し伸べている。座間市生活援護課は「どんな人も見捨てない」がモットーなのだ。
 なぜこのようなきめ細かな対応が可能なのか。その理由は、座間市が、ともすれば対立しがちなNPO法人などの民間団体(座間市にある「チーム座間」)とタッグを組んでいることにあり、それを実現している職員たちの日々の奮闘にもある。
 ジャーナリストの篠原匡氏の新刊『誰も断らない こちら神奈川県座間市生活援護課』は、こうした「断らない窓口」の舞台裏にスポットを当て、困窮者サポートに奔走する座間市生活援護課の職員とチーム座間の姿を追ったルポルタージュだ。
 公務員は何かとバッシングされがちだが、杓子定規なお役所仕事をしている自治体ばかりではない。社会からこぼれ落ちる人が急増する中、「型破り」な座間市の活動を通し、福祉や支援の新しい形を探る本書の全文を期間限定で特別公開する。

篠原匡著『誰も断らない こちら神奈川県座間市生活援護課』

目次
プロローグ
■見えない困窮者
■座間市生活援護課
第1章 断らない相談支援
■ホームレスになるはずだった男
■使い捨ての日系ブラジル人
■断らない相談支援
■緩やかにつながるの意味
■回り始めた歯車
■第二の人生

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プロローグ
 高台から街を見下ろせば、似たような家が建ち並び、日暮れとともに灯が点る。最初はまばらに見えた灯りは、時を刻むごとにその数を増し、夜のとばりを美しく照らす。
 遠くから見れば、その灯りはどこも穏やかで、温もりに満ちている。だが、実際に路地をさまよえば、雨戸が閉まったまま暗闇に沈んだ家もあり、また別の光景が広がっている。
 見慣れたいつもの光景、変わらないいつもの日常──。だが、その内側までは見ることができない。

画像
座間市の風景(写真撮影/Ricardo Mansho)
 神奈川県座間市。神奈川県の中央部に位置する、人口13万人ほどの自治体である。相模川に削られた河岸段丘の東岸に開けた街で、市役所の屋上から眺めれば、静かに流れる相模川の水面が遠くに見える。
 面積は約18平方キロメートルと神奈川県の中でも小さく、市の中心にある市役所からスクーターに乗れば、隣接する相模原市、海老名市、厚木市、大和市の市境に15分ほどで着いてしまう。
 交通の便に恵まれており、市内や近隣を走る小田急線や相鉄本線に乗れば、東京都心や横浜などに出ることも容易だ。それゆえに、戦後の高度経済成長期になると、東京や横浜のベッドタウンとして発展した。
 平日の朝、小田急線の相武台前駅に立てば、市民を乗せた神奈川中央交通のバスが次々とロータリーに入り、仕事に向かう会社員や学生が駅の構内に吸い込まれていく。人波を縫うように子どもを保育園に送る自転車も、東京や神奈川の郊外の私鉄沿線でよく見る光景だ。
 陽が高く昇れば、街を行き交う人々の表情も変わる。
 駅に直結している小田急マルシェ相武台では、シルバーカーを押した高齢の女性やジャケットを羽織った初老の男性が開店を待つ。駅の周辺に点在する金融機関の店舗を覗けば、近隣の店舗やどこかの会社の従業員と思しき女性がATMを操作している。
 お昼時になれば、周辺の事務所で働くビジネスパーソンや住民がランチに繰り出し、午後は午後で、仕事の打ち合わせや主婦グループのお茶会、放課後の学生などで賑わいを見せる。
 そして、日が暮れれば、ぽつりぽつりと灯りが点り、帰宅途中の人が家路を急ぐ。ひっきりなしに鳴る踏み切りの音と駅前を走る大通りの大渋滞──。これも、相武台前の日常である。
 もっとも、そんな日常とは無縁の生活を送る人もいる。

■見えない困窮者
 神村里江子(仮名)は、約15年間、暗闇の中で暮らしていた。薄暗い自室で電気もつけず、テレビの光をぼんやりと眺めていた。そこに、ラジオの音声が流れる。外の世界には触れなかった。だから、夏でも肌は白く透き通っていた。
 なぜ外に出られなくなったのか。いくら振り返っても、これだという理由は思い出せない。
 学生時代はテニス部に所属し、快活に動き回っていた。卒業後はスポーツクラブのインストラクター職に就き、仕事の延長で、あん摩マッサージ指圧師の資格も取得した。指名数で全国上位を取るために、馬車馬のように働いた。1日12時間勤務もザラだった。
「帰って寝るだけなので、一人暮らしの時は日の当たらない部屋を借りていました」
 そう神村は振り返る。
 何となく気が重く、出社が面倒に感じることはあった。だが、それでも出社してしまえば、いつものように働くことができた。
 ところが、ある日、突然手が震え出した。手を押さえても、どうしても震えは止まらない。同僚に相談すると、「いつもと変わらないけど……」と困惑した表情で返された。最終的に、神村は医師のもとを訪ねた。
 相対した医師は、不安げな神村を見つめてこう言った。
「うつ病の症状です」
 その一言で、何かが弾けた。以来、神村は自宅から出られなくなった。いつの間にか実家に戻っていたが、いつ借りていた部屋を引き払ったのか、その記憶すら辿ることができない。
 暗い自室の中で過ごすうちに、もう外の世界とはつながらない。そう思うようになっていた。

 同じような体験をした男がいた。佐藤武晴(仮名)も、20代前半からの8年間、自宅で引きこもっていた。
 工業高校を卒業すると、佐藤は溶接技術を生かして神奈川県内の中小企業に就職した。だが、就職した会社には社員が定着せず、人手不足の中、仕事に追われる日々を送っていた。
「朝8時から夜11時まで、切れ目なく働いていました」
 そして、ある時、限界を超える。緊張を強いられたり、負荷がかかったりする状態になると、必ず頭痛に襲われるようになったのだ。仕事を続けられなくなった佐藤は会社を辞め、自宅に引きこもった。
 自宅にいる時も、トラック運転手だった父親の荷下ろしなど、家のことは手伝っていた。だが、仕事につく気にはどうしてもなれなかった。朝から晩まで仕事に追われる中で、働くことが怖くなってしまったからだ。
「働かなければ」という葛藤はもちろんあった。今は元気な両親も、いずれリタイアする日が来る。自分が働かなければ、両親が年老いた時に、家族が困窮状態に置かれてしまうかもしれない。
 だが、溶接工時代の苦い記憶が脳裏をよぎるたびに、働くことに対する不安や恐怖を感じてしまう。そんな焦りと不安の間で揺れ動いている間に、8年という年月が過ぎていった。
 ふとしたきっかけで、働くことをやめた神村と佐藤──。彼らの存在に、社会が気づくことは容易ではない。そして、彼らのような「見えない困窮者」は社会の中で徐々に、確実に増えている。
 こういった社会の中に溶け込んでいる困窮者を可視化し、必要な手を差し伸べることは想像以上に難しい。だが、そんな困難なミッションを遂行しようと奮闘している人々がいる。神奈川県座間市役所・生活援護課と「チーム座間」である。

■座間市生活援護課
 生活援護課とは、座間市役所福祉部の課の一つで、生活保護利用者と、その前段階の生活困窮者までを幅広く支援する部隊だ。
 市役所のエントランスをくぐり、吹き抜けの市民ホールを抜け、さらに小さな坪庭の脇を進んだ一番奥に、同課はある。課の入り口には、感染対策のビニールシートで覆われた窓口が並び、生活保護利用者や生活困窮者が手続きや相談のためにやってくる。
 天井からぶら下がる「生活援護課」という看板と、キャビネットやパーティションで仕切られた雑然とした雰囲気は見慣れた役所の風景だ。
 その中は、生活保護を担当する生活援護第1〜3係、経理係、困窮者の自立支援に関わる自立サポート担当の3つに分かれている。自立サポートが「担当」であり「係」になっていないのは、担当者がまだ二人しかおらず、係の設置基準を満たしていないためだ。
 生活援護課の主な仕事は、生活保護に関わる行政事務に加えて、困窮状態に陥っている人やその可能性がある人の把握と支援だ。特に、自立相談に関わる自立サポート担当は、佐藤や神村のような自立支援が必要な人、あるいは生活に困窮している人と緩やかにつながり、必要に応じて適切な支援を差し伸べている。
 同課では、会計年度任用職員(従来の非常勤職員・臨時職員・パート職員に代わる職員。地方公務員法が適用される一般職の地方公務員)を含め、57人の職員が働いている。
 その内訳は、生活保護を担当するケースワーカーや経理担当、自立相談支援員、就労支援員、子ども健全育成支援員、窓口担当などである(会計年度任用職員を含む)。この57人を、課長の林星一が率いている。
 一方のチーム座間は、生活援護課が連携しているNPOや社会福祉法人、企業などの外部ネットワークである。それぞれの組織は、就労支援や就労準備支援、フードバンク、居住支援、家計改善支援、子どもの学習支援、アウトリーチ(訪問支援など本人に直接働きかける支援)などの事業を手がけている。
 市役所と聞くとお堅い印象もあるが、生活援護課では、結婚式場の元カメラマンや信用金庫の元営業担当など様々なバックボーンを持つ人が働いている。林も、今でこそ役所の課長が板に付いているが、もともとは障がい者施設や民間の介護事業者などで実務を担ってきた現場の叩き上げだ。

 生活保護が主要な業務だった生活援護課に、自立サポート担当が加わったのは2015年4月にさかのぼる。この年に施行された生活困窮者自立支援法に対応するため、座間市は従来の生活援護課に、自立相談支援や就労支援などの担当を新たに設置したのだ。
 生活困窮者自立支援法とは、生活保護に至る前段階の困窮者に対して、自立相談支援事業の実施や住居確保給付金の支給など必要な支援を提供するために作られた法律で、生活保護に並ぶ「第2のセーフティネット」として制定されたものだ。以来、困窮者の自立を支援するため、内部の人員と外部ネットワークを増強し、今の陣容になった。
 生活困窮者自立支援法が誕生した背景には、1990年代前半のバブル崩壊以降、じわじわと増える困窮者の存在がある。とりわけ困窮者の問題が深刻化したのは、2000年代後半のリーマンショックの時だ。世界規模の金融危機に伴う需要収縮に対応するため、自動車産業など製造業を中心に、派遣社員との契約を打ち切る雇い止めが相次ぎ、年を越せない人々が路上にあふれた。
 そして今、新型コロナが新たな試練を与えている。
 座間市を見ても、生活保護利用者は2353人(令和3年11月時点、速報値)と、保護率は全人口の17.88‰(パーミル、1000分の1)に達する(神奈川県の平均は16.62‰)。その多くは高齢者だが、飲食業などのサービス業に従事する人や自営業者など、新型コロナの影響を受けた人々も増えている。生活保護こそ受給していないものの、その前段階にある生活困窮者も数多い。
 生活困窮者を総合的に捉えた統計は存在しない。ただ、福祉事務所に来訪した人の中で生活保護に至らない人は約30万人を数える。また、引きこもり状態にある人は約115万人、離職期間が1年以上の長期失業者は約53万人、ホームレスは約3000人、経済・生活問題を原因とする自殺者は約3000人、スクール・ソーシャル・ワーカーが支援している子どもも約10万人いる。
(出所:厚生労働省資料「生活困窮者自立支援制度における横断的な課題について1」https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000885362.pdf

 こういった困窮者とその予備軍を可視化し、必要な手を差し伸べるために、生活援護課とチーム座間は奮闘している。

 座間市生活援護課は全国的に有名な存在ではない。中で働いている職員も、無名のごく普通の市役所職員だ。だが、様々な事情で困窮状態に陥った人を支え、自立に向けて伴走している。
「座間市ほど熱心に取り組む自治体も珍しい」と困窮者支援に関わる弁護士や司法書士が語るように、チーム座間の存在を含め、ここまで真剣に自立支援に向き合っている自治体はあまりない。
 日本経済の成長が鈍化し日本全体の貧困化が進む中、社会からこぼれ落ちる生活困窮者は減ることはないだろう。その時に、社会としてどのように対応すればいいのか。彼らの取り組みの中に、その答えが見えるに違いない。
 今から生活援護課とチーム座間、そして彼らに救いを求めた困窮者の物語を紡ぐ。

 なお、個人が特定できないよう、細部を一部改変している。また、本書の内容、登場人物の肩書は2022年1月時点のものである。

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